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一人の「ビートマニア」が「全白」になるまでを見届けた話

私の1人の友人だった男が、私の夫となり、そして全白になるまでの足跡(そくせき)を、ここに残します。


①初期(未難20前後)

初めて彼のビートマニアを見た時の感想は今でも鮮明に覚えています。
「あ~、皆伝なりたてくらいなのかな」
です。選曲画面を見たわけではないので、流し見したプレイの印象です。

落ち着いて待ち椅子で話すようになったころに
「皆伝なりたて」ではなく「未難20以下」であることを聞きました。
全くそうは見えなかったので、大変驚きました。

(ビヨエボや夢路などの難曲がなかった時代です。当時であれば確実に未難になっていたはずなので、見出しは「20前後」としております。)


原因を考える

「実際にはもっと上手いのに、下手に見える」
この問題は根が深いと感じました。
他人からどう見えるか・自己顕示欲が問題という意味ではありません。

答えとしては
「だいたい適当に見て、だいたい適当に押しているから」なのですが、
これは今後さらに難しい曲に挑戦するにあたり、壁になると推察しました。

このゲームのシステムが提示する通り、「押す」には段階があります。

①ミスを出さない
ゲームクリアを成立させる最低ラインです。拾う、ともいう。

➁なんとなく押す
ぼやっと見てぼやっと押す。大体黄グレ~Goodくらい。

③ノーツを認識して押す
しっかりノーツを認識して押す。大体Pグレ~黄グレくらい。

④認識した通りに指を動かす
ノーツの指示通り、Pグレラインを狙って、指を動かす動作を正確に行う

⑤さらなる高みの話は関係ないので省略

当時の彼の状態は、すべてが上記の①➁くらい。

「押せればスコアなんて関係ないじゃん」
たまにツイッターランドでも学級会が行われている話ですが
スコアの数値は極論関係なくて、④ができれば何でもいいんです。

4分なら③程度の状態で押せたとて、
8分になったらズレてしまうのであれば、
16分になったらもっとズレます。

これは純粋に、クリアだけを狙うとしても問題になってくる話です。

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「どんなプレイヤーになりたい?」

幸いにも私に多少、スコア面への見識があり
基礎的なことであれば私でも多少の助言ならできる環境にありました。

でも、その前に1つしっかり確認したことがあります。
「将来、自分はどんなプレイヤーになりたいか」
ということです。

すると彼は
「どんな曲でも押せるようになりたい」
と答えました。

なので、ここからの内容は全て
スコアラーになるためではなく、押せるようになるために行ったこと
という目線で見て頂けますと幸いです。


しかし、理屈ではわかっているものの、彼はまだ半信半疑。
本当にこれで”押せるプレイヤー”になれるのか?大丈夫なのか?
と聞いてきます。

なので私は
「できるよ。X-DENだってハードできるようになるよ」
と答えました。

すると彼は
「わかってないよ、X-DENをハードするのがどれだけ難しいことなのか」
と、半ばあきらめたように私に言うのです。

お前が諦めててどうすんだよ、と思う反面
私自身、今はもちろん無理でも、
将来的に絶対できるというポテンシャルを彼に感じていました。

※この小噺はフラグです



まずは基礎から

①押すだけの地力なら十分備えていたこと
➁スコアラーになるための練習ではないこと
③本人が楽しみ、続けられなければ意味がないこと

以上の3点より、
低難易度や単発と呼ばれるものからのスタートは行いませんでした。
あぼべはやらせてないです。

中難易度・高難易度と呼ばれる譜面(☆10~11、☆12)を
普段遊ぶ中で、狙える部分はピカグレを狙ってみよう!とか
目線がブレないようにしてみよう!からのスタートとなりました。

私自身、tricoro~Linkleぶりに久々にSPを再開し
当時9~10段くらいだったのですが
ライバル登録をすると、スコア勝敗は大体五分五分という状態でした。
(☆11を境に、圧勝と惨敗が分かれているといった様子)

当時のアリーナランクとしてはB1くらいだったと思います。

冬椿(SPA/☆10)をAAAに乗せて大喜びしていた彼の姿が
つい昨日のことのように思い返されます。


➁中期(未難10以下)

押せる力が落ちている?

