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ビアズリーと日本(滋賀県立近代美術館)

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ビアズリーと言えば、私にとって稀代の挿絵画家である。あの「サロメ」の挿絵の妖しい美しさ、そしてきりりとした緊張感ある線描、装飾美。しかし私は「サロメ」の挿絵ぐらいしか知らないことに気づき、もっと色々な絵を観たいと思いこの展覧会に行った。

ビアズリーは本の挿絵になることを常に想定していたという点で真に優れたイラストレーターだったと言ってよい。黒の線描ははっきりしており、絵における白と黒とのバランスも取れている。それでいて驚異的なまでの細密さ。この展覧会では原画とともに本も展示されており、本を品のある、上品なものにしていた。

展覧会タイトルの通り、前半はビアズリーの仕事、後半はビアズリーや「サロメ」に影響を受けた日本の画家や版画家の仕事が紹介されていた。影響を受けつつも、それぞれの個性を持った仕事を堪能することができた。

こうして見ると紙媒体、特に活字や版画の印刷は美しい。この印刷の黒インクの重みのある黒さにずしっときた。今はデジタルで印刷データを作る。私も先日友人と文芸誌を作り、私はデザインと挿絵を担当したがモニター上で作業した上に挿絵も勢い任せだった。

この展覧会を観て、昔の活版印刷や版画の技術も伝えるべきだと強く思った。アナログには、力がある。今は紙媒体自体が衰退し始めている。私はビアズリーは25歳で夭折するまでに物凄い集中力で仕事に取り組んだのだと感じたし、私も作品を作る時は常にエネルギーを振り絞らなければと思った。そして、今年の年賀状でやってみて好評だった木版画を、時々創っていきたい。

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