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2020年7月8月映画感想文②プロメア/ディリリとパリの時間旅行/ショーンオブザデッド/翼よあれが巴里の灯だ/スリーピーホロウ/オーシャンズ8/CMIYC/レイニーデイインNY/1/2の魔法

今年の7月はやたらと映画を観てました。コロナ禍で引きこもっていると映画いっぱい観てしまう。その割に8月は1本しか観られなかったが。
映画館にも行きやすい空気になってきて嬉しいです。なんなら両隣に人がいないと快適ですらある。

プロメア

作画の圧 +10点
色彩センス +10点
メカデザイン +10点
ストーリー -5点
勢い・熱量 30点
└ 滅殺開墾ビーム +10点
└ 絶対零度宇宙熱死砲 +20点
リオドラゴン +50点
差別要素の扱い -10点
マイノリティとの共存 -10点
堺雅人 +3億点
詳細は別記事で。


ディリリとパリの時間旅行

原題 :Dilili a Paris
製作年:2018年
製作国:フランス・ドイツ・ベルギー合作
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月5日
鑑賞方法:レンタルDVD

一言で言うならオスロ版『タイムスリップしないミッドナイト・イン・パリ』だった。もっと早く知りたかったし出会いたかった。こんなの私が好きにならないわけがないでしょうが!!(逆ギレ)

ベル・エポックの時代に生きていた偉人たちを、史実との整合性を清々しく度外視して片端から出演させる勢いと潔さ。好き。
無邪気で聡明で礼儀正しい小さな淑女ディリリがとてもかわいい。好き。
オスロ監督作品ならではの圧倒的映像美。好き。
パリの街並みの美麗な背景はやっぱり写真をベースにしてるらしい。好き。
パリの地下水路なんて浪漫しかないじゃない。好き。
飛行船!?浪漫の塊じゃん!!!好き!!!!!

真面目な話をすると、きらびやかで華やかなパリの街と、その背景で過激な女性差別団体が暗躍してるという舞台設定が、まさにパリの光と影という感じですごく刺さった。
実際この頃のパリって、女性が少しずつ社会進出し始めてたとはいえ、まだまだ男女平等とはとても言えない、女性にとっては息苦しくて生きにくい時代だっただろうから、架空の敵役のはずなのにその思想には不思議なリアリティがあった。
アズールとアスマールもそうだったけど、オスロ監督は差別や迫害というテーマをおざなりにせず丁寧に扱って、きちんとハッピーエンドに導いてくれるから尊敬する。

事実、キリクと魔女が(キリクが急成長したとはいえ)比喩抜きのショタおねエンドだったから、今回もおにロリエンドになるのかなぁと勝手に思っていたけど、そんなことはなく、ディリリとオレルの関係は終始友達だったから、もう、オスロ監督への信頼度も好感度も上がるしかない。『女性たちを解放する』というエンディングで男女の恋愛沙汰なんか入れたら、完全にテーマに水を差す形になる。ほんとにオスロ監督は『わかって』らっしゃる。
本当に、ありとあらゆる部分に私の『好き』が詰まってた映画だった。



ショーン・オブ・ザ・デッド

原題 :Shaun of the Dead
製作年:2004年
製作国:イギリス・フランス合作
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月11日
鑑賞方法:レンタルDVD

まず一言言いたい。QUEENのDon't Stop Me Nowはずるいだろ。
もうあの曲を聞くたびにみんなでゾンビをテンポよくボコボコにする映像が脳内再生される脳味噌になってしまったんだけどどうしてくれるんだよ。フレディに謝れ!!

