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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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第二十二回 書き出し祭り 第二会場 の感想

表題の通りです。

あいさつ

 こんにちは、智子です。暑い日だったり涼しい日が並んだりと、忙しい気温です。乱高下する気温に抵抗するには。抵抗力です。抵抗力を高めるためにヨーグルト等の発酵食品や、バナナの摂取を推奨されています。智子の家の冷蔵庫にはバナナがぎっしりです。
 黒ずみはじめたバナナの主張が激しくなってきました。
 皆さんいかがお過ごしですか。智子は元気です。


記事について

 書き出し祭りという企画に掲載されてる作品の感想をご用意しています。一〇〇人の書き手の方が集まって「匿名で物語の書き出しの面白さを競う」といった企画です。

 詳しい説明は主催者の「書き出し祭り事務局」様の概要を御覧ください。


扉絵について

 今回も月猫さんのサイトからです。いつもありがとうございます。


感想について

 智子は基本的に「エンタメ」を読んだり、書いたりしています。
 いつもならば。読んで、一通りの感想をご用意する。といった形でしていたんですが。今回もちょっとやり方を変えてみます。
 感想を配信します。
 というのも、音声による配信は「読み手の生の反応」が返ってくるコンテンツではあります。
 それが良いか悪いかはわからんですが。「意味が通りづらい文面であったり、読者がどこで詰まったのか」というのは、一応音声で残しておこうと思ったからです。
 さらには感想を残すために一通りは読むことになるわけですから、配信も含めてコンテンツとなるならば、書き出し祭りについての盛り上げに寄与するか。とも考えました。

 でも、スペースのログを聞く人ってのも、本人くらいしかなかろうとは思いますが。

 お試しってやつですな。

1:スペース機能で感想を配信します。

 なお、その配信時に感想の記事を残していく。という一挙の作業にしようと思っています。なので、一つの作品に対して残す感想や時間はおおよそ30分程度でしょうか。なので、長尺になるとは思いますし、退屈なものだとは思うのでログを残しておきます。

2:感想を書き終えたら、記事を公開します。

3:感想の依頼等があれば、感想を追記します。

 感想のおかわりシステムです。

『会場番号-付番 作品タイトル』

 を明記の上、感想依頼を投げてください。あれはどうなん? これはどうなん? みたいな、感じで質問等もあれば。感想が書きやすいですね。なにか疑問点等あれば含めて、感想依頼を投げてみてください。

感想作成のテンプレート

 感想を作成するにあたって、次の項目をチェックしながら書き出しの序盤を考えてみます。ジャンル等によって、埋め方は違いはあるんでしょうが。基本的に「エンタメ作品」の文脈ならば、これらを埋めたほうが面白くはなるよね。という考えからこの項目でみていきます。

主人公   :その作品の主人公はだれであるのか?
主人公の能力:主人公はどのような能力や特性をもって、課題に対応するのか?
世界観   :その作品のジャンルやムードを確定できる情報はあったか?
異変・事件 :物語が動き出すためのトラブルは確認できたか?
問題・課題 :異変や事件をきっかけとし、物語全体のテーマや。主人公が乗り越えるべき課題などは示されているか?
決意・覚悟 :上記の異変や事件に対して、主人公が決意や覚悟等を示せたか?
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):世界観とも類似する要素であるが。作品をどのように楽しむのか? それを読者に提示できたか?

主人公   :
主人公の能力:
世界観   :
異変・事件 :
問題・課題 :
決意・覚悟 :
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):

感想の構成について

 一部記事の内容が重複するのですが。先日公開した「タイトルあらすじ感想」も含めて、感想の中に並べていきます。

サイトURL

第二十二回 書き出し祭り 第二会場

感想一覧

2-01 世界を救った勇者パーティは廃棄処分となりました

タイトル感想

 物騒ですね。勇者パーティとあるのでゲームライクな作品世界。勇者はどこの作品でも最後は冷遇されてますね。強く生きて欲しい。

タイトルから予想するターゲット

 ゲームライクなファンタジー作品を好む人達でしょう。一定の供給がありつづけるジャンルの作品ですよね。

タイトルあらすじ感想

 気になる所で。引きですね。あらすじだけでは「作品のテイストや作品の魅力」は見えない状態です。むしろ見せないようにしているんでしょうね。引きとしての要素であろうかと思います。
 
 暗殺されるのか。暗殺をはねのけて「何を決意」するのか。まで本文で示しそうです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 タイトルでも予想した通りの「ゲームライクな世界観」を共有できる読者たちをターゲットにした作品ですね。

本文感想

主人公   :勇者(アキくん)
主人公の能力:卓越した技能を持つ冒険者(勇者等は王国側の後付)
世界観   :ゲームライクファンタジーの世界観。
異変・事件 :宿屋での毒殺未遂
問題・課題 :王国騎士団を含めての暗殺等の物理的な障壁
決意・覚悟 :マリンとの約束を果たす。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):それぞれのキャラクターにフォーカスした作品構成であるように期待しました。

 感想としては、タイトルとあらすじで期待していた読後感を満たしはした作品でした。続きがあるとしたら、それぞれの3グループにフォーカスした作品になるのだと予想します。
 
 教会に戻った僧侶。
 親の仕事のあとを継ぐ剣士。
 勇者と添い遂げようとするヒロイン。
 
 の三つが「袂を分かつ」というシーンではあるんですが。今後の展開で「王国騎士団」からの追っ手がある。ないし、また別の敵対者が存在する。など、次のシーンでまた「新たなセットアップ」が必要な情報量には見えてしまったので、読後感としては「短編だったのかも」くらいにとどまってしまった印象の作品でした。

 感想は以上です。


2-02 無職最強伝説〜現代社会に冒険という生き方が増えたなら〜

タイトル感想

 無職は最強ではないですよ? 現代社会に冒険。という言葉から。ダンジョンものですかね。以前から書き出し祭りではちょこちょこお見かけするジャンルです。

タイトルから予想するターゲット

 ダンジョンものであるならば、基本的には「男性向け」作品のそれであるんですが。無職のパーソナリティが見えないですね。男性なのか。女性なのか。

タイトルあらすじ感想

 意外や意外。女性主人公でした。ほう。私がこのジャンルに対して、流行を測りかねている可能性もありますが。女性主人公で「現代ダンジョンもの」では珍しいと思っています。
 どういったカタルシスを提供する予定なんでしょうか。
 チート能力がどのような恩恵をカノジョに与えるのか。本文を待ちたいです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 わからんです。意欲作なのかもしれません。基本的には「ダンジョンもの」の多くは「男性向け読者」のジャンルではあったので。女性主人公が「成り上がっていく」という作品構成の時に、性別を問わないタイプのカタルシスを提供できるんでしょうか。注目したい作品です。

本文感想

主人公   :私 井伊 杏(一人称)
主人公の能力:「習得したい技能を持った方と同じパーティに入り迷宮を探索していると習得できます」というスキルを習得する×「推定ロリババアな神様的なナニカ」が与える力(まだ不明)
世界観   :現代ダンジョンもの。スキルライク。女性主人公もの。
異変・事件 :【無職】としての判定を受ける。
問題・課題 :不明(今後、設定し直していくのではないか?)
決意・覚悟 :不明(あらすじでは「稼ぐ」とあるので、金銭的なカタルシス)が予想される)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):現代ダンジョンもの。ステータス等を交えた「ゲームライク」なシステムラインで、成長を可視化していく作品。主人公をサポートしてくれるヒーロー。等の提示による「カップリング」としての楽しみ方(サブテーマ的)。

 感想としては「面白い」んですが。それは「語り」としての力や、キャラクターとしての推進力である所は大きい作品だと思います。

 本文全体として見るならば「舞台装置」や「主人公が受けた判定」にかかる諸々のリアクション等のシーンに終始するのですが。
 
 最後の「ロリババア的なにか」の登場によって「さらにもう一段飛躍する」という期待感で引きとなりました。
 
 この要素は「ダンジョンもの。チートもの」を嗜好し、圧倒的な成長や、金銭的な成功を期待する読者層に訴求した演出や構成だと思います。

 書き出しで必要とされる「届くべき読者に届く」作品ですね。
 
 感想は以上です。


2-03 少子化対策はセクシーに

タイトル感想

 どっかの政治家がよぎりました。いるんですか。

タイトルから予想するターゲット

 少子化対策とかを触れるので、政治的なメッセージのある作品ですかね。いやでも、少子化対策という文言からそのプロセスにある「セックス」への期待値をもたせるとして、男性向け作品とかでしょうか。女性向けだったら「能動的なエロ」としての「エロティカの文脈」ですか。どっちなんでしょうか。

タイトルあらすじ感想

 いやあ。これは。えっちぃぞ!?
 まるでこの文脈だけみるならばですが。エロ漫画の導入っぽさがあります。大丈夫ですか? 本当になろうに掲載できます?

タイトルあらすじから予想するターゲット

 セクシャルな展開を期待する読者達に向けた作品ではあろうかと思います。政治的なメッセージに強い感銘を受けて、読みに来る読者は少数派じゃないですかね。みんな、ちょっとエッチかもしれない作品大好きですよね。これで本当に「えっちぃ」作品だったらだったで、満足感はあるんですが。なにか、度肝を抜くギミックがありそうで。期待しています。

本文感想

主人公   :アンドロイド A-18
主人公の能力:不明
世界観   :異世界召喚もの。SFのアンドロイドが暴れる作品。
異変・事件 :不明
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):推測に推測を重ねて、アンドロイドが異世界召喚に応じる話。アンドロイドだからできるとんでもない解決法なんかを期待します。

 感想としては。もうちょっと読みたい話でした。
 というのも、このアンドロイドが「どのようにセクシー」に物語を展開してくれるのか。
 日本政府公認少子化対策アンドロイドとあるので「代わりに召喚される」というだけではなくて、もっととんでもないネタを引っ提げてくれるんじゃないか。異世界で暴れてくれるんじゃないか。という期待感は高いですよね。
 だって、わざわざ。女性の姿のアンドロイドを準備している。というのも、邪推してしまうところです。
 
 とは申していますが。現状としては「独自性のある世界観」として、勝負を仕掛けているのは十分にわかりつつも「どんな作品になるのか? どんな活躍をするのか?」という部分はまだ見えてこない作品でした。

 なろうライクの文脈で作られる作品は「エンタメ」としては「今後の展開」や「ムード」を早く確定されることを強く求められると思います。その点で言うならば、情報はまだ不足している作品です。だけど「セクシャルな期待」をしているので、智子は続きがあれば「めくってみよう」とはなる十分な引きはありました。

 だって、アンドロイドが「女型」なんですよ。もうね?
 
