智子のRT企画:感想置き場
挨拶
ほうぼうで書き出しの感想を書いていた智子ですが。以前フォロワーさんから「どこかでまとめておくれ」と頼まれたのを思い出して、残す感想は記事にしていきます。
なにか不都合があれば、作者さんはその旨、智子までご連絡ください。
RT企画とはなんぞや?
智子が『#RTした人の小説を読みに行く』タグを使用して、作品の感想を残しています。
書き出し祭りの開催期間中だけの特別企画です。
作品のジャンルを指定せずに、全ての作品の「冒頭部分」にかかる書き出しの技術という項目で、作品の感想を残しています。
この記事で興味をお持ちになった方がいれば、奮ってご参加ください。
RT企画に応募頂いた作品
足リナイ脳ノ補イ方
タグやあらすじ等、表紙のページから得られるものを考えながら読んでみようと思います。
タイトルの意味とあらすじがかなり直接的な表現でした。
障がい者を描くという点からとても気を使った注意書きが付されています。
発達障がいなるものについて、私も詳しくは存じ上げないタイプであり、出典で明記された冊子を確認してみました。
イラスト付きのものを確認しながら、事例に合わせてのものでわかりやすかったです。昔勤めてた職場にこういう方いたなぁ。という気持ちになる事例がたくさんです。
タイトルとあらすじから、発達障がいを持つ主人公が恋愛やヒューマンドラマを軸としたストーリーを描くのだろう。と捉えていました。
しかし、ジャンルが「純文学」とあるので「エンターテインメント性の高いもの」ではないだろうと予想していました。
純文学で発達障がいがあってといったように、ハードルの高さがあります。類例作品があるか? というと、すぐに浮かばないですが。趣は違うんでしょうが。
コンビニ人間を思い出しました。基本的に純文学は触らないんですが。いつだったか話題になってたので、読んでみた感じです。この主人公も「発達障がい」の気質があるんじゃないか。と言及されていましたが。たしか明言はしない小説でした。それはセンシティブな判断であるからか。作品の評価に「発達障がい」というワードに引っ張られることを懸念したのか。わかりません。
本文の感想
一話と二話あわせて4500文字であるので、その分を読んで感想を残してみます。
発達障がいの診断を受けた主人公(黒井六六六(ろくみつ))が友達の死神(あだなですよ。雪村大地)にその診断の内容を告白するシーンです。
ボーイ・ミーツ・ガール!
面白かったです。
だから、それだけじゃ駄目なんですよ。作者の狙いを読み解き、それが効果的かどうか。考える。それがこの企画なんです!
読み終えました。ちゃんとこの感想を書くために、続きを読むのを我慢しています。
一人称小説の難しいところって「自分の容姿を描写できない」という制限があります。いや、めっちゃ自意識過剰なキャラクターならばいつも鏡を持ち歩いて、自分の顔を確認するナルシストならいけますよ。いつも鏡をみて、笑顔の練習をしている社交的なキャラならいけます。
だけど、そういう設定のキャラでもないです。
そして、二話目にして容姿の描写まで入りました。
ラストはボーイ・ミーツ・ガール! ですよ。しかも、その容姿の描写を行うためのストールを活用してのことです。
見事ですね。
純文学や文芸とあるので。少々とっつきづらいのかな。と思いながらおっかなびっくり読んでいましたが。高いハードルが急にくぐれた感じがしましたね。こういうのね! 恋愛じゃん! となりました。
ラブロマンスにかぎらず、物語というのは序盤において「誰が活躍するのか」「何の物語なのか」を感じ取るためのシーンです。タイトルとあらすじにも示されていたんですよ。
ちゃんと書いてた。
この小説を読みながらふと話題になったTweetを思い出しました。
キャラクターにはなにかの喪失感を与えて、それの回復を求める過程の物語を構成するために。安易に虐待の設定を詰めているのではないか? という指摘の話題でした。
今回の場合に当てはまるだろうか? と考えてみたんですが。発達障がいとしての特性が「喪失」としての効果を持ってないのです。
それに発達障がいって治るものじゃない。とも書いてあります。
死神の態度は正しいものかどうか。判断はできるものではないですが。このセリフ自体が死神のスタンスを示しているし。作品全体の態度でもあるのではないか。と考えています。
かといって、どのように振る舞うべきとか。そういう姿勢があるわけでもないし。じゃあ、この発達障がいという特性自体を課題としていない?
と思い始めたものです。
おそらくですが。この作品は「読ませ、教導する」ことを目的としているのではないかと考え始めました。
なにか特異な性質であったり、特別な集客を求めて戦術を持ってWEB小説に投稿するというものではなくて。
ラブロマンスやヒューマンドラマという性質をかざすこと。私のように「発達障がい」に対して関心が無い人等への啓蒙も兼ねたものとなるのかもしれません。
実際効果的です。「発達障がい」を持つ「私」の視点から、人との出会いであったり、対人にかかる描写を重ねています。眼の前の人物の情報よりも自身の連想自体が優先される描写をしていました。
巧みな話術を持って、ヒロインに迫ったりもしません。主人公はストールを上げたつもりです。
このシーンを持ってして「私」には今後の物語に「困難」が生じるということを充分に理解させました。そして、其れは「治したり、克服したり」といった要素のものではありません。
物語には大きな困難を示し、それによって引きとする要素があります。そのは多くは主人公の抱える課題をクリアすることで、解決するという創作上のモデルがあります。しかし、この「発達障がい」は何度も言いますが。治すものでは無いのです。
こんな課題の示し方があるのだ。と驚きました。
本当はあまりよろしくないんでしょうが。続きを読んでみました。
この発達障がいにかかる情報が又少しずつ開陳されます。
病院に行く。等の流れでも「私」の特性ゆえのトラブルもエピソードとして差し込まれました。
やはり、この作品は「発達障がい」の啓蒙を目指した作品であると確信しました。
この空気や性質自体は一話や二話の段階で充分に感じ取れました。そして、二話のストールの子はどうなるんだ! というゲスな心も相まってページをめくっていました。
書き出しとしての面で見た時に「目的の作品であり、その目的を達成するのに効果的なシーン」を重ねられたと思います。読者には「ストールの子はどうなるんや!」という目的も与える。という構成も上手でした。
的外れな意見だったとしたら、「ははんw」と鼻で笑っていてください。
この記事をもって、興味をおもちになった方はぜひお読みになってみてください。
面白かったです
さて、レギュレーション違反ではあるんですが。
気になったので最後まで目を通しました。やはり、完結している作品であること。最後まで読めば私の予想の確認もできるだろうと、考えもあって読みました。
ネタバレがあるので、改行をはさみます。
面白かったです。
このシーンの時には肝が冷えましたが。男の娘だったんですね!? と色めき立った後に、空の体の描写であったり、何だりが「男やったんや」という方向性でいっぱいになってしまいましたが。結局それはブラフであり、タイトルを回収するような疾患を彼女が患っている。という情報が出るまで。疑心暗鬼になりながら読みました。
このシーンなんかは。もうあからさまなタイミング過ぎて! 空ちゃんはここなん!? ここで勤める男の娘なん!?
という安直な発想がでました。
なにがすごいって、この「読者に予想をさせる」というイベントの配置ですよね。
もう、智子の頭は一つの予想でいっぱいでした。
「空ちゃんは実は男の娘で、男らしさに固執し始めた六六六君への性愛を飛び越えた愛を求める話なのかも? だしかにあらすじで愛って書いてたし。そっちの方向も展開できるよね?」
この想像がよぎった時。私はあるTweetを思い出しました。
そうだ! ⑧さんはBLに魂賭けてる人だった!!!
