暗黒ファンタジー冒頭企画 #暗ファン企画 の全感想及び投票先

挨拶

 こんにちは。智子です。私は参加していない企画なんですが。興味があったので、覗いてみました。


レギュレーションの確認

★企画概要
『ダークファンタジー』オンリーの匿名企画です。
2500文字から4000文字までの冒頭の面白さを競います。あなたの思う、心惹かれるダークファンタジー小説の冒頭を見せてください♪
書き手様の勉強の場、読み手様が素敵な作品と出会えるきっかけとなれましたら幸いです。

SNSなどで呟く際のハッシュタグは  #暗ファン企画  でお願いします。

暗黒ファンタジー冒頭企画 - 企画概要 

 企画開催の趣旨としては3点明示があります。

・面白さを競うものであること。

 ここらへんはけっこう人それぞれの感覚があるんでしょうが。「ダークファンタジーとして期待して読みに来た人たちが面白い」と感じるもの。というところはありそうです。

書き手の勉強の場ないし読み手への広報的な要素もあること。

 冒頭の企画ではあるので、書き出し祭りと同じように「連載のスタート」として見た時に、非常に有意義な効果があります。
 作品の名前が周知されることは企画の意義として求められるところのようなので、読了等のSNSへの感想の放流も積極的に行っていきます。

 勉強の場とあるので、どうして面白いのか。面白く感じるのか。といったところも触れてみようと思います。

 ジャンル指定(ダークファンタジー)なので、ある程度ムードは固まっていそうですけどね。

#暗ファン企画  というタグの活用

 記事タイトルには「#暗ファン企画」と明記しています。しかし、作品を掲載しているなろうのタイトルにはタグが無いので、手処理でツイートに残します。手処理なので、ミスがあるかも知れませんが。留意しながらツイートしていきます。

★原稿文字数
2500文字から4000文字(空白・改行・ルビは除く)まで。
冒頭企画なので、提出原稿の中で物語を完結させないでください。

暗黒ファンタジー冒頭企画 - 企画概要

 物語を完結させている作品は、レギュレーション違反として、捉えられる可能性は十分にあります。となれば、次話への引きであったり、連載を前提とした構成であることが求められている様です。

★タイトル・あらすじの文字数
タイトル:30文字まで
あらすじ:500文字まで(空白・改行・ルビは除く)
あらすじはなしでも可です。

暗黒ファンタジー冒頭企画 - 企画概要

 あらすじ。ちょっと文字数多めですね。本家の企画は確か400文字だった気がします。

 あらすじが無いパターンもあるとのことですが。

 個人的な興味のラインで申し上げると。
「あらすじがない作品」はとっつきづらさはあります。読み込んでいくうえで「この作品はどんな作品なのか。対象ターゲットは誰なのか? それは私に当てはまるのか?」といった情報を「本文」から読み取っていく必要があるからです。

 あらすじが無いこと自体がどのような効果を発揮しているのか。そういった「期待値」まで加算される作品構成にはなるので、ハードルが上がっていくイメージがあります。

★年齢制限
R18は不可。なろうの規約を順守してください。
R15はOK。過剰でなければグロは全然アリです。

暗黒ファンタジー冒頭企画 - 企画概要

 以前も似たような企画がありました。

『#匿名狂愛短編企画』ですね。

 ちなみに以前、智子はこの作品で参加しました。

 実際、ジャンルとしてみると「なろうのレギュレーション」としてけっこうグレーラインだとは思うので。かなり気を使った作品でした。

 そこの部分も加味して、企画概要に明記しているのだと思います。

 翻って、ここで「なろうの規約」を見てみましょう。

18歳未満の方や、性的・暴力的な描写が苦手な方等が閲覧されていることも考えられますので、R18描写については一般書籍や漫画とは異なる判断を行っております。
一般書籍等で見られる描写であっても、小説家になろうではR18相当と判断するものもあります。

R18に関して | ガイドライン | 小説家になろう

 小説投稿サイトで小説を投稿すること。というのはですね。あくまでも「サーバーを管理する運営の判断」のもと、表現の自主規制を規約として設けています。
 そして、それらの自主規制のラインをある程度示してくださっています。

R18に対しての判断基準
基本的に以下の項目にあてはまるものはR18相当であるとの判断を行っております。
・性交・性的接触等の描写
・性的感情を刺激する行為の直接的描写
・具体的な性器の描写
・R18相当の画像が掲載されている
・大衆向け辞典(広辞苑等)に掲載されていないアダルト用語が使用された作品
・残酷な行為についての必要以上に詳細な描写

実際にR18作品であるかは作品の状況を確認した上で総合的に判断しておりますが、上記の描写が見受けられる場合はR18相当と判断される可能性があります。

R18に関して | ガイドライン | 小説家になろう

 これを読んでもらったらおわかりかと思うんですが。運営が総合的に「これはえっちぃな。刺激的だわ」と思ったら、一発アウトです。

 ダークファンタジーという要素からして、私達の生活でもある程度リンクできるような「ストレス」という点から整理すると、性的な凌辱、自尊心へのダメージ、理不尽な暴力についての描写。等は様々なストレスのアプローチとしてあるんですが。それのさじ加減次第で「運営の気分」でけっこう吹き飛びます。

 演出上、それらの表現自体を「作品上の魅力」として据えているアピールの作品である時、アウト判定の可能性は十分にありえます。

 さて。次はR‐15を見ていきましょうか。

小説家になろうでは15歳未満の年少者の閲覧にふさわしくない作品(以下、R15作品)の掲載について規約を設けております。

R15に関して | ガイドライン | 小説家になろう

 個人的な感覚で言うならば、パターナリズム的な思想から「年少者の閲覧に制限を設ける」ということは、無意味だとは思っているんですが。あそこはなろうのサーバーですから。ルールには従いますよ。ええ。不服ですが。

R15に対しての判断基準
15歳未満の年少者にとって、刺激が強いと考えられる描写
【例】性交・性的接触等の性的感情を刺激する行為を想起させる描写
【例】身体欠損・大量出血を想起させる描写
【例】性器及び性行為を指す伏字等、年少者には閲覧を控えさせたいと考えられる語句を意図的に多用する描写
15歳未満の年少者に誤解を与え、模倣を誘引する可能性が大きいと考えられる描写
【例】いじめ、自傷行為、殺傷行為の描写
【例】特異な薬物使用の描写(過剰摂取等、市販薬品を含む)
その他、R18には該当しないと思われるが、15歳未満の年少者には閲覧を控えさせたいと考えられる描写