 感想は以上です。

2-04 僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

タイトル感想

 ボクっ娘であれば。異性愛。僕が男性であればBLですね。わざわざ(♂)とするので、BL的な訴求をイメージしています。

タイトルから予想するターゲット

 BL読者ではないんですかね。

タイトルあらすじ感想

 タイトルでも示していた通りの、BL展開でした。ガチガチのBLってわけじゃなくて、受けと思われる主人公が「女性的な容姿」をしている。というカップリングとしての情報も提示されています。
 がっちり。内心や躊躇いまで含めて、懊悩を描くタイプではなくて。もっとエンタメに寄せた。コミカルなムードの作品であると思います。
 異世界でBLをするって、一つの舞台装置の組み方次第でメッセージ変わりそうですよね。
 
 現代を舞台にして「男性同士」の恋愛を「禁断」とか表現すると「時代にそぐわない」とかいって、修正を余儀なくされる時代であるので、異世界を舞台にする。というのは、一つの創作界隈の回答のようにも思います。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 BL読者ですよ。前回かな。前々回ですかね。そこそこBL作品あったんですよね。その流れの一つだとは思います。

本文感想

主人公   :僕 エリオット・ハワード(一人称)
主人公の能力:「優秀ではないけど、学園で経済や地理、法律を学び、領地経営についてノルマン子爵から教わってきた」実績がある。(あらすじを見るに、ハーブティーと刺繍に特別な力があるらしい)
世界観   :異世界恋愛の世界観で「BL」を展開している。
異変・事件 :婚約破棄
問題・課題 :不明(男性を対象に思慕の情を抱くことへの葛藤)
決意・覚悟 :不明(あと、本文を数話程度で明らかになる?)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):BLの「主人公の葛藤含み」のラブロマンスを期待すること。前半の婚約破棄にかかる描写やあらすじにある「力」の話題などから「ざまぁ」に関する要素も期待される。

 感想としては。もうちょっと先読みたかったかもです。というのも、こういう「異世界恋愛」に近い舞台装置で展開される作品なので「ヒーロー」の様子までみて、読み続けるかどうかの判断もされそうだからです。

 しかし、この判断については。
 舞台装置自体が「異世界恋愛の追放ざまぁ」の構成をそっくりそのまま「女性を男性」に変えている作品であるから感じているだけです。
 読後感としても「NLの異世界恋愛」に近いもので捉えています。BLのジャンル読者がこの「スピード感」を求めている。というのであれば、全然問題ないとは思います。

 異世界恋愛の舞台装置で「BL」をしている作品世界です。ジャンルとして「異世界恋愛の異性愛」ジャンルと比べると、供給自体が少ないものなので、BLに強い嗜好を持つ読者達であれば、なんら問題なく続きを求める作品だとは思いました。

 感想は以上です。

2-05 極限異形大戦―この物語に『主人公』はまだいない

タイトル感想

 大戦。とかきくと、スケールの大きな作品のようにも感じます。どっかんどっかん戦うみたいな。

タイトルから予想するターゲット

 巨大怪獣が登場する。街が踏み荒らされる! 怪獣映画を好む人達が殺到する作品でしょう!

タイトルあらすじ感想

 ちがった。全然違った。ファンタジー世界のあらすじでした。トーナメント形式の勝ち上がるバトルものってことですね。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 タイトルあらすじまで読めば「スキル」という文言があることから、なろうライクなファンタジー作品を選好する人達のための作品であることはわかりました。タイトルからは印象ちょっと外しましたね。

本文感想

主人公   :不明(バトルものだし、その都度主人公が切り替わるタイプの作品です)
主人公の能力:不明(皆、常時のスキルと極限のスキルとあるので、組み合わせや繰り出し方はそれぞれ)
世界観   :ファンタジー世界
異変・事件 :主人公補正を受けていたトラリスオーア王国の主人公の死亡に伴う、新たに主人公を決定するトーナメントの開催。
問題・課題 :強者たちとの血湧き肉躍る戦い!
決意・覚悟 :主人公になる!(主人公補正という報酬がまだ良くわからんですが)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):各国を代表する戦士たちが、しのぎを削って戦いあう「バトルもの」としての側面。似たような類例作品としては「終末のワルキューレ」があるので、類例作品を知っているかどうかで。印象は大幅に変わりそう。

 バトルもの。としての「バトルごとにキャラクター達のバックボーンを整理し、バトルを展開していく」という演出構成を「理解している」読者にとっては、飲み込むことができる序盤の出し方だったと思います。
 
 7人の戦士を登場させて、それぞれの「能力」+(回数に制限のあるスキル)など、戦いについての情報を示したりと、バトルトーナメントへの期待値を高めてきた作品です。
 
 智子は。あれです。キャラがたくさん出てくると覚えられないタイプの読者ではあるので、戦いの前にもう一度注釈が欲しい読者だったりはします。
 
 ちょっと、見た目からして「セクシャル」な期待をもってしまう。ビーの早めの登場をお願いします。
 
 感想は以上です。

2-06 愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を

タイトル感想

 愛しき。という部分からラブロマンスを期待します。冷血宰相とあるので、宰相がヒーローということでしょうか。別れの挨拶なので悲恋を予感しました。

タイトルから予想するターゲット

 女性向けのラブロマンスを好む人々ですね。なおかつ、悲恋を好む人達は食いつくでしょうかね。

タイトルあらすじ感想

 ハッピーエンドかい! 悲恋かと思いましたわ。ハッピーかバッドか。明確に示しておくことって、ラブロマンス作品でけっこう求められる傾向ですよね。だから、タグつけとかもあります。
 
 面白そうですね。ラブロマンスって基本的に「空回り」するものなので、冷血宰相が抱える「結婚に関する」物語自体が、最終的に落ち着くんでしょうけど。読者はその「問題」にこそ興味があります。どのような演出で見せてくれるのでしょうか。
 
 結末がわかってるラブロマンスは強いです。「過程を楽しませる」という約束にほかならないので、安心感があります。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 女性向け作品です。ハッピーエンドのラブロマンスを選好する読者へ届きました。

本文感想

主人公   :コーデリア
主人公の能力:誠実であり、真面目。地方官吏職員として、事務方で働く。
世界観   :異世界恋愛ではあるが。活版印刷や女性たちの社会進出等、一定の「現代」に寄せた形での舞台装置。
異変・事件 :新聞記事で宰相の結婚を知る。
問題・課題 :ヒーローとの再開を阻む諸々の障壁(一度目は使用人)
決意・覚悟 :不明(あらすじ上はハッピーエンドなので、さほど不安ではないです)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ラブロマンスのすれ違い! 王道中の王道。を楽しむ作品です。設定上の「抜き」(ヒーローとヒロインの関係性であったり、ヒーローの結婚騒動にかかる真相であったり)という、ラブロマンスの障壁にかかるもろもろへの興味。

 面白かったです。演出が良かった。という面はあるかもしれません。というのも、こういったラブロマンスに関する作品は「三人称のキャラクター視点」に寄せることで、ある程度の「感情の高ぶり」などを表現していくところはあるんですが。
 
 一番最初の視点を「コーデリアの男性同僚」としている点の演出に「巧みさ」を感じた一作です。
 
 もしも、ヒロインの視点で描いたとしたら「二人の関係性」であったり「ヒロインの葛藤」を描写せざるを得ないので。同僚の視点からとすることで「読者の疑問と同僚の疑問」を一体感を与えました。
 
 この時に「主人公の行動動機」にすら、読者の興味をフォーカスできたこと。
 
 そして、視点を操るうえで、一定の「可読性」を保ちながら、場面変更を繰り返している。
 
 この部分で「演出としての画の動き方」と「読者への(何を興味持って欲しいのか)誘導」が見事でした。
 
 感想は以上です。


2-07 令嬢と悪魔な家令〜いいでしょう。暇つぶしに仕えてさしあげます〜

タイトル感想

 令嬢という文言からファンタジーですかね。悪魔な家令。家令というのが厳密にはわからんですが。執事みたいなイメージですわ。

タイトルから予想するターゲット

 悪魔という言葉から。サディスティックな印象のあるヒーロー像ですよね。女性向けかつ高圧的なヒーローを好むターゲットではないでしょうか。

タイトルあらすじ感想

 おお。本当に悪魔なんですね。悪魔との契約から始まる物語というのはよくある形式ですが。この「非業のヒロイン」がどのように、幸せな結末に向かうのか。そこを楽しむタイプの書き出しでしょう。にタイプのあらすじの演出が二つ並ぶのは。興味深いですね。女性向けラブロマンスは「約束された結末」というのは、強いイメージがあります。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 甘やかされる。という要素もあるので、ちょっと溺愛なども入るんでしょうね。女性向けのターゲット作品だと思います。

本文感想

主人公   :ジョアナリーザ・ロッドリー
主人公の能力:不明(彼女は「悪魔との契約により守られる」という能力がある)
世界観   :異世界恋愛の世界観。悪魔という概念を出すためにも、宗教的な考え方が染み付いた世界観。
異変・事件 :悪魔と契約(ロエルの身体だけど……)
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :

・余命をおばあさんになるまで延ばす。
・危険が迫ったら、当然守る。
・わたしだけに仕える 
・わたしの願いを叶える
・わたしが死んだあとの魂は悪魔の好きにしていい

ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):悪魔が家令として、お仕えして、主人公の願いを次から次へと叶えてくれる。溺愛を作品のメインコンテンツとして据えていること。

