推しの背中を追って育ったオタクが夢を叶えるまで
2021年10月1日
一見ばくたんとは関係ないかのようなこの日。
新卒として就職して半年を迎えた10月1日、人生初の「有給休暇」が付与された。
朝9時
上司「今日から有給使えるな」
ぼく「3月の7~8日、休みます」
上司「過去一のレスポンス」
まず何よりも先に確定させたかった当日と翌日の休暇確保に成功。
この時点ではイベントに関する情報はもちろんのこと発表されていなかったが、開催することを信じての初動ファイト。
最悪開催しなかったとしても「推し誕生日休暇とその余韻」は必要だったので無駄になることはないだろうから。
以下、そんな気の早すぎるキックオフを迎えたさなのばくたん。回顧録である。
2021年12月12日
3Dアプデ披露・重大発表、
ぜ~んぶやる!!!!!!!
こんなタイトルを見て何を想像するかなんて言うまでもないよな。
そんな期待を胸に視聴する。
まず出てきたクソかわいい女。いや好きではないが。
そのアップデートされた3Dモデルの"良さ"に1乙。
詳しい3Dモデルの紹介は後にして早速重大発表から入るようだ。
急すぎる展開にビビり、新元号発表かのごとく構えたパネルが…見、見え…
「ではこちらじゃん!!!なんと今年も………」
「告知にはまだ早いよ。」
そんな焦らしに怯え叫びながらディスプレイをグーパンでポンしてしまう。2乙。
やめてくれ。いやもっとやれ。そのジェスチャーゲームとやらで新たな3Dモデルを最大限生かしてほしかった。
しかしやはり例の発表が頭を過り100%の集中が出来ない。
いつ発表される?会場は?キービジュアルは?新衣装は?調べてみたが分からなかったため素直に目の前のジェスチャーゲームに脳を移す。
「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャ…ぽんっ!!」
にゃぁん
うわぁっ!!!!!癖ェッ!!!!!!!
いきなりの猫耳は命にかかわるのでやめてくれ。
あとジェスチャーゲームで喋んな。
三度にわたる理不尽すぎる問いに翻弄されながらも、今度こそその発表がなされる。
「じゃんっ!!!!!」
「じゃんっっ!!!!!!!!!」
おちょくってんのか?
焦らされるたびに次々グーパンの犠牲になっていくモニター、液タブ。
こうして散々掌で踊らされたのちにようやっと出た情報は、やはり期待を裏切らなかった。
【開催決定!】の文字を目にし、「その言葉を待っていた」と言わんばかりに賑わうTL。
今日この発表が成されることを予想していたせんせえは自分だけではない、それどころかほとんどの人は"確信"していたであろう。
この盛り上がりは驚きよりも歓喜、感謝、そして開催への祝賀。もう今日が誕生日なんじゃ...?
