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【The Daily】歴史的な失業危機('20/4/6)

これは僕が聞いたポッドキャストの要約です。
多くの人が知っておいて損はないと感じたものをnoteに投稿することにしました。
僕は現在、意識的にソーシャルメディアから距離を置いています。
必要な情報以上に目につく眉唾な情報、Twitterの♡獲得狙いの皮肉・批判・大喜利、等々... なんでもありの異種格闘技戦に観客として、選手として参加するのを控え、時間が許す限り海外から届くポッドキャストに耳を傾けています。
既知の情報もあると思いますが、海外メディアが配信してる番組の要約なので、自分が何を信じるべきか判断しかねている場合のセカンドオピニオンとしてお読みいただければ幸いです。
なお、ここで取り上げているポッドキャスト番組は、Spotify, Apple Podcast, Google Podcast, 等で無料で聴くことができます。

「The Daily」はNY Timesのジャーナリスト、Michael Barbaroがホストを務めるNY Timesが制作しているポッドキャスト番組。今回は、経済・税政担当記者・Jim Tankersleyが解説を務める。
書き起こしはこちら

建国史上最悪の失業危機

3月第3週目は1週間で約330万人が失業申請... この数はシカゴ市民全体に匹敵する。
これは建国史上最悪の記録だったが、1週間であっさりとこの記録は更新される。
3月第4週目は1週間で約660万人が失業申請をすることに。
つまり、この2週間で約1,000万人が職を失うことに。
そしてこの数は5年かけて創出した雇用に匹敵するという。
現在は、毎週約70万人が職を失い、失業申請している状況(4/6時点)。

"We can Get It Under Control!!"

アメリカの政策立案者たち、特にホワイトハウスの面々は今回の新型コロナを完全にナメていた。中国で新型コロナの影響で製造業のサプライチェーンに混乱が起きていた1月後半の段階でも、大きな警戒感を示すことなく、2月中旬の段階でも、医療経済学の専門家で経済評議会の議長でもあるTomas Philipsonは多くの記者を前にして、
「私はみなさんが心配しているほど、新型コロナは大きな脅威ではないと思います。
毎年インフルエンザの季節にはだいたい4万人が亡くなっており、2018年にいたっては8万人が亡くなっているんですから。」
と答え、その時記者から「最大の心配事は?」と尋ねられ、
「それほど大した心配事はありません。」と発言している。
この時、ホワイトハウスが大きなリスクと感じていたのは Freak Out している株式市場の反応の方だったようだ。
ホワイトハウスの人たちはこう考えていた。
「We can get it under control.」
Under Control...  どこかで耳にしたことのあるセリフ...

Out of Control になってどうなった?

今、かつてアメリカが経験したことのないことが起こっている。
1つ、また1つと産業が、地域が、郡が、解雇に向かって崩れはじめている。
NYの場合はまさに政府が規制をかけた業種から崩れはじめ、波が押し寄せるように、周りへ影響を及ぼしていった(※僕は津波と雪崩が同時に起こっているように感じている)。
飲食業→小売業→エンタメ産業→レクリエーション産業→観光業... と解雇の波が押し寄せて行く。
今は、あなたがどのような職業についていようが、職を失う可能性がある。
人はそれぞれ支え合って暮らしているが、ある人が支えを失い、その影響で別の誰かが支えを失い、まわりまわってあなたが支えを失うことになりかねない。

過去の不況との決定的な違い(1)スピード感

歴史的にみて不況というのは、緩やかに拡がっていく。
ある一定の時間を経ながら(経済学者があーだこーだとしたり顔でいうように)地域、金融システム、経済など様々な部分に徐々に影響は拡がっていく。
しかし、この状況に陥ってまだ数週間しか経っていないが、不況であることを疑うものは誰もいない。
みな状況の変化が早すぎてついていくことができない。
今、好転しているビジネスも、明日には、閉じなくてはいけない状況もありえる。
今、安泰だと思っていた職も、次の日には失っているかもしれない。
今週は経済がこの方向で機能すると思って眠りにつくことができても、2週間後に起きた時には、あなたの為の仕事がないどころか、あなたが働いていた産業自体が機能不全に陥っていることもありえる。