きちんとノーツの指示通りに指を動かそうとする練習習慣()
(これを広義で「スコア」「スコアをとる練習」と呼称します)
も身についてきたある日

「押せる力が落ちている」「見えなくなった」「高密度に弱くなった」

という訴えをしてくるようになりました。

つまり、ぼやっと見てぼやっと押していたものを
しっかりと見る習慣が根付いたことにより
しっかりと見えていなかったものが「見えなくなった」

と感じているという訴えであり、良い傾向なのですが
これでは彼にとって面白くありません。
ゲームが面白くないというのはモチベに関わる大問題です。

同時に、ビートマニアメインではない私一人の力で
彼を導くことは、ここらで限界なんだろうなと感じていました。


「先生」に教えを乞う(2021年末~)

そこで旧知の縁があり、
当時塾生を募集していた信頼できる方(以下:先生)に
主人を預けることにしました。

教える立場として、いくら教えることはできても
本人に同じだけの熱量がないと、うまく伝わりません。

馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない
というやつです。

彼はきっと先生が教える熱量と同じ熱量で教えを請い
いただいた教えを吸収するだろうという自信が私の中にありました。
それは先生にとっても喜ばしいことであるとも思っていました。

そして、実際にお会いして
押し方の実演をしていただいたり
オプション周りなどに大幅なテコ入れをしたりしていただきました。

最初は不慣れすぎて調子が出ず、困惑していたものの
「これで慣れたらあとはどんどんうまくなりますよ」
という先生の言葉を信じてプレイし、一週間後くらいの動画が以下です。

先生の言葉通り、このあと成長曲線が加速度を増し
緑数字も2025/1現在で確か229だとか言っていたような気がします。


ウチは成功例として、記載しております
この「オプション周りをテコ入れして、緑数字を減らす」方法ですが
失敗例もいくつか聞いています。

私たちが成功した要因としては
・見てくれた人がそもそもプロレベル
・本人の状態を実際に見て行ったため、良い匙加減だった
・見てもらった本人もやる気があり、乗り越えようとした
この点が大きいです。

失敗例として聞く話は、大体何かが欠けています。

オプション周りは、人体で言うなら重要な神経にも近いもの。
見て貰うのであれば、せめて最低でも
皆伝のスコアラーに見て貰う方が良いと思います。

(以前、傍から見れば適当にしか見えないひどいアドバイスをして
他人のモチベと金と時間を大量に奪った人の話を聞いているので
怒りをこめつつ、少し書かせて頂きました。)



「私の友人」から話を聞く

先生は旧知の方である、と前述したとおり
(当時は)私の実家の近くにお住まいでいらっしゃったので
ついでに私の実家方面へも足を伸ばしました。

地元には旧知の、歴戦のビートマニアたち
今日も元気に鍵盤をしばいておりますので
色々な話を聞くのと同時に「彼自身の友達」を拡げることができました。

彼にはたくさんの友達がいるものの

・ネット上の友達であり、実際にプレイを見た上でのやり取りではない
・実際にやり取りする友達であっても、彼と同じ目線でビートマニアについて話せる人が少ない

という点が非常にネックだと考えていました。
私自身も、分類としては後者ですし
私の地元のビートマニアたちも、実は後者です。(うますぎるので)

私の地元の友人の存在は、「先生」とは違った「頼れるお兄さん」として
彼の心の中での大きな大きな目標になっていて
今現在も「いいねきた!!!」と喜んでいます。

それはそれでとても良いのですが、
ライバルがいない問題については全く解決できずにいました。

実はこの頃でさえも、
彼のアクティブライバル内に「私」が余裕で存在していました。
以前は五分五分だった勝敗ですが、この頃はもう☆10以下でないと勝てなくなっていました。


③後期(未難5以下)

ライバルいない問題・付属品に友達はありません問題は解決しないまま

2022年の夏には「できるわけない」はずのX-DENのハード
(※ここでフラグ回収)

2023年前半の追加曲「Beyond Evolution」についても
なんとか未難リストに追加せず

(※動画概要!?を見ると
・100回くらいかかった
・残りはGuNGNiR†/Mare Nectaris/Verflucht†/冥/卑弥呼の5曲
とのことです)

過ごしていたそんなある日、彼にとってとても大きな転機が訪れます。


「友・ライバル」たちとの出会い(2023年~)

きっかけは「先生」が運営するコミュニティの参加者の一人が
「個人的に、中級者層向けの大会を主催する」と告知し
ノリで参加したことがきっかけでした。

オンライン/オフライン問わず、大会的な催しに参加したことはなく
狭い世界で、ひたすら自分を研鑽してきた彼にとって
これが非常に大きな推進力として作用することとなります。

また同時に、ここまで
「全体的に精度を上げる習慣・練習」こそしていたものの
「1曲に向き合ってスコアを詰める」経験はしていませんでした。

(そこまでして競う相互ライバル・抜きたいスコアがないからです。)

彼のプレイヤーとしての土台がしっかりと固まり
良いタイミングで、来るべくして来たものが「大会への参加」であり

・同じ目線で話ができる、友達やライバルとの出会い
・1曲と向き合い、突き詰める経験
ゴママヨの概念

であったと思います。


精神と時の部屋!?

