止まったままの時計2

※公式サイトの記事は遺されていなかったが、確認できた2社の記事により紹介する。


私は家族の部屋にあるパソコンの電源を入れた。
今日もあの人の情報を確認するため、そう、いつもと変わらない動作のはずだった。
そしてインターネットに接続し、公式ホームページを開くと、そこには信じられない文字が突然目に飛び込んできた。

『ーーーー 退団記者会見について』









は?

なに?

どういうこと?

頭が真っ白になり、身体に力が入らなくなる、上手く息が吸えない、あまりに手が震えてマウスを操作できない。

どういうこと?

だってありえない!
ついこのあいだ、ほんのひと月前に前トップさんを送り出し、トップスターに就任したばかりじゃないか!
そんなことありえない!ウソだ!!!

……なんで?

身体は大袈裟な程に震え涙が止まらない。
こんなこと本当にあり得るのか?

前代未聞の事態に誰もが驚愕したに違いない。
だって、トップお披露目公演がサヨナラ公演だなんて……
たった1作しかトップスターでいられないなんて……
もう、会えなくなるなんて……
誰が想像しただろう?
彼女はまだ、トップになって一度もファンの前に立ててはいなかった。
プレお披露目公演の初日前に行われた会見は、ファンから無上の喜びを永遠に奪ってしまった。
初めてトップになった姿を見る時、彼女には既に別れを告げる時が決まっているのだ。
そんなこと絶対にありえなかった。


※一部個人情報を削除しました
"Sponichi Annex https://web.archive.org/web/20041125205328/http://www.sponichi.co.jp/osaka/ente/takarazuka/backnumber/011223/takarazuka.html"

2社の記事を比べてみると
サンケイは劇団よりに、スポニチはすみれコードに反した掲載もされ、劇団に反感のある記載をしている。
次期トップについても2社の書き方が違う。
ただ当時はそんなことどうでも良くて、この事態に人生最大の絶望を味わった。
信じられない、そんなことあるわけない。
今となっては前例として1作というのは哀しいかな出来てしまったわけだけど、当時はダブルトップを経て単独トップ1作という形の順みつきさんしか前例はなかった。
それもトップ1作とは違うし、とにかくこの発表は様々な方面に前代未聞で青天の霹靂で、
私にとってはこの世の終わりだった。

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