第2回 共助資本主義 マルチセクター・ダイアローグ 開催レポートーー 新たなシナジーの創出を目指して
2024年4月9日、経済同友会、インパクトスタートアップ協会、新公益連盟の共催イベント「第2回 共助資本主義 マルチセクター・ダイアローグ」を開催しました。
大企業、インパクトスタートアップ、NPOが社会課題の解決に向けて手を取り合い、新たなイノベーションの創出を目指す本イベント。約350名の参加者が一同に集い、新たにどのようなシナジーが生まれたのでしょうかーー イベントの様子を紹介します。
開催の背景 ー共助資本主義 マルチセクター・ダイアローグとは?ー
2023年7月、経済同友会、インパクトスタートアップ協会、新公益連盟の3団体は連携協定を締結。企業とソーシャルセクターがもつ資源を有効活用し、国内外のさまざまな社会課題の解決を目指す取り組みを始めました。
同年9月には、活動の発信や企業とソーシャルセクターの連携活動のきっかけ作りを目指し「第1回 共助資本主義 マルチセクター・ダイアローグ」を開催。そこで生まれた新たなテーマを元に約半年間の活動を経て、本イベントの開催に至りました。
各分科会においてどのような活動が行われてきたのか?活動内容の共有とともに、参加者によるさらなる融合を目指し、今回はNPO団体によるラウンドテーブルやスタートアップ企業によるピッチセッションも行われる運びとなりました。
パネルディスカッション ーー共助イニシアティブの現状とこれからを考える
パネルディスカッションでは、共助資本主義の実現委員会委員長である髙島宏平氏がモデレーターを務め、各団体の代表者4名によるパネルディスカッションが行われました。
インパクトスタートアップ協会からは、WOTA株式会社の前田瑶介氏が登壇し、災害時の水問題における現状と課題について語りました。
震災の経験をもとに、災害時の水不足問題の解決に取り組んできた同社は、ポータブル水再生システムの提供に取り組み、2019年に量産化に成功。2024年1月1日に発生した「能登半島地震」においても、わずか数日で必要とする地域への支援を実現しています。
災害大国と言われる日本の今後の課題について問われると、想定され得る国難級の災害においては、現状の仕組みでは対応が追いつかず、今のペースだと100年かかると述べました。前田氏は「これからさらなる共助という意味では、そういった点に対して官民関係なく、国をあげた準備が必要だ」と繰り返し語り、共助の重要性について呼びかけました。
「社会課題の解決と経済成長や利益をどう両立し、さらに創出したものをどうスケールさせていくかーーここにいる皆さんで一緒に見つけ、新しい社会を創出していこう」という高島氏の声がけとともにパネルディスカッションは幕を閉じました。
ピッチセッション ーー大企業とスタートアップのシナジー創出を目指す
今回初の取り組みとなった、スタートアップ企業からのピッチセッション。「人材」「教育・子育て」「食・農」「環境・エネルギー」「金融・包摂」「情報通信」「研究者メディア・プラットフォーム」の7分野に対して、インパクトスタートアップ企業の7社が、資本提携や事業連携など新たなシナジーの創出を目指し、会場の参加者やフィードバックメンターに向けてピッチを行いました。なお、共同司会は、インパクトスタートアップ協会代表理事、ライフイズテック株式会社代表取締役CEOの水野氏が担当しました。
ピッチに対し、「自社でのサービスの導入を検討したい」といった具体的な話をはじめ「出資の検討も含めて、海外進出の際は支援したい」など、今後の成長を後押しする前向きなコメントも参加者からいただきました。
シナジー、そして融合は生まれたのか
会の後半では、各ブレイクアウトセッションでの共有や総括が行われました。スタートアップ企業の成長に驚く声や、登壇者からは、ピッチ後に「ぜひ一緒に取り組みましょう」とすぐに企業から声を掛けていただき嬉しかったなど、新たな融合の報告が次々と起こりました。
ピッチを聞いた参加企業の方からは
「刺激にインスパイアされて、少しクリエイティブに物事を考えられた。企業経営においては強靭な収益力や環境変化に耐え抜くタフさが無いと、会社も社員もお客様も守れない。一方、未来を担う子供たちや地球環境のこと、社会の弱者などあらゆるものに対して思いを寄せて、何かを同時にやっていく優しさも必要。これを常に同時に併せ持って、企業経営をしていく必要があるのではないかーー」そんな思いに至ったという、熱いコメントもいただきました。
また、この時間に参加者の名札と一緒に配布された「コミットメントシート」への記入の時間が設けられました。今後、自社や自団体が取り組んでいきたいこと、さらに本イベントを通じてそれを一緒に取り組みたい企業などが記入できるようになっており、後の交流会などでも活用され、シナジーを生み出すきっかけにもなりました。
おわりに
本イベントを通じ、これまでの取り組みを振り返ると共に、新たなイニシアティブの創出を行うことができました。ある参加者の方から「共助資本主義の土台には共感が必要だ」というお話がありました。この“共感”を生み出すためには、この場に参加し、共に考え、共に語り熱量を感じていただくことが大切だと考えます。
今後も、インパクトスタートアップ協会では、多様なステークホルダーとの協働を通じて、インパクト領域のスタートアップが成長していける環境づくりに取り組んでいきます。
次回、第3回目となる「共助資本主義 マルチセクター・ダイアローグ」は10月4日(金)15時から20時の開催予定です。ぜひ共に、共助資本主義社会の実現に向けて一緒に歩んでみませんか?皆さんのインパクトスタートアップ協会へのご参加を心よりお待ちしています。
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