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物語にドラマを作る「リスク」の極意

今日の記事はウマ娘1期、2期とアニメを見た感想として、「あれ、ウマ娘1期はそんなでもないな……このシナリオで流行るか?」と首をかしげ、その理由を解説する記事。

ウマ娘を知らない、見てない人でもわかるような内容になっているのでよかったら最後まで読んでいただきたい。

王道とテンプレを改めて考えたい

スペシャルウィーク&サイレンススズカ

以下がウマ娘1期のオチ。

才能ある主人公がめちゃくちゃ強い海外のウマ娘に勝ってハッピーエンド

これだけ見れば一見王道のように思える。が、凄いやつが凄いことをしても煌びやかにはならない。これが面白味のない展開だというのはライスシャワーの記事でも書いた。

天才が凄いことするのは普通のことでドラマ足りえないからだ。

ドラマにしたいなら、今回のテーマである「リスク」を付与し、負けているほうを応援したくなる真理を利用すべきだと思う。

その物語にリスクはあるか?

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もしキャラクターにリスクがないのなら、そのキャラの印象はきっと最初と最後で変わらずに、そこまで心に残らないキャラになっている可能性が高い。スペシャルウィークのようにね。

2期は序盤からウマのレースは厳しい世界だということを教えている

主人公のトウカイテイオー。怪我するわ、復帰戦で負けるわ、また怪我するわ。やっとここからだというところでさらに怪我するわ。

1期は天才キャラが最後まで天才を貫いたが、
2期は天才の心を折り、そこから立ち上がるまでを描いている。

スペシャルウィーク&サイレンススズカ

この「スペックでなんとかした1期」「精神的な成長をメインに描いた2期」では大きな違いがある。

3回もケガしたウマがレースで1位とるなんてこれ以上のドラマはない。

王道シナリオとは

ライスシャワーの物語は最終的に1位はとれたものの結局観客には祝福されない結果に終わった。設定のあざとさからはあまりにも想像できない泥臭くカッコイイしめくくりだった。

なぜおどおどしたキャラクターが、こんなにもカッコよくなったのは言うまでもなく「1位を取って人々を悲しませるかもしれない」というレースに負けるよりも強いリスクがあったためだ。

2期はトウカイテイオー、ライスシャワー共に普通のアニメでは見ることができないキャラ属性が主人公をしている斬新さが面白いところ。

面白さの違いは「リスク」があるかどうか

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ウマ娘1期が物語として普通だったのは、主人公がなんのリスクもなく最後までレースを終えたせいだと思う。

ライスシャワーとトウカイテイオーは違う。

「観客に蔑まれるかもしれない」「また怪我をするかもしれない」というリスクは本人たちには大きく、レースに負けること以上に大きな足かせだった。

リスク=緊張感
リスクを振り切ってでも、やるべきことがある=ドラマになる

この「リスクがあったほうがドラマになる」はジャンル問わず面白い作品全般に言えることだと思う。

展開を派手にしたい時の考え方

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物語が盛り上がりに欠けるなと思った時に有効なのが「それをやって失敗したらどれぐらい失うものがあるのか?」を考えるといい。

それは結果的に派手なシーンになる。

恋愛モノの派手なシーンというのは「この告白が失敗したら」だ。

失敗したら失恋という最大のリスクがあるわけだから、告白を応援したくなる。というルーチーンが出来上がる。

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恋愛モノでありがちなのはメインヒロインよりもサブヒロインの方が人気が出るというパターン

これはもちろんメインヒロインの魅力が足りてないが故に起こることもあるんだけど、それ以上にサブヒロインの方が告白して失敗した時のリスクが大きいからだと思う。

サブヒロインってあくまでサブ的ポジションだからメインヒロインよりも当然努力とか、やる気があふれてるわけで、そんな子が失恋するかもしれないリスクを抱えながら告白なんてしたらコロっと感情移入させられてしまうわけだ。

それでなくても「いつメインヒロインに負けるかわからない状況」は常にリスクを背負っているようなもの。

なので、恋愛モノにおいて「負けヒロインポジション」というのはある意味で視聴者人気を取りやすいという理屈。

オススメしたい派手な展開の作り方

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「そんな作戦で本当に成功するのか!? 失敗したら……」
「ああ……だからこれは賭けになる」

なんとも手垢のついた手法がこれ。

さすがに今時このセリフが出たらむしろ成功フラグであると皆思っているので、正直効果としては薄い。

それよりも「どうしてそこまで頑張れるのか?」という問いを投げかけたほうが良いだろう。

ウマ娘なら
「どうして怪我のリスクを背負ってまで走るのか? 二度と走れなくなるかもしれないんだぞ?」
に対する回答は
「応援してくれる人、怪我をしてもまだ頑張れるということを証明したい人がいる」
ということになる。

リスクに対する動機をつける

で、そのリスクが高ければ高いほど展開は派手になる。

そして動機に共感してもらえて、感情移入まで得られるわけだ。

リスクは必ずしもなければいけないというものではないけど、個人的にキャラのイメージをガラっと変えるためには必要だと感じる。

なんでウマ娘のアニメ2期があれだけ流行ったのか。1期の時は金がかかっているぐらいにしか話題にならなかったのに。

それは最初と最後でキャラのイメージを変えるほどのことが起こったからだと思う。

それは物語にリスクが無ければ絶対に起こらない。

バトルロワイヤルのように、極限状態に置かれて初めてそのキャラクターの本性や本音が現れる。その転換を描くことがドラマであり、ギャップになる。

最初にも言った通り、スペシャルウィークは最初から最後までスペシャルウィークだったので平面的なキャラで終わり、平面的な、ごく普通の物語として話題にならなかった。

リスクはつけることによってキャラが立体化し、さらには物語に山と谷を作り出すのでここぞという時には意識してみるといいかもしれない。

ではではここまで読んでいただきありがとうございました。


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