日常シーンがつまらなくなる理由
エロゲをやっていると、
つまらない日常シーンの作品なんてざらにある。
繋ぎの部分を書くのがシナリオで一番難しいからだと思う。
以下はでんじゃらすじーさんの作者がTwitterでバズったヤツ。
名シーンを書けたという勘違い
いろんなアニメ漫画やゲームに触れる上で名シーンというのは頭に焼き付きやすいが、その名シーンに至るまでの過程というのは頭からすっぽり抜け落ちやすい。
結果のインプットばかりで過程のインプットが足りていないと、
虫食いのようなシーンばかりになる。
繋げ方がわからないので、毒にも薬にもならない日常シーンでごまかす。
結果のインプットばかりしていると結局中身がペラペラ、
最初に期待させておいて、最後は急展開みたいなものが生まれやすいのだ。
かくして、名シーンだけ書けたところで大して意味はない。
こんな素晴らしいシーンを書けたんだから、この作品は名作になるに違いない! というのはまったくの自惚れなのだ。
それはプロだろうと素人だろうと関係がない。
点ではなく線で考える
一番わかりやすい指標は「そのシーンは絶対に必要のあるものか?」だ。
リライトをする時にもこの考え方は必要になってくる。
物語にとって必要のないシーンは見ている側も同じように
「今のシーン必要だった?」と疑問に感じる可能性が高くなる。
仮にギャグを書いたとしよう。
そのギャグは物語に必要か? と聞かれれば必要はないかもしれない。
しかしシリアスの前座として考えると落差としての表現として必要だ。という考えが作者にあるならばそのシーンは無駄ではなくなる。
創作には答えがないからこそ、そうやって作者の中で必要なシーンに答えを見出すことが重要になってくるのだ。
考え方としては
「つまらないかな? 削ったほうがいいかな? ではなく、
この日常シーンを入れたいから絶対に必要だと思わせる」だ。
次への伏線、布石、前振り、準備。なんでもいいが、線として繋がれば、
その瞬間で日常シーンが面白くなくても、全体として見たときに
「あのシーン、終わってみれば必要だったなぁ」となるものだ。
これは滑った時の予防策としての考え方に近い。
もしこの展開がウケなかったら? という不安に駆られた時「いやでも、どうしても必要だから」という考えに至れるかどうかは重要だ。
必要ないけど個人的に入れたいシーンで入れると滑った時大変なことになる。
その例を次でご紹介しよう。
日常シーンが長い場合
どうなると思う?
答えは「オチへの期待が高まる」だ。
期待が高まるということは着地点のハードルが高くなるのである。
最悪な物語とは
日常シーンがやたら長いのにオチがしょうもない時だ。
普通は保険をかけてもっと小分けにする。
短い日常シーンにそこそこの展開とオチ。←これを繰り返し、最後にどんでん返しがある作品はプレイしていて安心できるし、オチに対してそこまで求めるものも高くない。
長いスパンで日常を描き、
一つのオチに対して全力をかけている作品は大抵B級になる。
この手の物語形式はプレイヤーに「こんなんでオチは本当に大丈夫なのか」と不安を抱えながらプレイさせかねない。
しかも日常シーンを長く書く作品に限ってそのギャグやシーンが単一のもので、のちの展開に対しての伏線でも何でもない。
最近だと麻枝准の神様になった日がこれだったが、どうやら今までの実績から自分に自信があり、アニメスタッフの意見を遮ってまで自分の脚本スタイルを貫いたそうだ(アニメの尺で考えられていなかったような感じ)
結果長いスパンで日常を描き、
オチがしょうもなく、ネットでは荒れ、自らも失踪することになった。
ユーザーからは音楽だけやっておけと言われてしまう始末である。
つまらなくていい
この作者の日常シーン面白いな。そう思わせたらその作品はほぼ成功だ。
最後までプレイしてもらえる確率が上がる。
日常シーンが伏線になっていたら完璧だ。プレイ後の満足度に影響する。
日常シーンが面白いから、シリアスシーンも面白くなる。
日常シーンで得る情報が多いほど、
シリアスシーンでなるほどと納得することができる。
両者は単一のものではなく相乗効果で成り立っているものだ。
人は自信を持つと保険をかけなくなる。
麻枝准のようにね。
シナリオに自信を持つぐらいなら、言い訳に自信を持ったほうがいい。
もしこのギャグがウケなかったら?
(それでもあの時のために必要だった)
もしこのシリアスがストレスしか与えなかったら?
(それはカタルシスのために必要だった)
ダメだった時の批判に対する裏付けを用意すべきだ。
とっさに「このシーンの意味は?」と聞かれて答えられない人は結構多い。
答えを用意できないならそもそもそれは実力不足でシナリオは主観的にも客観的にもダメだったんだろう。
そのシナリオが必要な根拠を述べらるようになると良い。
来週「逆転の発想」
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