概念としての顔とは?
vol.13のテーマは『顔』
「顔」には日常の大切な情報のやりとりをする、重要なパーツが集結しています。
今もこうして目で文章を読んでいるように、意識しないうちに「顔」を通して膨大な情報のやりとりしているのです。
物理的な面だけではなく概念的な面を持っている顔。
会社の顔、学校の顔など比喩として使われることもあります。
inのみんなは「顔の概念」についてどんな話をしているんだろう?
少しだけみんなの頭の中を覗いてみた。
〜対談する人たち〜
〜顔の概念とは?〜
有本:概念としての顔ね…自分は顔って最初に言われたときに、人間の顔が一番最初に思い浮かんだけど、そういえば他に顔ってあるなって。車の前のグリルみたいなところも顔って言えるし、アプリのアイコンとかも顔って言えるかもしれないし、この人は企業の顔だよね、学校の顔だよねみたいなのも顔。でもそれはもうその人全部を表しているっていうすごい不思議な矛盾してるといえる。何かそういうのは面白いなと思って。顔の概念、どう思いますか?
植田:ちょっと自分では何か全然わからなくて。でも概念としての顔って聞いた時に、物理的な顔以外で顔って考えるとやっぱり企業とか、その物を表す象徴的なもの…会社とかそういう表現の仕方はよくするなっていうことは思ってました。
有本:そもそもなんで顔をそういうの顔って言うんだろうって考えた時に、やっぱり一番最初に見るからなのかなって。人って初対面であった時、1番最初に見るのって、顔やん?まあ、オンラインだからまた違うかもしれないけど、でもSNSのアイコンとか名前とかを見てからっていう感じだから。そういう意味で、さっきのアプリのアイコンとかも、1番最初に見るもの、入り口として見るものだし、車の顔…車の顔はそれは当てはまらないかもしれないな。でも一番その人の特徴が出る部分ではあるかな
武正:車とかだったらBeetleとかいろいろ種類がある中で、一応それらしい形みたいなのを受け継いでいるのは間違いないと思います
有本:広い意味で顔って言うならば別に前だけに限らず横から見ても、何かしらの、Beetleだったらこういう丸い形が顔ともいえるし、そういう意味ではだいぶ広がりはあるよね
〜なぜ顔というのか?〜
武正:私もそれを思っていて。なぜ顔っていうのかなって考えて、体の部位で顔って、一番表に出てるもの…一番相手に見えるところじゃないですか。
横じゃないっていうのも、話をする人が横にいる方だったら、ちゃんと顔を向けるとか、車の顔って言われる部分も、乗っている人が向く方向だし、向かって来る人も見る面だから顔ってイメージがあるんだろうなと思います。会社のヘッドの人が顔っていわれるのも、みんなが見る人だし、自分たちが介している面で、主体になっているからそう呼ぶのかなと思います
有本:確かに顔って前から見るものだもんね。横にも顔があって、ここも顔といえるかもしれないけど、ここは顔じゃなくて横顔っていうやつ
武正:そうですね
有本:顔があって、横があるやん。それ面白いなって。後ろ顔って絶対に言わないし(笑)
武正:確かに(笑)
有本:盤面っていう言葉がある通り、どちらかというとメイン要素が強いんだなって。車の前だってフラットなちょっと細かい造形はあるけれど、基本プラットなものだし、アプリのアイコンはもちろんフラットなものだし、凹凸はあれど、顔もフラットなもの。これ面白いなって。当てはまらないものもありそうだけど(笑)
武正:当てはまらないものってなんですかね?
有本:その形として顔と呼べるもの、さっきの車の前面とか、そういうものだったらフラットな気がするけど、この人は会社の顔だよねみたいなのは、形のない…それこそ概念としてのもっと広い意味での顔っていう意味では、フラットとは必ずしも限らない気がする。もう、そこまで広くなるともう正面とか横とかあまり関係なくなりそうだね
武正:私たちの班が顔の向きっていう話をしていて、余計に面としての強さというか、物理的な造形の中の顔として見てる部分が多いので、概念としての顔と言われた時に、会社の象徴的な人がなぜ顔と言われるのか分かると、顔としての概念が広くなっていくと思います。なんだろう、表に出るものだからっていうのはあると思うんですよね。
有本:裏に居続ける顔ってないもんね
武正:でも裏の顔って言う(笑)
有本:確かに。裏の顔ってさ、顔の裏にあるイメージなのかな?
