僕は無職で夢男⑤~主夫の気持ち~
主夫としての意見を言わせてほしい。
今の時代、男と女の役割分担に明確な区切りはなくなった。
昔は男が外で働き家族を養う。
女は家を守るわけだ。
よって男は稼いできたお金を家に入れ、女が家計を支える。
これが今までのスタンダードである。
では近年はどうなってきているか。
もちろんスタンダードな方法をとる家庭もあると思うが、女が専業主婦というケースは少なく、共働きという家庭がほとんどになる。
家計を支えるために働く女性もいれば、仕事をしたいという女性だっている。
その中には旦那さんの収入を上回る女性も少なくはないだろう。
時代は常に変化している。
それならそれで役割分担を変えていけばいい。
変化に対応できる者こそが生き残るわけで…。
わが家の場合は僕が主夫となる。
サロンを経営してる妻のほうが収入があるからだ。
家事に必要なお金を預かり、料理に掃除に洗濯などをこなす。
神経質な人から比べれば大雑多な僕だが、O型なりの完璧を求めて。
夕方くらいになると『今日の夕飯は?』なんてLINEが妻から届く。
僕の得意な餃子だと伝えると、踊りまくるスタンプが返ってくる。
また、自分の事でバタバタし、夕飯の支度に慌てて取り掛かってから『今日は夕飯いらない』とLINEが届くと、一気に不機嫌になる僕がいる。
僕ら夫婦は毎日夕飯を一緒に過ごす。
しかし妻の疲れが溜まったとき、月に一度の”女の子の日”が重なったときなどは、夕飯を食べずに横になることがたまにあるのだ。妻には。
そこらへんは男の僕にはわからない辛さなのだろう。
『もうちょっと早く連絡できるだろ!!』って独り言を言いながら、自分だけの簡単な食事を用意する。
妻が帰宅したときも、なるべく明るいトーンで『おかえりー』と言うように意識している。
『ただいまー』と明るく妻が帰宅すると気持ちがいいことを、主夫の僕は知っているからだ。
逆に疲れていて元気がない妻の帰宅時は、僕も途端にテンションが下がるものだ。
夫婦というのは、目には見えない部分から気を使い合うことが大切なのだろう。
性別、役割は違えど、お互い楽しく夫婦生活を過ごしてきたのだ。
しかし喧嘩になると主夫の立場は狭くなる。
言葉では勝る僕へ、妻は反撃を仕掛けてくるのだ。
『誰のおかげでこんな生活ができてると思ってるんだ⁉』
こんな昭和ドラマの大黒柱のようなセリフは言わないが、主夫として痛いところを突かれる。
『それを言ったらだめよ~』これは僕の心の声だ。
この場を借りて、世の男性諸君に伝えておきたい。
僕が主夫という立場を経験してわかったことだ。
もし男性が家計を握っている立場にあるのなら(奥さんが主婦なりパートなり)、どんなに喧嘩をしたとしてもお金で優位性を保ってはいけない。
もしお金のことで不満があるなら、喧嘩をしてないときに話すべきだ。
喧嘩中に”それ”をだしたのなら、余計こじれることになるとハッキリ伝えておこう。
それにもし子供がいて、仕事もしている奥さんなのだとしたら、僕はそんな女性をスーパーマンにしか見えない。
大半の女性がスーパーマンをしていると思うと頭が上がらない。
男性が主夫を経験するのも、見方が変わってよいのかもしれない。
それは僕が痛感しているのだから…。
でもね。
今回に限っては、僕がいけないんだ。
働いてくれている妻に、言ってはいけない一言を言ってしまった。
それがこの一言。
お前も仕事辞めてみろよ!!...。
つづく。
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