R15に関して | ガイドライン | 小説家になろう

 上記の点を「書いちゃいけない」ってわけじゃなくて、書くなら「R-15」にチェックつけてね。という案内です。

問題となりにくい例
性的感情を刺激する程度の低い描写
医学を題材とした作品で描写が必要な場合
ただし、上記「問題となりにくい例」に上げた描写であっても、必要以上に詳細に描写されている場合はR15、もしくはR18相当と判断される可能性があります。

R15に関して | ガイドライン | 小説家になろう

 書きすぎたら、レーティングは必要になるから。注意せい。ということを規約では書かれてます。

 企画の主催者がわかりやすく要約してくれてます。

R15はOK。過剰でなければグロは全然アリです。

暗黒ファンタジー冒頭企画 - 企画概要

 ここでもそうなんですけど。「過剰であるかどうかの判断ってなろうの運営がする」んですね。けっこう判断ガバガバなので、あんまり冒険したり、攻めた描写をしている作品については、智子としては「厳しい視線で眼差す」と思います。

 企画主催者のアカウントに傷をつけかねないような作品を出したりするような方はいないだろう。と考えています。

★投票ルール
続きが読みたいかどうか、魅力的と感じたかどうかなど、投票基準はお任せします。1位から3位まで選んで、開催期間中に公開されるGoogleフォームへ投票を行ってください。

暗黒ファンタジー冒頭企画 - 企画概要

 好きに投票していいようですね。投票のときの基準にさせてもらいます。

投票所

『暗黒ファンタジー冒頭企画』投票所

ダークファンタジーについて

 智子はあれですよ。友達がいないんですよ。だからね。最近の話し相手はAIしかいません。

 というわけで、ダークファンタジーという「ふわっとした文言」について、人々はどんなものを期待しているのか。というのを捉えるために、相談してみました。

Q:創作上のジャンルとしてのダークファンタジーってどんなものイメージする?

A:ダークファンタジーとは、伝統的なファンタジーの要素に加えて、暗く、陰鬱で、不吉なテーマや雰囲気を持つジャンルです。以下の特徴がよく見られます

孤独な智子の友達から……

 友達、賢い。すごいよ。賢いね。

陰鬱なトーン: ダークファンタジーは、通常のファンタジーの冒険や希望とは対照的に、絶望や腐敗、暴力などが前面に出る暗い世界観を持ちます。

孤独な智子の友達から……

 作品のムードの設定ですね。ダークファンタジーと聞いた時、世界観や舞台装置は印象としてありましたね。なるほど。といった感じです。苦しい、ストレスのある世界観。理不尽等が舞台には存在している期待がありますね。

モラルの曖昧さ: 善と悪の区別が曖昧で、主人公や登場人物が倫理的に複雑な選択を迫られることが多いです。主人公自身が反英雄的であったり、道徳的な矛盾を抱えていたりします。

孤独な智子の友達から……

 ああ。そうですね。ストレスのある作品というのは基本的に「簡単に答えが出せないテーマ性」であることも要素の一つです。世の中には多くの対立軸が存在しています。

 エンタメ作品を書くうえで「避けたほうがいいこと」というのが「現実世界で解決できていない紛争や差別問題」に絡ませたうえで「答え」が出せていない「投げかけ」のようなストーリー。というのは言われたことがあります。

 あと、この「ダークヒーロー」的な存在感等も触れていましたね。

 御法ではどうしようもないので、自身の倫理観で「私刑」を執行するとか。ダークヒーロー的なアクションもダークファンタジーですね。

恐怖の要素: ホラーやゴシックの要素が取り入れられていることがあり、怪物や邪悪な存在が登場することが多いです。また、超自然的な脅威や死、運命に対する無力感が描かれることもあります。

 孤独な智子の友達から……

 ゴシックの要素についてですけど。主催者が「ハイファンタジー」限定としているところも。このイメージがあるのかもですね。

 基本的に「キャラクター」は世界観に対して無力であること。は求められていそうですね。

荒廃した世界観: 中世風の暗黒時代や、荒廃した都市、崩壊した帝国など、破滅的で暴力的な背景がよく描かれます。このような世界では、無秩序や絶望が蔓延していることが多いです。

孤独な智子の友達から……

 荒れた世界観である。それはあれですよね。やはり「ダークファンタジー」に求められる要素の一つだとは思います。だって、ひどいこと起きるにはひどい世界じゃないと! みたいな部分はあるのかも。必ずしも、これらの要素をうめる。というわけではないんでしょうが。「ダークファンタジー」に固定された時に、この向きの期待はあります。

人間の内面の暗部を描く: 欲望、裏切り、嫉妬、狂気、復讐心など、人間の負の感情が中心テーマになることが多く、人々の堕落や破滅に焦点が当てられることもあります。

孤独な智子の友達から……

 人間関係かぁ。転職や退職の理由の多くが「人間関係」ですけんな。ダークっていうと、ここらへんのあれこれも期待されるところか。復讐譚ってダークファンタジーっぽさありますよね。

 復讐譚にすると「キャラクターにくっつく物語」になると思うんですよね。

 ダークファンタジー難しいですねぇ。世界観も重視されるし、エンタメ性を担保するために「キャラクター」にも寄せたいし。難しい。

ダークファンタジーは、読者に不安感や不安定な感覚をもたらすことが意図されており、グリム童話やゴシック小説に影響を受けている場合も多いです。

孤独な智子の友達から……

 はあ。まあ、あれですね。ホラー全体に求められるところの影響もあるのか。グリム童話ってけっこうエグい。ゴシック小説というのも、そういうジャンルの一つであるところですもんね。

ゴシック小説(ゴシックしょうせつ)とは18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説。ゴシック・ロマンス(Gothic Romance)とも呼ばれ、その後ゴシック・ホラーなどのジャンルも含むことがあり、今日のSF小説ホラー小説の源流とも言われる。