\名取とやひろの/
サンタクロース
大作戦
~プレゼント届くかな?~
大して収納性に優れてはいないオタクの脳に、数こそ多くはないが如何せん質量が限度を超えた情報が無理やり割り込んでくる。
カップル板読み上げ、子(ね)作り、出産(デッサン)と来て今年はママとのコラボらしい。さなちゃんねるにて自然の理、命の流れを学ぶ。
そんなこんなで(そんなこんなでは済まされない)異常なまでの充実感を味わった重大発表配信は終わり、イベント当日を待ちわび涎を垂らしながらお座りする地獄とも天国ともとれる3ヵ月のカウントダウンが始まった。
(あくまでもばくたん日記なのでさなやひクリスマスについては省略。言わずもがな最高でした。)
2022年1月27日
当落発表
申し込み開始からの約2週間、当落について考えない日はなかった。
当方、中止になった第一回ばくたんと無事開催された第二回ばくたんの両方とも落選。そしてその二回ともショックで数日寝込む程のダメージを受けた面構えで抽選戦争に参加してた。
それでも、戦争なんて言っても、フォロワーたちが落選に酷く落ち込む姿を見たくなかったぼくは、前日に神社へ赴き
「もう全員当選してくれ」
なんてヤケクソで無茶なお願いをした。
友人を同行者として二枚で申し込み、二人で生きるか二人で死ぬかの二択を前にして仕事が手につくはずもなく、当落が発表されると同時に職場の化粧室に駆け込む。
手が震え、呼吸が乱れ、鼓動が早まりながらも恐る恐る確認した結果は。
得た感情は安堵。目に映るは夢にまで見た文字。
「チケットをご用意いたしました。」
嬉しかった。個室で一人スマホを握り涙を流すオタク。
このあとどんな顔して事務所に戻ろうか…
すぐさまスクリーンショットを取り連絡。
「結果です。」
『ありがとう。』
「ありがとう。」
それ以上の言葉はなかったが、これ以上にない感情がその言葉にはあったはず。
これにてばくたん期間最大の緊張場面を乗り越えたのだった。
ふとTLを覗けば各々当選報告をしている。
あの人今年も当たったんだな!2回落選せんせえも当選してる!良かった!!この人は名取を推し始めて初のばくたんだ!
おかしいな。落選報告がひとつもない。
フォロワーがみんな当選してることはいいことなのだが、そんなことある?
パブサしてみるか。
マジでいないな...
えっと、それってまさか...
本当におめでたい。
去年に比べ座席が増えたのは知っていたがまさかここまでとは。
あの神社での祈りが本当に実現するなんて信じる者がいただろうか。いやいない。
当日あのラ チッタデッラに1~2000人の「せんせえ」が集うと思うと...ちょっと嫌だな...怖い...みんなおれと同じ女が好きなんだ...いや好きではないが...
と、まさかのルートで当選発表は無事ハッピーエンド(?)を迎えたのでした。
2022年2月11日
すごいお知らせのある名取さなさんと話そう
存在しない学生時代の記憶を引き摺り出すかのような、去年の配信「名取さなさんと話そう」を思い出させるようなサムネイルとタイトルに、聞き捨てならない言葉が添えられている。
「すごいお知らせのある」
そうかそうか。今年もまたコラボカフェをやるんだな。もしくは物販追加グッズか、その両方か。いずれにしても楽しみだな。
そんな気持ちで配信画面を見ているぼくは、正直名取さなを舐めていた。
もちろん、学校の教室を模した背景に射す淡い夕陽。それに照らされた同じクラスの名取さなさんに言葉では言い表せない感情を抱いたことは言うまでもないが。表せないから言えないし。
そして画面に表示された告知画像はぼくを狂わせるには十分すぎる情報だった。
こぎみゅん!!!!!!!!!!!!!!!!
(机を引っ叩く音)
(膝をぶつける音)
突如家に響き渡るオタクの大聲。一瞬にして喉を枯らした。
あまりの驚きに状況が呑み込めない。
分かるのは王冠を被るこぎみゅんと名取が並んでる景色、あと掌と膝の痛み。
続けざまに披露されるキティ先輩、マイメロ、そしてシナモンくんとそのお友達のみるくくん。
名取さな
×
サンリオキャラクターズ
POP UP SHOP
ベッドの枕元に並ぶさなぬいとクロミちゃん、配信画面の3つへ順番に視線を移しながら嬉しさのあまり涙を流していた。
当日を迎える前に二度も泣かされるとは思わなんだ。
突如予想もしなかった刃物に刺され流れる血を見て、何かの間違いではと目を擦り再度配信画面を確認する。
SANA NATORI
×
COGIMYUN
????????こぎみゅん????????
他のVTuberたちがサンリオのキャラクターたちとコラボしていくのを横目に、あわよくば名取もコラボしてくれないかな。個人勢にはハードルが高いがそこをなんとか。マイメロなんかは特にお似合いじゃないか?
