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ダンス風呂屋、解放します。

本記事は第1章〜第6章までの6章に渡って構成されています。
1章~4章までは思い出話。5章からが表題についての文章となっています。
晩酌でも嗜みながら思い出話、聞いてやってください。(全体として5分もあれば完読できるくらいの文量です)

第1章:馴れ初め

思えば銭湯に行くことが多くなった。

「ダンス風呂屋」という銭湯フェスをオーガナイズしはじめたことは、シャワー15分でことを済ませていた自分が、ふらっと銭湯に寄り始める理由になるには十分だった。

ことの始まりは2年前の冬(たぶん)
全国各地で「サイレントフェス®(という無音の音楽イベント)」を開催しまくっていた自分は次なる開催地を探していた。ぼんやりと銭湯でできたらいいなぁと思っていたところ、たまたま日の出湯という上野稲荷町にある銭湯を知人に紹介していただき、オーナーの田村さんと出会った。

銭湯という場所に行ったのもそのときが20年ぶりくらいで、実家の近くの銭湯が潰れ、家族で銭湯に行くこともその時くらいからなかったように思う。

番台のまえの椅子に腰掛け、銭湯でフェスができたらこんなことがしたいとアイディアを提案していると、ありがたくその場で快諾いただき、銭湯のお客さんも交えていろいろな話をしていた夜だった。

銭湯ってどういう機能があるんだろうと観察していると、いわゆるライブハウスやクラブのような音楽の場との共通点も見えてきて、例えばロッカーがあったり、フロアが分かれていたり、ドリンクブース(番台)があったり、、しかも踊ったあとそのままお風呂に入れるというのも、フェス好きな人たちのニーズを満たしているように見えた。

何より番台まえで話していると常連さんたちがお風呂上がりに話しかけてきてくれるように、コミュニケーションって温まると柔らかくなるなぁというのが、音楽の場との大きな共通点に見えた。(クラブはフロアを沸かし、銭湯は風呂を沸かす)

この繋がりやすくなる機能を関連付けて強化する方向で企画していけば面白いことができそうだと思っていた。

第2章:ダンス風呂屋

そうして2017年の1月に第一回目、タイトルを「ダンス風呂屋」として、いつものようにFacebookのイベントページをリリース。するとその瞬間から信じられない勢いでリーチが伸びていった。

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気づけば回答数は4000人を越え、チケットは完売。キャンセル待ちが並びはじめた。田村さんと初回だし30人くらいいけばいいねと話していたのに、寝耳にウォーターだった。

「Fashionpress」や「ねとらぼ」などのバズメディアにも取り上げていただき、テレビ関係も民放1社を除く全社から取材の問い合わせをいただき、週刊誌や新聞からも多くの取材依頼があった。

とはいえ普通の銭湯なので会場キャパは50名ほどで、結局5枠までプレス枠はしぼり、多くの参加希望者にまた次回とご案内させていただくことになった。

これまで30回以上サイレントフェスを開催してきて、色々なメディアに取材いただいたりはしてきたけど、流石にここまで広がることはなかったので、開催1週間前から緊張で眠れない日々だった。

初回の様子はこんな感じ

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湯気の演出として石鹸の香りのお香を焚いた空間で、色々な取材に答えたりしていたら喉が潰れ、終わった頃には声がでなくなって1人サイレントフェスになっていたのも今ではいい思い出話。

第3章:話題沸騰

テレビ露出もありサイレントフェス自体へのお問い合わせも増えていき、それがきっかけで「屋台ディスコ」などの人気企画にも繋がっていった。

第二回は同年6月に開催しプロジェクションマッピングならぬ「風呂ジェクションマッピング」演出を導入したり、更にVer Up。

1回目の噂を聞き埼玉や大阪からわざわざ来てくれた人たちもいて、今回もたくさんの応募をいただいた。

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動画メディアの「bouncy」さんにも取材していただいて、下記リンク先の動画は「boucyが選ぶBest記事2017年-Social Good編-」に選んでいただいたりもした。

PARCOのwebメディア「ACROSS」でも丁寧に取材していただきました。

第3回目からは1、2回目で繋がった銭湯関係のタレントさん?達も運営に入ってくれるようになったり、ダンサーさん達にも出演してもらい、今のダンス風呂屋の原型となるような形になっていった。

話題は海外まで広がっていき、東京観光の新しいコンテンツとして世界中のイベンターたちにプレゼン&デモ体験をしていただりもした。ROOMIEさんに取材していただいたこちらのレポート記事もSNSで話題になった。

第4章:ダンス風呂屋、解放

そして先日10/10(銭湯の日)に開催したダンス風呂屋#4では、お湯を溜めてる間のトークタイムを「せんとーく」として強化し、男湯と女湯、それから番台前に中の湯をつくり、銭湯アイドルの湯島ちょこさんや、『孤独のグルメ』原作者の久住先生、オネエタレントのオキクさんにも出演いただき、「銭湯とグルメ」「銭湯とLGBT」など銭湯を軸に知見を広めていく時間もつくった。

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最初のダンス風呂屋では4000人だった回答数も、今では8000人以上になり、リーチ数も2ヶ月で27万人を超えるようになっていった。

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そしてまさかまさかの映画化!