武正:私は完全にくるっと頭回転してるみたいな(笑)
有本:アンパンマンの顔の回転みたいな(笑)それ面白いな。それってもう正面っていう表がないと、裏がないからさ
武正:そうですよね。表がないと裏がないですから
有本:そうそう、何かこれ面白いなって裏の顔。でも確かに基本表に出てるものではあるな。そういうの顔っていうのかなって
〜概念は変化する?〜
武正:今コロナ渦の中でマスクしてる人も多くなって、それが常識になっていく中で、顔に対する考え方も変わってくるのかな…例えば、SNSとかで有名な方も表に直接自分の顔を出すっていう人がいなかったりするじゃないですか。ゲームの実況者さんとかがすごい人気になったり。もちろん、物理的な顔をその人の象徴として見るところはあると思うんですけど、そういう有名な方が直接自分の顔を出さずに媒体を通して自分の顔を見せるところとか、自分たちがマスクしてる環境で目の部分が自分の顔みたいになってるところとか、髪の毛がその人の特徴をやっていくところとかがあると思うので、どんどん私たちの概念としての顔って変わってくるんじゃないかなと
有本:確かにね。顔というより象徴としての意味が強いのかなって。やっぱりアイコンとか。Twitterとかのアイコンとか関係ない似顔絵にしていたりする人もいるし、それをその人の中身と結びつけているから、何か面白いなって
植田:ここ最近SNSがすごく強くなってますよね。そういうネット上の世界が広がったかな…SNSとかは特に。あとプラスでコロナがあったりして、特に顔の概念として、物理的な顔ではない顔っていうのは、広がってきたのでこのまま広がっていくかなと思いました
武正:元々日本自体が人の顔に対する執着があまりないんじゃないかなって感じます。よく言うのはマスクをすることに日本の方々はあんま抵抗がなかったけど、アメリカとかヨーロッパの方は結構反抗的だったじゃないですか。アニメーションが文化的に根付いているところとか、元々マスクをして生活を送ってた方とか、顔を表に出さずに生活したい方とか、元々文化としてアニメーションの声優さんの方々がすごい好きな方とか、他の国と比べて、物理的な顔っていうより概念上の顔を受け入れるキャパっていうんですかね、それが結構広いんじゃないかなと
有本:寛容的というか、受け入れやすい国というか、確かにそれはあるかもしれない。車のフロントの部分を買おうとするっていう話にちょっと変えると、これ多分inの最初の方に自分喋ったんだけど、車の顔って、空気入れるための前のグリルなんよ
武正:はい
有本:高級車とか個性を出したり…例えばLEXUSはまたすごい厳つい形をしてたり、BMWなんか二つグリルがあったりするけど、それが今電気自動車の電動化が進んでるやん?それによって空気を取り込む必要があまりなくなったら、どんどんグリルがただの装飾になっていくのね。何か機能としてのグリルだったのに、それが装飾になるのは、面白いなって。でも、装飾として今のところ各社は残しているんよ。それはやっぱりもう、この会社の顔としての機能があまりにも強いから残さざるを得ないんだろうなって感じ。逆にTeslaとか新しく入ってきた会社は、あまり気にしないというか、もう前の部分をフラットにしてる。穴がない。でも若干そこに個性があったり…そこも面白いなって自分は思った
武正:ないことで個性になっている
有本:やっぱり機能として、ただの装飾でしかないから、そうとは言ってもそこからフラットにどんどんなっていくんだろうけど、その時にどうやって顔としての機能、見た目という意味での顔、顔としてどういう風に個性を出していくのかが面白い
武正:装飾になってるんだなって面白いと思いました!私たち人間自体が、変化を好む習性がある反面、結構反抗的なところもあると思うんです。徐々に変えようっていう方針がありそうだなっていうのもあるんですけど、でも車が好きな人からしたらそこは一番変えられない場所なのかもしれないと思うと面白いですね
有本:機能がないって言ったけど顔としてのその機能はあるんですよね。概念とか問いの中での顔だから、アイコンとか象徴という意味での顔は機能してると。自分たちの顔はそれプラス、目だったら視力としての機能があって口としての機能があって。
それが完全に取り払われた、例えばもう人型のロボットみたいな状態なので目にカメラがついてたりは多分するんだろうけど…人形のロボットがなんか気持ち悪いなって思うのって、いろいろ説があると言われているけど、もしかしたらその顔の造形にあまり意味がないからっていうのもあるかも知れない
武正:面白いですね!
