メルカリを3年使ってわかったこと(文化と民)
2017年にメルカリを使い始め、100回以上取引しました。
売却メインで本とデジタルガジェット中心に取引し、取引総額は25万円程度です。
メルカリの取引やユーザー文化に関して思うことをまとめます。
メルカ利点:匿名取引と流動性
メルカリの利点は、匿名の取引システムが整備されており、かつ利用者が多いことです。
現代は、明確な悪意があれば、住所を知っている相手に着払いで牛糞肥料や宅配ピザを大量に注文できてしまう時代です。
自分を含めて、誰でも取引相手になりうる個人間売買サービスで住所と名前を晒すのに抵抗があるユーザーは多いでしょう。
メルカリは競合に先立って匿名配送を導入したパイオニアでした。
また、メルカリは極めて流動性が高いです。
新刊のビジネス書やPC・スマホであれば、値付けが適正であれば1,2日で売れます。
ペイペイフリマやラクマのようなメルカリよりも手数料が低廉な個人間売買サービスは、流動性がメルカリに劣ります。
メルカリの手数料は10%は実感としてかなり高く、本業の手数料が血みどろの決済事業(メルペイ)にぶち込まれているのも売買メインのユーザーとしては勘弁して欲しいです。
ただ、メルカリの流動性は大変魅力的なので、自分はメルカリの10%の手数料の半分は流動性供給に対するプレミアム(集客代行の手数料)だと考えて折り合いをつけています。
メルカリ文化
メルカリには独特の文化があります。後述する「民度の低さ」とも関係するため気づいた限り網羅的に記載します。
ユーザー編
「即購入可」と「購入前コメント必須」
メルカリの公式な取引ルールでは、公開中の出品物は誰がいつ買っても問題ありません(即購入可)。
ただ、購入前にコメントで出品者の了承を得ることを求めるユーザーもいます。中には「コメント無く購入した場合は悪い評価をつけます」とまで記載する猛者もいます。
この背景には、代理出品、無在庫転売、他サイトとの重複出品といった公式ルール違反(またはグレー)の行為があったり、もっと単純に購入者を選びたいという思惑の場合もあるようです。後者は自分もよく分かります。1万円を超える出品に、悪評価あり・コメント返信皆無の購入者からビッドがあるとやはり不安です。
こういった「コメント必須」の出品者もメルカリの流動性の一環としていないよりいた方が良いという見方があります。その一方で、公式ルールに配慮して取引しているユーザーからすれば不公平です。
自分は、自身の出品物は「即購入可」で、「コメントください」の出品者からは買わないようにしてます。公式ルールに配慮したユーザの方が平穏な取引が出来るだろうという観点からです。
「プロフ必読」の人々
ユーザー名や商品紹介に「プロフ必読」と記載しているユーザーがいます。プロフィールには取引相手への要望が記載されており、公式ルールには無いマイルールの押しつけとして警戒されることも多いです。
ただ、個人間売買という原点に立てば、取引条件は出品者と購入者の合意に基づいて決める余地があって良いとも思います。
実際に読んでみると、発送スケジュール(週末のみ発送等)の記載や購入前コメントの要求が多く、ぶっ飛んだ条件を提示するものはあまり見ません。
自分はプロフ必読のユーザーからは購入しませんが、どういったマイルールを設けているかはつい気になって見てしまいます。
終始無言
メルカリでは取引中にメッセージを交わせますが、メッセージをまったく返信しないユーザーもいます。不安になりますが、終始無言でもやることはちゃんとやるユーザーも多いので、発送されない、受取評価がされないとなった時に然るべき対応をすれば良いでしょう。
おそらく通販的に使いたい人なのではないかと想像しています。Amazonからの「注文を受け付けました」メールに返信する人はいないので、それと同じ感覚なのかもしれません。
「購入しました。よろしくお願いします。」「ありがとうございます。〇〇日に送ります。」だけでもやり取りがあると安心できるので、自分は最低限やった方がいいと考えています。目と目で通じ合うのは無理なので。MUGOん。
取引システム編
値下げ交渉とオファー
メルカリではコメント欄での値下げ交渉の他に、購入者が価格をオファーし出品者が承諾すればオファー価格で購入権を得られる仕組みがあります。
オファーは出品価格の2割引まででしか出せないのに対し、コメント欄は好きに書けるため大幅な値下げを要求されることがあります。
この大幅値下げ要求はメルカリの評判を大きく落としていますが「その価格では売れません」と返信して問題ありませんし、なんなら無視してブロックすることも出来ます。
一方、オファーもクセがあり、出品者がオファー額を承諾しても、オファーしたユーザーが購入しないことが可能です。もっと安い商品が見つかったのかもしれませんが、出品者からするとはなはだしい肩透かしです。
どちらも難点がありますが、自分はオファーのほうが楽だと感じます。
(2020年10月追記)
オファー機能は本件執筆の後に無くなりました。8月下旬のアプリアップデートでオファー欄が表示されなくなり、10月に正式に廃止のアナウンスがありました。
