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作画準備室日誌(2024年10月1日〜10月11日)

10月1日(火)
自分でこしらえた物語の森で迷子になる。

10月2日(水)
中東の映像がsnsに流れてくる。
イランがイスラエルに放った超音速ミサイルの光が、遠目には夜空に降る火の粉のように静かにゆっくりと下りていく。

10月3日(木)
寝違えたのか四十肩か、肩から首が痛くて作業に集中困難。
無理やり作画作業。

10月4日(金)
テレビ局打ち合わせ。
午後リモート打ち合わせ。
そのあと電話打ち合わせ。
首から肩の痛みがとれない。

10月5日(土)
午前、首から肩の痛みがおさまらず整形外科へ。
狭い待合室に入ると向かいのソファに若いカップルが座って話している。
本当はまっすぐ前を向きたいが、カップルと目が合ってしまいそうで下を向いて本を読む。
その姿勢が一番首が痛い。
女の子が備え付けのテレビにコメントしたり男の子に次々と質問を浴びせたりして忙しい。
本の内容が頭に入らない。
こどもの頃、親に叱られそうな雰囲気を事前に察知した時に、こんな喋り方で次々と質問をくり出してなんとか乗り切ろうと試みて余計に親を怒らせたことがあった。
痛み止めと湿布の処方箋をもらって待合室に戻ると、2人はもういなくなっている。

10月6日(日)
この日誌を更新。
歩く不安のデパート。
しっかり聞いてもなかなか入ってこない話。
深夜、猟奇的な事件の記事を熱心に必要以上に読み込んでしまい眠れなくなる。
中島らもの本を読む。

10月7日(月)
ウディ・アレンの映画『ミッドナイト・イン・パリ』を観る。
現代のパリと古き良き時代のパリ、そのまた古い時代のパリ。
それぞれの時代の伝説的な芸術家たちがスクリーンの中で生きている。
映画を観ている間、現代の東京にいながら時空を超えたパリにいた。
映画は「別の場所に同時にいること」を可能にする。
いつか数年でも数ヶ月でもいいからパリで絵を描いて暮らしたいと思う。

10月7日 パリのカフェ

10月8日(火)
急な仕事の対応。
急いで絵コンテを描き直して送る。
なにかしらのコンサルをしている風の男。その威圧感。
ゆうらん船のサブマリンという歌を繰り返し聴く。

10月9日(水)
メモ1
自由の敵に自由を許すな 
『書を捨てよ町へ出よう』寺山修司
メモ2
希望の部分を描く。
肩はまだ痛い。

10月10日(木)
急に気温が下がり寒い日。
ふと、死んだら実家の下の川に灰を撒いてほしいと思った。
実家の下あたりに根付くように少し上の方でまいてもらうのがいいだろう。
土砂や藻や苔になって鮎や鰻たちの栄養になろう。
ホントは焼かずにそのまま川に流してほしいが…
それは、流石に迷惑か。

10月10日 急にさむい

10月11日(金)
昨日と一転、また暖かくなる。
テスラが無人タクシーと人型ロボット「オプティマス」を発表というニュース映像がXで流れてくる。
人型ロボットは、ちゃんと人らしく動き会話をしている。
しかも3万ドルという自動車くらいの値段。
一家に一ロボットの時代が来るのだろうか。
イーロン・マスク氏は「あなたの友達になることもできる」と言う。
タクシーで乗り付けて土足で上がり込んできて、挨拶もなしに普通に居すわられそうで怖い。

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稲葉卓也
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