 感想としては面白かったです。どうして面白いのか。というのはやはり、色々と考えていきたいところです。

 主人公の目的意識がはっきりしている。
 この部分は強いです。なおかつ、その「願い」というのは「女性向け作品」に求められる「女性から男性(スパダリ)に求める力」のほとんどを悪魔が引き受けているということから、コンテンツとしての「担保する魅力」の安定感が高いです。

 しかし。物語上の「リーダビリティ」となるかどうかは。人それぞれな項目もありました。
 
 というのが。ヒーローと思われていたロエルの存在です。

 ロエルは当初「ヒロインのパートナー」として期待される配置で登場していますが。突然の超常現象を前におたつき、みっともない姿をさらし(かわいそうだけどさ)てしまい、ヒロインからの株価が大暴落しています。
 そのあと、ロエルの体に悪魔が乗り移っているという部分から。読者としては「ロエルどうなったん?」という興味も持てる要素ではあるんですが。

「ロエルかわいそうやな」

 という哀れみの情も持っています。もしも、このまま「ロエル」が「乗っ取られただけ」のままだとするならば「ジョアナリーザ」への「読者のヘイト感情」に意識が向きかねない要素です。
 
 おそらく「そうはならないだろう」と思えるのも、あらすじにある部分です。

悪魔によって明かされる若き家令の秘密とジョアナリーザの余命の真実。

あらすじより

 にあるかと思います。ロエルを物語から退場させるというのであれば、ロエル自身が「ジョアナリーザ」の体調不良の元凶であるとか。ヘイト感情の整理を次の話数で展開するのかも知れませんし。
 
 もしかしたら、ロエル自身も「シェイエーズ」という悪魔の導きによって「スパダリ」的な性質を手に入れるヒーローとしての歩みが存在するのかも知れません。
 
 これは、作品の性質がまったく変わるので、ここの部分をある程度確定的にできるような情報が本文にもあれば、もっと強いリーダビリティになったように思います。
 
 どっちの話になるんでしょうね。
 
 感想としては以上です。

2-08 魔法陣プログラマー~異世界、修理屋として目指すスローライフ~

タイトル感想

 転生か。転移か。プログラマーという文言が、なにかしら主人公の能力として期待できそうな文言です。そして、スローライフということなので、魔法陣を活用したものになるのでしょうか。

タイトルから予想するターゲット

 スローライフものを好む読者層に向けた作品でしょうか。男性か女性かわからんので、スローライフであろうとも。方向性変わってきそうですが。スローライフ愛好読者への作品ですね。

タイトルあらすじ感想

 転移の作品でした。
 おお。スローライフ。というにはちょっと波乱がありそうですが。スローライフを目指す。というわけですから、波乱はあっても仕方ないのか。
 あらすじをよんで、男性向け作品としてのムードが固まりましたね。梗概的なあらすじもスムーズで、作品としての安定感を感じます。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 男性向け作品です。美少女が同棲するなんて! もう、男性向けですよ!

本文感想

主人公   :俺 野々森直人(一人称)
主人公の能力:魔法陣のプログラマーとして改良をすることができる。修理屋としての期待を越える仕事。
世界観   :男性向けの異世界転移もの。ヒロインが早々に登場する。
異変・事件 :監査人の登場
問題・課題 :不明(あらすじにある通りの資格試験に絡むものだったり、VS国家という戦いだったり)
決意・覚悟 :不明(スローライフがしたいんだぁ! みたいな決意は見えてこなかった)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):どちらかという、技術を通して、美少女姉妹(武芸に秀でたものと魔法に秀でたものと)達と、異世界生活を楽しんでいくものと感じました。

 面白かったです。
 
 主人公がすでに「特別な世界」(異世界)に馴染み、すでに「日常」となっている所から、物語が始まっています。
 その日常を変えざるを得ない「無資格」による技術的な改造等の行いによって「次なる舞台」(資格試験のために王都へ向かう)への誘引など。流れるように物語の展開が巧みな作品でした。
 
 智子が「スローライフ」というものを詳しくは知らないので「スローライフ」を期待している読者たちの、望みや、展開としての願いというものをまだ、掴みきれていない所はあります。
 
 智子なりの「スローライフ」のイメージって。マインクラフトとかの「サバイバルクラフトゲーム」等を下にして「何かを作り出す」ことを主軸とし、生活を便利にしていく要素を期待していました。
 これは、どこから引っ張ってきたか。よく覚えていません。しかし、そういうイメージでものを見ていたので「この作品はスローライフなのか?」と問われると、よく分からんです。
 
 王都行くんじゃろ! ってなると。「生活基盤を文明のインフラに頼るんか? いいんか?」という、ちょっとした「スローライフ」への疑念は出てくるところです。
 
 ここが本文で読んでいても分からなかった部分というのが。
 
「本作の定義するスローライフとはこのようなものをいいます」

 といった、メッセージというか。定義づけみたいなものが分からなかった部分はあります。このジャンルがそういうものなんだ。というのであれば、さして気にすることはないと思います。
 
 感想は以上です。

2-09 俺のうかつな一言で、国際パチンカス女子養成所が出来た。でも儲かるから規模拡大

タイトル感想

 パチンカス。パチンコに熱狂的に興じる人々のことを揶揄する言い方ですね。ちなみに私はパチンコはあまり馴染みがないので、よくわからんです。

タイトルから予想するターゲット

 パチンコ遊戯自体に理解があり、それらの主体を「女性」に置き換えるタイプの作品ですよね。ゆるキャン。みたいな組み合わせの一つだとは思います。本質的には男性向け作品としてのムードがありそうです。

タイトルあらすじ感想

 パチンコ雑誌の特集って奴ですね。ルポ形式としてのそれであるならば、やはり「読者」層は、パチンコ遊戯に親しんだ人達向けなんでしょうね。
 面白そうだけど。アメリカの「賭博」って、先住民の「利権」でもあるので、どう切り込んでいくのか。純粋に興味がでました。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 男性向けのジャンルを「材料」を変えることで、間口を広くした作品には感じました。

本文感想

主人公   :俺 鉞 博徒(一人称)
主人公の能力:経営手腕がある(あらすじの時制と本文の時制に開きがあり、彼の約束された成功の過程を見ていくため)
世界観   :現代日本
異変・事件 :副店長就任!(経営のお勉強!)
問題・課題 :留学生のネイティブなアメリカンのお姉さん達とのドタバタコメディを期待!
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):美人な留学生のネイティブなアメリカンのお姉さん達との交流(情報が多い!)。パワフルな店長との楽しい労働時間。拡大していく店舗。など「約束された成功」に関する展開。

 面白かったです。順当に、次のネタ。次のネタといったように、情報がポンポン更新されて、あらすじで示されていた「点」と「点」をつなぐように、情報が開示されていく。この部分は読んでいて気持ちがいい書き方でした。
 
 しかし、この作品の「あらすじ」は物語上の「結果」であったりする所です。舞台装置を整えたりして「面白くなりそう」という期待感を高める部分に注力しているようにも感じます。
 
 実際に、「美人な留学生のネイティブなアメリカンのお姉さん達との交流」という部分が「メインコンテンツ」として機能する要素は期待しているので、二話目、三話目でどんな方々が登場するのか。それ次第で、作品のムードや期待感の方向性は変わってくるようにも思います。
 
 ハーレムをお願いします。ハーレムっぽさが欲しいです。だけど、主人公は理性があるタイプのようにも見えるからラブコメ展開はないですか? うん……ない? ですか。
 
 感想は以上です。


2-10 脇役覚醒者100回目のやり直し(感想依頼あり)

タイトル感想

 やり直しというタイトルから「ループもの」としてのそれでしょうか。脇役ともあるので、男性向け作品のチート覚醒とかでしょうか。

タイトルから予想するターゲット

 男性向け作品。でしょうか。いやでも、ループものって範囲が広いので、どっちのターゲットにもふれてるとは思います。覚醒。チートものっぽさはあります。

タイトルあらすじ感想

 読んだけど。わからんですね。楓のパーソナリティが見えないですね。男性か女性かわからんので、汲み取るのが難しいあらすじだったかも知れません。
 
 世界観としては「現代ダンジョンもの」というには、ダンジョン自体が硬派なので、ローファンタジーとしてのそれなのでしょうか。
 
 生き直している。ということから、数々の課題に対して「経験による知見」を有していること自体がアドバンテージとなっていく構成だとは思いますが。初っ端からアクシデントなので、どのように見せていくんでしょうかね。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 男性向けか。女性向けかもわからんです。現代ダンジョンものに期待される「ゲームライク」なそれとは違うムード感のようにも思います。独自性のある作品になるんでしょうかね。

本文感想

主人公   :颯
主人公の能力:今までのやり直しの記憶を保持している(だけど、ラストで記憶喪失になってる)
世界観   :未来世界を舞台にしていて、ディストピアな世界観。ハードな災厄を前にしている舞台設定。
異変・事件 :記憶を失う!
問題・課題 :記憶によって、有利だったアドバンテージが吹っ飛ぶ!
決意・覚悟 :記憶がないので、決意もなにも思い出せない!
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):主人公の高い目的意識と行動力や決断力は、記憶喪失により失われてしまっている。それらを知っているのは「読者である私達」の視点故。彼?彼女? は記憶を取り戻し、凪というヒロインの窮地を救うことは可能であるのか? という部分をセントラルクエスチョンに据えてきた。

 生き直しもの。やり直しもの。に求められる「記憶を保持している」というアドバンテージの喪失を序盤に行っている。その「能力が制限された状態」で、物語に向き合わざるをえなくなった。という部分で、作品上の引きとしていることを読み取れました。
 
 前段の部分でも、触れているように「三角関係」に関する記述やその葛藤自身が、作品中の「ラブロマンス的なテーマ」の一つを内包しています。
 
 それらの中で、楓の性別が特定できる情報が見えない中読み続けるのは、判断に迷うシーンがいくらかあります。この性別を不詳している部分は狙いなのか。情報の提示不足なのか。はまだ見えてこない部分でした。女性二人、男性一人の三角関係なのか。女性一人、男性二人の三角関係なのか。
 わからんですね。親友という言葉があるように、同性を相手に親友としているのであれば。楓は男性なのかなぁ。と類推したところです。
 