もう、私はこの物語が空ちゃんが男の娘であるのか。それを気にして、めくりました。そして、タイトル回収です。
自分の汚い想像を恥じました。
いや、⑧さんの描写に振り回してもらっただけで、私は恥じない!
ものがたりには常に「ヒーロー」的な試練が溢れています。そして、今回の物語は『ヒーロー」的な性質のある試練に似たものがいくつか設定されています。
そして、その全てが「独力」ではなく、何かしらサポートを必要とすること。工夫を持って乗り越えていく類の試練でした。
彼は外的な課題の一つとして、黒い教会に電飾の設置を依頼するシーンがあります。
彼女?(彼?)は堅実な働きぶりの主人公を認め、主人公への評価を改めます。
常に、主人公の生活は敵だらけかもしれません。
そんな彼を取り巻く状況の中の一つのエピソードです。彼には敵ではない人がまた増えてくる。
それはこの物語の最後。16枚の羊皮紙につながる考えです。
用意されたエピソードが最後の結末(そうあって欲しい世の中)に集約しているいい作品でした。
面白かったです。
どういうお考えがあって、この作品を非公開としているか。私にはわかりかねますが。こういった作品は掲示し、発信を続けることは。大きな意義があると思っています。もちろん、出版に絡むことであったりするなら。仕方の無いことですが。
今回のRT企画にあたり、再度の掲示とのことでした。
まだ、祭りの開催期間中であり、自作について語ることはできかねるのですが。この作品にふれることができたのは。大きな刺激となりました。
エピソードの集約。
啓蒙的な答えを許容できない人たちにどう、提示していくのか。私の中でも課題としているものへの、導きとなる一作でした。
RT企画への応募ありがとうございました。
興味がある方はぜひ、ご覧になって頂きたい作品でした。
魔法狩り〜勇者に転生して最強魔力を手に入れたけど、あれ? 技術の進歩の方が便利じゃね
今回ご案内頂いた小説は、小説というよりこの原案小説としての引きを狙った作品のようです。
一般の小説という向きではなく、特異な世界観や設定を打ち出した作品を期待されているようです。
であれば、その短い文字数でどれだけの設定や世界観。キャラクター達の行動原理を示せるのか。というところでしょうか。
御作はあらすじの情報量が多いので、タグで推測するまでもなく。ざっくりとした筋もわかりました。このゲームシナリオ用に幼少期の頃の長編を整理したものを提出しているようです。
書き出しということで0話から2話に至るまでの3600文字で確認してみます。
あらすじにも記載のあったように「ストーリー通り」とあるから。ゲームライクな世界観であるのか。とはぼんやりと予想していましたが。タイトルにもあらすじにも明記はされてなかったので。本文でようやく確定した感じがします。
主人公はどこかの学院に入学をしているようです。
そして、主人公に接触を測ってきた女学生達は「自分の知らないシナリオ」を知っていることをもって、引きとしました。
多分ですが。過去の話題に転じたのだろうと思います。描写が唐突なので分かりづらかったですが。
主人公は自身の現況を確認しながら、ゲームライクな世界観への確認を行いました。そして、次のシーンにつなぐため、情報を拾うためにゲームライクな世界観のなかで、薬屋を訪ねます。
薬屋を訪ねる。という流れの中で次なる目的地が定まる。
本文の感想
ゲーム用のシナリオ(1万字以内の完結)ということもあり、描写もかなり排除しながらハイスピードで進めようとしているように思いました。であるからこそ、作品の魅力(他にはない魅力的要素)をアピールしている点はどこか? というのを見た時に、あらすじで感じていた期待の展開を約束するものではなかったです。
おそらくですが。今後の流れの中では、異世界に技術的な流入を求めて、技術者を召喚したり、機械的な文明を求めて異世界を発展させよう! という「スケールの大きな」テーマとヴィジュアルのコンセプトがあったように感じていました。
しかし、本文を読んでみると。主人公が学院に居るころ。から始まり、その時に物語がゲームライクの世界観であることを示す。といったような穏当なスタートから開始しました。
闇落ち腹ボテエンドはめっちゃ気になりますけど。それはたぶん、えっちな人(おそらく男性)しか気にならない! 私は気になったけど。
タイトルとあらすじでは「ゲームライク(学院編は乙女ゲーモード)であることが分かりづらかった。のでちょっと唐突でした。
タイトルとあらすじでおおよそ筋がわかるストーリーはWEBにおいて強みです。そして、その強みは御作は発揮しました。
であれば、本文で示さなきゃいけないのは。
主人公が勇者であって、大活躍する。魔法を駆使して大成功を収める(ないしそれができると思わせるシーンを表現する)等のシーンが必要です。そこでさらに「だけど! 機械の方が便利だよね!」と本文でその物語の目的を示すことでしょうか。
現状は順を追って、彼が7才で記憶だけ転生しているというストーリーを描いているシーンで終わってしまいました。
主人公の目的を設定するところまでを冒頭4000文字(ねがわくは最初のページまでに!)で表現するなど。構成上の工夫が必要ではないでしょうか。
タイトルとあらすじを見ないで。第0話を読んだら。抜群に面白いのは認めるんですが。タイトルとあらすじの情報があるので。機械文明どこ行った!!??