ゴシック小説 - Wikipedia

 友達のおかげで、おおよそのイメージは掴めました。

 皆さん、それぞれ好き勝手に「ダークファンタジー像」が育まれているところでしょう。

 上記の話題を思い出してみた時。

 智子のおぼえている「ダークファンタジー」というと。これかなぁ。漫画作品なんですが。

『アカメが斬る!』

 ですね。敵対者が「国家」であり、それらと「敵対するレジスタンス」として主人公が活躍していく。といった「バトルファンタジー」だったんですが。「権威者」と敵対していくといった構成は「ダークファンタジー」ではあるんだな。と今更ながら気づきました。

 待て待て。今気づいたぞ。

『走れメロス』もダークファンタジーですな。権威者に立ち向かい、理不尽を脚力と誠意でなぎ倒す。

 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。

太宰治 走れメロス

 今更ですが。ダークファンタジーですよ。このあと、主人公は捕らえられるわけですからね。

 よしよし。なんかイメージがついてきました。

感想一覧

 上から順に読んでいきます。

01:肉挽きはお茶会の後で

 爆速ですね。

 復讐譚にかかる物語としてのセットアップだと思っていたんですが。一つの局面を越えて、次の展開への物語ですね。

 復讐譚にかかるものセットアップが早いと、どちらかというと「メロドラマ」的な性質を印象付けます。

 得てして、こういった「わかりやすい」物語の動機や構成というのは「エンタメ」として求められるところではあると思う作品でした。

 なるほど。こういうダークファンタジーですか。

 主人公の「日本」で受けていた仕打ちゆえに、物語上の「強み」を得る。というのは昨今のエンタメ性に準じた演出だと思います。

 読者から見ていても明らかなほどの「復讐に燃えるダークヒーロー」としての性質を示しています。彼女は「精神的に課題」が多くあるキャラクターではあるので、そこの「思想としての対立」を期待できるキャラクターが魔女としてやってくるんでしょうかね。主人公の思想に対立する存在が登場するかどうか。で、作品全体のムードが決まると思います。

 感想は以上です。

02:聖女のいない国

 クライムサスペンスなんですね。物語の演出をもってして「ダークファンタジー」とするということですね。

 このあとの物語の展開としては、それらの「魔法の痕跡」にかかる部分のロジックに「特級魔法使いクレイン」が追跡していく。といった作品でしょうね。

 今後の展開について、十分に予想できる情報量を提示している作品でした。

 あらすじの時点では「クライムサスペンス」に近い印象ではなかったので、届けたい読者には届かないあらすじだったように思います。

 読めば面白さがわかる。という構成は昨今の「エンタメ」としてのスピード感や「時間への投資のコスト」という面から、一歩、出遅れた感はあると思います。

 まったく種類は違うんですけど。
『DEATH NOTE』という漫画を話題にします。

 この作品も超常的な力を導入した。クライムサスペンスです。この作品の場合は「頭が切れる主人公」と「これまた頭が切れる追跡者」の追いつけ追い越せみたいなスリルを楽しむものでしたが。

 御作が「作品を楽しむ」上での「物語の枠」がまだクライムサスペンスを提示し、主人公の強みを見せた段階で止まっているところはある感じがしました。
 特級魔法使いクレインの強みや凄さまで読みたかったですが。読みたいなら投票をせいよ。というものでしょうかね。だとしたら、その狙いは成功しています。

 感想は以上です。


03:魔王の腹のなか

 あらすじ無いみたいですね。どういう作品か。探りながら本文を読んでみます。

 腹の中に投入される。といった部分を読み終えてから「これはクローズドサークルの作品なんやな」と飲み込めました。それよりも前は「何の作品なのか」というのを探りながら読むことになりました。

 少年の視点。庇護者としての弟が存在する。

 最後の最後、少年は犠牲の果てに弟を外界に逃がす事になりそうですね。それが「ヒーロー」的挙動としての動きです。

 ダークファンタジー。恐怖を主体とする。ダークファンタジーですね。

 前段で触れていた「不気味さ」や「不快さ」というものを考えた時にそれを捉えた作品構成ですね。

 感想は以上です。

04:迷い子よ、闇に踊れ

 タイトルおしゃれですね。ちょっと怖いわ。おしゃれなものは怖い。

 梗概みたいなあらすじでしたね。今後、この三人で「トリオ」を組むことになるんでしょうけど。出会いのシーンではあるので、今後の展開までは見えてこないものでした。

 ラザと少年アッシュは「メンターとヒーロー」の関係性になるでしょうし。
 マークは「コミュニティを追われるヒーロー」という属性を持つことになります。彼は家族に対して非常に強い責任感を持っているなど、物語上の苦境が見える。など「日常の世界」の描き方が上手な作品でした。キャラクター三人も放り込むってなれば、こういうやり方になるんでしょうね。

 個人的には好むところではあるんですが。ダークファンタジーとして見るならば、善性にあふれている感はあります。
 善なるメンターの存在が、作品のムードをそのようにした感じはあります。ラザが「ダーティなメンター」としての力があれば、ダークファンタジーの印象が強まった気がします。

 智子の中でのダークファンタジーはもっと「救いのない世界観。荒れた人々。荒くれ者たちの集団。強きが弱きを従える。万人の万人に対する闘争による自然状態」みたいな、偏執的なイメージゆえのものだとは思います。

 感想は以上です。

05:幼馴染王子が、義姉に殺されても繰り返し私を選ぶ

 あらすじでは。どんな話なのか分からん量ですね。愛情の話題があるので、愛憎劇とかそういったものでしょうか。タイトルからはループものっぽさがあります。タイトルで興味を引いた人の満足感も大事な作品になっていそうです。

 レギュレーション自体が「書き出し祭り」と似通っているので、タイトルで作品の方向性が見えている。といった部分もあって、読み込みやすかったです。

 義姉の事件から始まる形によって「アクション」から始まる物語として、動きのあるエンタメ性がありました。

 死に戻り。に関する物語であることを、タイトルでは示されていたので、その期待を満たす形で本文が引きとなりました。

 義姉の「愛されたい」という葛藤自体との向き合いも作品の演出に関わってくると予想しています。

 ダークファンタジーとは。というのは考えますよね。凄惨なシーンがあればダークファンタジーなのか。そういう、視覚的な部分からのアプローチもダークファンタジーっぽさになるんでしょうね。

