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西会津滞在日記①-葛藤しながら走ること-

数日前から、仕事を休んで新潟のおとなり福島県西会津町に滞在している。

(世の中だけでなく身近なところにもコロナウイルスの影響を見聞きする中で、非日常な環境にいる私はなんだかもう今の世界が現実か夢かわからなくなってきている。笑)

私が西会津に来たのは、西会津と長岡の二拠点で働き暮らす、素敵な感性をもっている知り合いに「少し違う場所や視点でなにかやってみたら」と会津の暮らしや仕事を体験できる制度を紹介してもらったことがきっかけ。

お世話になるのは、廃校を利用したアート施設(といいつつ様々なプロジェクトや事業をやっている)「西会津国際芸術村」だ。

詳しくはこちら→ http://nishiaizu-artvillage.com/

そんなわけで2月26日から3月1日まで、私はしごとを休んで、西会津のゲストハウスひとときに滞在しながら、芸術村で開催される演劇の準備含めた「お手伝いと勉強と旅のあいだ」という不思議な時間をすごすことになった。

参加した理由

正直、やらなければならない仕事もそれなりに溜まっている中で、3日間休むのは少し勇気が要った(申し込んだ2か月前はそうでもなかったが、近づくにつれて…)。

でもこれは、去年くらいに私が感じた「このまま何年も、新潟以外で仕事以外の立場で、ただ勉強したり考えたりする時間がないまま走り続けたら何かが失われる」というものへのささやかな行動なのだった。えいやと行くしかない。「すぐに何かの役に立つ」わけではないからこそ。

行先を西会津にしたのは、去年2回西会津を訪れていて、バーバリアンブックスという本屋やその周辺で出会った人たちがとても魅力的で、もっと長く滞在してみたかったから。あとは、「アート拠点の運営」がずっと気になってはいたけれどただのお客さんだったので、中からもっと見てみたかったから。

「インターン生」のような存在として行くので、いつもの私の仕事と逆の立場だというのも面白い。どんな景色が見れるのか。私の中にどんな感覚が湧くのか。それが見てみたいという好奇心もあった。

(そういえば西会津の人たちからはあまり「何で来たんですか?」と聞かれないのが心地良い)

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みんな、葛藤の中に居る

ここからは、何をしたとかということを時系列では書かず、私の感じたことをいくつか深掘りしていくことにする。ひとつめは、「葛藤」について。

1,2日目に過ごして単純に思ったことは、「思った以上に私の仕事に近い」ことだった。西会津国際芸術村は、町の指定管理施設。税金の一部をもらって運営しているため、それが「町」のためになるということも見せながら運営しなければならない。

私がやっている仕事も行政予算でやることが多いので、なんとなく共通項が多いのだろう。芸術村スタッフが実は地域おこし協力隊だったり、「アート(芸術)」の意味の中に思った以上に「地域」、つまり農村暮らしや自然資源なども含まれていることがわかった。

西会津町は、新潟県内にも数えるほどしかない「大きな街に出るまで30分はかかる農村」地域だ。若い人はどんどんいなくなっている。そんな中で地域おこし協力隊の制度をつかって数年でこんな風にクリエイティブな移住者が増えているのは単純にすごいし、おそらくその裏には優秀なコーディネーターと多くの労力、協力者が必要だったことも伺えた。

さて、思った以上に仕事との共通点があってある意味拍子抜けしてしまった私だが、思い返すと西会津へのイメージにはいつもどこか「親近感」もあった。去年2回訪問しただけだが、作品や場所そのもののクオリティや見た目の良さだけでなく、「地域とつながっている感」が感じられた。その親近感の正体(?)が、「良い面」だけかと思っていたら「大変な面」も同じようにあることが分かった。

こんな言い方でまとめてしまっていいのかは分からないが、西会津で出会ったプレイヤーたちは、新潟の私たちと同じように、外から(移住者の数などで)見たら順風満帆に見えても、実際には葛藤しながら走っていた(ように見えた)。何かと何かのあいだで揺れているような、そんなイメージ。

地域の人と外の人、芸術家とデザイナー、大きな社会と小さな社会、経済と生活、組織と自分自身…などなどのあいだで。そして、活動している人を5人以上知れたからこそ分かる、視点のグラデーション。

きっと私にはまだまだ見えていない、知らない複雑な状況や人間関係の中で、今はこれだと仮説を立てて、実践・実験している。それだけですごく尊くて、愛おしかった。方向や色や意見が同じとか違うとかじゃない、葛藤しながら、もがきながら、たしかな物を積み重ねている西会津の人たち。

「わたしも頑張ろう」という気持ちになったのはたしかだった。ただ、まだ「芸術」や「表現」や「海外アーティスト」という要素がそこにあることが、どんな価値や影響を与えているのかはいまいち言葉にできていないというか、深くは知り得なかった。また何度か通って知って行こうと思う。焦らずに。

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(ゲストハウスひとときとすーちゃん)

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有紀
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