地域の「創造的風土」をつくる街歩きツアー
2024年1月14 日、鹿児島県の日置市とUoC(博報堂が運営する研究機関 UNIVERSITY of CREATIVITY)が地域創生に向けた包括連携協定を締結した。
ここで言及されているiCモデルに関して、今回のツアーと関わってくる考え方であるため、まずこのモデルについて紐解いていきたい。
『創造的地域風土』を高めるiCモデル
公式サイトの説明は、このように記されている。
このモデルでは、いつもの「日常」と、何か新たな挑戦をする「非日常」の間にある、「汽水域」と呼ばれるグラデーションの領域が大切で、「汽水域」もしくは「非日常」に一度足を踏み出した人は「日常」に戻ったときに自らに変化を起こす「創造性のタネ」が生まれ、新たに行動に繋がっていくということが言及されている。
「創造的地域風土」を作るには、何かしらの仕掛け・仕組みによってこの「汽水域」を作ることが必要となる。
これまで企業のブランディングを行っていた私は「社内の挑戦的な企業風土の醸成」というテーマのもと従業員への浸透施策を考えることが多い。ブランディングを起点にしたアプローチであるため基本的には理念のような「メッセージ」をいかに理解、共感し、行動に移してもらうか、を焦点に当てる。そのためこの「汽水域」のアプローチ方法はかなり新鮮であった。
「汽水域」としての未来妄想ツアー
この汽水域としてのイベントとして湯之元の街でとある「まちあるきツアー」が企画された。
湯之元の街を歩きながら魅力を再発見し、未来を妄想するツアー。今回はプレイベントとして小規模開催で行われたものだ。僕も途中から会議に参加させてもらっていた。
このツアーは3つの工程に分かれている。
第1部:まちあるき
まずは、湯之元の街を改めてフラットに眺める。先入観を入れずに、ただただ気になるものごとをどんどん写真に収めていく。
まちあるきのあと、参加者みんなで気になった写真をシェアし合う。それぞれが気になるポイントが違ったり、同じものを撮っていたり、シェアを通して街の特徴がなんとなく見えてくる。
第2部:地図づくり
今度は撮った写真をもとに街の地図を描いていく。わりとみんなで地図を書くのが難しかったのだが、途中から「まあ正確さはどうでも良いか」と思いながら、絵を描いていった。
各々が撮った「点」である写真が一つの地図になっていく過程で、その街の全体像の理解が進んでいく感覚があった。
第3部:未来妄想
ここからは、描いた地図をもとに湯之元の未来を描いていく。付箋を用いながらブレストのような形式で。
「こんな未来があったらいいな」「こうできそうだな」を無責任にポンポン出していく。手元で書いて、発表して、という過程を3回繰り返す。
最後の方はアイデアを出す量が少なくなってきたが、他の人のアイデアをもとに少し踏み込んだアイデアをどんどん書くことができた。
最終的には地図が埋まるほどの付箋が。この一枚を見ると、なんだか湯之元の未来にワクワクすることができたし、もっと好きになれた。
ツアーを振り返ってみて
このツアーが良かったのは、ここに描いた「未来妄想」が、ただの「夢物語」ではなくて「実現できちゃうかもしれない未来」に思えたことだった。
それをなし得たのは、わりと参加者の属性によるものだったように感じる。参加者の街の解像度を高めることができたのは「地域住民」が過去の歴史や経緯を説明してくれたからだし、自由奔放に突拍子のないアイデアで未来を広げられたのは「地域外に住む若者」がいたからであったし、「地域に根付いてビジネスを展開する企業」である小平さんがいたから、実現できる土壌を作ってくれそうだと思えた。
色んな属性の人が混ざり合うことが、会の質を高めてくれたと思う。それそこが「汽水域」となる時間をもらたしてくれる。なによりこの日、参加者はみんな湯之元の街がちょっと好きになったと思うし未来にワクワクできたと思う。
僕も街を眺めながら、不思議で可愛らしい謎の装飾が至る所にあるこの湯之元という温泉街を見て、「小規模でも特徴的な温泉の店がいくつもでき、その温泉をハシゴしながら街を楽しむ未来」が想像できたし、その未来をつくるために僕自身も関わりたいと思えた。
このツアーは、更に進化して色んな人に届いていくんだと思う。湯之元の街にはどんどん創造的な風土ができていく。なんだかこれからの湯之元が楽しみだ。
ーーーーーーーーー
このnoteでは、「ほぼ」毎週1つ、日々の活動内容や感じたことを発信していきます。もしよろしければフォローいただき、今後もお付き合いいただけると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?