 感想は以上です。

 ここで、感想を追記です。

 実は。これ登場人物の名前が「楓」ではなくて「颯」なんですよね。

 マシュマロに他の読者の方からご連絡がありまして。

 ぱっと見て。何を仰ってるんや? と思って、まじまじと眺めてました。

 これ、主人公の名前は「かえで」ではなくて「はやて」と読むようです。

 となれば「はやて」であれば、男性の人物名詞なのかも。位に思えました。この名前であれば、男性二人の女性一人の三角関係のラブロマンスを「サブテーマ」に置いた情報であったのだろうと。判断がとれました。おそらく、この部分の「読者の読み間違えや誤読」については、連載時等は「文字数制限」に苦しむことなく、ルビ振ってしまえばもう解決する要素であるので。さほど心配することないとは思います。

 そう考えたら、作中で示されていた。『凱風』は「颯」のことを指しているのだろうか。なんて思いましたね。将来の子どもであるので、誰なのか。颯と凪の子どもであるとか? これは突飛すぎますかね。

「凪」の名称についてはですが。私は迷うことはない名前でしたね。ちゃんと、女性であることが分かるような描写をしていたというのもありますが。「凪」は女性の人物名詞っぽさがあります。これは私の思い込みかもですが。

 追記は以上です。

 感想のおかわり依頼を次の通り、受け付けました。

おはようございます。 「2-10 脇役覚醒者100回目のやり直し」について、改めて感想を賜りたい所存にございます。

依頼文より

 あい。おはようございます。

 やたらと固いですね。

颯と夕夜を男とし、凪を女と読まれた際のご意見を、率直にお聞かせいただければ、誠に幸甚に存じます。

依頼文より

 これまた。やたらと固いですね。男性二人、女性一人の情報を確定したうえで再読してみましょうか。

 これを確定させることで、予言に対しての印象がいくらか変わるものがあると思います。

そして、「前回は、何を間違ったんだろう」と、お決まりの台詞を呟く。

本文より

 この言葉は「この作品のルール」を示しているように感じます。間違えなければ、この戦いを終わらせられる。ということです。前後の文脈から見るに「凪」と「夕夜」の関係についての言及には見えるんですがね。これは多分「ルール」の提示でしょう。

 颯は、家族に怪しまれない程度に子供らしく振る舞いながら、着々と『赤富士』を攻略する計画をノートに書き留めていった。

本文より

 やたらと「説明」がおおいなぁ。と思いながら初見で読んでいました。それは「今後の展開」についての情報を開示し、それらの記録を「ノート」という外部記録(ノートの存在は再読時に思い至りました)を残しておくことで、主人公が記憶を失ったあとの「知見」の回収の役割もあるんでしょうね。

 凪とは、夏休みが終わるまで会わなかった。颯が12歳から27歳の間を経験するのも今回で100回目。かれこれ1500年近く片思いをしている相手との再会だ。最初に何を話すかを悩んで、結局会いに行けなかった。

本文より

 この年数をわざわざ指定している。ということは、作品の「尺」の説明とあわせて。二人が男女であることも鑑みれば「颯×凪」ないし「夕夜×凪」のカップリングのあとに「産まれてくる子ども」が予言の子である。とか、何かしらのギミックがあるんじゃないか。と思ってはいます。27歳って言ったらまあ、子どもこさえてても不思議じゃないですしな。物語のサブテーマかメインテーマか。一つ難所を乗り越えて初めて「突破口」が見えてくる。といったような「ダイナミズム形式」の予言なのかも。なんて邪推していました。

 目を開けると、白い天井が見えた。
「目が覚めたのね!」
 中年女性が顔を覗き込んできた。
「誰?」
「どうしたの颯?」
「颯?」
 颯には目の前の相手だけでなく自分が誰かもわからない。それだけでなく、とてつもなく大事な何かを忘れてしまった気がしていた。思い出そうとするとこめかみに激痛が走る。颯はきつく目を閉じた。

本文末尾

 再読して気付いたんですけど。いや。これはそういうものなのかな。描写が足りていないのか。それともそのままの文意なのか。

 実は、私は初読時において。中年女性は医務室を管理する管理者程度にとらえていました。颯に声をかけているのは「そばに控える凪」だと勝手に思い込んでいました。

 しかし、文の前後を見るに。話者である「中年女性」は「颯」の名称を知っているようです。となれば、中年女性と颯は知り合いである。と見ることも可能です。

 今までの部分を思えば「いやいや。数十年後に目覚めてる設定はなかろう!」と思ってはいるんですがね。

 さて。颯が男性であること。というのを前提に見ていけば、ある程度「男女の三角関係を含めたラブロマンス」がサブテーマに据えられていること。は十分に理解できました。

 さらには「説明過多」とも見える描写の諸々については「今後の展開(主人公が記憶を失う)」において「書き記していたノート」が物語の道しるべになるなど。一定の「読者に展開を予測させる」といった狙いもあるように思えた作品です。

 感想は以上です。




2-11 回収一課

タイトル感想

 一課があるってことは、二課もあるでしょう。おしごとものに悩んでいる智子へ。いい刺激になってくれそうです。

タイトルから予想するターゲット

 おしごとものを連想できるタイトルですよね。男女関係なく広く読まれるジャンルだとは思います。

タイトルあらすじ感想

 けっこう短めのあらすじでしたね。おそらく、物語上の最大の魅力ともなる「おしごと」の内容自体を引きとしています。ええ。難の作品なんやろ。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 女性主人公であるので、共感がしやすいのは女性ターゲットかもしれませんが。本文のニュアンスや、注目する描写などが見えてこないので、男性向けとも女性向けともいい難い情報量でした。

本文感想

主人公   :私 羽村善子(一人称視点)
主人公の能力:不明(まだわからない領域。この物語の中でどのような活躍を期待できるのか。まだわからない)
世界観   :現代日本。お仕事もの。
異変・事件 :路地裏で暴れまわっている先輩たちを見つけてしまう。
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ミステリアスな同僚たちの仕事が明らかになっていく。主人公の善子と同じペースで読者にも情報開示されていき、一体感をもって「驚いていく」という作品。

 感想としては。素直に「続きは気になる」作品です。とはいっても「書き出し祭り」という企画の中で「続きを読みたくなる」作品はどれか。という基準で考えた時に、謎をもって引きとする方法はオーソドックスな方法です。
 
 この時のリーダビリティのもたせ方。というのは、書き手の方によって様々ですが。御作の場合は「劇画」など「月九ドラマ」とか人物が演じる領域のフィクションの作品のイメージがあります。
 
 作中の市松さんが「女組長」とかいう表現があるように、何かしら「ヴァイオレンス」な要素を兼ね備えた先輩職員としての要素が期待出来ます。
 カケルという「葛木の息子」とされるキャラクターの登場により、様々なキャラクターのバックボーンも見えてくるところです。
 
「あれもこれも。いろんな方向に想像できる」というのは、強くもあるんですが。弱くもある。という側面があると思っています。現状は「このあと、どんなテイストの作品になるか想像はできるんですが、確定した予想はできない」といった感じです。

 感想は以上です。

 実はどうしたものかね。と思いながら、感想の追記をとどめております。もしも、感想を踏まえたうえで何かしらの質問等あれば。再送いただければと思います。ないなら、ないで適当に書いていきます。連絡をお待ちしております(いつまで、待ちましょうか。連休明け(9/24)くらいまで)。

 9/22時点で次の通り、メッセージを受け付けました。

 最初の大盛りで満足いただけたようですね。よございました。


2-12 大魔法使いの、愛しの箱庭

タイトル感想

 ファンタジーですね。ハイファンか。ローファンかはわからないです。これで、ファンタジーじゃなかったら。センスありすぎですよ。

タイトルから予想するターゲット

 わからんです。多分、ファンタジーを選好する読者向けではなかろうか。とは思っています。

タイトルあらすじ感想

 ハイファンタジーでしたね。視点は「猫」というものです。抜きの設定ですね。「猫の私」の記憶自体をセントラルクエスチョンに据えています。面白そうですね。
 ぶっ殺してやる。の物騒さが見事です。物語に参入する理由が示されているのは読者が読み続ける理由にもなります。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 ファンタジーを好む読者層でしょう。溺愛という単語があるので、女性向け作品としての誘引があるんでしょうが。ターゲットの選好にかかわらず、ファンタジーとして興味をそそられる構成だと思います。溺愛って関係あんのかねぇ。

本文感想

主人公   :猫の私
主人公の能力:猫! だけど、マリアの記憶もある。
世界観   :ハイファンタジー世界観。敵対者は溺愛してくるご主人!
異変・事件 :猫の私が『私』の自認を取り戻す。
問題・課題 :眼の前の偏執的なまでの変態!(一途な男性かもですが。あらすじを見るにマリアとはただならぬ仲?)
決意・覚悟 :あの変態から身体を取り戻す!
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):猫の私と同じ程度の情報量で、記憶を取り戻しながら、眼の前の「傷ついたヒーロー」と対峙していく物語です。

 面白そうなんですが。やはり、猫ということもあって。物語の展開自体が「受動的」になる要素は強いように思います。制限のある記憶。一人称で展開されるため「主人公の私」と同じスピード感で物語に向き合うことになります。
 
 それらを補完する意味あいも兼ねて「あらすじ」にはお互いの関係性であったり、作品のコンテンツとしてのジャンル(溺愛)を明示しています。
 
 それらの要素(溺愛。お互いの関係性や抜きの設定によるセントラルクエスチョン)を書き出しの中で示しているので、作品世界に興味を持った方は十分、票を投じる類の作品だとは思いました。

 あとね。猫は強い。第一会場も猫が暴れまわってましたからね。第二会場が猫があばれてもおかしかないですな。

 謎をもって、読者の誘引を重ねようという作品が第二会場は多い気がします。同様の読後感の作品が散見されるので、票を奪い合いそうですね。

 感想は以上です。


2-13 青賀探偵事務所調査録

タイトル感想

 もう。これもおしごとものですよ。探偵事務所。ミステリーですね!

