僕は無職で夢男⑧~仕事を見つける~
僕は1年以上ぶりに仕事をする決意をする。
なんだか引きこもりになっていたような気分だった。
ネットで求人広告を見ながら、やりたい仕事がないことはわかっていながらも、興味がある職種を探していく。
初めに目についたのが、キャンプ用品の販売店だ。
時給は850円~。
東京の最低時給は1000円であるが、ここは島根県。ほとんどの求人が時給900円前後になる。
社員の月給にしても16万円~という状況だ。
そもそも社員で働く気はなかった。
やりたいことでない限り、会社に忠実になることは、僕にはできない。
そこらへんは、クソ真面目な部分である。
それに、年に数回は大型連休を取る”必要”がある。
知らない土地を旅することは、僕にとって必要項目なんだ。
41歳無職、仕事を探し出してもマイペースな条件である。
多くの人はこう思うだろう。
『この不安定な景気の中で、そんな自分勝手の仕事なんかあるわけない』って。
もしそう思うなら、アナタにとっての現実はそうなのかもしれない。
しかし僕の現実は違う。
僕はラッキーボーイだ。
なんとかなる!と信じている。
必要なモノは、必要なときに、必ず手に入ると本気で思っている。
思っている自分になる!わけであり、人の数だけ世界があり、現実が違うということなんだ。
キャンプ用品店の他にも求人を見て回った。
接客業・倉庫内作業・引っ越し屋に農林水産業。
そのどれもピンとこなかった。
働いている自分を想像できない。
それどころか、人とのコミュニケーション疲れになるのが怖かった。
僕は一人で行動することを好む。
人と交わっても器用に対応する能力を持ち合わせてはいる。
しかし一人になった瞬間に、ドッと疲れが出るんだ。
それを我慢して続けると、身体に斑点が現れる。
体力的にではなく、精神的に限界の合図がでるんだ。
僕を知っている人は、この事実を疑うだろう。
なぜなら僕は、器用にこなしてしまうから。
でもそれは本当の僕とは違う。
テレビに出ている、芸人さんのように…。
精神的な障害があるのかもしれない。
しかしこれは、誰にでもあることなのだとも思う。
誰もがどこかで、ガマンをして社会を生きている。
そのことに強くなっているのか、はたまた鈍感になってしまったのか。
10年以上、一人で気ままに生きてきた僕には、社会の中で揉まれる免疫が無くなってしまったようだ。
そんな僕の目に飛び込んできた求人。
宅配物の配送業。
委託配送で、軽ワゴンを所有し個人事業主として開業する。
キャッチコピーは、『自由に、がっつり、稼ぎたい人・一人で気ままに働きたい人』だった。
これだ!!
僕の直観がそう言っている。
インターネット・スマートフォンの普及により、Amazonなどのネット売買が主流となっている。
人々は生活用品からブランド品まで、そのほとんどをネットで注文する時代だ。
そこにコロナ禍も重なり、人との距離を保てる通販の需要は右肩上がり。
配送ドライバーが不足している状況だ。
これなら当面、需要は見込める。
だからといって運送会社に勤める気はないし、先々のことを考えて雇用してもらおうとも思っちゃいない。
個人事業主として委託配送を請け負うのであれば、一人で気ままにできるし、やればやっただけ実入りがある。
僕はこの仕事に決めようと思った。
そして思い出した。
『確か、地元の後輩がやっていた仕事ではなかったか?』
やっている人に実態を聞いておく必要がある。
メリット・デメリットも事前に把握してから応募するのもいいだろう。
僕は東京の後輩へ、久しぶりの電話を入れることにした。
宇宙は、
呼び方を変えるならば…神様は、様々な状況を使って合図を送ってくれる。
失敗に見えるような現実や、友人からポロリと出る言葉を使って…。
僕らは、その合図をキャッチできるアンテナを張っていればいいんだ。
そして合図をキャッチしたならば、行動を起こすだけ。
僕は久しぶりに電話した後輩の言葉により、また一つ、自分の殻を破ることになる…。
つづく。
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