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人間関係の流儀

人の悪い噂を推測で話してしまう人間だけにはならないようにしよう、と思っていたけれど、もしかしたら、誰かについて話すこと自体がすでに推測でしかなくて、だから、人間に関する発言権は、当事者以外は持っていないのかもしれない。もしそうだったら、そんな世界は生き苦しい。自分以外の話ができないなんて、ものすごく苦しいじゃないか。あの歌手のあの感じがいいよね、とかダラダラと話すのがいいんだよ。たとえ間違っていても、そういう会話を誰かとできることが好きなんだ。そうやって盛り上がったあの瞬間って、やっぱり好きだし、目の前にいる相手とも、もっと仲良くなれた気がして嬉しくなる。あの歌手をダシにして仲良くなろうという口実を企んでいるわけである。でも、だからといって、悪いダシを取ろうとする人にだけはなりたくないな。ダシを取るんなら、良いダシを取りたいじゃない? 良いダシが良い味を生み出すんだからさっ。と思いながら、虎視眈々と、あの人の良いダシはなんだろうか、と狙い定める。そのダシで、仲良くなりたい相手もね。

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