タイトルから予想するターゲット

 ミステリーを選好する読者たちのための作品ですね。

タイトルあらすじ感想

 ああ。けっこう。主人公の成長に焦点をあたえたタイプの作品でした。多分、智子好みの課題のもたせ方ですね。惜しむ所はミステリー等を智子があまり読まないというところです。
 ミステリーなのかなぁ。どっちかというと、ヒューマンドラマとしての性質が強そうです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 ドラマを好む読者層ではあろうかと思います。もしもこの作品がミステリーであるとするならば、謎の一端や、事件にあらすじで触れてそうなんですよね。ヒューマンドラマよりだと思います。

本文感想

主人公   :青賀哲斗
主人公の能力:探偵さん! あんまり、商売繁盛とはいかずに。なんでもやる人。
世界観   :サスペンス! ミステリー! 謎解きというよりかは、サスペンスに近そうです。
異変・事件 :北宮藍が東京にやってくる
問題・課題 :北宮藍は容疑者? 警察の捜査等。
決意・覚悟 :不明(まだ、ヒロインが置かれている環境に対して主人公がどんな決意を示すのか。まではわからない)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ファム・ファタール北宮! を匿う。ないし、魅力的に感じている主人公が、徳島で起きた事件に関わっていくことになる。

 面白そうです。やはり、今後の展開について「不穏さ」を感じる要素があるのは良い点だと思いました。
 
 主人公の生い立ちであったり、養父母達との関係。徳島の幼少期の知り合い(ヒロインとの関係)等、物語上の展開するうえでの「見せていない設定」によって、多くのリーダビリティが担保された作品のように思います。
 
 次にめくるページでは、徳島県警の刑事さんが主人公たちに迫る! といったようなイメージしやすい引きもあるので、非常に印象が良い書き出しでした。
 
 一気に読み進めて、ヒロインの思惑や、主人公の過去など。ゴリゴリと読んでいきたくなる作品でした。

 私はね。予想していますが。ヒロインは『ファム・ファタール』的な力をお持ちだと思います!

 
 感想は以上です。

2-14 地下迷宮《ダンジョン》の遺体回収班

タイトル感想

 最近は現代ダンジョンもの。とかもあるし、異世界とも現代ともタイトルからは想像がつかないですね。現代ダンジョンものはあまり陰惨な作品はすくないように思うので。遺体回収というと、ハードなハイファンでしょうか。そんな予感がしています。

タイトルから予想するターゲット

 わからんです。どっちかわからんでした。とにかく、ゲームライクな「ダンジョン」というお約束を知っている読者層だとは思います。

タイトルあらすじ感想

 わからん! わからんぞ! 世界観どっちなんや。そこ自体は些末な問題ではあろうかと思うあらすじでした。
 死因とか、残された血痕とかの部分などから。色々な思考を繰り返す。スカウト的な技術を含めた、実践的な本文になりそうですね。ユーラスの年齢等も加味するに、メンターヒーロー的な楽しみ方を期待できそうです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 ダンジョンものを選好するターゲットを意識した作品ではないと思います。ハイファンタジーでミステリーやる。みたいな、おしごとものとしてのテイストがありそうです。どのターゲット層になるんだろうな。ストイックに仕事をこなす仕事人。という部分から、中高年向けの作品のようにも思いました。

本文感想

主人公   :桜庭真(18) 三人称神視点
主人公の能力:謎解き(推理)に寄せてる
世界観   :異世界でのダンジョンもの。推理と答え合わせをセットとしている。
異変・事件 :遺体回収の仕事
問題・課題 :不明(桜庭真の異世界転移に絡むセントラルクエスチョンの事件であるかどうかは不明)
決意・覚悟 :不明(同上)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ダンジョン内部の描写や、独自の生態系や、ギルド職員が行うスカウト等の探索や推理にまつわるものを楽しむ作品。答え合わせまで含めて「事件性の摘発」とか、動きがありそうです。

 面白かったです。観点が面白いです。物語の「外的な課題」として「モンスターとの対峙」以外に「パーティー間の揉め事」まで視野にいれる推理項目等は、あらすじでも示すような「ミステリーやサスペンス」としてのセオリーを期待できる要素です。
 
 そして、その謎解きに関する導きを行うのが。桜庭の役割であることも本文の中で示されました。
 
 今までの「生存にかかる知識の集積や経験」はユーラスの役割であり、推理におけるひらめきの担当は桜庭である。という分担が明示されていることも、ナラティブの強化に印象付けがあったように感じました。

 今後の展開次第では、桜庭のバックボーン。帰還などもフォーカスされていくんでしょうかね。
 
 感想は以上です。


2-15 終わった世界のその先で

タイトル感想

 わからん。わからんですぞ。エモーショナルな感じも行けるし、ファンタジーでもいける。

タイトルから予想するターゲット

 わからん。わからんですよ。

タイトルあらすじ感想

 ゲームライク世界。とかではなくて。もう「ゲームの世界」の話題なんですね。斬新ですね。斬新過ぎて、展開が読めない。読者の興味を保ち続けて、読ませていくタイプの作品だと思います。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 ゲームライクな世界観を好んで読む人達もいるので、同様に楽しめる方々も相当数いる切り口だとはおもいました。

本文感想

主人公   :勇者
主人公の能力:素質はあるが、未熟
世界観   :ゲーム世界のメタ的な世界観設定。
異変・事件 :魔王を倒してからの違和感。記憶の不整合。
問題・課題 :魔王に会いに行くまでの間に多くの課題や試練が予想される。
決意・覚悟 :超越神プレイヤの真相を確認する。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):RTAを行われたゲーム世界(あらすじで理解できる情報)はすでに、エンディングを迎えていて。エンディングを終えたあとの勇者が、新しい冒険に旅立つ物語。力を蓄えろ。という案内があることから、試練や課題が期待される。真っ当な冒険ものとしての印象。

 あらすじの情報を抜きで考えると、どういう世界観なのか。は余り読み取る事ができなかった作品ではあります。
 RTA(リアルタイムアタック)ジャンルの作品に、智子が詳しくない。というのも読後感に強い影響がありそうです。
 
 舞台装置自体は突飛であるようには思うんですが。やろうとしている事自体は「勇者が冒険に自発的に出る」という部分は物語としての王道ではあります。
 
 魔王は「勇者がさらなる力をつける」ことを期待している。ということから、勇者に物語上の困難が与えられ、最終的な目的である「超越神プレイヤ」との戦いに力を備える。ということは十分に予想できる情報でした。故に、そのストーリーラインを汲み取った読者は興味を持てる作品だと思います。

 RTAジャンルを知悉している読者であれば、通じる要素があったりするんですかね。ここらへんは智子ではまだつかめない領域でした。物語の決意や、動き出しは「王道」ではあるので、RTAジャンルを知らなかったとしても「こういう話だよね?」というのは汲み取れる筋がありました。

 感想は以上です。

2-16 最終的に原作とかどうでもよくなる異世界転生(感想依頼あり)

タイトル感想

 作中作への転生に関する作品でしょうか。

タイトルから予想するターゲット

 作中作転生って「女性向け作品に多い」イメージなので、女性向けかもですね。

タイトルあらすじ感想

 異世界の人物が作中作転生ってことなんですね。セイラとロイドという「対比的」な人物が並ぶのが面白そうですね。基本的に「作中作転生」って一人で行うものだと思ってたので、二人並ぶと、役割がぱっちり別れて、面白そうです。とはいっても、思い返せば。複数人で転生してる云々はなにかで触れた気がします。けっこう一般的な方法なのかも。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 作中作が女性向け作品としてのそれであるようなので、この作品のターゲット層も女性向けだと思われます。

本文感想

主人公   :セイラ 
主人公の能力:コーヒー好き(魂に刻まれたカフェイン中毒)。主人公は作中作の役割としては「断罪される予定の悪役令嬢」である。
世界観   :作中作転生(人物名詞が作中作転生後の人物名詞であるため、異世界からの異世界転生なのか。現代から異世界転生なのかはわからない)の世界観。
異変・事件 :オリガ島への視察(ヒロインがヒーローにラブロマンスの要素として、心を開けるか?)
問題・課題 :セイラ自身が「ヒーロー」からのアプローチに気付けるか? ルートが変わっていることないし。作中作転生の愛されヒロイン(歯をむき出しにして威嚇する……)等の振る舞いによって、課題はまた変質しそうです。
決意・覚悟 :断罪されないように、あの手この手で振る舞う。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):セイラとロイドが前世で「姉弟」であった。という側面もあり「女性向け作品」でありながら「男女バディ」としての期待感があるキャラクター配置であること。少々思い込みが激しいセイラ主導のコミカルな雰囲気や、展開を楽しむ作品。

 面白かったです。主人公(作中を通して、成長ないし、障壁を突破する。成長を果たす人物)の相方が「転生前の弟」という属性を付与することで。「恋愛感情を排除した」男女バディものとして展開できることに驚きました。
 すごい方法だなぁ。と感じながらが、読んでいます。
 
 さらには、その「姉弟」という部分については、他者からは「理解出来かねる」概念ではあるので「相方の存在」がそのままヒーローからの嫉妬であったり、ラブロマンス上の障壁としても機能するというのがよくできた設定だと思います。
 
 作品中の「次なる展開」として、レイモンドから「オリガ島」への視察の話題が提示されることで、次話への強烈な引きとなりました。

 ここは筋とは違う領域での邪推にはなるんですが。

「コーヒー」という飲料が希少価値があるもの。という世界観も「リベラル的な配慮」があるんじゃないかなぁ。と思っている所です。紅茶とかコーヒー豆って植民地絡みの産物の嗜好品でもあるので、そこに切り込まない配慮があるんかね。とも感じています。

