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【フリーゲーム】さよならキャットボックス プレイ感想

読むために必要な時間 10分20秒 (3600文字)


この作品は……!!!

今まで見たフリーゲームの中で一番ギャルゲに近い絵柄かもしれない。

そしてサムネイルのインパクト! 今年ももうすぐ終わってしまうということで、やり残していたゲームの一つ。

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特に前情報を取り入れない主義なので「考えさせられるゲーム」ぐらいのニュアンスしか知りません。

この萌えチックな絵柄で考えさせられるテーマも含まれている、もうエロゲじゃん……。

さっそくプレイしていきたいと思います。

物語はデートから始まる

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こういうADVをやっていると、物語のはじめって色々あるんですが、「途中」から始まるタイプのようですね。

デートということはある程度関係が進んでいるっぽい。

二人の今後は果たしてどうなっていくのかが見どころです。

そういえば第一印象からこの子小中学生ぐらいに見えたんだけど、怒ると死にます。パターンで、主人公と同世代なのかな? こういう「見た目ロリ」「服装ファンタジー」なのは二次元だからこそって感じで、メインキャラクターに添えるには味が濃くていいのかもしれない。

!!!!!!!??????????

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今年一番衝撃が走りました。

さすがに行って高校生ぐらいやろ……、という常識的概念を吹き飛ばしてくれるぅ!

いいなぁ、こういう思い切った設定を垣間見ると握手を交わしたくなってしまう。

この服装で居酒屋に行く勇気

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その後中華料理屋に行く勇気。

トウコちゃん匂いが服に移るのとか気にしないタイプなのかな。

雀荘とカラオケて

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このへんから微妙に主人公の性格というか、人間性が垣間見ることが出来ますね。年齢層高めというか、個人的には知り合いの社長が経営者同士で行ってるイメージ……。

主人公、26歳なんですよね。

なんか凄いリアルな年齢設定。と思ったら主人公と同年代や……。


選択肢あるの!?

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あらすじちらっと見た限りでは分岐がある感じではなかったけど、どうなんだろう。

とにかく主人公が仕事でなんやかんやあって愚痴るシーン。

デート中にそれはないだろう、ということで「どうにかできそうでよかった」を選択。

セーブしようと出したUIがオッシャレー!

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立て続け選択肢

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今度はトウコちゃんの仕事でなんやかんや。

おそらく二人の関係はまだ彼氏彼女、という意味での下の選択肢なのかな。ちょっとそっち見てみたいんで、下行きまーす。

卑屈すぎない……??

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主人公よ……、他人の幸せを願えないような人間は、今の環境に満足できていない証拠ぞ。

独身なのにってお前……。

彼女いんだろうが!!!!!!!!!!

じゃあ恋人いない人間が過ごすクリスマスの気持ちを理解できるのか? え!???? あと2日でクリスマスなのに、寂しくフリーゲームやってるこっちの気持ちも考えリア充爆発s




失礼しました。

内なるチンパンジーが出てきてしまいました。

気を取り直して、

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うーん。このゲームの主軸はここになるのかな?

キャラの年齢が高めなのもそういうことなのかもしれない。

主人公のリアルな部分が闇に感じる

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プレイヤーに対して汚い部分を見せるという意味で、この作品はすごく正直。

もっと言うと、作者の体験談をそのまま書いているのかってぐらいにリアル。

以前「メイドさんと繋がりたい」とかもリアルすぎて作者の体験談疑惑をプレイヤーの人に向けられたりしていたことがあったんですんが、個人的にはさよならキャットボックスのほうが結構それを感じています。

この萌え系の絵柄で描写はリアルっていう不気味さが、今後への期待と不安を膨らませてきますね。

選択肢も不穏に見えてきた

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なんかねー、この不思議な感覚はなんだろうと思い起こすと、浦田さんの「自分より大切な存在」が出てくるんですよね。

胃が痛くなる感じ。

あとたまに出てくるSNS系の話題が凄い怖い。炎上とかしそうで。

とりあえず「たまには俺が作ろうか?」を選んでみます。

あ、主人公に一つ言っておくと慣れるとオムライスは作るの滅茶苦茶簡単よ。5分でサクっと作れる優れもの。

ここでお母さんはないでしょ

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にしてもここまで選択肢の感覚が狭いゲームも珍しい。

うーん、お遊び的に下を選んでみるエロゲーマー。

めっちゃ可愛い顔が見れました

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…………。

ただ可哀そうだったのでちょっと戻って選択肢やり直します。
(この時点だと分岐無ゲームだと思ってます)


っぱ、悲しい顔より、こっちでしょ!!!

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あのね。これはエロゲーマーとして一つ言わせていただきたい。


プレイヤーの選択で、ヒロインを悲しませたくはないんじゃ!!!


……。


え……???


えええええええ????? そんなこと言ってたら終わっちゃったんですけど!???

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バグ、じゃないよね?


選択肢を変えて再開

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嘘でしょ……????

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いいお母さんになる、この一言だけで……?

