【短編】た ど る
「た ど る」
ガタンゴトン ガタンゴトン
この駅であの子は降りる
トン トン トン トン
と、一定のリズムで地面を鳴らして真っ直ぐ歩くあの子
なんだかずっと気になっている
僕は決めたんだ
今日はあの子に話しかけるんだ
恐る恐る同じ駅で降りる
トン トン
肩を叩く
あの子はゆっくり振り向いた
遠くを見つめている様な目でこちらを見ている
ガサゴソ ガサゴソ
僕はランドセルから小さな花束を取り出す
「あ、あ、あ、ああの、とととと突然すみません!ず、ずず、ずっとききき、気になっていて、お、お花をプレゼントしたいなとおおお、思いました!ぼ、ぼぼ僕のお母さんはガガ、ガラス細工の人で、枯れちゃわないようにガラスでお花をつ、つつ作ってもらいました!」
あの子はとっても嬉しそうに微笑み、
それから泣いてしまった。
あれから大人になった僕は、決めたんだ。
香りいっぱいの花束をあなたに渡すと、
頂いたお題:「花束」
お題を頂いてインスタントフィクションを書きました。今後も継続していこうと思いますので感想や考察などコメント頂けたら嬉しいです。
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インスタントフィクションとは
「自由な発想」と「気軽なノリ」で書かれた文章。自分の思う「面白い」を入れて400字以内で表現。