逆転の発想
作品から受けるイメージが
「なぜかはわからないけど普通」だったとしよう。
それは表現の仕方が全体を通して
ストレートすぎることが原因になっている。
作品に逆転の発想が足りていない証拠だ。
ストレートすぎるということは
全てが予想の範囲内で、全てが予想通りだったということ。
スリルというスパイを加えたいのならひと手間かけるべきだ。
捻った展開とは
Did she just threw up in my car?
(彼女、今私の車で吐いた?)
Yup.
(うん)
Sabina: Great.
(最高)
普通の会話だと「最悪」になるところをあえて真逆の答えをする。
これは会話の一例だが、物語では内心では辛いのに笑顔を作るなんかの演出でよくみられる矛盾した言動テクニック。
これの大事なポイントは逆のことをしているという矛盾がプレイヤーにわかっている点である。
「みんなの前で虚勢を張っている」だとか「みんなは気づいてないけど成長したんだな」という表現をプレイヤーだけに教えるという演出。
これを観客有利の状態と言う。
(映画だと机の下に爆弾があることを観客だけが知っているなど)
ストレートな作品というのは、全部セリフで演出するし、全部のキャラクターがその真意に気づいていたりする。
「主人公とプレイヤーしか知らない」という観客有利の状態を使っているという要素を取り入れない。
逆の「主人公とプレイヤーだけが知らない」状態は物語の基本なのでよく使われるが、捻りをいれたければプレイヤーを有利にしてみよう。
展開がわかっている面白さ
押すなよ絶対押すなよ、というのは有名なダチョウ倶楽部のネタだ。
カリギュラ効果と言って人はやるなと言われていることをやりたくなる。
シリアス作品を作るとしよう。
そのままシリアスにするよりも、
「いやいやこの作品はシリアスじゃありませんから、絶対にシリアスになんかなりませんよ」という雰囲気を作るほうが期待感を煽れる。
「ここからどうやってシリアスになるんだろう?」という想像につながるからだ。
押すな押すな、というのは絶対に押すことがわかっているから面白いネタなのであって、押すのか押さないのかわからないのであればネタとして成立しない。
100パーセント予想通りだとつまらないという評価になるが、そのうちの50パーセントぐらいは予想できる余地がないとそもそも楽しめない。
とんでもなくアホなことをやっている時にシリアスなBGMを流して
雰囲気だけを真剣にするシュールギャグなどもこれに該当するだろう。
(間抜けなシーンにエンダァァーを流すとかね)
このようにわかっていることの逆をやることで面白くするテクニックというは汎用性が高く、なんにでも応用できる。
あえてネタバレする
これはCGでも同じことが言えて「このキャラこんな表情するの?」というのを先出しすることによってシナリオへの期待感を持たせる。
エロゲではpurplesoftなんかよくその手を使う。
フリーゲームでは「ヘブンズ・ロワイヤル」で同じことを感じた。
展開の気になるCGが手元にあったとして、それを出し渋っているのなら、
ネタバレありきの面白さというのも視野に入れてみて欲しい。
さすがにサスペンスモノで犯人がバレるようなCGではあれだが、
「どうしてこうなった!?」や「この作風でこんな展開もあるのか!」みたいなCGを先出ししておくことで期待感を持たせることが出来る。
どうしても作っている側からの目線だと、ここぞという時に出したいものだがまずプレイさせる意識が必要だ。
そのために展開がわかっている、しかし想像の余地があるというのは良い撒き餌になってくれる。
何もわからない作品よりも、何かわかっている作品にしたい。
なんなら「このCGを見るために、そこまではやろう」と思ってくれる可能性すらあるわけで、CCG枚数が少ないから、という理由で出し渋っているのならそれはもったいない。
だったらCGだけ見た時とシナリオと合わせてみた時とでイメージを変えるほどのシーンにすべきだろう。
ストレートな印象を受ける作品には
圧倒的にこういった皮肉や逆の要素、意外性がない。
そして、意外性がないからCGも出し渋ってしまう。
どんどんネタバレや先見せして期待感を煽るべきだ。それで困るのは本編が面白くなかった時だけなのだから。
捻るとはあえてそうすること
おそらくシナリオを書いたことのある人なら
「これじゃ普通すぎるし、みんなやっていることだから」と自分なりのアレンジや展開を加えたいと思うことがあるだろう。
捻るとはプレイヤーの期待を裏切ることではなく、予想を裏切ることだ。
この予想というのは結果だけに目が行きがちだが別に過程でも構わない。
予想外の結果を先に見せておき、予想できない過程を本編で書く。
これもまた捻りだと思う。
なぜか結果だけを斬新に、見たことないように、凄いものに。と意気込むから急展開になったりプレイヤーの期待を裏切ることになる。
ここまで読んでお分かりだろうが、
この記事の本質は「プレイヤーに教える、プレイヤーは知っている」ということにある。
驚かせることに特化させようとすると作品の情報を隠したがる。
しかしたいていのプレイヤーはちょっとやそっとのことじゃ驚かない。
本当にその「一発」に自信があるのなら手法として正しいが、もし自信がないのならその一発を切り札に使うのではなく、釣り餌として垂らしてみるという決断もありだろう。
プレイヤーの驚き以上に必要なのは、プレイヤーのモチベーションだ。
日曜日「正しい保険のかけかた」
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