と迷子になりました。
あらすじでもあったように。長編の作品を無理やりゲームシナリオ用に最適化しているようなので。思うようになりづらいところはあるのかもしれませんね。
ゲームライクな世界観の書き手であり、一話ごとに次のシーンへの引きを準備するなど読ませよう。という工夫がありますが。
御作の情報量のあるタイトルとあらすじで高められた期待感を回収するには少々情報不足でした。
しかしまあ。1万文字であの情報量を出すのは厳しいかもですね。最強で、チートみたいな能力がありそうなのに。その魔法を捨てなきゃいけない。という設定が控えています。見どころは今後たくさんあると思いますが。1万文字っていうのが厳しいですね。
記事をお読みの方で、ゲームライクの世界観が好みの方はご覧になってみてください。
トリキの錬金術師 〜元・アラサーOLは異世界で居酒屋営業目指します!〜
読む前から。「私はこれから何を読むんだろうか」という恐れとともに眺めています。
タイトルやタグなど。表紙の情報からいろいろ考えて本文を読んでみます。
あらすじにある通りでしょう。異世界転生して焼き鳥屋をする。
お仕事ものと異世界転生という融合も一時期流行りましたね。その時の空気感の作品であると考えて、そういう期待で読むべきでしょうか。
であれば、冒頭において焼き鳥の要素からなる。他作品との差別化がされるのか。材料となる生き物を詳細にさばいている可能性があるのかも。残虐、暴力表現……
本文を確認してみます。
3600文字。この一話だけで確認します。
本文の感想
本文を読んで、理解しました。トリキの錬金術という話題が世の中をさらったことがあるんですね。智子のように、家にテレビもなにもない。牢獄のような家ではまったく知らない言葉だったので。本文を読みながらGoogle先生を頼りました。当時私がその方法を知っていれば、住民票を鳥貴族の移すくらいの勢いで悪用していたであろう人間です。
さて、狙いはわかりました。
実際に起きた騒動をもとにタイトル設定をしたのかもしれませんね。
作品の公開日も2020年10月半ばとあり、世の中で話題となって一週間後にこの作品を投稿しているのだと思えば凄まじい瞬発力です。
タイトルから『トリキの錬金術』騒動をご存知の方は興味をもって開いたことでしょう。
あらすじにもあった焼き鳥の要素を示し、前世の記憶を持つ人材は権力者に囲われるという引きともなる設定を開示しています。
異世界転生×お仕事もの(お仕事??)というものは類例作品がありますし。焼き鳥要素で異世界にチェーン店を持つという目標を掲げました。
キャラクターの描き方についても。意図してか意図せざるかわかりませんが。
記憶が戻ったあと。だけ「」つきのセリフが登場するようになりました。記憶が戻ることによって、人格に大きな変化があったようです。
文章の落差であったり、緩急がここにあるので「よかった! これはコメディだ!」と安心しました。序盤が結構重々しかったので。コメディだよね? と不安になっていました。
その後は、前世においてのストレスのある世界観で過ごしていたこと。焼き鳥を焼く能力があること。そして、今後はその力を活かす。
というように物語の筋を示しました。
異世界転生ものの導入としては文句ないものであったと思います。
今後、拡大していくチェーン店や、彼女を囲おうとする権力者達とどのようにやり取りをしていくのか。
ある程度の導線を示し、気になる引きとなった作品です。
話題性で興味を引いた人であっても、物語の方向性を理解させる構造でした。おそらく読者の誘導は成功した作品だと思います。
グルメものとしての要素も、期待できるのでタグに「焼き鳥グルメ」みたいな強気のタグをつけてもよかったかも。
いつだったかな。味いちもんめだったか。でそんなことを言ってる言葉がありました。
非常に政治的な思想が強い作品でしたが。串の話題もありました。
一本を一口で食べてしまうタイプの人間ですから。焼き鳥は相性が悪い人間です。久しぶりに食べたくなりました。
ちなみに私の住む県では「鳥貴族」は存在しません。こちらまでチェーン展開よろしくおねがいします。
以上です。
この記事で「焼き鳥で異世界転生」というものに興味が湧いた方はぜひともご覧になってみてください。
竜騎士の溺愛 〜竜に転生した私の愛されすくすく成長記〜
智子の古巣。小説家になろうじゃないですか。いいですね。この野暮ったいUIが智子を安心させます。カクヨムはかっこよすぎる。
タグやジャンル、あらすじから期待値を図り、本文を読んでみます。
異世界転生したら、竜の希少種となって、異類婚姻譚とあるので。将来的には結婚するのでしょうか。
あらすじの最後の一文からして、スピード感のある恋愛ものではないというのを予想させます。
本文の感想
一話と二話で4000文字程度なので二話通しての内容とします。
転生にかかる描写までの整理。
テライケメン
世界観の説明。アロイスの現況。自分の竜が孵化するシーン。
書き出しとして充分な内容だと思います。
この作品の今後の展開を充分に予想させることができるシーンです。
冒頭のシーンというのは今後の展開を予想させることが大事と言われます。今後の局面に関する関する伏線の情報をばらまき、主人公が今後解決するであろう課題を示すのだ! と言われますが。これらは形式的な物語の中ではさほど重要ではないと。考えています。
メッセージを示さないことがメッセージになります。
今回はそのメッセージを示さないタイプの物語であり。異世界転生の形式に則った導入です。
異世界転生というもので主人公の特性が2種類あると思っています。
1:非常に高いストレスのあるコンプレックスを持っていたり、環境にさらされているタイプの主人公。
このタイプの主人公は生前に願ったであろう欲望や渇望自体が、異世界転生先での力のモデルを示していたりします。それがあることで「逆張り」としての「効果や期待」が存在するお話です。
1の主人公は公募等の「文字数の制限がある」世界観の中で表現しようとした場合に有効ですが。そもそも読者を選ぶ傾向があります。多層的なテーマを並べた時にそれを汲み取ることができないと、物語への期待もうまれづらくなります。
2:無味無臭とも表現できる位に凡庸(に見える)な人を異世界転生させる。
このタイプの主人公は異世界に転生したあとに「その都度、課題を発生させて障壁を突破する」といったような物語構成に通じていきます。
ある程度柔軟性のあるストーリーラインを構築できます。
ネット小説を書くことに長けている人たちはこの特性を活かして、一つの長編作品の中で様々なイベントシーンを描く傾向があります。
2の主人公は「コンプレックス」を指定しないことで。読者の興味を一つに絞れます。今回の場合は主人公の視点でのコミカルな描写や、棺桶につめられているのではないか? といったことからの焦りなどの描写です。このことから「強い一体感」を私は持てました。この一体感(アイデンティフィケイション)を持たせることは1の主人公より、2の主人公の方が秀でています。そして、それを全力でアピールできる一話目でした。
今後の展開について約束しなくても読者はついてきてくれるのか?
異世界転生のラブロマンスはジャンルとして厚みがあるので、登場人物の設定、世界観を示すこと。これを達成すれば序盤としては書き出しとして成功だとおもっています。
テライケメン。
二話目まで含めての部分です。
書き出しとしては成功です。タイトルやあらすじにも出ていた「竜騎士」という設定も情報を付け加えて登場しました。登場人物を取り巻く環境や、設定もあり「この二人が主人公でこれからこの二人がラブロマンスに包まれる」と期待できました。
それはやはり、タグとかジャンルで示す「物語への期待値」がかなりの強度があるからです。
私達読者は「二人が結ばれること」は確定でわかっていて。その過程を楽しめるかどうか。を見にきています。
その魅力として、ヒロインである主人公の一体感を序盤で示しました。
竜騎士を含めた世界観も提示しました。
2の主人公故にこの方法で読者の期待値を超えたとはおもいます。しかし、こういった作品で厳しいのが今後の展開においても「ラブロマンスを含めたタグ」の予感を示し続けていくこと。を求められていくでしょう。
この期待に応えなかった時にラブロマンスというものに期待していた読者は離れていくはずです。
ほのぼの。
というタグのイメージからもそうですが。この物語は「激烈な試練」が二人に襲いかかって、悲喜こもごもなストーリーというわけではないことをあらすじからも。本文からも感じ取っています。
しかし、まったくの刺激がないというのも読者は求めていない。ほのぼのタグはバランスが難しい。詰め過ぎたらほのぼのオーバーで。かといって、要素をうすくするとほのぼの未満となります。
あらすじにある部分から「徐々に育まれるであろう恋心」に期待している人たちがいるでしょう。
2の主人公の特性ゆえに、文章を重ねることで「課題を発生させて、違ったテイスト」の読みどころがあったりもするでしょう。
あらすじは展開次第によっては書き換えていくことになりそうです。
あとは妄想です。
薄目にして御覧ください。
異類婚姻譚ですからね。人間じゃない相手を伴侶とする時のためらいがアロイスには存在するでしょうし。周囲の反対もあるかもしれません。それ自体はラブロマンスのエッセンスになります。彼女たちが結ばれるのは決定的なのですから。
アロイスというテライケメンに迫る周囲の女どもがいるかも知れません! 人でない主人公がアロイスを夫として扱うとき。子を求められたとき。果たして彼女はどのような決断をするのでしょうか。
婚姻ということ。血をつなぐということ。そのファンタジー世界においての「結婚」にかかるであろうステータスや風評など。多くの試練が主人公達を襲うことができる設定です。
それは異類婚姻譚という設定ではありますが。愛ゆえに。という理屈で全てを突破できるほどに私達の世の中が単純ではありません。それをどのように描くのか。強い興味を持てる作品です。
大丈夫です。アロイスはテライケメンですから。テライケメンならどうにか突破してくれるでしょう。だって、テライケメンですから。
この記事で興味をおもちになった方は読んでみてください。
あやかし遊郭の居候 ~明治吉原夢幻譚~
カクヨムはUIがスタイリッシュでかっこいいですね。
ジャンルやタグ等の表紙の情報から期待値を図りつつ、本文を触ってみます。
女性向けジャンルにあります。不遇設定のヒロインについてですが。セクシズム的な抑圧に絡む物語が多いと思っています。その予想にアクセルべた踏みのタグとあらすじで怯えています。
その怯えやグロテスクさを緩和し、もふもふ(あやかし)を融合させることで作品の集客を狙っていますね(ゲス顔)!
