見出し画像

趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.055 映画 クリント・イーストウッド「ガントレット」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 クリント・イーストウッドの「ガントレット」(1977/米)についてです。

現役世界最高の映画監督クリント・イーストウッドの割と初期の作品。

作品としてはまだ荒削りですが、それでもイーストウッドの作家性とエンターテインメントが感じられ、もう只者ではない感じがします。

自分がイーストウッドを知ったのは「荒野の用心棒」の俳優の頃で
監督として意識し始めたのは「許されざる者」(1992)からですね。

「許されざる者」の前にも監督作品として「ダーティハリー4」や「ファイヤーフォックス」など観ているのにその才能に気が付きませんでした。

途中の家と後半のバスのシーンのこれでもかという銃弾による蜂の巣にされる様はこの映画の印象的なシーンです。



物語は、イーストウッド演じる主人公の平の刑事が、ある事件の証人をラスベガスからフェニックス市の裁判所へ護送してくれという命令を受ける。

刑務所に行くとその証人は売春婦の女性で、外に出ると命を狙われると言う。

主人公は刑務所から消防車に乗せて極秘に連れ出そうとするが、途中車を変えようとするとその車が爆発してしまう。

必死で救急車で逃げ出すが、何者かに襲撃される。

なんとか追っ手を振り切り彼女の自宅に戻ると、家を警察官に囲まれ一斉射撃されてしまう。

次から次へと命を狙われるが、それでもフェニックス市へ連れて帰る必死の護送劇が始まる。



刑事が証人を守りながら護送するという、定番のシンプルなストーリー。

移動しながら危機を乗り越えて男と女は距離が近くなっていく。

あまりにもストレートな題材を、気を衒うことなく、演出してやはりイーストウッドは西部劇から刑事物に移り、本当のアメリカ映画の継承者になっていく。

シンプルで力強い構成で、妙なアート思考もなく、ラストもしっかりとハッピーエンドに終わらせるところが、もうイーストウッドの作家性を出ている。

どこまでも真っ直ぐだ。過剰はあるけどw

その過剰な部分はやはり途中家の銃撃と、ラストのバスで乗り込む時何百人の警官に囲まれて、何千発も銃撃されるところでしょう。

普通バンバンっと1分ぐらいで終わらせるところを

執拗に長く銃撃される。

ゆっくりとバスは裁判所に近づき、永遠に銃撃される。

観ていて段々これは、なんなんだ。何か違うぞ。意味はわからないけどものすごくイーストウッドが描きたいものが伝わってくるぞ。

これはやはり映画ならではの表現で、イーストウッドは作家性のある監督です。

今日はここまで


「少なくとも、俺が屈しなかったと知ることになる奴がいる」
「誰が? ブレイクロック?」
「いいや、俺さ」
/「ガントレット」より

護送の最後、コミッショナーのブレイクロックに命が狙われているのに正面突破で裁判所にいくと決めたイーストウッドが証人の彼女と話をするシーン。