それはさておき、ゾンビものなのに恐怖や生理的嫌悪感よりも笑いがくるのは秀逸だった。序中盤では朝昼の明るいシーンが続いてたからか、ゾンビがあんまり怖くないどころかちょっとコミカルで、悲壮感や恐怖をさほど煽られずにサラッと軽い気持ちで見れたし、ゲラゲラ笑えた。不仲だった義父と最期に分かり合えたり、母を殺す羽目になったり、展開自体はかなり悲惨なはずなのに、鬱っぽさや湿っぽさをまったく引きずらず、テンションがパッと切り替わるのが潔くて良い。
たぶん、KYヒキニートのエドガーの存在も大きいと思う。実際ああいう奴が身近にいたら相当イラつくだろうけど、こんな非現実的な緊急事態下だといい感じに緩衝剤になる、でもやっぱり時々イラつく、って塩梅がうまい。憎めない奴のギリギリを攻めてる。そんなエドガーを始めとするゾンビたちとの共存エンドで本当によかった。



翼よ!あれが巴里の灯だ

原題 :The Spirit of St.Louis
製作年:1957年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月12日
鑑賞方法:テレビ録画

ビリー・ワイルダー監督作品にマジでハズレがなくて心底恐れ入る。今のところ観れた範囲内では情婦と並んでトップタイで好きかもしれない。
飛行機乗りの伝記映画なんて私が気に入らないわけがなかった。学生の頃にサン=テグジュペリの夜間飛行を読んで以来、飛行機乗りのドラマにはすこぶる弱いんだ。映画に飛行機が出てくるだけで簡単にテンアゲしちゃうんだ。

単なる時系列順じゃなく、リンドバーグが大西洋単独無着陸飛行に挑む前日から始まり、その合間合間で彼の生涯を振り返る構成だから、一本調子にならずに観れる。史実を知ってて、この挑戦が成功するとわかってても、氷山を越えていく時に翼が凍りついたり、うっかり寝落ちて海面に激突しかけたり、スリリングな場面もあるから飽きない。
何より、過去回想という形で、郵便飛行、曲芸飛行、軍属時代と様々な形での飛行シーン、リンドバーグの飛行士としての経験が描写されるのがたまらなかったし、ワクワクした。
どうして彼が、ライバルたちが次次と命を散らしていく危険な単独飛行に挑んだのか、いちいち説明がなくても心でわかってしまう。

そして1957年の映画と思えないくらい飛行シーンに迫力があった。撮影技術のことは完全に門外漢だけど、たぶん見せ方がめちゃくちゃ上手いんだと思う。CGが当たり前の今の時代に観てもチャチさを感じさせないのがすごい。

史実のリンドバーグが大西洋単独無着陸飛行を成功させたのは25歳だったのに、主演のジェームズ・スチュアートは撮影当時47歳だったと、後から知ってぶったまげた。
無茶しやがって……と正直思ったけど、それだけリンドバーグを演じたいという熱意があったのは素晴らしいと思う。まさに、無茶だ危険だと言われ続けた単独飛行にリンドバーグが挑んだ熱意に通じるものがある。その意味ではスチュアートは超ハマり役だった。



スリーピー・ホロウ

原題 :Sleepy Hollow
製作年:1999年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月19日
鑑賞方法:レンタルDVD

ジョニデ若っっっ!!!と興奮していられたのは最初のうちだけだった。想像してたよりもガチめのホラーで普通に怖かった。
イカボードが初めて首なし騎士と遭遇した時に被害者の首がコロコロ転がってきたところがめちゃくちゃ怖かった。死人の木の根っこの下に大量の首が落ちてるところは悲鳴を上げてしまった。モザイクもぼかしもなく首がサクサクと飛んでいくのにだんだん慣れていく自分も怖かった。体感だけど10〜15分に1回は誰かの首が飛んでいた気がする。
復讐&遺産目当てという真相は若干肩透かしだったけど、クライマックスの首なし騎士との馬車チェイスはすごく見応えがあった。

今ほど発達したCG技術がなくても、ティム・バートン監督の美術センスが終始冴え渡ってて、暗い色調のゴシックな画面を観てるだけでもだいぶ楽しかった。こういう不気味な田舎の村って、好きな人はめちゃくちゃ好きだと思う。私は大好き。背景がちょっと合成っぽいのがまた、クローズドサークルのような雰囲気が出てて良い。

