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~Life is a journey~あとがき⑫


階段をあがってくる足音が聞こえる。


夢なのか、現実なのか?


寝ぼけている僕の耳元で彼女がささやく。


『行ってくるね』


そう言って僕に口づけをし、由香は出かけた。

朝が苦手な僕は、
そこから一時間ほどベッドの中でまどろみ、やっとのことで身体を起こす。

一階のリビングでは、ご主人の起床を待ちわびたクマジが吠えまわる。

ウォーターサーバーから水を注ぎ、一気に飲み干すと、チャンダンのお香に火をつけた。

お湯を沸かしている間に手動のコーヒーミルで豆をつぶし、コーヒーを入れる。

パソコンが立ち上がる間、昨晩ひらめいたアイディアを頭の中で整理し、ニヤリと一人でほほ笑む。

コーヒーを飲み終えると、パソコンの画面をそのままにクマジと散歩に出かけた。


これが毎朝の日課だ。


由香と結婚した僕はクマジと三人で島根県の古民家で暮らしている。

毎朝散歩をする宍道湖のサンセットは、日本でも有数の夕日スポットだと自負している。

天気の良い日には、鳥取県の大山(だいせん)が顔をだす。

国宝である松江城や、出雲大社…。


そんな神々の国に住み、
東京にいた頃と180度違う環境にいる自分を、たまに不思議に感じる。

僕は、【世の中でいう成功】をしたわけではない。

それどころか、旅の最中も投資に奮闘し、

節約のために、お総菜が半額になる夕方のスーパーばかりを狙っていた。

それでも僕は好きなことをやり続け、愛する人と出会うことができた。

結局、僕がやったことは何だろう?

それは、
有限である人生に気づき、臆することなく自分の気持ちに正直に行動を起こしただけなのだ。

決して万全な準備が整っていなくとも、

最初の一歩を踏み出して行動を起こす。

すると、ゆっくりと動き出した小さな歯車は、

交わり合う無数の歯車らを巻き込みはじめ、やがて大きく動き出し、【すべて】の存在が姿を現す。


まるで、
宇宙規模の時計仕掛けのように…。

これからも僕は、小さな歯車をまわし続けようと思う。

それがこの執筆活動だ。

投資と奮闘を続けながら、小説やブログ、動画配信などのツールを通じて、

ちょっとだけ理解できたと感じている宇宙の仕組みや人生論などを共有していきたいと思っている。

その先駆けとなるこの作品が、誰かの【小さな歯車】を動かすきっかけに少しでもなれたらうれしい。

良いことばかりではない人生で、


【この日のために、あの日があった。】


そう思える時が必ずやってくることを僕は確信している。


だからこそ、心の中にあるワクワクに真剣に向き合っていきたいと思う。


人生という旅が、続くかぎり…。


~Life is a journey~僕の半生記  完



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