面白いけど売れない作品
今回のテーマは面白いけど売れない作品。
またはウケない作品と言い換えてもいい。
アニメの円盤売り上げを見ていると、
「この作品あんなに面白くて、〇〇のサイトでも人気だったのに全然売れてないじゃん」なんてことが多々ある。
面白いけど売れない作品はシリアス色が強い。
noteでもそれについていくつか取り上げたと思うが、
本当に昨今シリアスはウケないのだ。
それはアニメだけでなく、わかりやすくエロゲも「萌え」を売りに出し始めている傾向からわかる。昔のようなグロあり、鬱あり、なんでもあり。は売れなくなってしまった。
萌えあり、笑いあり、わかりやすく! が今の主流。
考察なんて進撃の巨人で止まってしまっている。
現代は面白さの共有よりも、好きの共有の方が多くなっているからだ。物語の質よりもキャラクターの質の方が話題にしやすいのである。
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キャラありきのストーリーか、
ストーリーありきのキャラクターか?
なぜこの記事を書こうと思ったのかその発端を話そう。
今期見ているヴィヴィフローライトアイズソングとかいう、
長ったらしく英文字でいかにも初見だと敬遠したくなるアニメがある。
実際は超面白い。話は二転三転するし
曲もいいしヴィヴィは可愛いし文句なしの出来だ。
しかし残念ながら円盤は売れないだろう。
この作品はストーリーありきの作品だからだ。
売れる作品はこうだ。
面白いキャラが、特定のシチュエーションで、面白い展開になる。
売れない作品は興味深いストーリーに巻き込まれて、最初はこんな風だったキャラクターがあんな風に変わっていくの構造。
両者はリピートしたくなる作品と続きが見たくなる作品の違いだ。
そしてそれがシリアス作品における最大の弱点とも言えるだろう。
結局のところ続きが気になるという面白さの評価は最大瞬間風速であって、長い目で見たときにまったくあてにならない評価になりやすい。
その場しのぎで面白い展開を作ったとして、そしてそのモチベーションを最後まで保ち続けたとして、
「はぁ、面白かった。もうこの作品はいいかな」ではダメなのだ。
(あくまで売り上げの話)
誰かとその作品を共有する時に必要なのは深いエピソードでもなく、物語のテクニックでもない、最後は「このキャラクターが可愛い、すごい、天才、面白い」というネタだ。
ここでひとつ、深夜アニメの円盤売り上げ一覧を見てみよう。
シリアスでも作品が売れる可能性はあるか?
ここで「ん? 進撃の巨人はバリバリにシリアスじゃないか! 売れてるじゃないか! 最終巻発売したぞ!」と思われるかもしれないが、あれは映像作品としてとんでもない予算をかけている。
今までになかった「立体起動アニメーション」あっての売り上げだろうから例外だ。いかにもアニメメーションの真髄というレベルの作画。
加えてライナー・ブラウンというキャラクターが話のネタにしやすいほどに、序盤から終盤まで主人公ばりのエピソードを披露してくれる。
「ん? いや待て。まどかマギカは萌え系に見せかけたシリアスだぞ! どういうことだ!」
その通りである。
まどかマギカの凄いところは、純粋なシリアスで売れたところだ。
これは誰もやっていないことを最初にやった功績だと思う。
いわゆる火付け役であり、流行、ブームと呼ばれるヤツだ。
これを機に萌えと見せかけて実は鬱展開でしたは実際に増えた。しかし、当然ながらそれはすでに見たことのあるものになってしまっているので、ブームにはならないし円盤も売れない。
わたくし妹尾まいお気に入りのアニメ。
ヴィヴィフローライトアイズソングも海外からアイドル版ターミネーターと言われているので円盤は売れない。
つまりシリアスで大衆ウケしたかったら
誰もやっていないことをやるしかないというハードルの高さがあるのだ。
そんなもの誰もやるわけがない。予算の限られた業界で。
進撃の巨人ですらエロゲ「マブラヴ」の影響を強く受けていると作者が公言しているし、マブラヴスタッフと対談もしている。
シリアスはロマン
最後に大事なことを言っておこう。
この記事はシリアス作品を否定する記事ではない。むしろ肯定的だ。
先ほど載せた円盤売り上げの半分ぐらいはシリアス作品が並んでいる。
純粋なコメディ作品のほうが少ないだろう。
ノベルゲームで爆発的にウケたひぐらしのなく頃ににもシリアス作品だ。
このことからわかる通り、
シリアス作品は一発当てるのに向いている。
ギャグやコメディは安定して売れるが、一発当てるのが難しい。
そして人気シリアス作品のほとんどは辛い雰囲気の中でも頑張って笑いを生みだそうとしている。
シリアスでウケたければ、
誰もやっていないことをやり、かつその中で笑いに昇華できるネタがあり、そして最後は完全に運の要素が絡む。
例外として鬼滅の刃は皆がやっていることをやり、笑いがあって、運で大流行した例だと感じる。
呼吸法はジョジョで似たようなものがあるし、柱もBLEACHが先にやっている、勢いとノリのギャグは鋼の錬金術師を彷彿とさせるし、鬼になった妹を「もとに戻す」系もありがち
正直見たことのある要素しかない。
しかしむしろ見たことがある要素ばかりだったのが逆に良かった説がある。
それは幅広い年齢層にウケていることからも
「どこかで見たことのある安心感」だなとプラス面で働いた可能性だ。
コロナの引きこもりがちな環境下で、その入り口の安心感が逆に刺さったのではないかというのが鬼滅の刃への見解。
どちらにせよ、シリアス作品でウケる方法は2つしかない。
誰もやったことのないことをやるか、シリアスの中でもネタになる笑いを生みだせるか。(もちろん中身が面白い前提で)
特に後者は他人とのコミュニケーションツールとして機能させる上では重要な側面だと思う。
続きが気になる作品を作る思考は「凄いものを作りたい」から始まる。凄い物を作ろうとすると、品質ばかりにこだわってお堅い作品になりがちだ。
それはコミュニケーションツールになり得るか?
現代のスタイルにあっているか? ということをよくよく考えたい。
明日「キャラをサイコパスにしがちな人にありがちなこと」
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