これらの期待値を元に本文を読みます。
本文の感想
第一話で3000文字弱ですので。この一話で作品としての期待値や魅力を考えるものです。
面白かったです。
そう。面白かったです。だけじゃ、だめなんですよ。この企画は。書き出しとしてどうか。というところを切り込んでいくべきなので。面白いのはいいんですけど。ちゃんと考えます。
テーマというものに対して、非常に誠実な態度で描いている作品です。一般にドアマット系ヒロインとされるものでしょうが御作の千早は「執拗に一人だけ責めに苛まれている」という理不尽な不遇さではありません。
吉原というシステム。
見世に込められた「借金を背負った人間が逃げられなくなる」を描き出しています。
個人を救済の対象としている現代もののドアマットにいくらか触れたことはあるんですが。それはあくまでも「個人」の努力の範疇でどうにかなるものでした。別の新たな庇護者(ヒーロー)との出会いで、女性が救済されるという世界観です。
この作品は「構造的な差別」として醸成されている「吉原」を舞台にしています。それはあらすじにも示されています。
魅力的なヒーローに庇護される。という要素が、狭間の世界にある「見世」にて庇護され、主人公の回復につながるのでしょう。
その際の回復は、千早が自尊心を取り戻し、大きな決意と決断を示せるようになる判断力を養う時間です。冒頭の千早はその環境や、自身の境遇からして「器用」ではあるんですが。その自身を取り巻く環境に「順応」している女性です。その「順応」する力は「吉原」という構造を維持する上で非常に好ましい性質です。
搾取したいのですから。したがってくれる「少女たち」は大人たちが望むものでしょう。
冒頭は逃げ出した千早を示したシーンを示しました。次は時制を巻き戻し、逃げ出すに至るまでの流れを示す描写です。
もふもふがいない!
いや、悪いってわけじゃないですが。集客でね。「あやかし!」「もふもふ!」ときてたので。
まじかよ! ハードなの来たぞ!
と驚きながら読んでいました。
上記の様な、読みをした上である程度テーマを決め打ちして。考えてみます。
この作品は「個人的なスケール」の話ではなくて歴史上実在した「吉原」という「女性を性搾取できる構造的な舞台」を破壊する目的のある作品だと思っています。
その冒頭の千早が「破壊する」といったまでの強烈な思想を見せていませんが。やはり、吉原と明治というのがどうしても「牛馬きりほどき令」を思い出させるネタでした。現状千早はこの「親の借金」という形で借金を背負っています。こことリンクしそうな設定を冒頭にもってきています。
この件で見た時この作品は「女性を取り巻く差別の構造」をテーマとした物語であることを示しています。
娯楽小説において、差別をテーマとした物語は敬遠される向きがあります。
ありますが。それを隠さずに冒頭から「構造的な差別」に絡め取られた千早を描いています。
千早はすでに充分に「その思想」につかってしまっています。だから、その環境をおかしいとも思えないし、抗議も思いつかないレベルです。
そんな彼女が「後先考えずに逃げるべきだ!」と判断し、逃げることを選ぶまでの描写が一話目の3000文字でした。
重い! もふもふを期待した人! かわいい妖を期待した人! 鋭角な右フックをもらったような作品でした。
しかし、癒されるためには傷ついたヒロインを書かねばなりません。スリルを書かねばなりません。その準備段階のような一話です。
その狙いはわかりました。
主人公が最終的に「判断力」を得るためには「搾取されるであろうことを受け入れていた千早」を描くことはとても大事です。読者も「この子は将来的にこのシステムから脱する」ことを感じ取っています。そのプッシュした人物は「寿々お嬢様」です。今後物語にも絡む存在だと思います。
その逃走に至るまでの手際とかから、私は「なにか悪いことかんがえてんじゃないの?」みたいな意地悪な思考で見てしまいますが。そういう意地悪を抜きにして考えます。
寿々お嬢様は教育をうけ、千早を含めて、女性達を取り巻くであろう環境を「かわいそうだ。あわれだ」と気づける「強者」としての振る舞いがあります。
この存在自体が千早の成長(現状の欠点や伸びしろ)を予見させる効果を持っています。
読み物や物語の構造や、成長のモデルというものを充分に感じさせる冒頭でした。
タグについての不安点を出していきます。
あやかし。もふもふ。で興味をもった読者を逃してしまう一話でした。ドアマットを好む読者はページをめくるでしょうが。あやかし、もふもふというこの二点のみで興味を持った読者まで取り込む工夫があればまた「安心感」はあったかもしれません。
私が思いつくのはなんでしょうか。
雑用の一環として、お稲荷様を稲荷神社に祀るという日常があった。とか。逃げ出す時にコミック・リリーフともなりうるような子犬でも引き連れてるとか。テーマに誠実ではあるのですが。読者への「ご褒美」とも言えるような要素をぶら下げてみることが期待感を更に高めたことでしょう。
文字数を増やしたくない。というのであれば、足し算引き算の要領で考えるべきでしょうか。千早の出生にかかる要素を冒頭にもってきているのは「伏線」としての配置であろうかと推測しています。
この伏線にかかる描写をもっと後ろの話題に回して、タグによって期待した人へのサービスシーンを織り込むという優先にしても良かったかもです。
伏線を配置すること自体が「読者の引き」となっていないならば、それは後ろにまわしてもさほど効果を減衰させないと考えます。
愛されのタグについて
千早にそこまでの悲壮感がない描かれ方をしています。
寂しい恋しいと思うことはなかった。これがどうしても「悲壮感」をなくしていて、逃亡自体も「寿々お嬢様」の幇助によって成し得る位です。
このイベントのスタイル自体が彼女の「これから自尊心を取り戻していく」という大きな回復と成長の流れなのですが。
それを汲み取れなかった読者にとっては「あれ? あんまり可愛そうじゃなくない?」と後々の「愛され」に対しての期待感を減衰させたように感じます。
「うるせえ、智子! じゃあ、お前ならどうするんだ!?」
と言われたら。私もよくわからんです。更にもうワンプッシュするでしょうか。寿々お嬢様が意地悪じゃないキャラクターの設定ならば。今後の成長を予想させる。印象的な言葉をもう一つアピールでしょうか。彼女の存在がある種のメッセージではあります。
千早は自分の境遇ゆえに「悲しさも寂しさ」も持たないのです。それを自覚させるような導きの言葉を足すでしょうか。
まあ、色々書きましたが。テーマも決め打ちですし。的外れの場合もあります。全く違った場合は鼻で笑っといてください。
この記事で興味をお持ちになった方は、ぜひお読みになってみてください。
女剣聖に生まれ変わっても公爵令嬢の幸せを望む ~幾多の戦場で英雄と称えられ、銀閃と呼ばれた女剣士の成長物語~
実は智子はなろうでばっかり活動していた人間なので。カクヨムの機能をよく存じ上げていません。
自主企画等にも参加されている作品のようです。そこの企画の読者からの流入も考えて読んでみます。
