恐怖の正体
今夏Netflixで配信されたドラマ「 #地面師たち 」は、現実の事件をモチーフとしたストーリーを個性的なキャストが彩って大きな話題となりました。
際立つのは豊川悦司さん演じる地面師グループの主犯、ハリソン山中の猟奇的な嗜好でしょう。
ただ、僕のように闇社会と接点のない一般人からすると、ハリソンのようなリアリティのない人物よりも、もっと身近で、生々しく感じたものがありました。
それは地面師の「被害者」として描かれた大手ディベロッパー、石洋ハウスの内部です。
派閥や権力闘争、出世争いの強烈なプレッシャー、イエスマンを従えるパワハラ気質。
頭数揃えてゾロゾロ折衝に臨むシーンには思わず苦笑いしてしまいました。
この国の組織が陥っている症状をリアルに表現した点に、このドラマの見どころが凝縮されているように思います。
「海外で失速」というネット記事も目にしましたが、この作品の根幹となっているのは、大企業病も含めた日本人の「赤信号みんなで渡れば怖くない」「右向け右」という遺伝子レベルの国民性や集団心理。
海外では少しニュアンスが理解されづらい面もあるのでしょうね。本意よりも他を優先して生きている日本人だからこそ響く作品だと思います。
組織人としての経験者であれば、共感いただけのではないでしょうか。
なぜか騙す側の地面師たちを応援してしまう、どちらが悪なのか分からなくなる、観る人の感情を巧みに操っています。
究極の組織人を演じ切った山本耕史さんの凄みを感じた作品でもありました。
今日はこのあたりで。ではまた。