見出し画像

地球に生まれてきた理由。

40年以上生きてきて一番つらかったことは、妹を亡くしたことだと思っていた。妹は、私が23歳のとき、飲酒運転をしていた暴走車が突っ込んできて交通事故で亡くなった。まだ20歳だった。

そのとき私は23歳だったけれど、人生でこれ以上につらいことはないだろうと思った。人生に絶望し、いっそ妹がいる死のうかとも思ったが、勇気がなくて死ねなかった。

だから、妹が死んだときに、私も一度死んだことにした。心は死んだけど、体は生きている。どうせ死んだ命なら、次、本当に死ぬときまで、好きに生きればいい。

そう思って死なずにいたら、少しずつ希望が見えてきた。

あのとき死ななくて良かったなと思える体験が、時々あって、それをつないで生きて延びてきた。私はもうすでに、この人生で一番のどん底を味わい、それでも生き続けててきたんだから、大丈夫とも思った。あれ以上つらいことはもうこの人生ではない。だから、この先何が起こっても乗り越えられる。

…と思っていたら、妹の死よりつらいことが、46歳のときにあった。あれよりつらいことが起こるなんて。それは、アルコール依存症と診断された夫との離婚を考えたときだった。

のたうち回るように苦しんでいたときに、私はふと思い出した。生まれる前の記憶を。

それは、生まれる前の私が、いろんな感情を味わいたいと思って、この設定にしたという記憶だった。

私は地球に行ったら、いろんな感情を味わってみたい。そのためにはいろんな体験をするしかない。だから、そうなるように決めて地球にやってきた。

せっかく地球に行くんだもん。楽しいこともつらいことも味わい尽くしたい!!!

と、私が決めて地球にやってきたことを、ぱぁぁぁぁあっ〜と思い出した。

親の虐待、妹を交通事故で亡くすこと、それよりもつらい体験をして苦しむことも。豪華客船でクルーズに行くことも、結婚して子どもを産むことも、著者として本を出すことも。全部自分で決めて、選んで地球にやってきたことを思い出した。

思い出したときに、私は諦め、開き直った。

幸福の絶頂も、不幸のどん底も、味わい尽くすしかない。なぜなら私が「それってどんな気持ちなんだろう?知りたい!!」と思って、盛り込んだ設定だから。

「いかにも、私の考えそうなことだ」と思った。このつらい出来事も、確実に自分で選んだ人生であることを、そのとき思い出した。

同時に、私はとてもワクワクしながら地球にやってきたことも思い出した。

死後の世界=あの世とは、幸せしかない、何をしても平穏な世界である。あの世には魂しかないから、ボディもない。つまり何が起こっても、物理的に痛くもかゆくもない。

それは安心安全だけど、裏を返せば、つまらない。

せっかく地球に行くなら、いろんな体験をしたい。いろんな感情を味わってみたい。痛いとは、どういう感覚なの?かゆいってどうゆうこと?知りたい。

つらいって何?悲しいってどうゆうこと?幸せな気持ちって、どんな感じ?

と、あの世にいた私は思ったんだと思う。知りたい!体験したい!だから、地球全部盛り!!!に設定したような気がする。

このあと、私の未来にどんな出来事があるのか、具体的なことまでは分からない。けれど、何が起こってもきっと確実に私がそうしたくて選んだこと、自分で決めたことだというのは、理解した。

なので、私はしょうがないと思って受け入れるしかないの境地。きっとつらいことだけではなく、今の私には想像もつかない、楽しい、幸せなことも盛り込んでくれているはず。

「せっかく地球というテーマパークに行くんだから!」と張り切っていた私を、私は覚えている。

実は、このことに気付く前に、映画『メッセージ』を観ていた。

この映画に託された、まさに「メッセージ」を、私はあとになってようやく理解したのだなぁと思った。


いいなと思ったら応援しよう!