ファンタジー本棚とあります。ファンタジーの方々のための自主企画のようです。レギュレーションにあるのは次の通り。
この記載から御作は「過激な作品ではない」という情報がでました。
カクヨムってえっちなのあるんですね。存じ上げなかった。
読みあい等の振興を目的とした企画のようですね。大昔のなろうで推奨されていた「感想の返報制」を思い出すものです。
特別なレギュレ-ションはありません。ノンジャンル作品でした。
この企画に参加する方というのはそもそも「活発な活動」をしている人たちが集うものですね。
智子がしているような自主企画をカクヨムというUIが達成できるんですね。智子もカクヨムに参戦してみたくなりました。
この分もレギュレーションは存在しません。
ジャンルやタグを確認してみます。
ファっ! 暴力描写ありますやん。と思いましたが。「過度な」暴力描写ではないということですかね。
タイトルと照合します。
女剣聖に生まれ変わっても公爵令嬢の幸せを望む ~幾多の戦場で英雄と称えられ、銀閃と呼ばれた女剣士の成長物語~
女主人公=女
転生=生まれ変わって
架空戦記、戦術=幾多の戦場
貴族=公爵令嬢
いずれ主人公最強=英雄
成り上がり、成長、剣と魔法=女剣士の成長物語
ある程度、タグと呼応した形でタイトルが記載されていますね。
長文タイトルは作品のジャンルや、期待値を高めてくれる効果的な方法だと思います。
こんな感じの物語だよねぇ。というのを予想できるものです。
あらすじでこのタイトルの期待値から外れない、ものが表紙の情報にあるのか。確認していきます。
すいません! よく分かんなかったです。転生物に詳しくない。というのもあって、フックがよく分かんなかったです。
タイトルとタグから思っていたのは。
誰かが女主人公に転生して、公爵令嬢の幸せを望む。とあるので、キャラクターが二人いるものと考えていたので。転生者の懊悩のセリフなんでしょうか。想定外のところからアッパーがきた感じです。
あらすじを全文引用して、内容を確認します。
なるほど。飲み込めた感じがします。かつて見習い騎士として生活していた前世の記憶(だけど、10年後!)を持つ銀髪の少女フレイヤが主人公であり、10年後に殺されるであろうアンジェリーナの未来を変えることを目的とした物語ですね。
そして、煽り文にあった内容は違うことがおきる。ということからタグにしめしていた。世界線の要素。一種の分岐したパラレルワールドの要素があることを示しています。
ご都合主義のタグがよく分かんなかったんですが。物語上の誤謬や矛盾が起きることを示唆しているのでしょうか。これらの「転生」にかかる理由を設定しないまま進むとか?
そういう要素があります。無視してください。というタグなのでしょうか。
タイトルやあらすじ、タグ等から想像している物語があります。
その「期待した物語」のトーンを示せる本文かどうか。それを今から読んでいきます。
本文
書き出し祭りのレギュレーションである4000文字に収まるように考えてみます。第一話と第二話が4000文字程度です。
第一話は主人公が何者であり、どのような環境にいるのかの描写に入りました。そして、記憶のきっかけとなるアンジェリーナ様をお見かけるすることで記憶を思い出すとともに気絶暗転して、次へ。
少々説明的な描写が続きます。
主人公がどこにいて、どんな環境に包まれているのか。第一話でも家族関係の描写があった。事態の収集や冒険の動機となる記憶を取り戻すためのひと呼吸置いたシーンでした。
個人的な意見だけでいうならば。こういった順当なストーリーは好ましいものですが。それだけじゃ、多分この企画終わらないので色々考えてみます。
感想の作成にあたり、次の書籍を参考にしています。
基本的に最低でも1から4は全部達成するべきと。案内がありました。
御作はその(1)と(2)が不足しているように感じます。
書籍の中でも案内があるんですが。あくまでも「英語圏」のライター向け指南書を、日本で邦訳し出版されたものです。
読者は冒頭を読むだけで「今後、この物語が何が期待できるのか。どのような楽しみを約束してくれるのか?」という部分を冒頭の数ページだけで見極めて、原稿をボツにする。しない。等の編集者の視点から色々と言及がありました。
その中で、冒頭には10の項目があるとされていますが。
物語の形式によってはそれは省かれるものも存在するようです。これはあくまでも英語圏のライターの話です。
ガラパゴス化した「日本語の小説」に完璧に当てはまるものではないと考えてはいます。あくまでも參考程度に。
御作の作品のタイトルとあらすじや、今後予定しているであろうテーマの中で「一番の見どころ」であったり、読者にどんな感情を約束しようとしているのか。
推測ですが。ある程度決め打ちして語ろうと思います。
おそらくこの作品の一番の見どころは「主人公が成長をする」という要素です。
そして、その成長に至る過程を描くことを目的としています。しかし、その歩みはスピード感を持たせることなく、彼女自身の態度を冒頭2話で感じ取っています。
成長のカタルシス。これが本作の魅力であり、見せようとしている要素です。であれば、そこを効果的に見せるためのシーンの配置を冒頭の4000文字で決定する必要があります。
例外的ではありますが。序章でどこまで描こうとしたのか。それを確認するために第三話まで確認しました。
主人公が知っている「今後の展望」等の描写から、前世の主人公が「アンジェリーナ」を助けるための冒険への「障壁」や「予想させるストーリー」のために記憶から情報を引き出しているシーンです。
おおよそ、この三話に至るまでに7500文字ほど使用しています。
序章全てを読み終えてみて、書き出しとして何を狙ったのか。列記してみます。
・主人公の記憶が蘇ること。(転生ものとしてのアピール)
・主人公はどんな環境にいるのか。家族との関係性やメイドとのやり取りを示すことで「どういう身分か。社会的な階層か。バックアップは得られるのか?」という情報を付与しようとしています。人間描くなら、生活環境ですからね。
・記憶の中にある今後の展望を示すことで「これからの10年で起きる」というスケール感の設定。起きるであろう障壁の確認。ここでわざわざ示すというのは、一つの「約束」でもある。おそらく記憶とこれから起きる事件に相違があるのだと思います。
・前世の記憶の中にある「アンジェリーナ」様の描写から彼女を救おうという主人公の動機の設定の説得力を持たせる。
・強くなるための努力を考える。その際に「強くなれる保証」のように自身の出自の設定が開示される。
・自身の成長を決意すること(←これが一番大事なのかも。見どころ)
物語の冒頭には主人公が解決するべき外的な課題(物質的に迫る課題)と内的な課題(精神的な主人公の心の中の課題)を読者に提示する。もしくは材料を示すことが大事と言われています。
今回の序章の場合は次の通り読み解きました。
外的な課題:10年後に起きるであろうアンジェリーナ様の暗殺を止める! そのために強くなる!