専用出品と横取り
メルカリではたまに「専用出品にしてくれませんか」という要望を受けることがあります。商品名や画像に「XX様専用」と記載されたものがこれです。
専用と書いてもその人以外が買えなくなるわけではないため、別の人が横取り購入するトラブルを招くだけの文化ですが広く行われています。
専用を要求されても「公式にサポートされていない方法なので対応いたしかねます」と断って問題ありません。
週末にポイント還元率がアップするようなキャンペーン中であれば取り置きに協力するのもやぶさかではありませんが、平時の専用要求は業者的に売買しているユーザーの在庫管理・資金管理が目的だと想像しています。
コンビニ支払いが支払われない
メルカリでは、コンビニ支払いで購入することができます。ただ、この時の処理が購入者に有利です。
コンビニ支払いで購入した時点でいったん購入済になりますが、購入者が24時間以内に支払いを済ませないと購入されなかったことになります。購入しなかったユーザーにはペナルティがあるようですが、出品者の機会損失とガッカリ感の埋め合わせはありません。
速やかに支払うユーザーも多いため今後もこのシステムは変わらないと思いますが、メルカリボックス(公式のユーザーフォーラム)でもコンビニ支払いで支払われなかった経験があるという報告は多いです。
自分は取引100件中コンビニ支払いは10件前後で、その中でコンビニ支払いが支払われなかったことが3回ありました。発生確率は全取引の3%、コンビニ支払い選択に限れば30%程度です。結構多いと思います。
語学編
メルカリにおける「使用感があります」という言葉
通常「使用感」という言葉は「使ってみた感覚」という意味で使われます。「使用感が自分に合わなかったので売却します」という場合はこれです。使ってみたけど自分に合わなかったから売りたいということです。
一方メルカリでは、商品の状態の説明に「使用感があります」という言葉がよく使われます。これは「人が使用していた感じがあります」という意味です。
機能には問題ないものの、新品同様ではなくちょっとくたびれてますよというニュアンスで、服やPC・スマホ周辺機器・本まで幅広く見られる表現です。
自分は「使用感があります」はあいまいなので、もっと具体的な言葉を使ったほうがトラブルになりにくいと考えています。
泣く泣く売却します
「自分は売却したいと考えているが出品物には問題があるわけではない」という状況を説明するために「~~のため泣く泣く売却します」という言葉を使う出品者がいます。
品物に問題があって手放すわけではないという説明は検討中のユーザーに安心感を与え有用だと思いますが、紋切り型過ぎる表現で自分は好きではありません。
ドラクエ3のアッサラームのボッタクリ商人がこんな感じの口調だった記憶があります。「トモダチ、とても商売上手ネ!」
「メルカリは民度が低い」は本当か
「メルカリは民度が低い」これはネット上ではよく見聞きします。
実際、ユーザー数が多いので変なユーザーも絶対数が多い、サービス開始初期の現金や使用済衣類の売買の印象が強烈だった、上記の文化が異様である、というのは事実です。
さらに、こういった事実がネット上で面白おかしく拡散することで「民度低い」メルカリのイメージに拍車がかかっているようにに思います。
ただ、日本で一番使われている個人間売買のプラットフォームがメルカリなので、ここの民度は本邦社会の縮図に他ならないとも考えています。
自分は、3年100回の取引で、金銭的な損害を伴うトラブルにあたったことはありません。ただ、上記のコンビニ支払いが支払われなかったことが3回、購入者が受取評価をせず期限経過で入金されたことが2回あったため、苛立ちや不安と無縁だったわけでもありません。
おそらく、私のように「多少ハラハラしながらも便利だから使っている人」が多いのではないでしょうか。
また、出品者が購入者を選べないという大前提はあるものの、ユーザーが気を使うことである程度は自衛できるとも考えています。
出品する時
⇛商品説明を詳しく記載する。購入者への情報提供を超えて、悪意あるユーザー、個人間売買の認識が薄いお客様気質のユーザー、無知による勘違いのおそれがあるユーザーに対し隙を作らないことにつながります。
購入する時
⇛ヤバそうな人は避ける。評価だけでなく、画像がスクリーンショットのみの出品、説明文にやる気が感じられない出品、ノークレームノーリタ-ン記載のある出品(規約違反)も自分は避けるようにしています。
おわり
メルカリは良くも悪くも自分の生活を変えました。
話題の新刊本は定価で買っても8掛けで売って6割回収できるため、以前よりも手が出やすくなりました。
また、小型の電化製品はメルカリの取引価格を見て「回収可能額との差額で試してみる」という思考をするようになりました。
相対的に安価にいろいろなものを試せるようになったとも言えますし、散財のペースが加速したとも言えます。
皆様もよいメルカリライフを。
普段は資産運用や金融に関することを書いています。
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