キャラクターが自殺する系のゲームって割とプレイしてきてるはずなのに、何度やっても慣れない……。

いや、それにしても、これは主人公が悪いとはプレイヤーの立場としても言いづらい……。

さすがに「いいお母さんになる」だけではこうはならないと思うんだ。もっと根本的な、主人公はトウコちゃんにそうさせるだけのストレスを以前から与えていて、その一言が決定的になった、というほうがしっくりくる。

もしかして主人公は描写されていないところでもっともっと無自覚にトウコちゃんを傷つけるような行動をしていたのではないだろうか。

じゃなければトウコちゃんの気持ちを汲み取ることが出来ない。

過去回想で明かされるトウコちゃんの内面

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なるほど。子供が欲しくないとなると、子供好きの主人公との相違はわかりやすく出てくる。

でも自殺するほど……?

主人公じゃなくて、家族がらみが大きな原因でもあった

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えぇ……終わっちゃった

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(ここで感想を書きながら、他の人の感想もちらちら見ていると)

あ! エンディングもう一つある? ハッピーエンドあるの!?

ということで、選択肢厳選の旅を始めました。

(15分経過)

おそらくないっぽい……。

総評

このゲームをプレイしようと思った最大のきっかけってこの記事なんですよ。

毎度おなじみかみかくしの夜の作者さんが紹介されているページから「ああ、この人が押してるならお気に入りに入れておこ」みたいな感じで。

決定的だったのはこの文。

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結構ヒロインの性格とかが特殊なのかな? と興味を持てた大きな部分でした。

そういうわけで、

ヒロインに感情移入出来たか?

こう見えてトウコちゃんと同じようにあまり子供が好きではありません。厳密に言うと、「いう事を聞かない子供を制御するのが難しい」ことが嫌いというか。

子供を作るって=人に迷惑をかけないように育てなければいけないことだと思うんですよ。

なので子供が嫌いというよりかは、そういう教育の難しさから目をそらしたいという部分でトウコちゃんに「共感」は出来たんですが、感情移入は難しかったかなぁ。

それは決して自殺という選択をしたからではなく……。

脚本的に見た感情移入できなかった理由

どんな物語にも対立というものは起こります。
構造としてA、Bの主張が対立したのち、AとBを掛け合わせたCの結論が物語のオチになります。

さよならキャットボックスで言うと「子供が嫌い、いらない」「子供が欲しい」という二人の意見が対立することで物語になるはずだったんですが、それはトウコちゃんの内心だけで完結してしまった。

そもそも物語が始まる前に終わっちゃったんですよね。

もし仮にこの作品が恋愛系なら、ライバルヒロインがいるというだけで主人公を諦めるサブヒロイン的な動きだったんです。

ええっ! 何もしてないのに諦めちゃうの!? 

頑張っても頑張っても、それでも報われなかったなら納得の自殺ENDだったんですが、トウコちゃんが頑張ったのは何だったのか、というのがプレイしていてそこまで伝わってこなくて。ただ彼女が辛い思いをしているという環境自体はわかるんですけど、そこからどう行動するかってやっぱり感情移入には大事でした。

トウコちゃんに感情移入出来たって人は、それは感情移入じゃなくて「同情」とか「共感」な気がします。

トウコちゃんの行動に応援できる部分があったかどうか? が感情移入の分かれ目なので。

……というのが、本作の大きな感想になりました。

「物語を物語として見る人」「物語をリアルに置き換えてみる人」

この両者では感想が大きく変わるのかなと思いました。

自分は前者なので若干冷めた見方になっているかもしれませんが、それでもトウコちゃんには強く幸せになって欲しいと感じる。

これ本当にエンディング2つだけなのかなぁって思っちゃうんですよね。

このめちゃ可愛い絵柄でハッピーエンドがないのは凄い攻めてる。

ギャルゲーとは違った作品

これはおそらく作者さんもそういう意図では作られてはいない気がしますが、ギャルゲーとは正反対のゲームに思えました。感想中にも書きましたが、「自分より大切な存在」をプレイしていた時の心境に似ている。

もう少し噛み砕いて言うと、例えばこのシーンなんかはわかりやすく、

二次元的な存在にリアル描写を重ねる意味

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これはエロゲーマーとしての意見なんですが、可愛い造形にリアルの独白をさせるのって結構矛盾しているんですよ。

だってエロゲで可愛い女の子しか出てこないのは、「可愛さ」を推したいからであって「リアルを突き付けるため」ではないですからね。

二次元にリアル描写を重ねるをわかりやすく言えば、「アイドルだってうんこする」の体現になるわけです。

そういった意味でヒロインの汚い部分を描写するこの2作品は凄く共通点が多い。

こんな人にオススメ

この作品、短編なのに文字数が長編なみに多いんですよね……。それはもう作品の魅力というか、コンセプトである大切なものを考える恋愛ADVに見事刺さった証拠なのかと思います。

あと珍しく他の人の感想を全部見て回りました。

なのでこの作品は「考えること」が好きな人にオススメです。

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