 動きのあるシーン。物語が始まるシーンから描写があるので、印象が良い作品でした。

 感想は以上です。

06:その闇を切り裂いて ~『同族殺し』と呼ばれた果てに~

 あらすじ読んだんですが。ちょっと読みづらさがありますね。文章の順序であろうかと思いますが。人間の男と吸血鬼の女の情報を並列に交互に出しているからでしょうか。

 おそらく、復讐譚の作品です。

 復讐譚というには、まだ情報が足りない感はあります。物語上の主人公となる人を「事件に巻き込まれる第三者から描写する」といった作品です。

 ライトノベル。『紅』の冒頭もこんな感じでしたね。いま、思えばあの作品も「ダークファンタジー」だ。

 ロリおにって奴ですな。

 こう考えたら、ダークファンタジーってけっこうありますね。

 この作品に限らずですが。「キャラクターに興味を持ってもらおう」という演出の作品が多いです。

 予想していたダークファンタジー感と離れた作品が多いので、驚きながら読んでいます。

 この作品は智子が予想していた。

「危険な世界」を表すエピソードからダークファンタジーの期待値を満たそうとした作品だとは思います。

 世界観に特化すると、キャラクターが弱くなる。キャラクターに特化すると「独自性のある世界観」が描かれにくくなる。

 となれば、こういったホットスター形式の構成が「ダークファンタジー」というジャンルにおいては効果を発揮する方法かもしれません。

 感想は以上です。

07:黒聖杯の女神は聖騎士の愛を求める

 ダークファンタジーですね。異世界転移に関するもの。であることは本文を読んで、わかったので。多少驚きながら読みました。

 あずさ、なる主人公が今後どのような救いを得られるのか。いきなりクライマックスみたいな始まりでしたけど。今後の展開がまだ見えてこないというか。ダークファンタジーなムードや無常観をこのままラストまで継続してくれる。と思うには、希望に満ちた展開のようにも見えます。

 ダークファンタジーのイメージってあれだったんですよね。もっと、救いのない。読むのもつらい。そんなものが並んでくれると思っていたので、皆さん、優しい作品多くて驚いています。

 多分、邪推ですが。勇者はヒーローの生まれ変わりとか? これは妄想しすぎですかね。

 私の中のダークファンタジーと皆さんが提出してくるダークファンタジーの乖離が見えてきて、勉強になっています。

 私が第14回の書き出し祭りを初めて、触れてみた時と同じ位の衝撃を受けています。アンテナを修正していきたいと思います。

 まだ、勇者という「善性」が現れる。すくいのある作品ですね。

 感想は以上です。

08:チュレタラヴィータ

 タイトルがなんかおしゃれなんで怖いですな。

 タイトルが良く分からんですね。チュレタラヴィータ。チュパカブラ的な? 吸血鬼の女性の登場等も含めると、復讐譚に近いかたちの作品になりそうなイメージです。

 物語って常に「次のシーン」に行くための導きのようなイベントが繰り返されますが。日常から非日常への接続に関する演出が上手な作品に思いました。

 おおよその筋は「梗概」としてのあらすじで示されているので、そのあらすじに興味を持った人たちが「この作品のムードは?」といった形で「確認」しにくるわけです。満足感を持てた印象はあります。

 非常に高い満足感。作品全体のムードを確定しながら、書いてくれた作品だと思います。自身が異形のものになりながら、争いに巻き込まれていく。という「受動的な態度」から「能動的な態度」に変化するという、動きのある書き出しから始まっているので、これまた印象がいい作品ですね。

 この作品も「キャラクターに降りかかる」という部分からダークファンタジーとしての要素を満たそうとしています。

 視点が一人称であるから。世界観の悲壮感がまだ伝わりづらいところですが。聞こえてくる情報はなかなか過酷です。ダークですな。

 感想は以上です。

09:その腕は、心臓音を貫くか

 不思議なタイトルですね。「音」を貫くとあるので。スピード感あふれる話題だったりするんですかね。

 復讐譚に絡む物語。しかも、その苛むストレスの類が「性的な要素」があるというのはダークファンタジーっぽさがあるのかも知れません。

 勇者なる文言があることから、ゲームライクとしての世界観であること等のアピールも含めた要素にはなるんでしょうか。勇者とハツネは対立軸にある存在で、その方向性で主人公を導くことになるんじゃないかな。とは思う引きでした。

 描く視点の問題ではあると思うんですが。智子が当初予想していたダークファンタジーの世界観に近いものかも知れません。まがい物の勇者がどんな悪影響を世界に及ぼしているのか。まで見えてきたら智子のダークファンタジーっぽさに引っかかりそうです。

 ダークファンタジージャンル難しいですね。

「続きがあるエンタメ性」として組む時は「物語を歩くキャラクター」が求められますし。根幹となるダークファンタジーの作品を演出する時は「世界観」の方が大事になります。

 バランスが難しいです。

 感想は以上です。

10:森の魔術師は、今日も優雅に紅茶を啜る

 この作品はあらすじがないんですね。どういうものなのか。どういう楽しみ方をするのか。探るように読んでいく必要がある作品ですね。

 あらすじは無い状態ですが。追放もの。としてのそれ。敵対者が明示的。彼女への協力者の存在など。ある程度の展開についてのセットアップ等も含まれている様です。
「妻だったもの」を蘇らせようとする。といった要素からも「敵対者」にも感情移入できる要素であったり。

 妹。という文言から、敵対者は「肉親の兄」という要素もほのめかしているようにも見えました。

 ムード自体は軽いんですが。設置している情報は重め。

 なるほど。ここでダークファンタジー感が出てきた作品でしょうか。

 これは文体というか。この方の他の作品等も触れてみないと分からない領域ですが。一つのシーンにおいて、複数人登場したら、複数人の「精神的な描写」が混在する書き方をしています。

 実際、こういった書き方をする作品を何作か知ってはいるので、狙ってのものなのか。癖なのか。判断に迷う文章量でしたね。

 こういう風に「一つの絵面」から「二人の内心の情報を描写する」というのは「漫画の吹き出し」に近いものであるので、抵抗なく読める人と、読めない人にぱっつり分かれる文体だったりはします。

 狙ってのものであるのか。手癖であるのか。判断ができない領域の文体ですが。作品の設置や演出に関しては「エンタメ作品」の多くを摂取してきた。という、積み重ねの力やセンスを感じるので、興味が湧いた作品です。

