らーめんつけめん
あの日々、テレビが全ての会話を牛耳っていた。
流星の如く現れた!
あの鬼才。
スーパー神主。
ラーメンつけ麺。
世間で大ウケした。
僕の周りで大ウケした。
サイコーだった。
今でも大好き。
全員がバカにした、はず。
下に見た、だろう。
あのイケメンを。
少し歳を重ねる。
そろりと女の子が視界をチラつくようになる。
やるべきことをやらねばならない。
その戦いに挑むには。
そこでいつもよぎるんだ!
ラーメンつけ麺が。
まずやるべきは髪の毛と眉毛。
とりあえず毛を整えれば一歩先んじられた時代だった。
その気づきはあった。
頭の真ん中をラーメンつけ麺がよぎった。
中学校に髪の毛をやっていく男はそういう目で見られていた。
バランスが悪かっただけだとも思うが。
だけども、確かにそれはあった。
流行っていたがごくせんだから、まあ仕方ない。
良くも悪くも目立つ。
振り幅もある。
身の丈に合わないおしゃれはラーメンつけ麺の匂いがした。
言葉が悪いかも!ごめん。
どちらにせよ、やるやつがモテたが。
自分はあれは恥ずかしいものだと思ってしまった。
それがさらに歪んで自分を磨くことを恥ずかしいと思った。
そういう男は多かったと思う。
やらない理由づくりでもあるかも。
あの日、ラーメンつけ麺を笑ってしまったから!
高校生あたりから、風向きが変わる。
磨かれた人が増える。
一緒にあれを笑っていたじゃん!
取り残される。
さらに月日が経つと、自己肯定感という言葉が流行る。
上げたいらしいし、高いと正しい。
どうやら人は自分が魅力的だと思っているらしい。
ラーメンつけ麺…。
みんな〜。
いつの間に上手に方針転換したの〜。
置いていかないで〜。
最近は好きだからという言い訳をしながら変な服を着続けている。
いつか禿げるからと言いながら髪の毛を伸ばし続けている。
いつになったら自分なりのかっこいいをやれるのだろう。
いつかは持っていたかっこいいを忘れてしまった。