内的な課題:不明です。こういったものは外的な課題とリンクしていたりします。深読みをするならば。「私は剣聖フレイヤだから」という安直な理由で強くなれると思い込んでるところは課題として、ピックアップできそうですが。そこを補強するような描写もなかったので。意図していないと思っています。
内的な課題の不在について
この物語を通して、フレイヤとなった主人公は「精神的にどんな成長」を遂げていくのか。それは見えなかったです。というのも、冒頭で主人公に「精神的な欠点」を起因とした物語の展開がないからです。いろんな表現方法やキャラクターがいますが。
例示として。
喧嘩っ早いキャラクターは物語を通して、その性質故に「物語上のイベント」を引き起こすかもしれません。酒場で誰かと喧嘩するかも。喧嘩した挙げ句、相手を怪我させてしまって、賠償金を払うことになって懐が痛むかも。
人を頼ることに臆病で、問題を抱え込んでしまうキャラクターの性質があればそれを理由に、仲間や友人達と軋轢が生まれるかも。
彼女は今後、剣聖フレイヤになるために「多くの修行」をこなすでしょう。その修業をこなしていく上で彼女にはどんな問題があるんでしょうか(連載もされているようなので、そこもつど描いているでしょうが。その声質をもっと早めにだしてよかったと思います)。
慢心しているのか。謙虚なのか。知的なのか。感覚的なのか。
冒頭でフレイヤを取り囲む家族の環境はわかりますが。彼女は何を抱えているのか。
現在、少女フレイヤという人物の精神的な欠点が見えません。
成長をテーマとしているのであれば、冒頭にそれを見せないのは勿体なかったと思います。
私の中の読後感として「この少女フレイヤ」というキャラクターがまだ見えてこなかった。何を悔しく思っていたのか。それがわかるのが6000文字を超えたあたりです。
ということから、一つの案を申し上げます。
少女フレイヤの「精神的な課題」をもっと早めにアピールするために。前世の死にゆくシーンから始める。アクションでありながら、世界観の提示につながるものです。もちろんアンジェリーナは相応の年齢で描かれます。
そして、死にゆく騎士のシーンが暗転したあと。
転生したフレイヤのシーンへ至ること。
この流れを通すことで、文字を圧縮しつつ「幼いアンジェリーナ」との出会いという「10年前に戻ってる!!!」という驚きで冒頭を3000文字から4000文字で畳めるんじゃないでしょうか。
10年前に戻っている。というのも「設定」で知るんじゃなくて。絵で知りたかったように思います。
正直に申し上げるなら。現状は「この設定で動かしたい大好きなキャラ!」がいて、その説明をさせてしまってる。それはやはり序章において決定的なシーンだったと思います。
読者は「説明」を読みたいのではなくて、動きのあるシーンを見たいのです。
動きのあるアクションのなかで「ヴィジュアルによって設定が見えてくる」ような描写を序盤に重ねることが「読者の興味をつかんだまま」はなさないでいられたと思います。
冒頭に見習い騎士の死亡に伴う。悔しさだったり。力を渇望する願いだったり。それをどれだけ書くか。そのことから読者は期待します。「このあと、転生して! 強くなるんやろ!?」
強くなること。というのは前世の死とリンクさせた上で、転生先に「意味があるような」配置をすることが「神話の法則上」の「復活」に該当するものです。
力が及ばなかった見習い騎士は転生して、その時の雪辱を晴らすことができる。という最高の施しが与えられています。
であればこそ。冒頭はその「くやしさ」をアピールできるように。第三話の回想による「死のモノローグ」ではなくて、冒頭から「死にゆく騎士」を描くことで「転生もの」であることの期待を回収しつつ、作品に示されている「成長」の要素を大きくアピールできたのではないでしょうか。
今、私はこの作品を『成長』が主軸のテーマであり、読者に与えようというカタルシスなのだと決め打ちして語りました。
もちろん違う場合もあるでしょう。その時は「こいつ何いってんだ?」とでも思っていてください。
まとめます。
御作は
(1)きっかけとなる出来事。前世の死亡シーンがかなり後半に示されます。この時の事件こそが全ての課題への動機であり、フレイヤが剣聖として志す理由です。記憶を取り戻すシーンは「お約束」のシーンなだけであって、フレイヤがその決意をするに至るもっとも重要なシーンは前世であろうかと思います。
(2)核心の問題(内的な課題ですね)
きっかけとなる出来事を描けば、この要素は「自然」と埋まります。主人公は「剣聖フレイヤだから強いのか?」「かつての記憶があるから強いのか?」いつか、その決断を迫られるシーンが今後の連載や修行のシーンで問われるのではないでしょうか?
テンプレートというのは奥深いですね。人々が踏襲するに足る奥深い物語としての構造上の力があります。
それを存分に引き出すにはちょっと足りなかった配置だったように私は捉えました。
以上です。
この記事をよんで、作品に興味をお持ちになった方はぜひご覧になってみてください。設定の量は膨大で、今後の広がりを約束してくれる厚みはあると思います。
『龍娘アデレードの行商旅行記』
小説投稿サイトって色々あるんですね。
ノベルアップ+で掲載されている作品です。色々探し回って作品情報を見つけました。
異世界ファンタジーのジャンルで、ハイファンタジーであることを示しています。
このハイファンタジーのイメージは様々でしょうが。ローファンとは違うテイストの「異世界」であることを期待させます。しかしこれは「異世界を舞台にしている」というだけで、ハイファンタジーという区分けも存在するタグであることが厄介です。
作品のテイストについて「幻想小説」というタグを示しました。
幻想小説の言葉の意味を取りかねたので。調べました。
文学や文芸にかかりそうな筆致を思わせるタグです。
さらに注目したいのは HJ大賞2021後期 のタグです。
ノンジャンルを謳っている応募要項ですが。サイトの表示を見る限り。エンターテインメント(娯楽)作品及びキャラクター作品を募集しているようです。
翻って、最近のHJの刊行小説等を眺めてみました。
注目したいのは新シリーズとして銘打たれた作品です。
異世界→異世界での転生もの。
久しく手にとっていないVRMMOものでした。
HJのラインナップを確認する限り、なろうライクのようなお手軽転生のようなものではなく。ジャンルとしての要素を取り入れつつの娯楽作品を求めている様子です。
HJ文庫に「幻想小説」という形での懐はあるのか。調べました。
ありました。さらにすごいのが。既刊28巻まで出ています。内容はローファンタジーであるようなので、御作の行商の旅もの。はカテゴリーとして食らいつく余地は充分にありそうです。
さて、これらのコンテストの要素から考えるに。
娯楽小説であること。キャラクターの魅力に富んでいること。
この二つの要素を押し出した作品であると注目を得られそうです。一般的なWEB小説のように「スピード感や快感を約束できるような作品が求められる」中、幻想小説をどのようにアプローチするのか。
といった期待のもと。あらすじを確認します。
あらすじ
娯楽小説やキャラクター小説。という要素で見た時、興味を引いたのは「膨張し続ける世界」の設定がちら見せ。龍族の娘アデレードが主人公であることを示しています。
「人の物語」としての期待があります。
どういった主人公のタイプなのか。それは本文を待つ必要がありそうです。
特色ある街や風景を売りとしていることも伺えます。タグにもあったように「街から街へ行商の旅」とあるので、街ごとに切り出していくテーマを内包していると期待もしています。
本文の感想
そうきましたか。
旅行記とあるので、彼女自身が「一人称」の視点で記述を残していくというものです。
