飲食物から02:ポテト、牛乳1
任意の飲食物から四方山話をするという趣旨の記事です。今日は、私の好物のポテトと牛乳や、苦手な海産物の話をしますが、尾籠な内容も含まれるので(例えば排出する話など)、食事時に読まない方がよいかもしれません。
カットしたジャガイモを油で揚げ、塩胡椒その他の調味料などで味付けした食べ物を好んで私は食べてきた。どれぐらい好んできたかというと私が四捨五入するとまだ0歳だった頃だと思うが(アラウンド・ゼロ?)、誕生日に振る舞われたポテトを食べ続けた結果、夜に目が覚めフクロウのペリットのごとく水分量の少ない何かを、もさりと吐き戻す程度に大食いをしていた。
今でもフライドポテトもポテトチップスも好きで、食べている。グローバルに展開されているファーストフードチェーンで入手できるフライドポテトやコンビニエンスストアで販売されている様々なスナック菓子メーカーの製作したポテトチップスを私は貪るように食べてしまう。そして、お腹を下す。
例えば、カラムーチョチップスホットチリ味175グラムを食べながら牛乳を飲み続ける。私は辛味と油と塩と砂糖が大好きで液体をたくさん飲む。濃度は薄まるからと言うと、割合が下がっても、摂取量は減っていないだろうと返される。アディクションではないかと言われると応答しがたいが、私は水を飲みすぎて低ナトリウム血症と思しき状態になって、水で溶いた塩を飲みながら何とか朝を待つような夜を過ごしたこともあるので、酒や煙草に没頭しないだけ、今はまだよい方だと思っている。幕内秀夫『ポテチを異常に食べる人たち』やマイケル・モス『フードトラップ』は読んでおいた方がよいのかもしれない。――ただし状況を知ることで状況が変わるとは限らない。限らないが、知らないより知る方ができることを変えられる機会は増える。
他方で魚介類には苦い思い出が多い。蛸の足を噛み切れずに喉に詰まった。スケソウダラを用いた蒲鉾を食べた日、学校のトイレで吐き、帰りの病院でウィルス性腸炎と診断された。大晦日にエビフライをたくさん食べた翌年の三箇日、腹を下し、清涼飲料水(ポカリスエット)を飲むだけで吐き戻し、高熱を出し、やはりウィルス性腸炎と診断されてからしばらくはエビ風味のスナック菓子にすら苦手意識が生じていた。チョコレートやアイスクリームが好きで海産物が嫌いだ、というラヴクラフトの逸話が、だからなのか妙に記憶に残りもする(その親近感が理由のひとつである可能性は否めない)。ポテトに関して上記のような吐き戻しの記憶があっても嫌いになっていないのはなぜか、私にはわからない。同じくアラウンド・ゼロの頃、骨付き肉で乳中切歯2本がもげたのだがおそらくその結果未だに骨付きフライドチキンが苦手なので、このあたりの心的機序は複雑怪奇だ。
吐き戻す。腹を下す。熱を出す。横たわる。それらは私にとって馴染み深い振る舞いだった。私はある爽快感を覚えもする。自罰感情ではないと思う。身体にできることを新しく発見している。能動や受動は問題ではない。身体にできることがあり、それが起きていると知る。知ることは、元気になる。身体にできることを私はまだ知らない。知らなかった。今は、知っている。(追記:意想外の動きをする身体を恥じることなく、その力を観想すること。意志に従わなかったら恥ずかしい身体だなんて、とんでもない。意志抜きに動く身体を肯定することだってできる。――覚を撃退する樵の一撃。そして身体にできることは変わるので、私はこれからももっと知ることができる。)
[了]