何より首なし騎士がめちゃくちゃ格好よかった。FGOの推しが新宿のアヴェンジャーだから贔屓目があるのは認めるけど、実際格好よかったんだからしょうがない。

闇夜の具現化のように現れる漆黒の体躯。
巨大な馬に跨ってマントをはためかせて疾走する姿。
撃たれても刺されても起き上がって襲ってくる圧倒的強敵感。

死ぬほど怖いのに、デザイン、佇まい、アクション、全部がカッコよくて目が離せない。ヒロインの父を教会のガラス越しに串刺しにしたシーンは正直痺れてしまった。首を取り戻した後、やってきた愛馬を労うように撫でてたのが好き。

ところでもし今後何かの拍子で首なし騎士がまた復活したら、今度は拐われた後妻もくっついた姿で蘇るんだろうか。そんなどうでもいいことが気になった。


オーシャンズ8

原題 :Ocean's Eight
製作年:2018年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月23日
鑑賞方法:レンタルDVD

お前らーー!!!
強くて美しくてカッコいい女たちは好きかーーー!!!

\大好きーーー!!!/


って感じの映画だった。
強くて美しくてカッコいい女たちが、華麗に盗みを成し遂げて終わり。ほんとにただそれだけ。それがこんなにも爽快で痛快で気持ちいい。

まず、女だけのチームはギスギスする、女が悪事に手を染めるのは何か可哀想な事情がある、等のステレオタイプをガン無視した舞台設定とドラマ作りがもう、最高。
こういう映画を今まで意外と観てこなかった、タイトルを知らなかったのにびっくり。映画史というか、ハリウッドにおける女性の立ち位置についてちょっと考えさせられた。

……という真面目な話は置いといて、なんと言っても主役のサンドラ・ブロックとケイト・ブランシェットの颯爽とした美貌に真っ向からぶん殴られた。その辺のイケメンよりも乙女心がときめいてしまう。あの綺麗さでアラフィフはマジで信じられない。アン・ハサウェイも同じ人類と思えないレベルの可愛さ。
印象に残るのはこの主役級の三人だけど、他の五人、ミンディ・カリング、サラ・ポールソン、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーターも、当然のように素敵で綺麗でイカしてる。

そしてクライマックスの美術館からの脱出。
七人がそれぞれドレスアップして、客に紛れて階段を堂々と降りていくシーンを本作最大の見せ場と定めている点に、この映画の真髄があると思う。
正直、こんな逃げ方あるかよ、とは思う。一歩間違えれば、バカ映画のバカシーンになっちゃいそうですらある。
でもそういう理屈や整合性を宇宙の彼方にぶん投げて、

「刮目しろ世界!!!
この美しさの前に全人類すべからくひれ伏せ!!!」

という撮影側の気概がバリバリ伝わってくるから何も言えなくなる。

だって世界中の女性が憧れてやまない美しさ、カッコよさ、ゴージャスさ、眩いキラキラで満ちた見応えたっぷりのウォーキングなんだもの。
ただただ引き込まれて、バカみたいに見惚れてしまう。明らかに他のどこよりも撮影の気合いが二段階くらい違ってた。

ただ、11と比べると悪役の印象が薄くてちょっと物足りなく感じた。11のベネディクトは強敵感がすごかったから、デビーの元彼は影が薄い上にただ情けないだけで終わったのに驚いた。
とはいえ、本作でベネディクトのポジションを半分受け継いでいるダフネが、最後の最後で美味しいところを掻っさらってちゃっかり「8」に加わる実に良いキャラにアレンジされていたのを見るに、「8」は徹底的に女をカッコよく描く路線にシフトしたんだろう。本当に潔いな。

ハリウッドに未だに跋扈するステレオタイプをぶっ壊し、自分たちが好きなモノ、観たいモノをすべて詰めて、撮りたいモノを撮った、清々しい映画だった。
観終わった時、自分まで綺麗になれた気がしたからこの映画は実質エステだと思う。



キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

原題 :Catch Me If You Can
製作年:2002年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月26日
鑑賞方法:レンタルDVD

こんな詐欺師が実在してたまるか!!!いやいたのかよ!!