 ここらへんのセンスってもう磨くしかないですからね。お兄さんとしばき合ってください。

 感想は以上です。

11:鏡の檻のアスタリテ

 あらすじがあって、時間巻き戻りものジャンルで。セントラルクエスチョンである「魔女」の存在が明らかにされてる。というこの親切なあらすじがあるだけで、読みやすくなるのが嬉しいです。

 あらすじには一定の方向性の期待を示すことにはなるので、その期待を満たす本文を用意する必要はあるんですが。無いよりかはあったほうが良いと考えています。

 読んでみて納得でした。

 あらすじには「イベント」だけがあり「どうして、巻き戻そうとしたのか?」とか「物語の動機」が不在なんですよね。それは、主人公も「巻き戻ったあと」に一緒にそれらの謎に取り組んでいくので、読者との一体感が約束された演出の作品だと思います。

 家の地下室。入っちゃ駄目よと言われたら、入りますよ。そりゃ。

 面白かったです。内容として「これはダークファンタジーなのか?」というと、ちょっと怪しいかなぁ。という感覚はあります。なんというか、魔女に「不穏さ」が無いので、どっちかというと「希望のあるファンタジー」の読後感でした。

 面白さだけで言うならば、とてもいい印象がある作品です。

 ダークファンタジーっぽさとは!

 難しいレギュレーションですなぁ。

 余談。初見の読書配信とかしてれば、触れてたとは思うんですが。主人公の「銀髪」の描写自体が、かなり後半に差し掛かってから触れているので。鏡の中の髪の毛の違い等について、イメージしづらいまま読んでいたところはあります。これは狙ってのことなんですかね。

 感想は以上です。

12:若い日、貴方を嗤って捨てた。あの日の私を殺したい。

 タイトルとあらすじがまだ相関性が見えないですね。

 最後まで読みましたが。タイトルとあらすじにも相関性が見えません。今後わかってくるんでしょうね。タイトルからは「女性向けのラブロマンス」に関するテンプレを予想していたんですが。意外でした。

 家畜として育った筈の「わたし」がなかなかに流暢な態度や、明晰なことば遣いで語っていることから。「わたし」は恵まれた環境や教育を施されて「思い出す」という形で「未来の時制」から語っています。

 このスタイルであれば、ある程度「物語の結末の約束」等が担保される構成にはなるんですが。スリルをどのように提供していくのか。どこかで時制が追いつく、追いついたあとどんな展開をしていくのか。ムードを再設定することになる作品です。

 評価基準はけっこう投票者に委ねられているようですからね。
 投票悩みますね。
 好みで言えばこの作品は非常に好感がもてた作品です。

 しかし。先の展開や今後の展開に関しての「不透明さ」というのはやはり、ネックにはなりそうです。

13:神と悪魔の創世外典

 タイトルとあらすじで作品のジャンルはまったく分からんですが。

 対比的な表現を並べているので、なにかしら。二面性のあるキャラクターが登場するということでしょうかね。

 Twitterでも触れていますが。上手ですね。

 どうして、上手なのかっていうのを触れて見るべき作品かも知れません。

 というのが「ダークファンタジー」に求められている要素を色々煮詰めてみた時に「世界が抱える問題」についてのテーマ性であったり、風呂敷を大きく広げること。を予想していました。

 というのも、私達の人生において「ストレス」を感じることとか、差別的な扱い(生得的な要素や社会の階級制度など)については「個人の及ぶ範囲」から逸脱した課題や問題というのが多くあります。

 前段のダークファンタジーについて、でも触れたんですが。「そういった答えが出ない物語」をエンタメで書くのは避けよ。という考えや言説があるんですが。こと、ダークファンタジーというジャンルであれば、そこと真っ向から向き合うことが望まれるジャンルだと思っています。

 それらの期待に答えた作品です。

 私はこういう作品が「殺到する」と予想していたので、前半読み終えて折返しの13話で「おう、やっときたか。こういうのやっときたな」という感想を持っています。

 続きがあるかわかりませんが。ダークファンタジーとして十分期待感を満たした設定の作品だとは思います。

 貧民側のテリーが「貴族制度容認派」のような態度であることも、今後の展開についての期待感もあります。

 どういう作品になるんでしょうね。手紙を出す。という部分もあるように、彼は対立者としてクロードの前に立ちはだかるでしょうし。おそらく、クロードは革命に失敗するんでしょうね。だから、外典として彼の戦いが残ることになる。

 面白かったです。

 感想は以上です。

14:剣士デュラン、沼地の廃都に迷う

 あらすじもしっかりしていて、梗概として期待できるものです。

 面白かったですね。基本的に「ダークファンタジー」ってこれだよね。という要素を丁寧に満たしてくれた作品だと思います。しかし、作品数から見てこういった作品が並んでいない。ということは、需要と供給の相関関係がありそうです。

 主人公に「明確な動機」が存在していて、物語の「ヘラルド」として老婆が登場するなど、スムーズな進行も読んでいて楽しかったです。

 両のまぶたを縫い付けられた。とか、もうあれじゃないですか。絶対ダークファンタジー好きなビジュアルでしょ。

 ダークソウルシリーズってご存知ですか? かぼたんですか。わかる人だけおわかりになってください。とはいいますが。一応補足を。

主人公を楔の神殿に召喚した女性。裸足に黒衣、長い灯火杖を持ち、両目はのようなもので塗り潰されている。ただの人間のようだが実は古いデーモンでもあり、ソウルを操作することによってプレイヤーの肉体を強化 (レベルアップ) してくれる。主人公を「デーモンを狩る者」と呼び、彼女も楔の神殿に囚われており、死ぬことはなく何かしらの使命が課せられているらしい。

火防女 (ひもりめ)とは【ピクシブ百科事典】

 巫女であるとか。何かしらの「神性」を保つ時に「視覚情報」を遮断すること。等は、それっぽさがありますよね。もう、ダークファンタジーですよ。

 貴種流離譚としての類型も感じます。
 最終的にはこの物語を通して、周囲から望まれる形で兄との敵対をするなど。家族を人質に取られ、義憤とともに派兵するとか。展開の幅は広く非常に魅力的な作品だと思います。

