技術書典5に参加する物理シミュレーション系サークルの妄想
10月8日に開催される技術書典5は,これまでと比較して規模が大きくなり,参加サークルも増えました.そこに参加するために結成したサークルさんもいくつかあると思います.当サークルは,物理シミュレーション系のサークルとして,これまで技術書典2,3,4,超技術書典に参加しました.技術書典5に向けて,当サークルが思っている事を垂れ流すために記事を書きました.
ここでいう物理シミュレーション系サークルとは,物理現象の数値シミュレーションに関わる内容を主に取り扱うサークルのことを意味しています.
景気のよい話があちこちから聞こえてくる技術書典ですが,その中において,物理シミュレーションはドマイナージャンルといってよいでしょう.だからといって引け目を感じることは何もありませんが,こと頒布部数になると,そこまで景気のよい話にはなりません.
個人的には多くて50部で,平均的には20部くらいがいいところかな?と今は考えています.これでも他の同人誌即売会と比較するとかなり景気のよい話ですが.技術書典の規模が大きくなった分,一般参加者も増えますが,サークル数も多くなっているので,フラッと訪れて運命の出会いをして買っていく人は減るのではないかと思います.
当然のことですが,新刊かどうか,取り扱う内容や事前告知,当日のスペース運営(掴みのよいポスターを出して,かつ興味を持った人に効果的に内容を説明できる等)によっても変わるでしょう.例えば,Pythonのようなイマドキの言語を使っているとか,OpenFOAMのように業務で広く使われていて情報を求めている人が多いものを題材として,多くの人が求めるであろう情報に言及した内容になっているとかになると,もう少し(かなり?)見込めるかなとも思います.
とはいっても少部数での印刷は単価が高いので,家に空きスペースがあるなら,多めに刷って何かの機会に配ったり,通販したり,次のイベント用に取っておいたりするのも一つです.当サークルは,当初は頒布部数の予想に従って印刷部数を決めていましたが,最近は多めに刷るようになってきました.ですが,もしこれを読んでいる初参加のサークルさんがいらっしゃれば,背伸びせず,自分の思うように楽しむことが重要という事は意識していただければと思います.
物理シミュレーションがなぜドマイナージャンルかというと,同人誌というものに興味関心を持っている人が少ないからではないかと考えています.基本的に論文や専門書で情報を仕入れる分野です.しかし,1年半ほどサークル活動を行い,たとえ同人誌であっても存在を知れば興味を持ってくれそうな人は日本全国に結構いるという感触があるので,気長に地道に続けることが重要だと思います.
当日はサークルスペースに行列ができるほど一般参加者が来ることはないでしょうし,スペースに来た人と十分に情報交換ができると期待しています.物理シミュレーション系サークルが技術書典に参加する醍醐味は,この来場者との情報交換だと勝手に思っています.物理シミュレーションの分野では,この情報交換というのが結構難しいのです.OpenFOAMは別として,有志が運営する物理シミュレーション関係の勉強会は多くありません.学会の主催する講習会や講演会が情報入手の場になりますが,そういう場に参加して,十分に情報交換ができたことはほとんどありません.
奇しくも,日本機械学会の流体工学部門は,今年度の部門講演会においてプレゼン形式の発表を止め,全てをポスターセッションとすることを決定しました.その目的は,学術・技術交流の活性化です.ポスターを展示して,興味を持った人がそのスペースに来て情報交換する.まるで同人誌即売会のようです.技術書典は学会ではないので,自身の情熱のみで参加できます.他の物理シミュレーション系サークルさんと,そういった情熱みたいなものを交換できるような場になればいいなと勝手に思っています.