タイトルとあらすじで勝手にシリアスなクライム映画を想像していたから、なかなかコメディチックなつくりでびっくり。詐欺師アバグネイルと彼を追うハンラティ警部がリアルルパン3世と銭形警部みたいだった。たぶん日本人ならみんなそう思う。

周囲の人間を翻弄して大金を巻き上げ、警察の包囲網から何度も逃れ続けるアバグネイルの手練手管がとにかく痛快。小切手詐欺もすごいけど、職業成り済ましに唖然とした。
危なげなく自然に専門知識を仕入れて、医者や弁護士やパイロットという専門職の人間として振る舞って、何ヶ月間も怪しまれないなんて、こんなことが現実にあるのか。あったのか。
それでいて彼の行動の根っこには、離婚した両親の仲を修復したい、父親が失ったものを取り戻せば元通りになれるはず、という歳相応の一途さがチラチラ見え隠れしているから、明るめな作風のいいアクセントになってる。

ハンラティ警部は間違いなく有能なんだけど詰めが甘くてアバグネイルをたびたび取り逃してるのがもう、銭形警部にしか見えなかった。アバグネイルに「お前は帰る場所のない子供だ」と容赦なく指摘する一方で、アバグネイルを単なる憎むべき犯罪者として見ているのではなく、なんだか親子のような友情のような、不思議な関係性が芽生えていくのも、見応えがあって面白かった。

犯罪!追跡!あともう少しで捕まえられる!奇策と運の良さで逃亡成功!チクショウ逃げられた!また追跡!
がテンポよく繰り返される楽しさと、バラバラになった家族のつながりにすがるアバグネイルの淋しさに心がヒリヒリするシリアス度のバランスがとても良かった。
だけどやっぱりこれが実話ベースっておかしいだろ。現実が一番どうかしてる。



レイニー・デイ・イン・ニューヨーク

原題 :A Rainy Day in New York
製作年:2019年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年7月30日・8月31日
鑑賞方法:映画館

生きてるうちにウディ・アレンの新作が観られるなんて生きててよかった。
憧れがかき立てられるニューヨークの美しい街並み。
物語を彩るおしゃれな音楽。
観る側の教養が試されるウィットに富んだテンポの良い会話。
最初から最後まで魅力が大爆発してるキュートな主演女優。
そういう『ウディ・アレン味』を大画面でたっぷり浴びたい、それだけを求めて映画館に行ったら、欲しかったものが全部100%ダイレクトに返ってきた。需要と供給の一致とはまさにこのこと。
映画を観終えてこんなに満ち足りた気持ちになれたのは久しぶりだった。気がついたらもう一度映画館に観に行っていた。

この作品を観てニューヨークに行きたくならない人はいないでしょ(主語デカ構文)。
次々と車が走り抜ける大通り、学生たちが映画撮影してる裏道、セントラルパーク、メトロポリタン美術館、ホテル、ジャズバー、何もかもがとにかくおしゃれすぎる。私も傘を差してニューヨークの街を歩きたくなる。ラストシーンに出てきたセントラルパークの時計が素敵すぎて、死ぬまでにこれを見に行こうと心に決めた。

ヒロインのエル・ファニングがもう、どっちゃ可愛い。NYのおじさまたちに取材するはずが逆にロックオンされて、流されるがまま色んな事態に巻き込まれちゃう、危なっかしくてちょっと芋臭い女の子を好演してた。マジでかわいかった。行動だけを見るとなかなか不誠実でクズいんだけど、それなりに報いも受けてるからあまりヘイトを引きずらないバランスがうまい。
主人公役のティモシー・シャラメもすごくよかった。モラトリアムで優柔不断、母親が嫌いなのに親の脛齧りしてる学生が、同級生の妹チャンとの遠慮のないやり取りや、不仲だった母親の秘密を知って、一皮剥けていこうとするさまがたいへんハマってた。『一皮剥ける』んじゃなくて、これから彼はチャンと付き合って変わっていくんだろう、映画はここで終わりでも彼らの物語はまだ続いていくんだ、と思わせる幕引きがすごく好き。物語のその先をもっと知りたくなってしまう吸引力がある。
あとシャラメ君、雨で髪が濡れてる姿がやたらとセクシーだった。うつむいてる時のちょっと情けない顔もツボだった。『君の名前で僕を呼んで』も早急に観なくては。