そんなことを考えたのは一度や二度ではなかった。
だがこぎみゅんだ。誰が予想できる。
そんな儚いこぎみゅんとは同じ二つ結いであることやアヘエビの存在から十分なシナジーを感じるが、少々マニアックではないか。
提案したのは誰だ?サンリオ側ならしっかり名取を知ってくれている証拠、名取側ならサンリオを好きでいてくれている証拠。どちらにしても嬉しすぎるだろ。
後日知ったがこれは名取からの提案だったらしい。
名取、こぎみゅんが好きなのか?小一時間くらいこぎみゅんトークがしたい。頼む。
ここまでこぎみゅんにばかり触れているが、恐ろしいことにこれはこぎみゅんコラボではなく「サンリオキャラクターズコラボ」なのである。君企業勢?
掌と膝の痛みが治まってきたところで配信は終わった。忘れずにスパチャを投げて。
翌日、翌々日と続けて寝起き早々頭に浮かんだ言葉が「サンリオコラボ」だったくらいには脳が支配されていた。
この文章からも滲み出ている通り、サンリオに侵されすぎ。喋りすぎた。
だってそれだけ嬉しかったから...
それからというもの
新曲「だじゃれくりえぃしょん」
次々と更新される #さな歩き
ポップコーン専門店「HillValley」とのコラボ
まさかの4店舗もあるコラボレストランとスタンプラリー
さなコレVol.2と追加楽曲
物販にて追加されるパンフレット
等々到底個人勢とは思えない程の情報量を放出していく推し。
なるほど初見に企業勢と勘違いされるのも理解できる。
今なら「実は企業の後ろ盾の元活動していました」と言われても納得できるだろう。「にじさんじ所属」がネタではなく誉め言葉になっていく。
新たに情報が出るたびすけじゅる~んと出費を計画しなおし、挙句2泊の予定が1日早い5日に出て3泊する羽目に。余裕持って多めに休み取っておいてよかった~~~...
ただこの1日が致命的な計算ミス。
ばくたん当日レポnoteの方で話したフラスタ、それに装飾するイラストパネルが印刷所から一度自宅へ届くのが最短でも5日という事態に。
届くころには家を出てるもんで家族に頼みお花屋さんへの送付を全任せしようと思っていたところ、お花屋さんより「今からでも間に合うなら配送先を直接こっちに変更したらどうか」とご提案をいただいた。
もう最悪間に合わなかったら汚い直筆で書いた
「イラストパネル間に合いませんでした」パネルを飾るつもりでいたところへ神の一手。
本当に、迷惑かけんな...各位ありがとうございますマジで...
ギリギリでいつも生きているとこういう目に合います。
締め切りには余裕を持て。嗚呼......
2022年3月5日
川崎入りする日
コラボレストラン等のイベントは前日4日から既に始まっており、TLには楽しそうに巡るフォロワー達がちらほら。
それも良いフォロワー達を持ったと思う。エロイーズカフェ2F等のネタバレが一切流れてこず、「すごい」「やばい」と楽しみだけが増えていく感想ばかりだった。
11時前に東京駅へ着き、川崎へ行く前にサンリオコラボショップをこの目で見ようとするも駅内で迷い断念。グッズは通販で注文しているため後日行くことに。
去年と同じホテルに3泊分のクソ重い荷物を預けいざラ チッタデッラへ。
一年ぶりだってのに不思議と道を覚えている。
37番街を横目にアーチ状の看板を潜る。
あぁ、久しぶりだ。チッタデッラ。
あの日何度も歩いた道。沢山写真を撮って何度も見返した風景。
それは実家の庭のように安心でき、着いてすぐここに住みたいとも思った。
レストランを周る前にオタク歩き。更新された分のさな歩き巡礼をする。
今年も賑やかだ。カップル、子連れ、一人で散歩、せんせえではない人間たちも休日を楽しんでいる。何かのイベントか催し物をやっているようだった。土曜日だしな。
一通り周り満足したところで整理券を受け取りにペゴッパヨへ。
と、思いきやすぐに入れてもらえた。
4店舗もあるため上手いことオタクが分散してるらしい。
席へ案内する店員さんの後ろを着いていく。店内に既に何人かせんせえらしき者も見えた。こどもビールと生ビールを一緒に頼んでる奴、何?
