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愛されるゲームを作るためには、その人の記憶に残るようなコンセプトがいる

 前回の続き。(8/31追記 一番アクセスの多い記事なので固定化)

作者としては「1回プレイして、あー面白かった」で終わって欲しくないですよね。

 出来るならそこから「キャラクターはこう感じたんだなぁ、自分ならどうするかなぁ」とか「ここの伏線はこういうことなのか! じゃああそこは」などと考察してもらったり、プレイ後にどうプレイヤーの働きかけがあるかで、そのゲームの真価というのは試されると思います。

 面白いだけでなく、好きになってもらい、能動的に他の人の感想を見に行ったり、自分はこう思ったという発信が多くされるのが理想の形。

 もっと言うなら「このゲームやった後は、しばらく他のゲームやれないわ……」というのが究極系。

 さすがに現代の娯楽過多、エンタメ慣れした人たち相手にこれは難しいところですが。

 なだけに「覚えてもらっている」というだけでも大きい事です。

 なぜなら次のゲーム、次のゲームと経験が多くなるほどに

「この手のジャンルだとあのゲームには勝てないな」という差が生まれてくるので。

 次に行かせても、結局戻せるだけの根深い印象が大事なのかなと。

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 フリーで選択肢ありのギャルゲはウケるのか?

 『ダブルカタルシス』はヒロインが4人いて、選択肢によって分岐する基本的なギャルゲ方式です。

 しかしながら、フリーゲームの大半は『メインヒロイン』据え置きで、サブヒロインはおまけみたいなものが多いですね。

 ノベコレで一番人気が出たであろう「ギャルゲーに近い作品」では「臨界天のアズラーイール」がそれにあたると思います。

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この方は自分のブログにて、

「長編はグランプリを取る上では不利なのではないか」
「気軽さがウリ」のフリーゲームとの乖離を感じた」

と述べています。

 確かにランキング上位は短編でコンセプト重視の実況しやすいゲームが固まっています。

 特に自分はニコニコ動画世代の人間なので、

「フリーゲームは実況者の動画を見てから入る」というイメージも強くあります。

 

 一方「初恋は年齢天秤の中で」でグランプリを取られた春根利馬さんはこうもツイートしていました。

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 (一体いつのツイート引用してきてるんだ、と怒られそうですが笑)

 まあ、それもそうだと思います。

 フリーゲームで長編モノは狭き門。

 しかし、記憶に残るような作品をサウンドノベルで出すとしたら長編にしたほうが良い、と板挟みになっている状態。

 多分ここには「ギャルゲ」も含まれると思います。

 フリーゲーム界隈の人間がギャルゲなんかやるのか……? という感じで。

 選択肢ありのギャルゲを作っている人たちは、それなりに人員と予算をかけているのでフリーではなく同人に行きますし、ウケは期待できません。

 ただしこれは長期的にみた「ランキング」の話であって、グランプリを取るなら「長編ノベル」でも全然いけるということは、年齢天秤で証明されたような気がします。

 わかりやすいコンセプトがウケる

 コンセプトってなんだろう? 

 それを説明しつつ「初恋は年齢天秤の中で」という作品がなぜグランプリを取れたのか? の解説をしたいと思います。

 結論から言って「わかりやすい」からです。

 年齢天秤──。それは『所有者』の肉体年齢を15年下げ、
『相手』の肉体年齢を15年上げるという不思議な道具。

 それがタイトルにもなっていて、メインストーリーにもなっている。

 難しくないんです。

 誰にでも「なにがしたいのか?」が一発でわかる。

 そしてそのコンセプトがウケたので、グランプリを取ったんです。

 とても単純。

 ストーリーが良いとか、音楽が良いとか、イラストが良いとか。そういうのは正直コンセプトがわかりにくいと死ぬ要素です。

 個人的には「上手い」というステータスよりも「作品全体としての統一感」のほうが重要視されると感じました。

 だって何がしたいのかわからないと、その「素材」で作る必要があったの? ってなりますもん。

 まず最初に作者のしたいことがあり、それがウケないとそもそも最後までプレイしてもらえません。

 本当に記憶に残るゲームを作るなら、やりたいコンセプトを作者の中でもしっかりと決めておく必要があるでしょう。

 大衆ウケする作品の大抵は「わかりやすい」のです。

 そろそろ文字数が大変なことになっているので次の記事に移行したいと思います。 

 コンセプトがちぐはぐだと他の要素が死ぬということについても詳しく書くので気になった方はそちらもどうぞ。

 →次「ウケるコンセプトにはわかりやすさだけなく斬新さもある」

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