嘘日記 4月25日
日中は陽気で穏やかな日々が続いてはいるが、夜はまだまだ外套が必要なようである。昼と夜との気温差は小生に月のそれを思わせた。聞くところによると月では昼夜の気温差が300℃にも上るらしい。ここが地球でよかったと安堵の息が漏れた。
夜の閑散とした街を歩いていると昼の雑多な往来が嘘のように思えてくる。コロナウイルスの影響もあって人はまばらであったのだ。
夜10時にバイトを終えた小生の腹はどうにも我慢ならぬほどに困窮しているようであった。小生この腹と今年で二十年の長い付き合いとなる。仕方がないのでファミリーマートに立ち寄る。そこに会話は要らなかった。
小生の腹はセブンイレブンをえらく気に入っていた。しかしセブンイレブンは近くに見当たらなかった。小生の腹はぐぅ〜と悔しそうにしていた。
長い付き合いといへど何を食べたいのかはその時々によって変わるものだ。「お前は何が食いたいか」と腹に聞く。「ファミチキが食いたいぺこ。イートインコーナーで食らおうぺこ」と腹は言った。腹は空腹になると語尾にぺこが付く。本人はその事に気づいていないようだった。
ところで近頃、巷ではキャッシュレス決済が主流になってきているらしい。小生もつい先日”楽天ペイ”をインストールしたのだが、いままでこれといって出番はなかったので楽天ペイしてみることにした。
その結果、支払いの時間は約20秒ほど短縮された。これによって一日のスケジュールを20秒ほどずらす必要があった。
ファミチキをもってイートインコーナーに向かったが、コロナウイルス感染除防のために閉鎖されていた。これによってさきほど立て直した一日のスケジュールを200秒ほど調整する必要があった。
仕方がないのでコンビニを出る。奇をてらったように雨が降ってきた。雨の雫はアスファルトを強く打ち付ける。
どうやら水に愛されすぎてしまったようだ。アクアリストも難儀なものである。
愛に溺れて帰った。ファミチキはおいしかった。