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【フリーゲーム】Vergunty  ヴァーガンティー プレイ感想

(6200文字)読むために必要な時間 17分40秒

皆さんこんにちは。今回はこのゲーム!

前回に引き続き、こちらもフォロワーさんからオススメされたものです!

今回は乙女ゲームですね。BLに次いで縁のなかったジャンルですが「切ないドロドロ系」ということでオススメしていただきました。

いいねぇ、ゲームやってて切なくなるの好きなんですよね。それが果たして乙女ゲームで起こるかどうか。

切ないドロドロ系代表と言えるホワイトアルバム2をやったのが何年前だったろう。エロゲってやっぱりストレス与えないようにするためにヒロイン間でのいざこざって本当に少ないですからね。

アニメだと「とらドラ」なんかは最近でも見返したりしたので、記憶に新しい。

乙女ゲーム、と思いきや……。

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BL表現またある!!!

そんなにみんなエロゲーマーがBLする時の反応が見たいの!?

覚悟がないなら、その唇を許さないで

まずこのキャッチコピーからしていいですよね。選択肢と攻略対象が複数人いる、という自分が求めているエロゲスタイルそのもの。

覚悟なら出来てますよ。こちとらエロゲーマーですから(どういうこと?)

フルボイスだったーーーー!!!

多すぎるよ! フリーゲームはフルボイス当たり前みたいな風潮になりつつあってやばいよ!

しかも今回分岐もあるし、そこそこキャラクターがいて、その上長編のはず。中古車買えるぐらいの予算がかかっているのでは……。

作品にかける熱い想い、これは期待大ですよね。

また、この作者さん個人制作らしく「シナリオ、イラスト、スクリプト」全部ひとりでやっていらっしゃるとか。

同じく個人制作勢なのでその辺の熱量も見どころです。

プレイヤー名

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奇しくもそれなりに作品の雰囲気を壊さないようなHNなので、より物語に没入できそうです……(笑)

綿貫まい、行きまーーーーす!

この人が主人公だと思ってた

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乙女ゲームってヒロインの立ち絵があることも全然珍しくないので、この人が主人公かと思っていました。

百合表現もあると書いてあったので、まあそういうことなのかな?

にしても、乙女ゲームのヒロインって結構「気弱」「天然」成分が強く可愛い子が多いので、ビジュアルがないのは残念かもしれない。

冒頭で「自分の名前」を入れるシステム+声無しなので没入型にしたかったという意図もありそうですね。

主人公ちゃん!?

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嘘でしょ!? そんなところで!?

早くも主人公ちゃんとの心の乖離を感じるところではあるんですが、そういうギャップに弱いのか、という彼女の一部を知れたので寄せていきたいと思います。

ドロドロ系に発展する物語って、まあ……言ってしまうとキャラクターが「ダメ人間」なことは間違いないんですよね。登場人物がみんなまともだったらトラブルや問題は起こりませんから。

「うわぁ……同じ立場でもそうするわぁ」という共感が必要になるのが難しいところです。だからこそ主人公への没入感は何よりも大事!

ここからは自分もダメ人間になる「覚悟」をもってプレイするぜ! と誠実さを捨てたエロゲーマーであった。

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年号変わってもう半年以上経ってるの、マジヤバくね?

主人公ちゃんのコミュ力が強すぎる

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仕事柄なのかめっちゃアグレッシブ。乙女ゲームの主人公感が今のところない気がします。この性格でドロドロした展開作れるの……?

一応関係的には16歳という自分より年下の子が攻略対象になるわけで、だからこそ主人公が大人になるべきというか。

選択肢

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男キャラクターを天使って表現するのは乙女ゲー特有という感じですよね。エロゲやってると男キャラクターってだいたい粗雑に扱われるものなので新鮮な気分になります。

ここは断然「推しなんで手なんて出せません」を選びます!

まだ惚れる段階ではない! 全然ないよ! 一目惚れとかろくなことにならないから!

過去のジュンさん良い

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ダウナー系にパーカー着せるのってやっぱり基本なんですかね? 自作品でもそういう子がいるので、過去のジュンさんにすごく親近感がわいた!

え! めっちゃ可愛いんですけど

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主人公ちゃんの力でタイムスリップしてこのころのジュンさん落としませんか? 

榎本さん、申し訳ないですが、この子うちでもらうことに決めました。

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あ……。

なんだこのNTR感……!!

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ジュンさんを気に入ってしまったせいか、榎本さんには申し訳ないけど果てしなく寄り付くお邪魔虫感が漂ってまいりました。

エロゲーマーからすると、榎本さんによりついていた女子、がジュンさんに寄り付く榎本さんという構図に変わっただけ!!

なるほど。こうやってプレイヤーを巻き込んでドロドロさせたいわけですね? 望むところです。

さあ榎本からジュンを寝取るんだ!!!