イベントの企画制作をはじめて早4年、ぼくにとって最も重要なイベントになっていった。認知が広がるにつれ期待値も毎回上がっていき、半年に1回、渾身の力を込めて大切に育ててきた。

そんな第4回目開催の前夜、今後の展開に思いを馳せつつ、まどろみながらこう思ったのでした。「ダンス風呂屋、解放しよ」

第5章:ダンス風呂屋のつくりかた

「ダンス風呂屋をぼくが日の出湯はじめ全国の銭湯で開催し続ける」イベンターとして、企業の1経営者としては多分それが正解。でも、銭湯で生まれた企画は銭湯に還元したい、そう思ってしまうほど、銭湯文化が好きになってしまっていたのでした。

なので、ダンス風呂屋は今後フリーライセンス&オープンソース化していきます。

ダンス風呂屋がこれほど賑わう理由は、出演者の豪華さやインスタ映えする装飾の質など、予算やコネクションに依存するものではなく、タイトル含めた「企画」自体の発信力と、トライ&エラーで積み重ねてきた「体験」の構造にあると思っています。

なので「ダンス風呂屋」という名前を使って全国で開催しちゃってください。どういう仕組みで体験をデザインしているのかも、広報時に必要な素材も、運営のノウハウや注意事項も、全部無料でお伝えします。(収益から20%バックしろとかそんなフランチャイズ的なことをやるつもりもありません)

「ダンス風呂屋」を名乗る上で最低限の条件は下記の3つだけ。
①銭湯を使ったサイレントフェス®︎→せんとーく→入浴の流れがあるイベントであること。
②安全管理に気をつけて、ご近所へ迷惑かけないこと。
③銭湯への常連さんを何より大事にすること。

会場となる銭湯のオーナーへは日の出湯の田村さんからも、銭湯側が気をつけることなどこれまでやってきた知見を共有してくださるそうです。

ダンス風呂屋を入り口に、全国各地の銭湯が沸いてくれれば嬉しいなと思うし、何よりクラブやライブハウスの少ない地方の銭湯でこそ価値があるなとも思うので、お気軽にご相談くださいませ。

大切なコンテンツなので、まずは自分たちの説明を受けてくださった方だけにオフィシャルのタイトルロゴデータや、のれんを渡そうと思いますが、ゆくゆくは樹木のように枝分かれ、銭湯と音楽、2つのカルチャーが共生していく新たなカルチャーになればなと思います。

あらかじめざっくり紹介しておくと「ダンス風呂屋」は下記のような構造になっています。

①【起】

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いつもの銭湯のように靴をしまい番台で受付し脱衣所に向かうと、徐々にいつもと違う装飾だったり、世界観へ誘導する張り紙だったりが見えてきて、日常から非日常に移ろいでいきます。そして、ヘッドホンをつけた瞬間に一気にハレの世界へ落ち、アッパーな音楽の高揚感と不思議な一体感で非現実的な驚きとゆるい繋がり感を生み、心と身体を温めていきます。

②【承】

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ダンスタイムが終わりお湯を入れるための空き時間をロビーでのトークやダイアログの時間として使います。ここでまだ話したことのない人と会話をするきっかけをつくり、お湯のなかで気軽に話しかけやすい空気と話題をつくっていきます。

③【転】

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男女それぞれお風呂に入ってさっぱり。ここからは特に何もしませんが、風呂場からはいつも笑い声が聞こえてきます。

④【結】

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ここでも番台でお見送りをするくらいで特に何もしません。お風呂からあがった人はロビーに集まり自然と会話が始まったりします。その流れで知らない人同士で飲みに行ったりも。

ぼくの中ではこの流れがはまってますが、それぞれの銭湯やイベンターの色によってアレンジしていただいても全然OK。より具体的な運営方法や、細かい仕掛け、必要な機材類や予算感など、必要に応じて諸々サポートさせていただきます!

