見出し画像

【フリーゲーム】かみかくしの夜 プレイ感想(ネタバレあり)

「かみかくしの夜」本編はこちらからDLできます

ゲームでクローズドサークルと言えば「かまいたちの夜」

他にもオマージュ作品として1999ChristmasEveだったり「氷雨」だったりがフリーゲームで作られていてそちらも内容を知っている身です。

※感想の注意事項

・感想を書く際にネガティブな批判意見などは極力しないスタイルですが、この部分が惜しい、と思ったところには少しだけ言及させてもらいます
・ヒロインの名前が一発変換で出ない漢字の場合「カタカナ」で表記させてもらいます。これはどの作品をレビューする時にも統一します
・感想はプレイしながらライブ感覚で書いているので半分「実況めいた」ものになりますが、ご了承ください。

■プレイし始めの印象

オマージュ作品って誰でも作れるみたいなイメージが湧きそうですが、ファンからすると原作レイプになりかねないのでオリジナル以上に作るのが難しい気がします。

そんな期待を裏切らない出来になっていました。

音楽やSE演出、知っているとニヤリと出来る部分。主人公がしょうもないギャグを言うとか。ああ、この雰囲気なんだよねー……、と早い段階で作品の良さがわかる作り。

■雪山の洞窟に閉じ込められる

画像18

キムチ鍋が食べたくなりました。

いや、いたって真面目な感想です。

シチュエーションの話ですね。雪山の洞窟でキムチ鍋をつつきながらお酒を飲む、若干危険な感じがまた背徳的で良い。

あんまりゲームしてて影響されることは今まで無かったんですが、思わず同じシチュエーションやろう! と実際にキムチ鍋買ってきてお酒飲みながら食べました。(真夏、部屋30°越え)

これはケーキとコーヒーにも言えますね。

遭難している状況が作り出す、食へのこだわりが表現出来ています。

何かを食べることも目的の一つとして追加されるわけで、このシチュエーションは疑似体験としてかなり評価点が高いところ。何気ない描写のひとつひとつが大事です。

■おなじみのヒロイン&主人公コンビ

これは大事な要素。今作の二人の関係はバカップル全開で面白かった。従来だとヒロインとしてよりかはパートナー的な感じで、END後に恋人になってたりしますが、今回はばりばりのイチャイチャっぷりを見せつけてきます。

■序盤の推理(以下進行形で感想)

※ここからネタバレ全開になります

※読みにくいので全てのED~までスキップ推奨

↓ ↓ ↓

真っ先に死んだ島貫が怪しい。

彼は素性が知れなさ過ぎたので、ミステリの定石として情報が隠されたキャラを真っ先に疑ってましたね。この際首がパックリと言う見かけの死体には反応せず、あえてずっと島貫が犯人というていで物語を進めてました。

部長はパニック担当だったので、ここぞと言うところでカッコイイ場面を見せるか、中盤で死ぬかだと予想。

巽と最初にいなくなった二人は作中でキャラクターが怪しがっているので、まあミスリードなんじゃないかなと。

大穴として、理沙(バカップルが伏線とか)

もはやこういう犯人捜し系で、だいたいのプレイヤーは騙されないよう全員怪しいとおもって全員疑うし、「意外な人が犯人だった」を当てるには固定観念を捨てる必要があるんですよね。

登場人物があからさまな人を怪しんでいたら犯人じゃないし、自分の彼女を絶対に犯人じゃないと言っていたら犯人かもしれない。

そこらへんのメタ的な見方をしてくる自分みたいなひねくれたプレイヤーの視線をどうくぐってくるのか、期待でした。

■犯人捜しの選択肢

かなり早い段階で来て、とりあえず目星をつけていた(死んだと見せかけたかもしれない)島貫を選んでみました。

画像1

「えっ、島貫君?」 (SE)テーン♪

一人で笑ってました。

でもこれが正しい楽しみ方だと思うので、後悔はありません。

■共犯か単独犯かの選択肢

画像3

再び深読みしすぎてポンコツぶりを発揮しそうな迷探偵の時間がやってまいりました。

セーブ機能があれば断然C「僕と巽さんが共犯だと思います」を選びたかったところですが、断腸の思いでD「他の可能性があると思います」に決定。

従来のかまいたちの夜を知っていると、考え無しで選んだ結果しどろもどろになった主人公に場がしらける、みたいなのもあるあるです。

共犯の可能性を保留したのは、単独犯のほうが騙されたときに「やられた」感が強いからという理由。

騙されないぞの精神。

その後――。

画像5

「あてずっぽうに選択肢を選んではいないか?」と問いかけられているような心境で

B「そんなわけないじゃないですか!」を選択。

画像6

見事に場が白けたパターンを選んでしまった自称探偵。

■中盤の推理

ここから当然の帰結として、主人公らが疑われることに。理沙がかなり慌てふためくんですが、

これまで5人も殺してきた犯人がこの程度のことで慌てるわけがないだろうという見方と、女の子というポジションだからこそ冷静なほうが不自然だ

という二つがせめぎ合っていました。巽と部長はやっぱりミスリードっぽいので犯人だとは思えず。

画像8

左上に重要選択肢のマークが出ていないことから「あぁ……」という諦めの声がリアルに出てしまうポンコツ探偵。

潔くC「……特にありません」を選び、投了する覚悟を決める。

その後、医者に余命を宣告されたのになんだかんだ生きている状態が続き、

再び選択肢のチャンスが!!