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……。

……でも好きなのは過去のジュンさんの性格とか声とか容姿なんですよね……。

ヒロインはやっぱり受けであって欲しくて、大人っぽすぎるとヒロインというより性の対象に代わってしまうというのが残念なところ。

攻略対象っていうよりかは都合のいい時に慰めックスするような安易なポジションになっちゃうんですよ。ドロドロ系ならなおさらそのポジションに落ち着きそうだと予想してみます。

でも今のところ考察できる部分が多くて楽しい。

ジュンさんの過去回想を皮切りにこの作品に没入し始めてきました。

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おそらくこの二人と主人公ちゃんの三角関係になるはずなんですが、美月を取られたくないケンマが主人公にちょっかい出してるうちに好きになってしまうか、あるいは主人公がケンマのことを好きになる三角関係かのどちらかに転ぶはずです。(これぜーんぜん違いました、てへ)

どちらにせよ、いったん好きになったはずの相手から違う相手に切り替えるという展開は確実にあるわけで。

さらに榎本やジュンさん。果てはシャルルまでもが入ってくるので相当これ作者さんの贅沢盛りですよね(笑)

全部やりたいんだ! このカプも想像させたいんだ! みたいな欲張り感が想像出来てそれだけでもう面白い。

このゲームのスタイルが「群像劇」になっているところからも、全てのキャラクターを好きになってもらいたい、という熱が感じられるんですよね。

このへんは主人公に没入感を持たせる意図と真逆なことをしていると感じました。

だって主人公、今のところめちゃくちゃ空気!!

没入するどころか「あ、いたの……?」ぐらい他に比べて描写が少ない!

もし作者の方が主人公を「自分」と見立ててシナリオを書いているとしたら、相当自分のことはどうでもいいから他のキャラを見て、と思っているに違いありません。

心理的な観点から見ると凄く謙虚な作者さんなのかな、と想像してしまいます。

このゲームおもしれぇ!

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まだ√にすら入ってないんですが、

このゲームおもしれぇぞ!(悟空並みの感想)

上のシーンなんか、二人の喧嘩を見つめるプレイヤーの構図そのもので、そういう立ち位置のキャラが画面の中に一人いてくれるとシリアスな雰囲気でもすごく安心してプレイ出来るんですよね。

ここだと春市くんという立場になって、「外野からうわあドンパチやってる(ニヤニヤ)」みたいに。

サブキャラの使い方がひじょーーーに上手い!

ちょっと待ってください。

この作者さん「シナリオ、イラスト、スクリプト」全部こなしてましたよね?

シナリオも絵も高水準なのはズルですよ。

この人すげー好きかもしれない

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プレイヤーと完全に同期しとるわ……。

選択肢2

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高校生なので、はっきりと断ります!!!!!!

……、というか。このゲーム最後の選択肢以外は関係ないらしいので、どっち選んでも同じという。

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主人公ちゃん? プレイヤーと同期する気があります……?

なぜに脳内の選択肢を消したの……?

もう一人の「まい」が思うように動いてくれない!!!!;-;

この人も好きかも……。

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三角関係って、本人たちにあんまり感情移入できないからこそ周りにいる人たちが聖人に見える的な……。

てっきりシャルルも主人公の三角関係に食い込んでくるかと思ったのに、なんだこのイケメンムーブ。

と、一瞬思ったんですが!!!

酔いつぶれた女の子を性欲が一番盛んな時期の男子に送らせるムーブ、イケメンどころかエロゲならぶち切れてる場面でしたわ!! 危険ッッッすぎる!!!

前言撤回。シャルル、貴様は美月の役得を得たいがために「まい」を利用したに過ぎない!!!

許さんぞその姑息な手口!!!

もう一人のまいいいいいっっ!!!

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んがああああああああああ。

ドロドロ展開よりも、もう一人の自分が勝手に行動することに対する苦しみのほうが精神的にくるよおおおおおおおお。

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まだプレイヤーのまいは美月のことを好きになっていないよーーーー!!!!!

今のこの気持ち。

よくエロ同人とかである「男が女の子の身体に憑依して好き勝手する」NTR系漫画を読んだ時の気持ちによく似ています。

美月くん、浮かれすぎや……

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あんだけ喧嘩しあってたのになぜに全て無かったことかのように「付き合っちゃいましたー(てへ)」みたいに報告出来るのか。

さすがにここまで無神経だとケンマにも同情してしまう。

そして、それと同時にケンマを応援したくなってしまう。

クソワロタ

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このシーンめちゃくちゃ笑ったんですけど。もしかして腐女子だから余計お尻触りたがるのかな、とふとよぎった考えにさらに笑いのループ。

からの

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そうだったの!!!!!????????

もう一人のまい、君のことを全然知らないんだ。全然知らないのに、まだ好きになってない美月くんとイチャイチャし始めて、こっちはどういう心境でプレイすればいいんだ、まい……!

ケンマが可哀そうすぎる

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今のところ全然美月を好きになる要素がないのですが、
これはプレイヤーとして正しい感情でいいんでしょうかね……?

これは意図されたヘイトですよね……?

どこからどう見ても美月が嫌なヤツにしか見えない……。

正直ケンマも良いヤツには見えないんですが、それ以上に美月が無自覚な悪をはらみすぎている……。

そしてこういう無自覚タイプは別れたあとの未練の引っ張り方も想像に容易い……!!!