(※発想術に関しての記事も書いたのでよければご参考までに! https://note.mu/in_the/n/n1cf60064b4ee )

第6章:銭湯ってなんだろう

元々は衛生管理の機能を持っていたけど今では家風呂が主流となって、大きい風呂に入るのは気持ちいいけど、絶対に必要というわけではなくなってきた。そして都内を中心に経営的な事情や、後継者不足などの事情で廃業が進んでいる。

銭湯っていうのが都市でなくなっていくなかで、温泉施設やスパみたいなものが代替の振る舞いをするけど、そこで代替できない機能ってなんだろうと考えると、生活導線で繋がれるっていうことと、銭湯文化自体の持つルールや規則とは違った「粋」のようなものだと思った。あの値段、距離、規模だからこそ近隣住民間で(名前は知らないけど顔見知りみたいな)ゆるやかな関係性が生まれるし、風呂場で交わされる粋な所作って書記伝達するのが実は難しいんじゃないかと思う。

現代の都市は特に何も考えなくても生きていける仕組みで、だからこそなんとなくで時間が過ぎていく。それが良いことか悪いことかは分からないけど、少なくとも何も分からなくても生きていけるってことは、人生が均一になりやすくて面白みにはかける。

だから老若の裸を定期的に見たり、粋を能動的に共有して寛ぐ場があることは大切なんだと思う。何もしなくても生きていけるってことはありえないし、誰しも若い時代を経ての今があって、必ず人は細胞分裂し老いるのだから。そんな当たり前のことすら考えなくてもいい都市だから、銭湯は必要なんだと思う。

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グローバル資本主義は時代の必然で合理的だけど、効率に塗りつぶされてしまう文化の中には不可逆なことだってある、ダウンシフトとまではいかないまでも、改めて見つめ直すことで新しい豊かさを発見することだって多い。

守り続けたいことに対して潮流に合わせた玄関をデザインすることはエンターテイメントの1つの役割だ。何よりダンス風呂屋は楽しい。楽しいことはみんなでやろう。

ダンス風呂屋を手放す気持ちは「可愛い子には旅をさせよ」だ。そしてそれは子離れってことでもある。でも崖から赤子を落としても死んじゃうから、1人で生きてけるくらいに成長させておいた。生きるための道具も持たせた。だから親が言うことは「いってらっしゃい」の1言だけなんだ。

どこで何をしてようと大切に見守ってサポートし続けよう。時に干渉しすぎて嫌がられたり、嫉妬してしまうこともあるかもしれないけど。全国の銭湯を旅して、いろいろな人から愛される企画になったら、それほど誇らしいことはない。

なんで、イベント未経験の人でも老若男女だれでも、銭湯と音楽が好きな人であればガンガンご相談ください!絶対にペイさせます、告知も全力で協力します、最後には関わる全員が笑顔になれるように持てるノウハウ全て受け渡します。

ってことで「ダンス風呂屋開催したい!」というお問い合わせは下記のいずれかまで!(自分ではやりたくないけどうちの銭湯使ってやってくれってのでもいいですよ)

メール:info@social-fes.com  
Facebook:https://www.facebook.com/silent.it2
Twitter:https://twitter.com/amemi_c5

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-ダンス風呂屋コンセプト-

2005年には1025軒あった都内の銭湯は
17年には562軒にまで減少しました。

経営的な課題や後継者不足など様々な要因がありますが
家の近くに銭湯があること、老若男女がふらっと訪れ
フラットに同じ時間を過ごせる場の尊さを
なくなっていく今になって改めて感じます。

無機質な都市の中で時間は滔々と流れていくけど
銭湯で目に入るしわの数は僕らの時間が有限なことを感じさせてくれます。
もう終わろうとしていた世界に、少しのぬくもりを感じさせてくれるかもしれません。 怯えも、焦りも、苛立ちも、すべての弱さを丸っと受け入れてくれるそんな場所が銭湯だと思ってます。

「ダンス風呂屋」は浴場と娯楽という古来よりの繋がりを
騒音問題を解決した形で現代に再現した企画です。
古くて新しい入り口からまずは銭湯の心地よさを体験してもらおうと
そして出来るならばこの場をきっかけに近くの銭湯に足を運んでもらおうと企画しました。

風呂もフロアも沸かすのはワクワクしたあなたの一歩から。
POWER THE SENTO.

Silent it/雨宮 優

https://silent-it.com/


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アメミヤユウ/体験作家
「こんな未来あったらどう?」という問いをフェスティバルを使ってつくってます。サポートいただけるとまた1つ未知の体験を、未踏の体感を、つくれる時間が生まれます。あとシンプルに嬉しいです。