あらすじにも示されていた「語り部の街」を回収する一話です。
冒頭の一話というのは「全体の縮図」とも言えるシーンであり、この物語が何を約束するのか。トーンやムードを示す冒頭になります。
一人称視点で異世界を描くこと。かなりハードルが高い筆致です。私も基本的に「一人称」による描写を意識している書き手ですが。一人称による書き手の「制限」があります。
私達、現代人にとって珍しいであろう物事や建物、事象への描写の態度が「ハイファンタジーの住人」と乖離します。
娯楽小説及びキャラクター小説を期待されている作品として考えた時、キャラクター小説として見るならば一人称の作品は「精神的な課題」を描くのに非常に有効な方法ですが。
おそらく、この作品はあらすじにも示されていたように「ハイファンタジー世界」を「アデレード」がメモを残すような筆致で書かれています。
それは彼女が記録しておこうと思う出来事や、思い出などです。
行商人としての帳簿自体はもちろん別に執っているのでしょうから。本当に個人的なメモであったり、プライベートなメモを私達は読んでいます。
作品自体がそのような姿勢であるため。アデレードにとって特筆すべきでないことは「描写」されることがないのです。
そして、その読みや姿勢は正しかったと思います。
一話の作品の描写の数々は「語り部」の言葉を借りて、世界観や人々が「世界をどのように捉えているのか」という一つの信仰(私達が地球を丸いと知っているように)の形を示しました。
人間が人間を捉える時、そこは見目形だけでなく、その世界のモラルであったり、人々の営み、行政的な機能等から「文明的な異世界」を感じ取ります。
私は当初この作品を「人の物語」だと思っていましたが。冒頭で示された要素や描写の特徴から考えました。
この作品は「場所の物語」です。亜流ではあるんですが。スケールの大きな「場所の物語」でした。
そして、それはあらすじにも示されていたことを思い出します。
なるほど。こういうのが幻想小説の分野の作品なのですね。
HJ小説大賞やハイファンタジーというタグでやってきた人は「めっちゃかわいいキャラがらんらん歩くのだ!」といった期待のもと開いた人たちを取り込めるか。というと、少々難しいでしょうか。
キャラクター小説を期待していた人は「アデレード」が何者であるのか。どんな姿なのか。世界でどんな立ち位置にいるのか。そういった「アデレード」のことを知りたがっていたでしょう。
しかし、アデレードのことを紹介するような文章は書けないのがこの作品のムードなんです。だって、旅行記に自分の自己紹介なんて恥ずかしくて書けませんよ!
読み物としてとてもおもしろい作品です。彼女の視点で街ごとにテーマを切り取っていく。モデルを示しました。
ルナトゥーク。という世界が主人公である。ということを読者が汲み取り、それに興味をもった方は続けて読んでいくと思います。
『場所の物語』という性質にあったとしても、この世界を共に歩くアデレードのこと(顔つき、肌、服装、身なり、社会的な身分のあれそれ)などを序盤で確定させるような描写上の工夫(一人称のメモという設定を崩さない範囲ですが。この描写の視座は旅行記としての条件でもあるので。塩梅が難しいですけど)、を一話で見せつけることができれば、HJ小説や一般的な「ハイファンタジー」を期待した読者をもぎ取れると思います。
出版社や私達読者はいつもつねに「新しい市場」を求めています。ハイファンタジーという世界観を描いていく時。どこから描いていくのか。世界観は共有できるのか。共有せずに構築するか。御作の場合は構築をしています。
御作を読みながら、ゲド戦記の著者『アーシュラ・K・ル=グウィン』を連想しました。
彼女の描く世界観は土地から、風土から、人々がその土地に根付き、信じたもの。身近な神々。秘匿とされる魔術や。排他的な学院。漁師村のゲド少年。
匂い立つような異世界の描写から入るものでした。
それは彼女自身が人類学の博士号の取得者でもあることは大きな影響を与えているでしょう。
彼女の来歴を一部引用します。
文化人類学者の父と母を持つ彼女の「人間の捉え方」に影響を与えなかったはずがありません。
文体や、描写は「今まで何を見てきたか。何をキャラクターとして捉えたか」の蓄積です。
それを変えることは容易ではありません。御作の視座は完成されたものがあります。
御作もその「人」についての描き方で似たようなものを感じています。世界の捉え方についてです。
新しいライトノベルを提供できるのは世界の捉え方の「ニューモデル」を示せる作品だと思います。
もしも、HJのようなライトノベル分野で活躍を目指しているのであれば。キャラクター小説としての側面を取り入れるなどの手心や工夫の必要があろうかとおもいます。現状の描き方でも「世界から」入るというモデルを示せています。力のある作品だと思いました。
冒頭から感じた感想はこの通りでしょうか。
的はずれなこと申していたならば、お許しください。
この記事を読んで、作品に興味をおもちになった方はぜひとも一読してみてほしい作品です。没入感があるものでした。
『追放殿下は隣国で、じきに素性がバレちゃいます?! ~国の未来はもう背負わない。だってただの冒険者だし~』
タイトル及びタグからの期待
タグにもあるように、キツネ耳少女ともふもふが繋がります。
王城デビューという言葉から貴族とも。
三角関係という文言から恋愛も想定。
擬似親子? という言葉から少女からの一方的な思慕をイメージしました。親子とあるので、一回り以上の年の差。ヒーローからヒロインへの恋慕であれば、ちょっとターゲットを選びそうな作品になります。なので、少女から大人のヒーロへの憧れをイメージです。
これらをイメージしつつ、あらすじを読みます。
あらすじからの期待
WEB小説というものは、あらすじが頻繁に変わるので全文引用とします。
タイトルとタグ、コメントから期待していたストーリーをあらすじで確認しました。
期待に相違ない、設定であろうかと思います。そして、この作品がシリーズを通して3つ目であることをあらすじのコメントからも理解しました。
本文の感想
1話と2話でもって4000文字程度とあります。2話まで確認しました。
良い構成だと思いました。あらすじに示していた「物語の始まりを動きのあるもの」とすることで、主人公のアルドが「何者であるのか」という来歴もわかるように情報が整理されています。
どうして、追われているのか。それ自体はまだ明かされていませんが。フルメイルの集団に追われたら「厄介事そうだから」逃げるという判断を行う位には真っ当なキャラクターのようです。
ある程度、キャラクターの行動によってその人物の「思想や思考」がわかる描写でよかったです。
この主人公は面倒事を穏当に避けようとする人物であること。
ヒロインはこの状況においても主人公への信頼を失わず(能天気なのかも!?)に過ごせる関係性であることが推察できました。
逃げる最中に人々への挨拶等から「彼らがこの街になじんでいること」など集団に属している主人公であることも示しています。
読者が初見のときに知りたい情報のおおよそを、丁寧に拾い上げた一話です。
初見時においては、過去の誘拐であったり、という知りようがない事件についても触れていましたが。続く二話まで確認すればそう困るものでもなかったです。
そして、次は敵対者である人々の追跡についても、詠唱という言葉があるように「魔法」がある世界観であることを理解させました。
アクションやイベントの中で世界観が提示されるものでした。
なにより、一番大事なのはヒロインの存在感が一話でも充分に示しています。人々に手をふる。敵対者への興味。多くのことへの感度が高く、言葉にするキャラクターのようです。
そして、ただ無神経なのだろうか。と思えば、主人公の指示には瞬時にオーバーとまで言える態度で応じます。