席に座り、すぐに予め決めていたメニューを頼む。
「"あの日の室内BBQセット"と"浴びーるほどのんじゃおう!こどもビール"で」
『BBQセットとこどもビールですね』
もう恥なんてねぇよ、店員さんも慣れてるだろ。
去年の「同じクラスの名取さんが放課後友達と飲んでるチョコラテ1つください」に比べたら50倍はマシ。
うおっ、本物だ。
アヘエビがツイートしてた写真通りの料理が現れテンションが上がる。
デカい肉の食べ方に迷い、まず先に焼いたエビが真っ赤に染まる。すげ~...
焼肉でエビを焼くのが初めてだったためその手順の新鮮さを楽しみ、これって殻ごと食べていいの...?と訝しみつつ口へ運ぶ。うっま...殻もいけるなこれ。
次にデカい肉を手元のデカいハサミで5等分に切って鉄板に敷く。これ、本来は焼いてから切るらしい。
程よく焼けた元デカい肉をタレに付けて、食べる。うおおおおお”美味い肉”の味だ..!
早朝サラダチキンを一つ食べたっきりの胃に詰め込む肉の満足感はカンスト。これでもかというほど白米が進む。昼からBBQってのも悪くないな。
そして手を付けたこどもビール。綿菓子で表現された泡は液体が接触すると同時にみるみる溶けていく。これは...確信が持てないがレモンサイダーっぽい。溶けた綿菓子の甘みがとてもマッチしていた。
全て平らげ思いの外膨れた腹をさすりながら撮った写真をツイートしTLを更新する。
こどもビールと生ビールを同時に頼んでる写真が流れてきて知人だったと判明する。お前かよ。
去り際軽く手を振るに留め、店を出る。
ペゴッパヨを出てすぐ目の前にあるのがエロイーズカフェ。2Fの様子が気になったため優先的に入ることに。
「メチャ・ハッピー・カフェラテ1つ」
「ベリーベリーイチゴミルク1つ」
「ベリーが一個足りないね」
『”ベリーベリーベリー”イチゴミルクですねw』
友人の言い間違いを軽く小突いてみたところ、店員さんも笑顔でツッコミを入れてくれる。
ここの店員さんは気さくというか、ちょっとノリが良かった。去年に続きで慣れてるのかな。
かわいい液体を受け取り飲む。っぱカフェラテよ。美味い!(語彙力)
アイスカフェラテなため溶けないチョコチップを噛み砕き、飲み干したカップを捨て楽しみにしていた2Fへ。
踊り場にいるいい顔をした名取にビビり、横に並ぶ。152cm、いやそれより数センチ小さい気がする。気のせいか。かわいいね。
その横から今年もずらっと並ぶ公式ヌォンタート。
階段を上りきり目に映るはフィギュア群。驚くことに半数以上が"知らない造形"だった。
オタクの見えないところでなんてことしてくれるんだsaiせんせえは。めっちゃかわいい。これもいずれ売られるのか...?
店内には「さなのおうた。」が流れていた。が、どうもいつも聞いているCD音源とは違って聞こえた。
まさかと思い振り返ると、そこには大画面で写る"さなのばくたん。丁寧なお誕生日会"の映像が。
潤んでしまった。アンコールを受けお手紙を読み最後にと歌うさなのおうた。がよりによって今流れているなんて運が悪い。去年はここでボロ泣きしていた。
沢山の公式ヌォンタートとさな歩き写真、等身大パネル、ガラス窓から覗く名取を撮りつくしエロイーズカフェを後にした。
最後はHillValleyへ行きコラボのグッズとメニューを購入。
HillValleyは店内がかわいい。カラフルなポップコーンが並び商品そのものがデザインの一部と化していた。
名取のパネル、ポスターを撮りポップコーンを食べ今日の店周りは一旦終わり。夜のさな歩きを撮影してホテルへ帰った。
2022年3月6日
チッタデッラ二日目
今日は真っ先にスパイスクラフトへ。
『ナトリデスカ?』
カタコトな店員さんの声を聞き整理券の必要もなく入店、カウンターにオタクが横一列で並ぶ。き、気まずい...
