嗚呼、孤独。
街中を歩いている人は、誰かと歩いている。誰かと待ち合わせしている。誰かと時間を過ごすため、どこかへ向かっている。人類はこの世界にたくさんの目的地を創り上げてきた、と想像する。あてもなく放浪している人々には、何が見えているんだろうか。一人でいることの恐怖が芽生え、愛と犯罪が生まれている。森へ入ることが孤独と言うならば、街中にある孤独は別物なのだろうか? ふっと見えた自転車が、孤独の象徴みたいだった。群衆を切り裂く乗り物が、儚い生命を漂わせていた。群衆は、国家に対抗できるほどの力を持っている。革命は群衆から引き起こされる。目的地を持った群衆は、人類のシステムを破壊してゆく。新時代の幕開けが、新しい目的地を作り上げてゆく。それでも、方角の迷子になった冒険家は死んでゆく。孤独を埋めるための地図を手に入れた瞬間、その地図は燃えてゆく、死んでゆく、滅亡してゆく。孤独は、森へ消えてゆく。別の孤独が、街中に見えてくる。