何気ない2000文字というシーンのなかでも、キャラクター達の行動原理が充分に確認できる一話でした。
覚えておきたいシーンとしては。二話においての「恩恵」のスキルというものについての取り扱いの話題でした。
冒頭にこのスキルの訓練を交えることは今後の展開において「重要局面」においてこの能力が何かしら発揮する。というアピールです。
あわせて、随所にある「この子」という文言から「なるほど、これが疑似親子関係か」というように感じました。
現状まだ二話なので「クイナ」というヒロインが「恋愛要素」としての能力を発揮するのは「遠い将来なのだろうか」という位の描写です。
しかし、この関係性を揺るがしかねない要素として「三角関係」という言葉があったのを智子はよく覚えています。
今後、この主要な人物達の間に「クイナ」が不安にさせる存在が登場するのだろう。と期待して、二話を読み終えることができました。
初見で思ったところはこれくらいでしょうか。充分に描写や、アクションに情報が載っている作品です。
「二人はどこにいて、どのような評価を受けている」これらを描写するのは町の人々の表情であったり、やりとりであったりと過不足ないもので良かったです。
タイトルとあらすじから、はずれない期待感を約束した書き出しでした。
なにか、ケチつけられるところないかな。と思いましたがけど。二話の「トレーニング」のシーンを見た時に「ああ、ちゃんと物語してんぞ。期待値の伏線を撒いてる!」と思いながら読めました。
シリーズ1、シリーズ2を通して、両者は何かしらの成長を示した。なにかしらの信頼を醸成した上での描写なのでしょうか。シリーズ1のクイナはどんなもんだったでしょうか。
充分にシリーズへの誘引がある書き出しでした。参考になったなら幸いです。
以上です。
かわいいケモっ子ヒロインを約束してくれる作品です。興味がある方はご覧になってみてください。
『貴方の色はなんですか? 私、赤色を持っています。』
書き出し祭りとは趣の違う。読み方になります。というのもこの作品が「第2回ボカコレ×魔法のiらんど 小説コンテスト」に参加する作品であり、闇部門への応募作品であることを考慮したいと思います。
私達が何かしらの作品にふれるとき、それはタイトルとあらすじだけではない。本屋にある本を選ぶ時。タイトルとあらすじの前に。私達は書店員のPOPを見るかもしれません。その時のアオリ文はどのようなものでしょうか? イチオシの「泣ける小説!」「どんでん返し!」など、その小説を売るための情報があるでしょう。見どころを伝えるための情報があります。
サブスクリプションモデルの動画サイト(アマゾンプライムとかHULUとか)であれば、サムネイル画面の横に小さなあらすじがあるかも。ジャンル訳があるかもしれません。
闇部門の審査員としてjon-YAKITORY氏が招かれているようです。
そして、このコンテストの最大の目玉は受賞作を元に楽曲の製作を行うことでしょう。
であれば、作品の選考及び読者の選好においても「闇部門」のイメージ想起と、jon-YAKITORY氏の楽曲のカテゴリを狙い撃ちしたものになってくるでしょう。久しぶりにニコニコ動画を開きました。懐かしい気持ちでいっぱいです。
上記で示したレギュレーションをもとに当該作を見ていきます。
タイトル及びあらすじ、表紙、作者のコメントからの期待
タイトルやジャンル。タグが設定できるサイトのようです。
あらすじにはデスゲームであることが示されています。闇部門のレギュレーションにも示されていた「傷」という要素とも親和性が高い「いじめの被害者」である深月詩織というヒロインの登場を示唆しています。
傷を負った人は、傷を回復することが物語では期待されるものですが。この作品は「バッドエンド」を謳っています。読者はわかっているんです。「バッドエンドになるつもり」で読むのです。
じゃあ、その「バッドエンドになるための流れ」を予想させる書き出しであることが望まれるでしょう。
注意事項があることは一つの「期待」にもなります。ひどく陰惨なシーンが流れるだろうという暗い期待が作品にやどります。
本文の感想
あらすじにも示されていたデスゲームであること。を解説する一人称の描写から始まります。デスゲームというのはそういうものです。その「特異な世界観」に置かれた人物達がどのようなドラマを起こすのか。「世界のルール」や「あらすじで示されていたヒロイン」との出会い等を描いていきます。
この作品が「書籍」であるとか、なろうであるとか、文字数のあるページに耐える事ができるUIのサイトであればまた違う切り口があったように思います。
現状はスピード感を求めて「世界のルールやムード」を急いで説明しているシーンです。
「魔法のiらんど」というサイト自体が、ガラケー時代のケータイ小説の系譜をもつ「短い文字数」で遷移させていくサイトです。
長くても2000文字。一息で読ませる。そういう超短距離走のサイトです。4000文字であれば、ホットスタートからとびだせますが。もっと短い文字数で「誰が主人公で、誰がひどい目にあうのか」ということをわからせる必要があります。
そして、その選択をした本文です。
世界のルールを示し。その世界のスリルを示しました。
その「蘇生をかけて戦う」というデスゲームに投じられた世界は「目的」を持った環境です。
物語の目的も示している。
そして、その「目的」に躍起になっていない。倦怠感に溢れた主人公とヒロインに描写が集まります。
このけだるげな二人はお互いのことを話します。彼女が「自殺」をした結果このデスゲームに取り込まれた(あらすじでも示しましたね)ことの情報が開示されました。
書き出し祭りという企画から、智子はいくらか学んだことがあります。
タイトルとあらすじ以上の情報を本文で示して、読者の興味を引くことです。
その効果をもたせたものを3点あげます。
・デスゲームの「報酬」が「蘇生」であること。
これは物語の目的ともなりうる「神話の法則」においても「最大の試練を乗り越えたあと報酬」のシーンともなりえるものです。
・デスゲームのルールが「決闘」や「暗殺」等の「物語上のギミック」ともなること。
デスゲームといっても、様々ありますから。デスゲームを好むユーザーのための選好情報ですね。
・主人公自身が「蘇生」を望んでいないこと。
一番のフックだったと思います。バッドエンドを約束する物語であり、蘇生を望まない主人公が開示されています。蘇生を望んでいない主人公が蘇生をさせられる。というのがバッドエンドですよ。物語の最後に飲む、彼女の血は甘いですか?(バッドエンドに引き寄せられてます)
タイトルとあらすじの情報を示して、その材料が「バッドエンド」を約束していくタイプの情報でした。
書き出し祭りとかであれば、残り2000文字でさらに導入部分を描いたりなどするのでしょうが。それはこのサイトですから。これが最適解だったように思います。
なにか、他に切り口があるものでしょうか。
もう少し、さらに「読者の期待」として考えた時「注意事項にあったような」陰惨なシーンを感じさせる描写があれば、期待感を高められたかもしれません。
読者は暗い欲望を持って、あなたの作品を読みにきている。それをあおるつもりはなくとも、コメントには期待していたでしょう。
でも、2000文字でそこの描写までかけますかね。血溜まりの中に腰掛けてるヒロインとか。ビジュアルで攻めるなどで「予感」を表すなどの方法もあったかもしれません。
デスゲームであるのです。デスゲームをやるシーンは描けなくても、血の匂いを感じる描写は差し込むこともできたかも。
以上です。
この感想から作品に興味をお持ちになった方は紹介する作品を読みに行ってみてください。作者の方もお喜びになるはずです。
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