上記大会が成長への推進力となった原因としては
大会のシステムも大きな要因でした。

・「ペアのチーム戦」であったこと
→何が何でも自分の仕事をしないとチームの敗因に繋がる

・チームメイトが「同じ熱量」を持っていたこと
→ドッペルゲンガーと称される程にそっくりなチームメイトに恵まれた

・敵味方ともに選曲がえぐい
→アリーナ戦闘狂でない限りは触らないような癖曲も触れるきっかけに

最後のパズルピースが見つかった後の成長曲線はさらに加速度を増し
上記大会が終わるころには、
大会参加前と比較すると、文字通り「まるで別人」になっていました。

この頃になると、私自身、もはや単発曲でも彼に勝てる曲がなくなり
彼のアクティブライバルからそっとお役御免になっていました。
これは、とても喜ばしいことです。

さらに、大会課題曲と格闘する中でも、それだけにとどまらず
合間には未難を減らすことにも向き合い、GuNGNiR†をハード
以降、彼の未難は「2」(Mare Nectaris/冥)をキープし続けます。


④2024年~(未難2~)

2024年は、非常に慌ただしい年でした。

特筆すべき出来事は、年内に2回引越しをしたことです。
特に、年始に引越した後の筐体環境が壊滅的に合わず、
当初1ヵ月以上苦戦し、引退の二文字も頭をよぎった程でした。

そんな中でも、時間を見てはビートマニアに触れ、
知り合った友人・ライバルたちと交流を重ねていきました。

残りは冥とMare Nectaris。
特にMare Nectarisに至っては
最後のフレーズを「草しか生えねえよ~♪」と揶揄?されるほど。

今すぐどうこうできるような壁ではなかったため
目標として、遠くにしっかりと見据えつつも
未難として、真正面から今すぐぶつかりあうことをやめました。


方向性を決める①順番

どちらを先に攻略するか問題ですが
難易度としては冥の方がクリアしやすいことは把握していました。

しかし、大会を通じて知り合った方から
「Mareは”あっ曲終わった、ゲージ残った、よくわかんないけどやった~"で終わっちゃう
感慨がない」という体験談を聞かせて頂いていたため

出来るならば冥を後にしたいな、と考えていたようです。


方向性を決める➁発狂BMS

このくらいのプレイヤーになると、殆どの方が発狂BMSを併用していますし
彼自身も色々な方から数えきれないほど、勧められてきました。

実際、「発狂BMS勢が得意な譜面が苦手傾向にあること」は
問題点としても挙がっていましたが
それは当然、逆も然りということで、良い点も沢山ありました。

そんな中で彼は「全白までは発狂BMSを併用しない」
「発狂BMSがなくても全白になれることを証明したい」
という方向性を改めて決めました。

実はこれは、彼が前々から言っていた希望の一つで
私が「先生」に彼を預けた理由のひとつです。
(先生は絶対に発狂BMSを勧めないことが分かっているので。)

その日はついに訪れる

Twitterより先にLINEで報告をもらっていたのですが
(私は仕事中につき、一緒にゲーセンにはいませんでした。)

「まだやるか、どうするか」
つまり「今日、全白になるか、ならないか」
迷っていたようです。

疲れ的な理由もあるからかもしれませんが
私に見せたかったという理由も恐らくあったと思います。

もちろん続けたとて、冥を抜ける確証はありません。
ただ、こういう日は大体できるものです。
普段の成功率が10%だとしたら、その日は50%くらいだと思います。

(実際、五分五分だろうと思っていました)

彼は後ろに人がいると、基本的にパワーアップするタイプです。
私が後ろにいることで、せっかくの一生涯記憶に残る成功体験
「バフを貰えたおかげで抜けた」になってしまう可能性を恐れていました。

なので、一人でその瞬間を迎えてもらう方向へと誘導しました。
頑張ってきたのをずっと隣で見てきたからこそ、
「俺が頑張った、俺の力で成し遂げた」という成功体験にしてほしかった。


今後の話

本当に偶然なのですが、彼が全白となった1/17の夜に
前述の大会で知り合った、今の彼より数歩先に進んでいる方々と
オンライン飲み会をする予定がありました。

(当初のプランだと24日かもしれなかったので、偶然ってすごい)

そこで、皆様とビートの話をすることで
燃え尽き症候群に陥ることを回避でき、
次の目標も立てられたようです。

目標については、本人が公言してないので明記は避けますが
大きすぎず小さすぎず、近すぎず遠すぎず、の良い目標だと思います。
2024年初頭に見たMareくらいの距離感ではないでしょうか。

また、晴れて発狂BMSの導入もできるようになったため
今後導入するかもしれません。
部屋の模様替え面倒すぎる

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今後とも、ビートマニア大好きなうちの夫と
後方彼氏面をキメる私のことを
何卒宜しくお願い申し上げます。


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