画像10

いや、理沙ちゃん。膠着状態でさらに犯人突き止めたいって、それもう自白しているようなものなのでは……。

画像9

このチャンスを逃せば確実に次はない、そう思いながら選択肢の画面でスクリーンショットをとっていたポンコツ探偵を待ち受けていたものとは、

画像11

画像12

選択肢選んでないのに勝手に進んでるー!!!

時間経過で進むやつかーー!!

なーるほど、そういう手も使ってくるわけね。油断してました。

そして……。

画像13

死にました。

…………。

しかも、

主人公に殺されました。

吹雪の音を聞きながら、しばらく呆然としながら……、

ん……?

え……?

これは……。

ノックスの十戒にふれるのでは……?

メタ探偵として、主人公が犯人もあり得るかな、とも思ってたんですが、一人称視点でまさかそれはやらないだろうと度外視していました。

え?

じゃあ今までの独白はどうなるんだろうと。

いや、待て……!

分岐点はここだったのでは……?

画像14

セーブ機能ォォォオオオ!!

■2週目

これはつまり死んだけど犯人は確定した、ということで?

√によっては違う犯人もいる、というパターンも存在するんですよね。

このオチの憎いところは主人公だけが犯人ではなく、共犯がいたってところにあって、確実にこの二人に関する伏線があったはずなんです。それに理沙を殺したという直接的描写がなく終わるところも――。

これはもっと別のオチがあるのかもしれない、と2週目を開始。こうなってくると動機がかなり重要になってきますね。

■理沙との思い出

このエピソードは全部回収し終わってからいっきに全部見ましたが、もはや真一郎が犯人とでも言いたげな上げっぷり。

ただ一週目はほぼほぼEND1に誘導されるのかな? なので1週目で犯人がわかった上で、このエピソードが解放されていくので犯人当ての難易度が高い。

今回の敗因としては理沙と島貫に狙いを絞ったことよりも、単独犯の可能性を押してたところですかね。悔しい。

■12週目 

画像16

ここからは未読がスキップされる仕様上、攻略サイトを見てさっくり全部のEND回収しました。

さあ、おまけシナリオやるぞー! こういうオチかー!

主人公が死んでるオチ、島貫がなんかやってるオチ、かみかくしの伝承オチ。いろいろ考えてましたが、このオチは完全にティラノフェスに投稿する前提のオチで、いっそすがすがしいなと思いました(笑)

メタ探偵にメタオチで返してくるとは、一本とられた気分です。

今更だけどメタ探偵ってなんだ。

まとめに入ります。

■全てのENDを回収した感想

ミステリモノの強みとして文章を読むのが苦にならない、続きが気になるというのも良かったですし、プレイしているとこれがフリー作品だと忘れてしまうぐらい面白かったです。商業含めて最近やったゲームの中では頭抜けて続きが気になる構成になっていました。

ジャンル自体が強いというのもありますけど、そこを最大限生かした製作者の富井サカナさんに拍手を送りたいですね。

■BGMのチョイスが良すぎる

クローズドサークルというのは単純に犯人捜しをするジャンルではなく、得体のしれないものと戦っている、みたいな楽しみ方が出来るものだと思っていて、ホラーとしての要素もあるんですよ。

不気味さが重要なんですよね。

ちょっとこれは製作者目線になりますが、ミステリはシーンが明確にあって「日常パート」「事件パート」「推理パート」でBGMの齟齬が起きにくそうだなと思いました。

実際かなり雰囲気にマッチしたBGM選びになっていて、プレイに熱中出来た一つの要素として大きい部分であると思います。有象無象の中からBGM探すのは大変ですし、センスも問われます。BGMに対する強いこだわりがないと出来ないのでこれも高い評価ポイントでした。

■セリフの書き方の考察

画像2

美咲さんが殺されて部長が発狂するシーンなんですが、ここを声に出して読んでみるとセリフとしてはかなり言いにくいし不自然なんですよね。

ところがBGMが鳴っててボイス無しでこのセリフの羅列が目に飛び込んでくると狂気じみた恐ろしさがありました。

これってボイス無しであることの利点を生かしたセリフなんじゃないかなと一人で考察してたんですが、そこまで考えてこのセリフを書いたのだとしたらヤバすぎるというか、演出センスがすさまじい

■まとめ

ラストのオチはフリーゲームならではって感じで結構好印象です。欲を言うならもっとEND数もプレイ時間もあっていいかな、と思いました。自分も製作者としてあまりプレイに時間を割くわけにはいかないんですが、それだけ面白いゲームだった証拠でもあります。

おそらく単純に締め切りが近すぎてこのボリュームになったんだと思いますが(笑)

なんだかんだ公開前から楽しみにしていて、その期待を上回る出来でしたね。

アンケートがあるみたいですが、このゲームの犯人を予想できましたか? という質問があっても良かったと思います。どれぐらい予想出来た人いるんだろう……。

まさに「え?」ですよね。

好きなキャラは山口智香ちゃん島貫裕樹くんでした。

特に智香ちゃんは死後でいっきに好きになりました。立ち絵の感じもなんとなく可愛いし。キャラとしての開き直りが一番しっくりきました。

島貫はどこが好きか?

…………。

(オチ担当なところ)

画像17

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?