過去の不況との決定的な違い(2)意図的

今回の不況は意図的に作り上げた不況である。
このパンデミックから数十万、数百万人の命を救うためにできる唯一の解決策が今いったん「経済を止めること」、そして最終的にはすぐに「経済をもとに戻すこと」だと考えられているため、この不況を受け入れている。
このような状況は誰も経験したことがない。

the CARES Act.の成立(※この番組では法案の詳細には触れてません)

この法案では州から受け取る従来通りの失業手当に加えて毎週$600を受け取ることができる(※番組内での解説に基づいています)。
当初、共和党は企業救済優先案を推していたが、結果的には民主党が推した労働者救済を優先した法案が可決した。
ざっくりいうと、これは失業する前の収入と失業して受け取る失業給付金のギャップを埋めることを念頭において導かれた計算であり、その狙いは失業しても請求された支払いを払えるようにすることにある。
そしてこの法案は現在の状況を4ヶ月間耐えしのぐことを想定している。

今回の給付は手厚すぎるのでは?この法案の合理性は?

通常の法案では、手当が手厚すぎると労働意欲を削ぐことに繋がることが危惧されるが、今回に関しては、「仕事をせず、家にいてもらう」ことを目的としている。
それでいて、必要に応じて家賃を支払ってもらったり、食料品などの生活必需品を購入してもらわなくてはいけない。
人々にその為のお金を受け取ってもらう必要がある。

雇用主へのケアは?

政府はできる限り倒産を未然に防ぎたいと考えており、従業員への給料の支払い等が発生する場合には融資をする意向を示している。
この状況を脱するにあたり、経済を立て直す為には失業者が職を再び得るところからスタートするのではなく、経営者が従業員をクビにせずつなぎとめるためのサポートを手厚くしたいと考えている。
その為、今回の法案は一見すると失業手当のようだが、失業した人々にお金を渡すこと以上に、失業するのを未然で防ぐことを目指している。
それによって、被雇用者は新たな仕事を探さずに済み、雇用主は新たな働き手を探さずに済むように...

このシステムでニーズに応えることができるのか?

Sounds Crazyだけど、おそらくここから数ヶ月の間は、問題は金額ではなく、どれだけの数の人間が支援を必要としている時に必要な支援を受けることができるかだ。
これだけ急激に生じたニーズに対して必要なタイミングで給付金を届けることができなければ、結果的にさらに多くの失業者が生まれることになり、州や連邦政府の予算を圧迫することになる。

経済危機の終わりはいつになるか?

公衆衛生上の危機が去ることがまず優先であり、経済の危機が去るのはその後になるだろう。
これは、人の命により重きを置く、といった単純な話ではなく、人々が安心して以前と同じような生活に戻ることができない限りは、経済活動も元に戻ることができないという点にある。
その為、感染率が低下すれば... おそらくワクチンが開発されれば、経済活動も再開されることになるだろう。
いずれにせよ、人の健康と経済が Trade-Off の関係にあると考えるのは間違っている、ということだ。

新聞社の発信力がもたらす安心感

デジタル化の波が押し寄せたことで新聞メディアは没落の一途を辿ると言われて久しいけれど、このパンデミックの危機、経済危機の中で存在感を発揮しているのは、いや、発揮しなくてはいけないのは新聞メディアであり、ジャーナリストとしての気概と誇りをもった記者が発信する記事の一つ一つだと僕は考える。
アルゴリズムによってフィルターにかけられ手元に届くソーシャルメディアからの情報ではなく、自分で選んだ番組に耳を傾けることで、今世界で何が起きているか、自分の周りで何が起ころうとしているかを検知しておきたいと思う。

('20/4/23 追記)
なお、上記エピソードの2週間後('20/4/20)に配信されたものをまとめたものは下記投稿となります。この2週間でかなり状況が変化していることがお分かりになると思います。









新型コロナウィルス関連で今後様々な社会貢献の動きが出てくると思います。 いただいたサポートは、全額社会貢献活動に還元させていただきます。