有本:装飾としての顔だけ寄せてるけど、中身は別にその形である必要がないみたいな
植田:確かに正面の顔みたいにあまり魅力がある必要はないし、犬型のロボットとかちゃんと目とかは使ってないんですよ。でも完全に犬の形を感じる…
有本:やっぱりでも人型のものを作ろうっていう会社はたくさんあるわけで、追求している人はよりリアルにみたいな人がいっぱいる。機能とかそういうのじゃなくてこの顔を求めてるんだなって
植田:でも、なぜロボットに顔の要素も詰めるんですかね?
有本:ロボットの場合はちょっと顔の話が取れるかもしれないけどより人間と近い存在にしたいみたいな、エンジニアの思いとかがあるのかもしれない。その時にやっぱり一番は顔の造形かな…
植田:親しみができるだけあった方が良いっていうこと…
有本:かなって
植田:そうすると顔っていうものを作る必要が出てくる
〜顔の中に顔がある?〜
武正:小さい頃に、おもちゃのワンちゃんのロボットですけど、目元がデジタルで他の部分はロボットになってるとか、結構強弱をつけているところがあって。人型のロボットは全体をそのまんま出そうとしてるから違和感があるんですよね。全体に意識を持っていかないと違和感があるけど、強弱があれば、顔として受け入れることはできるかもしれないです。日本人は目元で会話をすると思うんですけど、エンジニアや作っている人からしたら全部完璧にしたいと思うので、私達が目元をフォーカスして会話がしたいのに、ロボットの顔は全部が美化されている…きっちりできちゃってるせいでどこも集中しなきゃいけなくてそこに違和感を感じるとか。集中するメインとなる場所があるんだろうなって思いました
有本:顔自体がその人にとってのメインとなる場所というか、アイコンとなる場所でもあるのに顔の中にもさらにメインがあるっていうね。口だったり日本人だったらと目と言われていたり
武正:持ってたロボットも目元に表情があるタイプで。口元とかは、パクパク開くだけ。私たちは目線を置く場所というか、ピントと合わせる場所が決まっているじゃないですか。でもロボットの方は全部にピントが合っちゃう状態なのでどこに集中して良いかって違和感がある。会社のメインの人とかを顔っていうのは全体を見え過ぎたら混乱してしまうから、そういう代表にピント合わせる場所があると良いという意味で、顔と言うと思います
有本:もう顔の中にある目は顔の中の顔って言ってもいいのか(笑)
武正:めっちゃややこしい(笑)でもそうだと思います
有本:確かに顔の中の顔って言えるかもね。となるとその会社全体を顔と捉えた時の中の顔がもう社長になるわけで(笑)別に全体を顔と捉えなくてもいいんだけど、結構色々あるな
武正:前に有本さんが顔のお話をしてくれた時に加藤さん(inの編集長)もお花は人を寄せたり、虫を寄せたりするから概念として顔と言えるかもしれないという話をしてくださったじゃないですか。
今の話とか全部聞いてると、お花の部分もやっぱり顔って言えるんじゃないかなと思って。人を寄せるのもそうだし、虫を寄せるっていうのもそうだしアイコンとかにする時も、やっぱり葉っぱとか茎とかじゃなくて、お花のここの部分をイラストとして表現してるのを見てると、顔なんだろうなって思います
有本:あとあるかな顔って。地下鉄のマークとか?アイコンとかには近いっちゃ近いけど…
武正:ちょっと話が逸れるのかもしれないですけど、組織ではどんな状況でも顔を作りたがるという習性があるように感じて。例えば学校とかでも会長とか校長とか。グループワークとかでも班長とか部長とか。会社とかであればアイコンを作るし、会長も作るし、表に出てプレゼンをする人もいるしみたいな感じでそうじゃないと成り立たないところもあると思うんです
有本:会長、学級委員長とかまとまりとしての象徴というか正面みたいなのが欲しいんだろうね。確かにそうじゃないと成り立たないっていうのもある。すべてのものは顔が含まれている(笑)宗教みたいだな(笑)