 感想は以上です。

 次の通り、おかわりの依頼を受け付けました。

 2−16「最終的に原作とかどうでもよくなる異世界転生」の作者です。第二会場の全感想&スペースありがとうございました! もしよければ感想のおかわりをお願いしたいです。

依頼文より

 受け付けました。今回、試験的にスペースやってみましたが。まじまじときかれてると思うと恥ずかしいですね。

 個人の嗜好によるかと思いますが、智子さん的には今回の書き出しからだと「セイラとロイドの男女バディもの」と「セイラとレイモンドのラブロマンスもの」のどちらに対する期待感が高かったでしょうか。

依頼文より

 うーん。どちらか? と言えば、やはり。男女バディもの。に近い期待の方が大きかったようには思います。

 やはり最初に「セイラとロイド」という人物名詞が明らかにされていることは、影響が強いとは思います。

 あらすじに示されている情報は、そのまま「作品の見どころ」として読者は汲み取るので「男女バディ」ものとしての印象の方が強まりました。

 あらすじの中で人物名詞を多く出さない。という配慮のあるあらすじだったのかな。とも思います。

 実際読んでみたならば「ヒロイン」の思い込み等によって「ヒーロー」からのアプローチが届かない。等の「ラブロマンス」的なもどかしさや設定も十分に伝わりました。これも「読者に約束する楽しみ」の提示の一つでした。

そして読後の印象として情報過多ではなかったか教えていただきたいです。

依頼文より

 情報過多というには余り感じなかったですが。気になる部分はありました。これはどうなんでしょうね。ターゲット層がどこまで汲み取るか。という部分なんでしょうが。

 実はこの作中作における「セイラ」の役割について、智子は読み飛ばしているないし。初読の部分では気づきにくかった。というのはあるかもです。

 さらにネタバレすると、セイラは物語の終盤で断罪される悪役で、ロイドはその存在が作中で示唆されているだけの完全なるモブである。あまりの仕打ちと羨ましさにセイラが血涙を流したのはわりと記憶に新しい。

本文より

 悪役とか。断罪という言葉もちらほらあるので「悪役令嬢転生モノを読み慣れた読者」であれば、その単語の拾いあわせで「主人公セイラがどんな役割の存在なのか」というのを汲み取る事はできるでしょう。

 作中に「悪役令嬢」という言葉がないまますすんだからか。智子は確か途中まで「役割」を勘違いしながら、読み進めていたのは覚えています。

 で、これはどういうことかねぇ。と思ったんですが。引用の部分でしょうねかね。

 さらにネタバレすると、セイラは物語の終盤で断罪される悪役で、ロイドはその存在が作中で示唆されているだけの完全なるモブである。

本文より引用

 一文におさめています。それは、次の文章にかかる要素を説明するためだと思います。

あまりの仕打ちと羨ましさにセイラが血涙を流したのはわりと記憶に新しい。

本文より引用

 セイラはこれらの「転生による所のやくどころの違い」に、羨望している。という文言のためですよね。

 しかし、一文目がセイラとロイド。という単語のあとに「モブ」の話題があって、二人が並列的に「モブ」である。という「脳が錯覚」を起こした感があります。

 私達って「文字を読む」とは言ってますが。文字を「今まで学習してきた文法の規則性から文字を予測して」読む。という側面はあって、その力が悪い方向に作用した誤読だったかもしれません。

 情報の過不足は感じることはありませんでした。むしろ、次の舞台への示唆もあるのでリーダビリティとして抜群の作品ですね。

 この感想依頼のご様子であれば、連載を意識しているようですね。お励みください。応援しております。


2-17 異世界召喚された勇者ですがトイレがなくて困っています

タイトル感想

 トイレに関する物語でしょうか。そのへんにしておしまい。

タイトルから予想するターゲット

 生活にかんする細々って、エンタメでは端折ったりする傾向があるんですが。あらためてそういう所に注目して、あらたな需要を発見してくる人がいます。
 ファンタジーを読み倒して、鵜の目鷹の目で新たなジャンルを求めているファンタジー読みのための作品のようにも思います。
 ジャンルはニッチでしょうか。

タイトルあらすじ感想

「お前、男なんだろ」まずいですね。衛兵と同じ発想を智子はしています。
 あらすじの末尾に「どんな話です」という明言によるアピールがあります。その方面の期待を満たすことを約束したあらすじのように思います。生活に関するQOLを抜群に高めてくれる。技巧派勇者期待しています。
 生活に即した。公衆衛生に関するエンタメって少なくない需要はあります。テルマエ・ロマエとかはそういったものがありました。トイレも公衆衛生ですよね。
 トイレを整備する。という公衆衛生がウルトラC級の組み合わせを叩き出して、魔王に食い込んで欲しいですね。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 舞台がファンタジーということもあるので、ファンタジーによる「生活改善」を主軸とした作品を好む人達でしょうか。ファンタジー作品が消費者の間で一般化されてきたという土台があってこその作品になろうかと思います。

本文感想

主人公   :草壁修斗
主人公の能力:不明
世界観   :RPGゲームライクな世界観(勇者や魔王)のある世界観ですが。トイレ問題等の部分を「ディフォルメ」しないで、描写し、それを課題としている作品世界。
異変・事件 :異世界の公衆衛生の観念にビビる所から。
問題・課題 :不明(公衆衛生に関するものと。あらすじにはある)
決意・覚悟 :不明(あらすじで見るならば、公衆衛生を向上させることをどこかで決意する)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):本文だけではまだ。「ショックを受けている」という情報までしか汲み取れないが。あらすじまで含めると「公衆衛生を向上させる」という決意を新たにするシーンを提示し、どこかで改善されるものと期待しています。時々出てくる「地の文」におけるコメディラインとしての主張も読者は楽しみにしている作品だと思います。

 面白かったです。面白かったですが。「続きを読みたくなるか?」というと、まだ「めっちゃ臭い異世界」という問題提起に対して「主人公がどんなアクションを起こしていくのか?」という情報までは提示されていないため「先行き」が不明な作品ではあります。
 
 それは「あらすじ」には公衆衛生を改善していく。という筋は示されているんですが。「どうやって改善するのか?」という部分自体に、タイトルあらすじ時点では興味を持っていました。その興味の一端を解消する情報が示されていない本文です。
 
 続きがあれば、読んではみたい作品です。というのも「この絶望的なまでのハードルが高い公衆衛生の課題をどのようにクリアするのか?」というプロセスを興味を持っています。それに関する情報を次話で見れるか。という部分を期待して、めくることになるでしょうか。

 あと数話読んで、全体像や。詳細なナラティブまで確認して、読み続けるかどうかの情報を求めるタイプの作品でした。

 感想は以上です。


2-18 小さな『コトン』は長くて短い旅をする

タイトル感想

 うーん。わからんですな。コトン。というのは人名かキャラクター名か。長くて短い。というのは。コトンが小さいから。コトンにとっては長い。けど、私達人間の尺度で言えば短い。という意味でしょうか。

タイトルから予想するターゲット

 人外のキャラクターとか。特別、小さな存在の視点の話を期待します。一風変わった。ファンタジーを対象として選好する読者をイメージしていそうなタイトルです。

タイトルあらすじ感想

 おおお。タイトルから期待した通りのあらすじがぴったしやってきました。気持ちいいですね。こういう、タイトルとあらすじのマッチングって読者としても気持ちいいです。
 ファンタジーですね。基本的な「ヒロイック・ファンタジー」の構成だとは思います。自分自身が多くのキャラクターとの出会い。成長。そして、最後には死ぬ(これ私達も同じです)という、人生をコトンというキャラクターに乗っかって楽しむ作品でしょう。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 ファンタジー好きのための作品だと思います。誰のための作品か。というのは非常に重要だと思っていて、そのアピールに長けた力のあるあらすじだと感じました。ちょっと気になりますね。

本文感想

主人公   :コトン
主人公の能力:発露した感情を食べる能力。
世界観   :ファンタジー作品。
異変・事件 :コトンが「産まれた」時から。
問題・課題 :コトンの仲間を探す。という物語の中で起きる障壁等。
決意・覚悟 :仲間を見つける。(知ってると言われてる妖精族の古老に会いに行く)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ヒロイック・ファンタジーなのだろうとは思います。またたびものとしての期待が持てる作品であり。コトンは「感情の発露」を持って、食事としている。人々の「ふわふわ」「キラキラ」を食べるということは、人々の喜びのために物語が常に展開していく。

 面白かったです。とてもいい書き出しだと思います。というのが「ナラティブ」が明確な作品です。
 それは、コトンが「行商」を繰り返しながら「ふわふわ」「キラキラ」な感情を食事としている。という設定と、そのイベントシーンを提示することで「今後の展開もコトンの食事のために、人々に対して喜びの感情を与え続ける」という物語の「お約束」を示せたことは強い印象が残りました。

 ある程度、完成された書き出しというのは感想は短くなる傾向はあります。演出としての狙いや技術がかっちりハマっているので、お上手です。としか、言いようがなかったりします。

 主人公が「どんな力を持っているのか」というのを、表すことは「最適な演出」として必要な情報であり、その能力で「人々に何を与えてるか?」というのは、ナラティブを説明するうえで最短距離だったように感じます。

 さらにはあらすじで「仲間はいない」という事実は明かされているので、この不思議な生物がどのような着地をするのか。旅を見届けたい気持ちでいっぱいです。

 投票先悩みますね。

 感想は以上です。

2-19 手前味噌ですがうちの五平餅は効くんです

タイトル感想

 手前味噌の詳しい意味ってなんでしたっけ。五平餅もなんでしたっけ。智子は学がないので、わからんでした。だけど、日本を舞台とした作品のようなイメージです。

タイトルから予想するターゲット

 わからんです。効くってんですから。あれですよ。なんか、病気とか怪我とか? に関する医療もの? いや、わからん。

タイトルあらすじ感想

 いやすげえ。智子の発想力すげえ。すごいのか? この突拍子もないタイトルから、読者を誘導できる書き手のセンスがすごいのかも。
 日本昔話的な物語の形式を、現代にスライドさせた作品です。金に困窮している主人公。というのも、物語への納得感を高めてくれます。マグロ漁船に乗った親父が気になりすぎる。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 昨今のエンタメ界隈で見るならば。あやかしを投入するのって「女性向け作品」としての傾向が強いんですけど。これどちらかというと「日本昔話よね」という期待感があります。

