【伊那谷が化ける3日間の祭典】
4人のパフォーマーによる一人劇&ワークショップ
2023年 11月3日(金・祝) 4日(土) 5日(日)
@アグリネーチャーいいじま
かつて飯島町を魅了した「一人劇祭」が、再び幕を上げる
1990年代、南信州・飯島町。
当時、飯島町を拠点に人形演劇界において世界各国で高い評価を受けていた人形師・百鬼どんどろ岡本芳一氏は、「アジア一人劇祭(以下、一人劇祭)」や「日本一人劇祭」を企画。1991年から1996年まで飯島町を中心に伊那谷で開催していた。
岡本氏の等身大人形を使った独特な演舞は、人形劇でも人形芝居でもなく、「一人劇」として飯島町で呼ばれるようになり、その一人劇祭では、数日間に渡り、世界中から集まったソロパフォーマーが町の各所でパフォーマンスを展開していた。
そして、「一人劇祭」は幕を閉じ、岡本氏は2010年に死去。亡くなる直前、自身のドキュメンタリー映画「VEIN-静脈-」(監督:渡邊世紀)を残している。
時を経た2023年秋。
百鬼どんどろ・岡本芳一氏のどんどろ流に弟子入りし、その表現を受け継いできた唯一の弟子、百鬼ゆめひな・飯田美千香が、「伊那谷化けるんです。」と名を変え、形を変え、ここ飯島町で「一人劇祭」を復活させた。
故・岡本氏が築いた文化と思いを受け継ぎなから進化させ育成し、「触れた人たちの日常に一石を投じる役割でありたい」と、地域に根付いていくことを願いながら。
鮮やかさと妖しさに酔う
伊那谷が化ける日。
【1日目】11月3日(金・祝) 公演&トークショー
舞台美術を手がけた畠山智明氏によって、伊那谷の人々の暮らしの素朴で繊細な要素が舞台に吹き込まれ、芝居小屋さながらの空間で、大きなステージとはひと味もふた味も違った、パフォーマーたちの新たな一面が披露された。
加藤木朗(舞台芸能師)
コマの曲芸で会場を温め、羽化連の演奏に合わせ
祝福芸・獅子舞や種まきの舞・鶏舞を鮮やかに披露
【動画でのレポートはこちら】加藤木朗さん
蜜月稀葵(舞踏家)
対峙する緊張感
静寂に包まれた舞台の世界に空間全体が化ける
【動画でのレポートはこちら】蜜月稀葵さん
u‐ichi/瀧本祐一(ダンサー)
パントマイム & リズムダンス
新奇な世界が生み出す妖しさと心地よさ
客席を唸らせる人形との共演
【動画でのレポートはこちら】u-ichiさん
百鬼ゆめひな・飯田美千香(どんどろ流 人形師)
伊那谷を吹く風の五穀豊穣を願う、喜怒哀楽を豪華に表現
【動画でのレポートはこちら】百鬼ゆめひなさん
4名のソロパフォーマーの個性的な舞台が大盛況の中、続いてトークショーも繰り広げられ、「伊那谷化けるんです。」1日目が終了した。
会場の熱気も冷めやらぬ中、ディープで新しい舞台の世界にどっぷり浸かった会場のお客さんたちは、どこか清々しい表情で会場を後にした。
後編につづく
取材・文:北林 南
写真・動画:中島拓也
資料提供:飯田美千香
写真提供:伊藤敦
【後編】2、3日目ワークショップ、レポートはこちら