愛の顔を借りた承認欲求.2
私には一回り年上の部下がいる。それも有能で人を支えることに長けた男だ。
そして私は、部下が支えてくれることを傲慢にも情愛と受け取った。彼が異動するときには、上司として支えてもらったからにはその期待に応えて、女ではなく上司としてあなたを支えると誓った。
結果現在わたしはどうなっているかというと、慣れない土地と業務に四苦八苦する部下を励まし、本社とのライフラインとして機能しながら、彼の親愛を感じられない日々に飽き飽きとしている。
彼が栄転するにあたって自分も昇進の辞令を受け、やらねばならない仕事が山のように積み上がる中で、私は仕事に精を出す理由を一つ失った。
すぐ傍で支えてくれるものに愛を持つとするならば、私にとっての愛とはなんと陳腐で俗物的なものだろう。それは愛というよりはただの承認欲求と庇護欲だ。
いつでも見捨てられることに怯え、心からの信頼と愛を与えることに躊躇する私はなんと滑稽であることか。