 子どもの頃にふれた。「昔話」のオマージュと思えば、ターゲットの間口は広い作品のように感じています。

本文感想

主人公   :糀谷 伊吹(28歳 独身)
主人公の能力:薬膳的な五平餅を作れる!
世界観   :ローファンタジー。狸の話題があることから、日本昔ばなし的な雰囲気と。女性の一人称視点での作品。
異変・事件 :父親の借金!
問題・課題 :不明(本文やあらすじ段階では「借金返済にかかる障壁」は不明)
決意・覚悟 :不明(あらすじには記載あり)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):様々な身の上話をもってくるもののけ達に「なんか分からんが、薬膳として効果がある五平餅」を売りさばく話。作品の「楽しみ方」のお約束としては、主人公の一人称視点にかかるコミカルな表現等も作品上の魅力の一つであろうかと考えます。

 話の導入として、とても面白い作品でした。作品の本文や全体の情報量からして「どのような障壁」が発生するのかはまだわかりかねる段階ではあります。

 借金を起因とした「取り立て」の人々がやってくるなど「独り身の女性」としては不安なシーンが今後登場するなどの、展開を予定しているのかも知れません。
 そのさいに、ラブリーなもののけ達が共闘するなどあればそれも一つの見どころであろうかと思います。

 読者はこれから「この成功によって、金銭的な課題は解消される」と期待しているので、次の話題やセットアップが必要になる情報量だとは思います。それも確認するために、数話読んでいくタイプの作品でしょうか。

 こういった「トントン拍子」に解消される課題の時にあわせて「主人公」にも内的な課題や葛藤が欲しい。となるのは、智子の好みの問題なんでしょうね。だけど、余り「ハード」なものを付与すると、地の文にあるコミカルなムードも消し飛ばしかねないので、塩梅としては難しいかもですね。

 感想は以上です。

2-20 宝石の樹海と妖精の騎士

タイトル感想

 樹海は宝石になりません! ということでファンタジーでしょうか。妖精の騎士も現代にはいません! ということでやはりファンタジーですね。

タイトルから予想するターゲット

 独自性のある世界観を好むファンタジーを選好する読者層を予想します。

タイトルあらすじ感想

 予想通りですね。独自性のある世界観。そして、その世界観で繰り広げる「主」となる人物へのフォーカス。手慣れた感じがしますね。安定感がありそうです。主人公自体には「姉」への割り切れない感情がある。いいですねぇ。ドラマの予感がします。書き出し祭りは回を負う事に「ドラマ」への傾向を高める作品が増えてると思います。智子にんまりです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 タイトルから予想していた通りの。「独自性のあるファンタジーを選好する読者層」ですね。

本文感想

主人公   :シャルロッテ・グランツシュタイン
主人公の能力:宝晶術(具体的にはまだ何をするのかはわからない)
世界観   :ハイファンタジー世界。
異変・事件 :勿忘草の石で記憶に触れた時から。
問題・課題 :樹海は危険がいっぱい。なので、それらも障壁として期待できる。
決意・覚悟 :姉の死や真相。それらを究明していく。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ナラティブという面で見るならば。まだ不安感が残る所はあります。具体的には「宝晶術」と呼ばれる力がどんなものなのか。というのは「勿忘草の石」の力しか見えてこないので、外的な課題等に対しての対処や、能力はまだわからない。だけど、約束されているのは「主人公」の「内的な課題」との向き合いが比重多めに描かれていました。ドラマを期待している読者への約束を優先させた作品です。

 面白かったです。予想ですが。基本的には「内的な課題」を優先させた作品というのは「一般的なエンタメ読者」からすると、余り支持されない。という予想があります。
 
 主人公の「内的な課題(家族からの評価であったり、姉を奪ったエルフの男への反発等)」という部分は「物語のドラマ」を高める「ストーリー」としての、最適な要素ではあるんですが。「外的な課題(樹海という危険な舞台)」から発生する様々な「障壁」を突破するための「能力」が「画的」に映える要素はあり。内的な課題を優先すると、余り評価が芳しくないという傾向を智子は感じています。
 
 智子が好きな演出作品は伸びない。というのがあります。面白かったです。

 感想は以上です。

2-21 天井裏にナニかいる

タイトル感想

 ホラーかな? 天井裏から物音聞こえるのって、やっぱストレスですもんね。

タイトルから予想するターゲット

 わからんです。だけど、ぼんやりと。ホラーチックかも。とは思っています。

タイトルあらすじ感想

 ぜんぜんホラーじゃなかった! どちらかというと、あやかし等が絡む物語ですよね。いや、起きてることはホラーなんでしょうけど。主人公が「あやかし側」の住人達とコンタクトが取れる。という部分もホラーというよりかは、よろず解決もの。みたいなイメージ感があります。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 最近、男性を主人公(男性向けのそれ)としたあやかしもの増えましたよね。これは私の感覚なのか。ジャンルとしての偏りの比重から周りに染み出してきた。みたいな感じです。まだ、試行錯誤している段階だとは思うので、色々と見えてこないですな。妖艶な女主人がどんな感じで描写されるかで、ターゲットが変わりそうです。あんまりえっちぃのはダメですよ!

本文感想

主人公   :僕 川内ヤスノリ
主人公の能力:妖怪たちの眷属である(眷属というのがどんな力を発揮するのかはわからない)
世界観   :現代ファンタジー。あやかしもの。
異変・事件 :不明(川内ヤスノリ自身に何かしらの変化を促す起点となるイベントはどちらか? 過去のシーンとするか。あらすじにある現代の時制で見るか。まだ判断がつかない)
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):妖しい魅力を持つであろう少女(あやかし)達の姿をしたキャラクターを含めたファンタジーであることを期待しました。

 まだ、引き出しが見えてこない作品です。これから起こる怪異としてのイベントや、不穏さは見えてはくるんですが。それらに対して「川内ヤスノリ」というキャラクターが「能動的に介入するのか」「受動的に物語を傍観するのか」という、スタンスもちょっと見えてこない領域の情報量です。
 
 おそらくですが。主人公を含む「作品の魅力ないし見どころ」までをすべてを見せきれていない作品のように感じます。
 
 物語上の主人公の性質がまだ見えてこない部分も、この読後感に影響を与えているように思います。

 物語は常に「安定」と「変化」を繰り返して、変化に対して主人公が成長を繰り返していく。ものが一般的です。
 
 御作の場合は「過去の時制」において「小学5年生のヤスノリ」が眷属になる。という変化が存在します。
 
 変化(眷属になっちゃう。妖艶な女主人との出会い!)の結果、なにがしかの成長を果たし、現代に至る。
 
 というキャラクターです。この眷属であることの「メリットないしデメリット」が現代の時制において、物語の伏線ともなってくる要素であろうかと思いますが。現代の時制(大人のヤスノリがなにを抱えているのか?)での、主人公が抱える「課題」なりが薄くあるので、物語を通して「何を手に入れるのか?」というのが見えづらかったです。
 
 こういうのが見えづらい作品の場合は、主人公自身が「成長の要素を持たず、バランスの取れたヒーロー(カタリストヒーロー)」である可能性があることも考慮しています。であれば、彼が導くべき存在があらすじにある「七枚ミサキ」というキャラクターであるかもしれませんね。
 
 後段のカタリストヒーローである場合にしても、まだ。書き出し本文の情報量では。「作品の魅力」とする要素をアピールできていないのではないか。と思いながら読み終えました。
 
 感想は以上です。

2-22 甘い秘密を鷲掴み

タイトル感想

甘い。とあるとラブロマンス的な期待値がありますよね。鷲掴みというのも、支配的な。恋に落ちるとか。そういう側面を補強します。

タイトルから予想するターゲット

 男性向けか。女性向けかはわからないですし、世界観も不明です。しかし、明確なのはラブロマンスを基調とした作品を好む読者層をターゲットにしているように思いました。

タイトルあらすじ感想

 おお。女性向けのラブロマンス作品ですね。セントラルクエスチョンは「テイラー」というヒーローの真意を探る。そのためには「甘いお菓子」で籠絡する。といったものです。物語の主軸に「お菓子」を登場させることをそれとなく期待させてくれました。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 お菓子作りという要素等も絡めたラブロマンス作品です。男性と女性で相対的に見ると。女性たちの方が「手芸」であったり「お菓子作り」であったりと親しんできた層が多いことから。女性向け作品としての傾向が強いと思われます。

本文感想

主人公   :アリス
主人公の能力:お菓子作りの技術がある。祖母直伝!
世界観   :異世界恋愛。貴族云々とかではなく、舞台装置としての「魅惑の紳士」が存在できる世界観?
異変・事件 :テイラー・シェルディーノとの出会い
問題・課題 :テイラーという人物の魅力と妖しさと不穏さ等によるラブロマンスとしての懊悩。テイラーとデービッドの対峙など。
決意・覚悟 :「シェルディーノ様が何者なのかを知らなければ」という目的を明確にした。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ラブロマンスとしての期待感を約束した作品です。主人公の「お菓子作り」という能力をもとに、物語が展開することを期待できました。

 面白かったです。パイにケーキにビスケット。まだまだ、引き出しがたくさんあるようです。それらの引き出しで、ヒーローの本音を引き出していく。といった様です。

 ラブロマンスとして見ていく時に「ヒーロー」自体に「妖しさ」があることは、大事な要素であるようにも思いました。
 
 というのも、現時点では「テイラー・シェルディーノ」という人物が、どの程度、信頼に値する人物であるのか。は「外面的」にしか判断できない状態です(おそらく、善良なヒーロー像であるとは思うんですが……)。

 個人的にですが。デービッドという男性は「保守的な思想を持ち、女性は養うべき存在である」という「一種の男らしさや甲斐性」といった考えを持ち合わせている求婚者です。

 描かれているムード自体としても「完璧な悪役」としてではないように見えてしまう所は判断に迷うところです。

 デービッドという「ヒロインに求婚するキャラクター」の価値観を開示することで、それに抵抗しているヒロインのスタンスも明確に示しています。もしも、この作品が「エンタメに特化」していて、ヘイト管理等を重要視する作品であれば。「デービッド」の描かれ方が、まだ神妙に感じる塩梅です。このあと彼は、怪しいしい素性のシェルディーノと対峙するなど。求婚している女性アリスへの責任やヒーローとしての振る舞いが発生するんじゃないか? と思う位の書き方でした。
 
 ここで退場させるならば、もっとコテンパンに。デービットへのヘイト(女性を家庭に押し込もうとする敵対する男性像として描く)管理が徹底されるのではないか。とも思っています。
 
 これは、一筋縄ではいかないラブロマンスの予感がしていて、智子好みです。
 
 感想は以上です。

2-23 平民聖女は追放されたい

タイトル感想

 聖女という単語がでると、ファンタジーとしての期待があります。追放されたい。という単語も昨今の「手放して欲しいけどヒーローが手放してくれない。溺愛」みたいなニュアンスありますよね。ヒーローいるのかな? 実務的な部分で手放されないとか?