1/2の魔法

原題 :Onward
製作年:2020年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年8月30日
鑑賞方法:映画館

びっくりするくらい評判を聞かなくて、良くも悪くもない無難な感じなんだろうな……と期待値低めで行ったら、想定外にめちゃくちゃ良かった。歳を取って涙腺がバカになっているんだろうけど、それでも観てて普通に泣いちゃった。

うろ覚えの予告の印象とは裏腹に、話のスケールはそんなに大きくない。兄弟の望みは父さんを一日だけ蘇らせたいというささやかなものだし、移動範囲も車で行ける程度だし、終盤に怪物が蘇ってピンチになるのも街どころか建物一つ周辺程度。そのスモールワールド感がなんだか新鮮だった。
「困難な道にこそ答えがある(うろ覚え)」とか「周囲のものを使え」とか印象深い含蓄はたくさんあるんだけど、私にクリティカルヒットしたのはクライマックスのお父さん復活シーンだった。
あんなに父さんに会いたがってたイアンがバーリーの後悔を知って、父さんとの限られた時間をバーリーに譲った……まではともかく、タイムリミットの迫る中、父さんの所にどうしても行けないイアンが瓦礫の隙間から2人を見守り、結局イアンに顔すら見せないまま父さんが消えてしまうのに、感動と同時にかなり驚いた。
やろうと思えば、イアンも父さんと対面して3人で抱き合うような感動ストーリーにだってできたはずなのに、今回のディズニーはそうしなかった。それよりもバーリーの後悔の救済と、自分よりもそれを優先できるイアンの強さと優しさの描写を全面に打ち出すことで、どんな大立ち回りよりもイアンの成長を見せた。
なんだかんだで主人公の願いが全て叶う、主人公にとっての最大のハッピーエンドを用意するのではなく、「父さんがいなくても兄さんがいる」と気づけた主人公の成長を描くことにフォーカスしたラスト、ほんとに素晴らしいと思う。思い出しただけで泣いちゃう。イアン視点では蘇った父さんの顔が見えず、声も聞こえないのがまた泣かせる。

もっと言うなら、兄弟の望みが「父さんとずっと一緒にいたい」という方向に最後まで行かないのも意外だった。作中時間的に無理だとしても、2人ともそんなことを一度も口にしなかった。あくまでも「父さんと1日だけ会えるなら話をしたい」「一緒にいろんなことをしたい」と、魔法がある世界とは思えないくらいささやかな願いを持ち続ける2人の姿が、一言で言うと尊い。物語が魔法によってご都合主義的に動いていかず、2人の成長と絆のアシストに収まっている点はすごく真摯だと思った。
新作が出るごとに、普遍的なテーマの描き方、魅せ方、作中キャラの持論や価値観、ハッピーエンドの作り方etc.を時代に合わせてどんどんブラッシュアップさせていくディズニーは、なんだかんだですごい会社だと実感した。

最後に。兄弟を助ける為に車をかっ飛ばし、おばちゃんマンティコアの背に乗ってドラゴン(?)相手に剣で立ち向かう勇者ママ is 最高。優しくてたくましいママは古今東西最高だと相場が決まってる。
そしてペガサスのように散っていったグウィネヴィア号は本年度アカデミー賞助演女優賞。パンクしたタイヤが馬の蹄みたいに地面を蹴り、大量の駐禁切符が舞い散って羽根のように見える演出を考えた人はセンスが鬼。


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