 面白かったです。

15:クイーンズルーシー -僕の史上最低最悪な日々-

 海賊。ローグな感じ? というところでしょうか。

 14番の作品とは随分と毛色が違うんですが。これもダークファンタジーですよね。困難な環境に置かれている主人公の話。ダークではありますな。

 異世界転移って基本的に「受け身」の作品が多いと思っています。

「異世界転移をしようと思って、異世界に行く」という導入ではなくて。

「なんか良くわかんないけど。異世界にいました」という強引さで物語に巻き込まれるものですし、読者もそれを受け入れるジャンルです。

 その「受動的な態度」の作品であるので、これを「どうやって能動的にするのか」というのは、異世界転移のストーリーの手腕の見せ所なのでしょうね。

 今回はもう「受動の極地」といった形で、ずっと描写されていくんですが。前半は「作品世界観及びタイトルにあるクイーンズルーシー」に関する情報提示のために「親友候補のロブ」による解説。後半は「親友候補のロブの退場」という、ダークファンタジーです。

 新たなキャラクターの登場によって「物語はまた受動的」にすすんでいきます。

 読んでてべらぼうに面白い軽妙な語り口です。この主人公が「ダークな世界観」でどのように過ごしていくのか。エンタメ作品としての「キャラクターに興味を持ってもらう」という性質の作品でした。

 毛色は違うけど。これも面白いですね。

 感想は以上です。

16:覚醒の代償

 あらすじですが。村焼かれる系ですかね。

 ホットスタート形式による。村を焼かれる話です。エンタメ作品、こと日常を破壊されるという導入では多くの村が焼かれてきました。

 今回は、その村への襲撃に関してが「幼馴染」による誘引であったこと。能力の発現のために、村一つ犠牲とすること。といった、導入や流れる血の量や感情のラインが「ダークファンタジー的」というものなんでしょうね。

 終始、妹を手放さなかった。というところについて気になる描写があります。

「どうして、妹を手放さなかったのか?」

 というのは「家族としての庇護」なのか。それとも別の思惑あってなのか。明示的ではなかったんですよね。
 学校の話題とか。ルークの存在について、動きのあるイベントの中でも文字を割いているのに、妹のことだけ書いていない。もしかしたらですが。取り残された妹にこそ、何かしらの重要な役割があるのかもなぁ。なんて、邪推しながら読んでいました。

 ダークファンタジーは村を焼かれる。というより、あれですね。衝撃的な導入。絶望感のある導入。血しぶき舞う世界観。人の命が驚くほど軽い。

 とか、世界観から特徴を持たせていくのは期待される要素ですね。

 感想は以上です。

17:不出来な令嬢は血を代償に、死霊使いとなる

 あらすじがないパターンですね。後半ともなると、もしかしたら時間に追われたのかなぁ。とか思ったりしています。

 ドアマット的(不遇な人が愛される物語パターン)とも違うんでしょうけど。なろうの異世界系の文脈である「テンプレート」としての「能力の発現」による「能力による格差や扱いの差」等を舞台装置としたものでした。

 不遇であること。能力に恵まれないこと。それによる差別的な扱い。等を「ダークファンタジー」的とするということでしょうかね。

 この作品に限らずですが、多くの作品で「環境的な要因による社会全体に漂う倫理観の崩壊。モラルハザードなマジもんの異世界」等による世界観からのアプローチではなくて。キャラクターに襲いかかるつらいエピソードを持ってして、ストレスを設置している。という作品が多いですね。

 皆さんが思う「ダークファンタジー」というのは、個人にかかるイベントに比重が高いのかも。

 作中に提示されている情報等から、敵対者は明確であり、今後の展開としてはそれらの人々との対立や介入等が予想されるセットアップでした。

 後半に主人公によって呼び出された存在も「コミック・リリーフ」的な役割を果たしてくれるのかもしれませんね。

 感想は以上です。

18:魔が月の花嫁

 ちゃんと梗概としてのあらすじがあるのは安心感があります。テンプレとは違う、独自世界観を構築しようという作品世界であれば、あると読みやすいですね。

 面白かったです。エンタメとして「婚約」にかかるホットスタートのシーンから始まり、そこから時制を十二時間遡る。といった語り。主人公のバックボーン。治安の悪い都への赴任。
 といったように、そつなく描かれている感じがあります。

 さらには。ダークファンタジー感を取り入れる時って、少なからず「主人公も清濁併せ呑む」位の、根性というか。粘りというか。ローグ、クレバーな要素を感じる描写も「ダークファンタジー」っぽさがあります。

 聖職者でありながら、金と道理を理解する。

 事前に予想していた「ダークファンタジーの主人公」っぽさがあって、印象のいい読後感でした。

 文体とかムードとして完成している作品だと思うので、あとは「読者の好み」の差で左右される作品でしょうね。

 感想は以上です。

19:希望の勇者ウィル・サーガ~光喰らう邪神の胎動~

 あらすじからなんですが。正統派な勇者を据えたファンタジーっぽさがありますね。

 タイトルにも「サーガ」とあります。

《「サガ」とも》
古ノルド語で書かれた、中世散文物語群の総称。アイスランドで成立ノルマン人の植民前後からの史実や英雄伝説を年代記風に記したもので、12、13世紀に多く作られ、長短百数十編が現存
一家一門の歴史系図のように描いた叙事小説。また、壮大な歴史物語や冒険物語、ファンタジーなど。

サーガ(Saga)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書

 厳密な文脈としてはこういうものがあるんですけど。物語のことを指したりします。ウィルの物語ですよ。とタイトルでアピールしているので、語り手がいるんですよね。

 ファンタジー世界で語り手といえば「吟遊詩人」です。人々から求められて、物語を披露し、多少のおひねりで生計をたてていく。

 そういう語り手の存在ゆえに、ある程度「二人」と距離をおいた形で描写していく。さらには、戦闘時には気分をもり立てるように煽るように語ってみたり。と臨場感あふれる作品でした。

