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本当にあったヤバい話~〇〇住宅のT・I氏~第一話
僕ら夫婦は来年に向けて引っ越しを考えていた。
キャンピングカーが納車するまでに、その大きさに対応する駐車スペースがある敷地が必要だったからだ。
もちろん駐車場だけ探してもよかったのだが、自宅の敷地内にキャンピングカーがある風景は、男なら一度は憧れるのではないだろうか。
希望する物件を探すため、妻と手分けしてネットサーフィンする日々が続いていた。
11月初旬のこと、妻が1件の物件を見つけた。
戸建ての賃貸契約で、家の前に大きな駐車スペースがある。
近くにはスーパーや飲食店も多く、便も良い。
さっそく不動産屋へ連絡をすることにした。
この物件を扱っている〇〇住宅。
ラーメンならあそこ。車のことならあそこ。
どの地域にも、代名詞と呼ばれるお店はあるものだ。
僕が住んでいる町では〇〇住宅がそれにあたるというわけだ。
ネットで見た物件を伝えると担当の営業マンが電話にでた。
〇〇住宅・営業のT・Iです!
彼はとても明るい声の持ち主であった。
物件の詳細を聞き、駐車場が家の前に1台、少し離れた場所にもう1台あることがわかった。
その離れた駐車場の位置を教えてもらい、僕は車で確認してくることを伝えた。
夕方で暗くなりますのでお気をつけください!
彼はとてもさわやかにそう言い、電話を切った。
僕はまだ顔も見ていない営業のT・I氏に好感をもちながら、車で紹介された駐車場へと向かった。
現場に到着したのが17時過ぎ。
もう辺りは暗くなってきている。
彼から聞いた位置あたりにいるはずなのだが、伝えられていたようなスペースを発見することができない。
近くを車で回ってみたが、やっぱり見つけることができなかった。
もう暗いのでまた明日にしよう
僕はそう決めて帰宅した。
翌日、妻も休みだったため一緒に昨日の駐車スペースを探しに来た。
夕方の景色とは異なっていたが、それでも聞いていたようなスペースを見つけることができなかったのだ。
僕らはその足で〇〇住宅へ向かうことにした。
担当のT・I氏の対応については、昨晩妻へも話していた。
とても感じのいい子でさ。話していて気持ちよかったんだよ。
僕は若い頃から接客や営業の仕事に就くことが多かった。
だからなのかもしれないが、店員の接客態度を観察するクセがある。
そして良し悪しを妻へ伝える習慣があるのだ。
〇〇住宅へ入ると受付の女性が対応してくれた。
僕らは席に座り担当のT・I氏を迎えた。
165センチほどの身長に細身の体型、コロナ禍ということもありマスク姿ではあったが、僕ら夫婦よりひと回りほど若く見えた。
マスク越しに幼さの残る笑顔を輝かせながら名刺を渡してくれたのだ。
彼から物件に関する詳細を説明される。
募集は出しているものの、まだ住んでいる方がいるらしく12月中旬に退去するとのことだった。
僕らはペットがいること、キャンピングカーを駐車したいこと、妻のサロンも営業する考えもあることを伝え、大家さんに掛け合ってもらうことにした。
そして見つけることができなった離れの駐車場の件もお願いして〇〇住宅を後にした。
大家さんに確認次第、すぐにご連絡致します!!
さわやかな笑顔でT・I氏は見送ってくれた。
ニコニコしている子よね。
妻がそう言うと、僕は答えた。
でも彼さ、人の目を見ないよな?
確かにそうかも。会話の最初だけ目が合うけど、後は視点が泳いでいるというか…。
まあ、とりあえず連絡を待つことにしよう。
愛犬クマジもOKになれば嬉しいな。
僕らはこのときに想像すらできなかった。
まさかあんな出来事がこれから起こることになるとは…。
つづく…。