血がドロドロしないと良いですが。

折り返し地点の10章

ストーリーらしいストーリーは、今のところジュンの過去回想ぐらいで、ほとんどキャラクターの感情によって物語が進行している形です。

ちょっと刺激が欲しいかな、と思い始めた頃。

ケンマに攻め立てられて、泣く主人公。

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過去ジュン派でしたが、このシーンでは純粋に主人公の味方であるジュンの安心感たるや無かったですね。

ここからジュンがケンマに敵意を抱いてくれたらさらに好感度が上がったんですが、そういう描写はありませんでした。ここらへんはやっぱ「大人」としてジュンは描かれてるのかなぁ。

そういや榎本さんはジュンが主人公に好意を寄せてることに気づいてるのかな……?

気付いてそうなキャラデザではあるけど、一応この人もパッケージの4人として飾られているから、ただではくれてやらんみたいなプライドは持っていそう。

とうとう別れ話

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いったんそれでよくね? と思ってしまう。

ここから数年後、すさまじい脚本家になった後に再び主人公の元に現れて2度目のプロポーズ決めたらちょーカッコイイんだけど、そんな爽やかなエンディングはこの作品にはないでしょう。

あれ……。

というか今までケンマと美月での三角関係と思っていたんですが、もしかしてここからの展開はジュンと榎本の三角関係?

んん??? 展開が全然予想出来ない。

は???????????????

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フリーゲーム。急にエンディングになる率高すぎる。

終わっちゃったヨ?

ここからが本番?

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え? ジュンさん?

あなたもしかして……。

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えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ榎本さんもそれについては知ってるの?

そしてこれは、GLになるの……?

おそらく性同一性障害みたいな感じ、なのかな。

うわあ、これは衝撃的すぎる……。過去編で声が低かったのはダウナーキャラとしてではなくて、そういうことなのか……?

そもそも今までの人生で周りが男だと把握していないなんてことあるんだろうか……? それもそれで問題な気が。

キ

ん……? その展開、まんま主人公と美月の関係なのでは……。

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奇遇にも冒頭で紹介したホワイトアルバム2で見た展開にニヤっとしてしまいました。もしかして作者さんプレイ済みだったりして。

え、榎本……? お前……いいヤツすぎないか?

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主人公にキスしてしまって、それをすかさず「裏切ってしまった」と告白できるジュンも凄い。

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榎本オォォォオオオ!!!!

お前は良いヤツすぎたんだ……。

周りにいる人みんな不幸にしちゃう罪作りなまいを許してください。

可愛すぎるって罪だわー……。モテるって残酷だわー。

この描写は上手すぎる

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今まで女として生きたい思っていたのに、結局好きな人が出来たらその想いも努力も全部を否定したくなってしまったジュンの気持ちが痛いほどわかるシーン。

最後の選択肢

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ここからはあえて感想は書きません。

ぜひともご自身の手でプレイしてみてください。

総評

最初から最後まで面白かった。

テンポが速いというのもあるんですが、冗長な部分がない。

これは長編作品においてはかなり凄いことです。商業でも必ずダレる部分というのは出てきますが、本作は「無駄」な部分がほとんどない。

どのパートも必要だと感じさせてくれる良さを持っていたということ。うーん、自分の趣味嗜好とバッチリ噛み合ったのだろうか……。

主人公が無味無臭すぎる

こういうドロドロ系の主人公って優柔不断でないとそもそも修羅場にならないし、言ってしまえば人間としては最低に感じる部分は出てくると思うんですが……。

あまりにも空気すぎて主人公に対する嫌悪感がほっとんどありませんでした

初期に出てきた腐女子ぐらいしか彼女の情報が出てこないので、物語の舞台装置としてストレスが無いんですよね。

なのでいちいち主人公の言動に「なんでそうするんだよ!」とか「いや、自分ならこうするなぁ」って言うもどかしさはあまり感じませんでした。

男キャラが、女性キャラのように描写される

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というのも、美月くんを女の子に変えてもまったく違和感がないどころか、むしろ女の子であるほうが自然とまで感じます。

CG一つとっても男らしさというよりかは、赤面したり、女らしかったり、儚さを重点的にしていて、ここらへんは本当に「女性向け」だと強く思いました。

エロゲやってると「女の子が男主人公よりも戦闘が強い」というパターンがあるんですが、それの男バージョンということなんでしょうかね?

視点がコロコロ変わる

最初はちょっと目まぐるしくてなれなかったんですが、キャラクターの事を知っていくうちに気にならなくなりました。

この方法、キャラクターに感情移入させるといういう意図ではあまり使われないんですが、この作品では結構ハマっていた手法だと感じます。

何より群像劇ですし、キャラクター達が最終的にはどうなるんだろう? という興味が最後までずっと保たれていたからこそでしょうね。

こんな人にオススメ

この作品、かなり幅広くオススメできます!

エロゲーマーとしてはメインが「男の子」なので切なさはあんまり感じなかったんですが、外野から「ドロドロするキャラたちの関係性」を眺めるという楽しみ方を存分に味わうことが出来ました。

BLGL描写はあれど決してニッチな作品ではなかったかな、と個人的には評価しています。

ぜひDLしてみてください。


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