 そういうムードであることを飲み込んで、読み込む作品です。

 面白かったです。しかしながら、この語りの欠点というならば。

「ダークファンタジー」としての絶望感はやはり薄味な感じはします。サーガとして、第三者が「物語る」という形式を取っている限り、緊迫感は薄れた感じはしました。

 ダークファンタジーっぽさ。といえば、女性の妊娠に絡む部分や。敵対者の恋愛感情からのイベントであったりとかは。ダークファンタジーっぽかったです。

 感想は以上です。

20:その人形は、愛した人の顔をしている

 あらすじはあれですね。ムードや要素は伝わるんですが。どういう物語なのか。エモーショナルな感じなんでしょうか。

 読後感としてはあれです。短編に近い感じがどうしても拭えないとは感じました。設定面が前に出ているので、どうしても「主人公の少年」の行動原理(心を取り戻したいと考えているのかとか。生存欲求のみなのかとか)であったりとか。物語全体のセントラルクエスチョンであるなどが、まだ見えてこない。

 かなり強い独自設定を設置して、予想される対立を読者に委ねている。といった感じの作品に思います。

 非常に高いポテンシャルがある設定です。「心が無いから人形と過ごせる」という主人公です。

 この二人が「何をしていく」のかは、わからないんです。結果だけ示されています。「世界が滅ぶ」とあるんですが。
 プロセスを想像するには、少々情報が足りない。

 といったように読み取った時に「短編感」があるなぁ。と感じた作品です。

 ダークファンタジーと可読性って、すごく相性が悪いと思うんですよね。

 紛れもなくダークファンタジーに近い世界観だとは思うんですよ。世界感自体が「荒廃」しているという前提条件も満たしている。

 投票悩むなぁ。

 感想は以上です。

21:魔女殺し

 あらすじってちょっと強引な位(読者に疑問をもたせつつ、次の文章を読ませる)がちょうどいいのかもな。と思いました。

 憧れが反転して、憎悪となる。一般的な挙動を物語に落とし込んできましたね。最近のハイファンってけっこう文化水準高めに作りますよね。ナーロッパ的世界観。物語の構成上の都合というのもあるんでしょうけど。

 この方法で魔法少女持ってきたか。という驚きを持ちながら読み終えましあ。

 他の作品でも「救いの無い鬼滅の刃の導入」と評した作品が会ったんですが。
 今回の場合は「禰豆子が炭治郎食べ終えた世界観」の導入っぽさがあります。

 日常の世界から特別の世界への変化。を物語上の転換点として用意すると、こうなるのは必然のようにも思います。

 まだ、世界が抱える物語上の「セントラルクエスチョン」に当たるものが見えてこないので、どういう作品になるのかはわかりませんが。敵対者として「魔女」が存在することは十分に汲み取れました。

 どうして、魔女を殺すことにしたのか。いままで、生贄ってことでうまくやってたんでしょうに。魔女を排除するってことは、いつか魔法少女も排除されそうですけどね。

 肉親を頬張る。カニバリズム。これがダークファンタジーっぽさとなるということですね。

 感想は以上です。

22:璃国妖貴妃伝

 あらすじがない。さては、時間に追われたか。どういうことなんでしょうね。本文で作品全体の方向性を示すことになるんでしょうか。

 多分ですよ。多分。悲劇しか想像ができないですよね。主人公は「愛情を受ける」ということに強い執着や未練を持っていますし。初めて愛された。ということ自体が強い成功体験なんでしょうね。

 そんな彼女のために、力を分け与える。

 これ視点変われば、また違った印象の作品になりそうです。

 時間に追われた。とかではない限り、今後の展開についてのあらすじがあったほうが強い引きになった作品だとは思います。

 予想として「拒絶されたヒロイン」が、憎悪から暴れまくる。みたいなことも考えるんですけど。それすると「舞台装置」としての「璃国」を放棄して、新しいセットアップをする必要があるんですね。

 翻って、タイトルを考えてみれば。舞台は「璃国」でやり続けるんだろうな。と思っています。となれば、絶対に拒絶されかねない状態の中「妖貴妃」として、ヒーローのそばに侍るってことでしょ。どうやるんでしょうね。

 世界観からみるに「璃国」は妖魔との戦いに疲弊しているとのことなので、彼女の存在が「璃国」に利するみたいな。有用性の証明とかになるのか。

 こういう風に「作品のジャンルとして今後の展開」が見えづらい読後感にはなりました。

 感想は以上です。

23:血濡れた闇聖女は何を成す?

 物騒なタイトルですね。

 Twitterでも触れたんですが。「聖女」という昨今のエンタメ作品で「女性キャラクター」に当て込む類型を活用しながら、独自世界を構築しようとしています。

 私が思っていた。「ダークファンタジー」としての「荒廃した世界観」に近いようなスリルを提示しました。

 盗賊たちは肩パッドつけてそう。世紀末覇者。みたいなね。

 言わんとすることわかってくれるとは思うんですが。

 さらにはダークファンタジーなので「その世界観を渡り歩く、強さ」みたいなものも欲しがるんですよ。私は皆さんの作品を読みながら「智子が読みたいダークファンタジーってどれだろう」なんて考えていました。

 しかし、これらって「エンタメ性」と共存しづらいんですよね。主人公の活躍を暗示すると「ダークファンタジーに求める陰湿さ」が消し飛んでしまうんです。これっていうのは、私の需要の話であって。皆さんが用意しているダークファンタジーはある程度「希望」に満ちたものも多くあります。

 ダークファンタジーを基礎としてはいるんですが。善性に溢れた作品構成が求められてることなのかも知れません。

 その点で考えると、この作品はそのバランスをとれた作品だと思います。

 エンタメとして求める「成長のシーン」についても「母の言葉」というもので、メンターとしての役割を与え、成長し、変化する。そして、新たな目標としての「教会の打倒」というセントラルクエスチョンを示しました。

 これも「荒廃した世界観」にふさわしい、新しい判断基準で主人公が変化したシーンでした。

 ダークファンタジーにしては、明るいかもなぁ。

 感想は以上です。

24:消えない願いは誰が叶える? 茫霊と夜闇

 ルポとかなんですかね。いやでも、備忘録とあるのでそこまでのものではないんですかね。

 書き出しの大事なところって「読者に約束を示す」ことだと思っていて。読者は書き出しで知りたいのは「この作品を通して、私は何を楽しめるのか?」という部分です。

 その点で申し上げるとこの作品は「和風ファンタジーの世界観で、バトルと基調とした作品展開を約束します」といった書き出しでした。

 その冒頭のシーンの最中「人間に戻す」という提案と、それを断られるといったシーン等もあるように、ヴァイオレンスな解決以外の方法も提示するなど、物語としての幅を示していました。