タイトルから予想するターゲット

 女性向け作品だとは思いました。

タイトルあらすじ感想

 おお。予想通りのニュアンスの作品でしたね。なろうテンプレという分野で「読者にある程度の共通認識を求めている」作品の世界観ですね。名前まで変わるってあれですかね。どこかの貴族に養子として入ったみたいな設定ってことでしょうかね。
 
 主人公はなにかしらの「ストレス」を感じている。ということがあらすじにもあるので、それらのストレスとヒーローとの関係等から「物語のテイスト」が変わっていきそうですね。
 
 どうなんでしょうね。ラブロマンスは主体ではなくて、サブテーマなのかもしれませんね。というのも、主人公が「どうして追放されたいのか?」という部分がまた「ストレス以外」の理由が提示されると物語の方向性が変わりそうです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 まだ。よくわからんです。女性向けであるのは明確ですが。溺愛されるとか。主人公が活躍する方向性が見えてこないので、間口を広く取っているイメージはあります。ありますが、なろうテンプレの形式で考えるなら「ターゲットを絞った」方が対象読者が食いつくと思うので。この曖昧さがどう影響するのか。本文を待ちたい作品です。

本文感想

主人公   :私 エルヴィラ・ベルンシュタイン(一人称 改名前はフィオナ)
主人公の能力:能力として聖女としての規格外の力ゆえに、どんなものも国宝級の力。
世界観   :ゲームライクなシステムがある。装飾品に何かしらのスキル的な加護や魔法の話が付与される。
異変・事件 :第二王子スチュアートからの提案(第一王子の治療)
問題・課題 :病気は魔法では治らない。という部分のルールがあるようなので、そのルールが課題や障壁となる? 貴族の養父がまた障壁となるかも?
決意・覚悟 :タイトルの通り。追放されることを目的として決意!
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):主人公の能力も示されたので、その能力を活用して「冒頭の婚約破棄」のシーンまでのプロセスを楽しむ作品です。地の文から伝わる「ヒロインの態度」等も、読みながらの楽しみの一つです。

 タイトルとあらすじでもある程度予想していた「ストレスのあるヒロイン」が「その環境から抜け出す」ために、物語に参入していくタイプの作品でした。

 序盤に「追放されるシーン」を見ながら。
 
「追放されてますやん!?」

 という驚きがある作品ではありましたが。「ホットスタート」形式であり、かつ「成功を約束する」タイプの書き出しというわけでしたね。
 
 主人公が物語に参入せざるを得ない形式のバックボーンが描かれたり、主人公の能力によるイベントの展開(装飾品の作成等)があることによって、ファースト10を如才なく埋めていきました。
 
 物語の背景情報とかを見るに「ドアマット形式」に近いヒロイン像ではあるんですが。その回復の過程が「男性による庇護」ではない、自力の回復に近い強さがあるキャラクターのようにも見えます。
 
 女性向け作品ではあるんですが。ちょっと、テイストが違う作品として目立つ要素もあるように感じています。

 もしもですが。「サブ」ないし「メイン」として、やんごとなき身分のスパダリ達とのラブロマンスも魅力の一つとして設定しているのであれば、あらすじと本文にもそれらをアピールしても良かったとは思います。

 現状、作品の目的が「自由になりたい」という消極的なものであり「自由になって◯◯をしたい」という積極的なものを汲み取れなかったので、イメージとして風呂敷が少し小さめのようにも感じた。という部分がありました。
 
 感想は以上です。

2-24 砂の星のアプス―

タイトル感想

 ファンタジーでしょ! これで、ファンタジーじゃなかったら智子はへそで茶を沸かしてやりますよ!

タイトルから予想するターゲット

 独自性のあるファンタジー作品を好むターゲットを狙っていますね。

タイトルあらすじ感想

 ファンタジーというより。SFホラーサスペンスでしたか。へそで茶を沸かす約束は勘弁してください。いや、ファンタジー的でしょ!
 面白そうです。独自世界観で、ホラー・サスペンスをする。独自性の塊ではありますが。おしごとものとしての刺激を求めている智子の参考にさせてください。本文楽しみです。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 タイトルからはファンタジー的な期待をもっていたんですが。あらすじで「SFホラーサスペンス」としての修正をしました。ファンタジー好きと「独自世界のSF」は親和性高いので、読者離れは少ないとは思いました。面白そうです。

本文感想

主人公   :オフェリア
主人公の能力:捜査官として高い職業倫理にあふれている!
世界観   :植民星エンキ。SFの舞台!
異変・事件 :オフェリアが殺人事件の容疑者として逮捕される!
問題・課題 :脅威となるであろう「水ではないなにか」の存在であったり。それらを隠匿しようとするボウエン警視の存在など。
決意・覚悟 :不明(あらすじでは立ち向かうことが示されていますが。逮捕されてまで、オフェリアがどう立ち上がるのか。のシーンまでは見えてこない)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ハードルが高ければ高いほど。楽しみになるタイプのサスペンス作品でした。アーロンの退場と、逮捕といった動きのあるシーンで引きとしているので。今後も似たようなカタルシスを提供してくれると期待しています。

 ボウエン警視との敵対等が、物語の大きなスパイスになる。と予想しながら読んでいました。思った通りの展開となり、智子はにんまりしています。
 職業倫理から動き出す主人公が捜査に乗り出す中で「職場の人々」が敵対者となる。ハードルとして抜群の作品です。
 
 あらすじでもそうですが。「密かにアプスーと呼ばれる」とあるので、植民星エンキの命名に伴い、同じ文脈で命名したアプスーという言葉は「ボウエン警視」達も知っていておかしくなかろう。とは図れる作品だったので、サスペンスとして読者を適切に誘導し、続きへの興味をかき立てられました。

 このあとの展開としては「取り調べを受ける」という「第一関門」に対して、オフェリアがどのような選択をするのか。という「ヒロイックなストーリー」として王道であるので、彼女の選択を楽しみにしたい作品です。
 
 続きは十分に気になる作品でした。

 感想は以上です。

2-25 塔

タイトル感想

 わからんです。建物の話でしょうか。塔を舞台とした「場所の物語」とかでしょうかね。

タイトルから予想するターゲット

 わからんですな。単語一文字っていうと、あれですよね。文芸的な側面が強いのかも。と読者は予想していそうです。

タイトルあらすじ感想

 ばっちばちのファンタジーじゃないですか。情報量も少ないので、作品のムードやテイスト。ジャンルも不明です。一万メートルの塔ですか。バベルの住人達もドン引きですよ。神様興味津々で見てるでしょ。

タイトルあらすじから予想するターゲット

 ファンタジーを好む読者層にターゲットが絞られたあらすじだとは思いました。なんの話をするんでしょうか。

本文感想

主人公   :わたし
主人公の能力:不明! とはいうものの。不明というよりかは「一般的なコミュニケーション」に関する能力。なんでしょうね。
世界観   :現代ファンタジーなのか。廃墟探訪等に通じるようなものもありそう。
異変・事件 :不明(彼女は以前から塔の頂上を登ってみたいという願望を持っていた)
問題・課題 :不明(何かしらの塔に入るためにはガードを突破するとかの妨害はない。必要なのは「体力!」と根気!)
決意・覚悟 :登ってみたい。と思っていた願望を「登る」と決意して、足を動かしている。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ナラティブとして何かを約束する楽しみ方の作品ではない。と感じています。「わたし」という女性と「読者」の情報量をある程度「同一」にして、少女が興味を向く対象と読者が興味を向く対象の「一体感」を大事にした作品です。物語の「報酬」が曖昧ではあるんですが。その曖昧さ自体が「若さとか健康とか体力とか」言われるものを「犠牲にしながら、興味の向くままに過ごす」という贅沢さを楽しむ作品であろうかと思います。

 面白かったです。どうして面白いのかな。というのを、ある程度考えていきたい作品ですが。汎用性のある技術なのか。という部分で見ていきたいです。
 
「舞台装置」となる「塔」の設定自体が「読者とわたし」の認識を「一体化」させて、興味の方向性を同一視させる。

 といった技術の作品です。
 
 物語の報酬を設定せずとも「面白そうな話」は展開できるのだなぁ。と驚きながら読んだ作品でもあります。
 
 作中の中で「塔」に関する情報が少しずつ開示されていき、その情報をもとに更に「予想」をさせるような形で「わたし」が塔を登っていく。といったストーリーラインを提示しています。
 
 舞台装置の魅力一本で勝負している作品です。
 
 作中の「わたし」という人物はパーソナリティが一切排除されているので「わたし」と「読者」はストレスなく一致させるために、情報を排除しているようにも感じます。

 想像は膨らむ作品です。しかし、その想像を「約束」してくれる「確度」はない作品であるので「約束されたエンタメ」を好む読者層からは敬遠されるかもしれない読後感でしょうか。

 感想としては以上です。


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