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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.037 映画 アシュリング・ウォルシュ「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画アシュリング・ウォルシュの「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 」(2016/カナダ=アイルランド) についてです。
![](https://assets.st-note.com/img/1650027978130-XfLir4GoFH.jpg)
こういうミニシアター系の良い作品って、良いですよね。
心が洗われるというか。
小さな宝物を見つけたようで。
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カナダの女性画家モード・ルイスの半生を描いた作品。
モード・ルイスさんこの映画を見るまで存じませんでした。
カナダのフォークアート(土地固有の文化から生まれたアートで、農業、商工業他の労働者によって生み出されるアート)の画家で、
田舎の風景、草花、動物などをきれいな色彩とシンプルで素朴なタッチの絵。
もちろんモード・ルイスさんがとっても素敵なのですが
単に実在の人物を映画化しただけでなく、
女性画家モードを演じたサリー・ホーキンス、その夫を演じたイーサン・ホークの
2人の俳優の演技が神がかっていて素晴らしすぎました。
普段映画は映像を一番メインで見るので、あまり俳優さんの演技には注目しないが
今作は別でした。
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物語は、カナダの小さな町で叔母と暮らすモード。
彼女は子供の頃から重度のリウマチに患っていた。
両親は死んで唯一の血のつながった兄と叔母ともうまくいっていない。
ある日買い物をしていたお店に魚の行商を営むエベットが家政婦募集の張り紙を貼り付けるのを彼女は興味を抱いた。
そのままエベットのところへ押しかけ、家政婦として雇ってもらう。
重度のリウマチで障害があるモードと孤児院育ちで気性の荒い粗野なエベット。
最初はトラブル続きで喧嘩ばかり。
ただ次第に一つづつ、お互いに理解していき、段々と距離が縮まる。
二人は結婚して夫婦に。
ある日エベットの魚の得意先の女性が尋ねにくる。
そのとき彼女が家の壁に書いた鶏の絵を見て、彼女の才能に気が付き、絵を依頼する。
次第に彼女の絵が評判になり、アメリカ大統領からも依頼が来るまでに。
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もうこの2人の生活が本当に見ていて良い。
少しづつ近づいていくところが。ゆっくり本物の”夫婦”になっていく。
そしてペラペラ喋らず、淡々と暮らしていくところが。
昔の田舎の夫婦ってこんな感じだったんだろうなと。
普通の日々の中に幸せがあるんだと気付かしてくれる作品でした。
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そして重度の障害を持つ彼女にとって窓から見える景色は幸せに満ちた大事なものだったのでしょう。
彼女が幸せでありたいという願望が絵に現れているような気がします。
窓からの景色は自分だけの誰にも邪魔されない大事な世界。
スープにして食べるためニワトリをしめて、それを絵に描くとき「幸せだった頃のニワトリ」ってそのユーモアと可愛らしさ最高!
今日はここまで。
「私は窓が好き、鳥が横切ったり、ハチがきたり、毎日が違うわ、命があふれている、命の輝きがひとつのフレームに、そこにある」
/「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 」より
モードがエベットと喧嘩して、最初に絵を買ってくれた女性の家に行き窓辺で語り合うシーン。その女性がモードに「何があなたを駆り立てるの?」と聞く。