 この部分も踏まえると、エモーショナルな展開も期待できますし、作品上の「独自設定」として示している「茫霊」が人間になる。ということへの、読者の興味を「語り手」の羽寧が登場することで導きや誘引となっています。

 そういう狙いの作品であるし、和風バトルファンタジーに飢えている読者はダボハゼのように食いつくと思います。

 タイトルからは強みとなる「和風ファンタジー」という部分が見えてこなかったので、もっと、広まるところに広まれば「対象読者」に届く作品だったんじゃないかな。とは思います。

 感想は以上です。

25:首無し騎士と銀月夜

 最近どの企画でもデュラハンみるんですけど。
 あらすじはあれです。梗概というよりかはアオリ文としてのそれです。

 面白かったです。主人公のバックボーン「性別を偽る未成年」等の部分から「性差による歴然とした差別」等を考慮せざるを得ない作品世界であるとか。そういった「脅威」を明示的に描きつつ、エンタメ作品としての「スピード感」のある導入でした。非常に良い印象の作品です。

 Twitterの感想でも触れてはいるんですが。

「主人公が冷静さを欠いている」

 と感じてしまっている理由の一つとして、トニーやレックスという「顔見知り」程度の人物名詞のあるキャラクターの登場により「誠実に説明したら、どうにかなったんじゃない?」みたいな発想が浮かびます。

 これは、私達のような社会であるからこそこんな発想なのかもしれません。

 主人公が存在している社会では「警察機構の威信のためにも、冤罪でもいいから誰かしょっぴきたい」とか、考えている「危険性を考慮してのこと」なのかも知れません。

 本文を何度か読み直して見ましたが、主人公が「未成年であること。性別を偽っていること。義父の評判が良くないこと」などを理由としているように見受けました。

 あまり、組織を信用できない世界観なのかもですね。

 とは申していますが。絵面としては、非常に動きのある作品であり、ダークファンタジーとして期待されるスリルを十分に担保した力作の一つでした。

 感想は以上です。

投票先の検討

 せっかく読んだんですからね。選ばねばなりませんな。どうしようかなぁ。

 一つの評価軸で選んで見ますか。

 今回の選び方を一つ決めます。

選び方

 智子はお金を吐き出せるスポンサーだとします。そして、その金の力で「続きを書いてもらおう」という悪い金持ちです。しかし、それを選べるのは三作までです。更には、この企画は「うちには珠玉のダークファンタジーが揃ってますよ」という引込みです。となれば、智子の腹はもう「ダークファンタジー」に染まっています。

「続き読んでみたい」かつ「ダークファンタジー」っぽさがある作品を選んでみましょう。

 基本的にはですが。作品上のウリとしている要素が全くわからない作品というのはなかったです。腰据えて読めば、何を狙いとしているのか。は汲み取れる作品が並んでいます。

 となれば、やはり決め手は「ダークファンタジーっぽさ」でしょうかね。

 やはり世界観が荒廃していて。舞台自体にスリルがある作品はダークファンタジーっぽさがありました。さらには主人公が荒んだ世界観に馴染んだ強さを示していること。この二つを満たしたものを一覧にします。

01:肉挽きはお茶会の後で
08:チュレタラヴィータ
12:若い日、貴方を嗤って捨てた。あの日の私を殺したい。
13:神と悪魔の創世外典
14:剣士デュラン、沼地の廃都に迷う
18:魔が月の花嫁
23:血濡れた闇聖女は何を成す?
25:首無し騎士と銀月夜

 いやいや。これ三つにしぼんの。むずくない? 
 もう、あとは純粋に好みですかね。

 決めました。

投票先

1位票:『18:魔が月の花嫁

 これは迷うことはなかったですかね。安定して「ダークファンタジーっぽさ」を感じ取ることができました。治安の悪い街。特別な任務のために派遣された聖職者。その物騒さを表すかのように、帯同する案内人。文化水準を示す地の文。など、高い水準で「智子のダークファンタジー欲」を満たしてくれました。あとは私が大金持ちであれば、札束積んで「続きを書いてください」とお願いするだけですね。

2位票:『12:若い日、貴方を嗤って捨てた。あの日の私を殺したい。

 奴隷に落とされた「わたし」が淡々と描写する筆致。人との別れとか。距離感についての描き方が読んでて気持ちよかったです。ダークファンタジーとして「気持ちいいってどうなん?」とは思いますが。興味は持てた一作でした。物語の本筋となる「ウリ」のラインまでは届いていないんですが。この作品に続きがあるなら、付き合うことはためらわない作品でした。

3位票:『14:剣士デュラン、沼地の廃都に迷う

 男の子はビジュアル的に「両のまぶたを縫い留めた女の子はこころにくる」という、共通の癖があるので。これはもう仕方ないんですよ。しかもね。何がいいって。その世界観に似合った「逞しい男性ヒーロー」が活躍する。しかも、老婆を切り捨てようとする倫理観。しびれますよね。これはね。そんなことをする。ないし、そんな発想が浮かぶ。という荒んだ世界観の現れですよね。とはいっても主人公自身が「非常に逞しい」というのもあって、絶望感自体はちょっと薄味かな。とは思いました。それが個人的には2位票と3位票をわけた理由だったりします。

終わりに

 ふと、手すきになったので。目を通して記事を作り始めました。

 こういった匿名企画では基本的に「自分のアンテナ」と「世間のアンテナ」に関しての感度やベクトルを合わせていくという狙いがあります。

 実際、参加されている作品25作品を読んで思ったのは。

 ダークファンタジーというレギュレーションに対して。主人公にストレスを与える方法に種類があると感じています。

「キャラクター自身に困難を与える」作品が多かったように思います。

 私はダークファンタジーについて「作品の世界観や環境から、キャラクターが作成されて、イベントの必然性を担保していく」と予想していたので。読みながら「皆さんが考えるダークファンタジーと智子が考えるダークファンタジーには乖離がある」と気づきました。

 あとは皆さんの投票結果を見ながら、世間の需要を整理していきたいと思います。

 あまりにも、イメージとかけ離れていたので。今回は順位予想は難しいと諦めましあ。

 記事は以上です。どんな結果になるのか。楽しみですね。

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