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計画的なキャリア設計とセレンディピティ的な偶発性の接続

一部の方々は、どうせ変わってしまうのだから中長期的なキャリアプランを考えることはナンセンスである、という。そう吐き捨てて、ただ無策にVUCAという不透明な濁流に身を任せている。先が見通せない濁った水の中で翻弄されてたどり着いた先に、果たして彼らは幸福な人生であったと感じられるのであろうか。

世の中は不確実になったと言われる。それはそうかもしれない。
でも昔だってすべてが確実だったわけじゃない。より不確実度が高くなっただけなのだ。

計画性と偶発性は二項対立ではない。
「ただ偶発性に任せる」という思考停止に一石を投じたい。

計画的なキャリア設計

「キャリアプラン」
数年後のTo-Beを置いてそこに向けて一定の方向性と短期的目標を据えながら、To-Beの実現に向けて活動していく。

最終的にはこう見えるかもだけど
現実的にはこう(これでも結構理想的)

このとき、To-Beは動かず、中間点のドットはある程度明らかであることがおおい。(かつては明らかであった)

あたかも一本の梯子を登るような「キャリアラダー」という考え方もよく用いられていたように思う。

「不確実」とは、何が不透明なのか

率直に言えば、上記の要素(目的地、ベクトル(向きと勢い)、途中のドット)は基本的に不透明であると考えられる。

例えば、昔に比べると職業選択の幅はかなり広がっている。
終身雇用の終焉が見え、退職金が無い会社も増え、スタートアップ・ベンチャーで荒波に揉まれるほうが成長するという考え方もある。

あなたはどんな会社(規模、フェーズ、業界)でどんな仕事(職種、専門性、勤務形態、etc,)をしても良い。
その仕事を生かして異業種転換することによって「〇〇 × △△」のような価値の掛け算を強みとして売り出していくようなキャリア戦略もかなりメジャーになりつつ有る。

今、なにが人気なのか・安定なのか。
その状態に近づくために、「To-Beをどこへずらすか」「そこへ向かうためのドットは何が最適化」を常に考えながら、日常的に変化し続けることが求められている。

セレンディピティ的な偶発性の接続

上の図で書いた破線のドットは、数が多く様々なところに落ちているがゆえに、それを見つけて認識することと、利用可能な状態に持っていくことが必要とされる。
例えば業種転換するのであれば「新しく別のキャリアへ乗り換える準備」「そのキャリアを受け入れて仕事を発注してくれる取引先」が必要だ。
周りに利用可能なドットがなければ探さなければならないし、上記の様な状態へ持っていくにはかなりの時間とコストが必要だ。

偶発性を計画する

あなたには「どれだけのドット」があるだろうか。そのドットは基本的に過去に存在する。過去の行動や体験・関係性にあたる。

未来の点はまだ認識できないか、もしくは到達しておらず利用不可能だからだ。未来を想像し、ちょっと調べてみる・やってみる・だれかに聞いてみる。そういった行動が小さなドットとして周囲に散らばっていくことで、「ふとした瞬間に繋がる」「セレンディピティ的な偶発性」を生み出す。

You can’t connect the dots looking forward. You can only connect them looking backwards.”
未来を見て点をつなぐことはできない。できるのは過去を見てつなぐことだけだ

- Steve Jobs

過去に経験していた何らかのドットが、現在地からのベクトル変更を助けてくれる。

計画性を持って揺れ動くTo-Beと向き合い続けること。
様々なドットを用意しておくことで、突然の変化に対処したり、ふとした思いつきに現実味が増してくる。

広い視野と手段を持つこと

ドットが増えるということは、それだけ知識や人脈が広がり、視野が広がるということだ。
水の透明度が低い世界において、視野の広さは死活問題。
水泳経験を利用してうまく泳いだり、機転を利かせて良い水中メガネを用意したり、水中から顔を出せるよう体を鍛えたり、お金に任せて良い船を買う手もある。船に載っている人が知人なら、お金が無くても助けてもらうこともできるかも。

様々な知識や経験・人脈はもちろん、健康な体、いざという時のための貯金などなど。自分が持つドットを如何に増やして、ソリッドに形作られた計画とどのように接続していくのか。

ドットを活かしながら、計画を修正しながら、前にすすむ

これはSense(感覚)ではない。
どこにドットをばらまくのかという戦略的思考である。
自身を取り巻く業界や職種はもとより社会の情勢を知り、つなげたドットが機能するのかを検証していく。

世は不確実で不透明になったかもしれない。
しかしやることはPDCAの延長でも良いと思う。

今何を思い、どこに旗を置き、そこに向けて前進する。
少しずつ(一見関係なさそうな)色んなところに目を向けながら視野を確保し、目標地点の旗を動かし、そこへの道を調整していく。

目指していた旗が使い物にならないとわかったとき、一度立ち止まりながら周囲を見渡し、ドットを活かして大きく方向のベクトルを変える。

たとえ全く違う道を行くとしても、今までの活動は無駄にはならない。消え去るわけではなく、過去のドットの一つとして、いつかどこかの未来で、偶発的に助けてくれる日が来るかもしれない。

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