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嘘日記 5月14日

コロナによる在宅時間の増加は人々に家の中にいながらでも楽しむことのできる趣味への関心を高めたようだ。

小生の彼女もその一人で、急に観賞植物が部屋に欲しいと言い出した。仕方がないので今日は近くのガーデニングショップに足を運ぶことにした。そこは小生が中学生の頃、職業体験をしに行った場所であった。

流石に5〜6年経てば様々なことが変わるものであの時お世話になった店員さんの姿は誰一人見えなかった。それでも、並べられている植物とその配置は特段大きな変化が無いように思われる。あの不格好なガジュマルの木も未だに売れず、健気に買い手を待っているようだ。

店内をぷらぷら歩いていると、彼女が立ち止まって何かを真剣に見つめているのを発見した。どうやらエケベリアという多肉植物に興味をもったようだった。近くで見てみると葉と葉の間から気持ち悪い茎のようなものを出している。

どこがいいのかと聞いてみると、彼女曰く「このぴょ~んと出てる茎みたいのがまだ小さいのがいいよね。」だそうだ。大きくなったら困るから止めておこうと提案した。

一通り店内を見て回った後は、隣接されているアイスクリーム屋でアイスを食べることにした。小生が頼んだクリームチーズ味は濃厚でいてさっぱりとした味わい。我ながら最高の選択であったと舌鼓を打つ。

平日の昼下がりに安らかな時間が流れた。傍らで彼女も満足そうに目を細めている。

水やりされた花から水滴がキラキラと伝っていくのが見えた。

なんのために来たのかすっかり忘れてしまっていた。

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