嘘日記 4月26日
今日の日記は4月24日の続編である。朝一番に警察から電話がかかってきた。消えた魚たちはどうやら誘拐されたのではなく殺されてしまったらしい。そんな気がしてはいたが実際に聞くとショックであった。
清少納豆は殺された三匹の内の一匹であった。彼氏に浮気されても結局最後には許してしまうような残念な女で、脳内は年中お花畑であった。
とはいうものの彼氏が浮気してから彼女の独占欲は人一倍強くなった。位置情報アプリで彼氏の現在地を常に監視していたし、ラインの返信が遅いとスタンプを連続で送ったり電話をかけまくっていた。
容姿は大層美人であった。そのため知らない男に駅から家までストーカーされたこともあった。彼女は心底怯えていた。
年末には神社で巫女になる、という変わったアルバイトもしていたようだった。巫女さんは実はアルバイトであるということを知らない人も多いのではないだろうか。初めてそのこと聞いたとき何を隠そう小生も驚いた。へぇ〜意外と誰でもなれるのね。
そんな住んでいる世界が違う彼女と話をしていると、小生もその世界をつかの間といへど垣間見ることができ、大層たのしかった。
清少納豆ともう二度と言葉を交わすことができない。それは間違いなく我が人生における甚大な損失であった。
結局のところ今回の一連の殺しの犯人はエビ達であった。奴らは少しでも弱った魚がいるとそれを取り囲んで生きたまま食っていた。一晩もすれば肉のあった魚は水槽の中から姿を消すのであった。
自然界に起こる環境の自浄作用が人工的に作られた水槽内で斯くも大きいものであったのかと小生大変関心した。
今日も今日とてまた一匹、骨になったようである。