趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.184 映画 山田洋次「男はつらいよ 旅と女と寅次郎 」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 山田洋次の「男はつらいよ 旅と女と寅次郎 」(1983/日)についてです。
男はつらいよシリーズ31作目、自分が見たシリーズは36本目。
もう7割観てしまったんですね。今後は一本一本大事に観なくては。
シリーズでは珍しく女優ではなく本物の演歌歌手都はるみがマドンナ。
佐渡が舞台で、忙しい歌手活動に嫌気がさしコンサート会場から逃げた人気歌手が寅さんと出会い、仕事一筋だった生活から解放され束の間の休日を楽しむという「ローマの休日」のような話。
今までのように女優ではないので、物凄い美人に惚れてしまうという感じではないが、それでも都はるみさんが劇中で歌うシーンが、ちょっと別格なほど歌が上手く、当たり前ですがそこはすごく感動しました。
本当にうまいんだと。紅白歌合戦やテレビの歌謡ショーぐらいしか観ていなかったので。
・
物語は、寅さんが博の代わりに満男の運動会に行くとか行かないとかでまたもやとらやで大喧嘩。
新潟に仕事できていてふと佐渡島に興味が湧いて、漁師さんに連れて行ってくれないかと頼む、そのときなんだか訳ありの女性も同乗することに。
その女性は人気演歌歌手の京はるみ(都はるみ)で、過密スケジュールの仕事と失恋に、あらゆるものに嫌気がさし、コンサート当日会場から逃げ出した。
寅さんは一緒にお酒を飲みながら、どこかで見たこと顔だと思いながら、思い出せない。
民宿のお婆さんからサインをもらってくれと言われ、京はるみとわかるが知らないふりをすることに。
翌日二人は佐渡を楽しく観光しながら回る。久々の休日にはるみは心底リラックスできる時間を過ごす。
だがついに佐渡まで芸能事務所の社長たちが追っかけてきて捕まってしまう。
東京に戻るフェリーの乗る前に、寅さんに、大スターではなく一人の人間として扱ってくれたことに感謝して東京の元の生活へ帰ってしまう。
寅さんは東京に戻っても放心状態で、はるみの演歌の歌をウォークマンで視聴していたら、ボ〜ッとそのまま持ち帰ってしまう始末。
ある日、京はるみがとらやに訪れて、柴又中が大騒ぎに。
とらやの2階ではるみはお礼にコンサートの招待券を渡し、佐渡での寅さんの励ましで、悩みを吹っ切れて仕事も順調に、恋人と復縁できたと告げる。
柴又中の人々がとらやに押しかけ、大騒ぎになっているので。
はるみはとらやの裏庭で即成コンサートをする。
大盛り上がりになるが、寅さんはそれを遠くから寂しそうに眺める。
そう、はるみに恋していたのだった。
その夜のコンサート、さくらと博にチケットを渡し、花と伝言を渡しまた旅へ。
コンサートで京はるみは佐渡でのエピソードを話し、寅さんへ送る曲を歌う。
・
もういつもの「男はつらいよ」ではありません。
日本版「ローマの休日」で、都はるみの歌謡映画の様。
逃亡先の佐渡の海岸でも海女さんと歌うし、なんととらやの裏庭でも歌うし、
最後はコンサート会場でもしっかり歌う。
渥美清さんが都はるみさんの大ファンだったと聞いています。
まあいつものすごい美女達ではないですが、超絶歌が上手い都はるみさんだからこそこの作品が成り立っていますね。
映画で”本物”が入るのって、好きです。
結構その本物がリアルで、映画の力になるんです。
都はるみさんの歌はまさしくそうでした。
映画の冒頭とラストで「ニッセイのおばちゃん」のCMで有名な中北千枝子さんが保健員として出てくるのが彼女の遺作となったのでその時代の記録として残りますね。
そうこの男はつらいよシリーズは昭和の時代の記録としての側面もあると思います。芸能やファッションや庶民の生活やあらゆるものの、記録が。
今日はここまで。
そんな人生もあるのね。
明日は何をするか、
明日にならなきゃ
決まらないなんて、
いいだろうな。
/京はるみ「男はつらいよ 旅と女と寅次郎」より