左のせんせえから順に注文するが、スパイスクラフトのコラボメニューはほぼ一択なため全員同じのを頼む。もう「一緒で。」でいいのでは?
若干潰れたうさチャイせんせえ、意外と酸味があり上部が甘い。
事前に好き嫌い分かれそうとの言葉を聞いていたが、そこは安心。ぼくの口とは相性が良かった。
本格うまうまエビカレー、甘口のカレーだ。
新曲には「インドのカレーはかれいんど!w」なんて歌詞があったがそんなことはなかった。辛いものが苦手なせんせえへの配慮?
それはそうととても美味しかった。一瞬カレー?と思う意外な味わい、甘さが咀嚼するごとに確かにカレーを実感する。
エビの入ったカレーは初めてだったが案外、というかかなり良い。
それから少し消化を待って白熊堂。ここは席の数があまり多くないようで初めて整理券を手にした。
シャクシャクアヘエビかき氷、おぞましい見た目だ。
だがTLで見た写真よりもしっかりとアヘエビ。
人気メニューである故連日作っているためか店員さんの腕が上達しているらしい。おもしろすぎるだろ。
肝心の味はというと、甘味の中にグレープフルーツっぽい苦み。赤いのはイチゴだと思っていたため意外だった。めちゃめちゃ美味い。ブラッドオレンジというらしいがこれは大好きな味だ。
目はマシュマロにチョコ。ぽかぽかホットチョコレートも相まってもう一種のスイーツ。元が水とは思えない。
そうしてすべてのスタンプを揃え受付にて交換。
時間が余ったので東京駅へ行きサンリオコラボショップを見に。
「すみません、通販で買ったもののめちゃめちゃかわいいので写真だけ撮りに。」
『大丈夫ですよ~!ありがとうございます!!』
そう言って笑顔で画角から退けてくれる人当たりの良い店員さん。
ブースはキラキラしててとってもかわいかった。このまま1/8の置物にして飾りたい。
ついでに名取とは関係ないがアイカツデザインマート、PrismStoreを拝見し
サンリオのはぴだんぶいとコラボしているというGODIVAカフェ。
そして夜は酒を飲んだ。
当日前最後のチッタデッラ(夜)を散歩し、前夜祭配信を見て、Twitterにて日付の変わりとたくさんの記念ヌォンタートを確認し就寝。ついに明日がさなのばくたん。本番である。
あとは楽しみ、愛を伝えるだけ。
全力で応援しきったお誕生日会の翌日
アーカイブチケットを買って視聴し、涙を流しながらチェックアウトの手続きを済ませホテルを後にする。
“乗り換え”という文化を知らなすぎて駅のホームど真ん中で立ち尽くし大泣きなどしながらも、無事多摩センター駅へ向かう。
前述したとおりサンリオピューロランドを楽しみ、プラスチックの女と写真を撮り、
そして夜、東京駅に。
4日間行動を共にしてくれた友人と改札前で足を止める。
終わりが近づくにつれて沢山のことを思い出す。
それはばくたん期間に限らず、名取さなに出会って、一喜一憂し、多くの影響を受けてきた数年間のこと。
人生で初めて、明確に「推し」と言える人間に出会えて、その成長に立ち会い物語の一部になっていること。
今こんなにもインターネットを楽しめているのは間違いなく名取さなのおかげだ。
帰りたくなかった。名残惜しい、なんてもんじゃなかった。
ずっと夢見ていた現地の景色。
膨大な下準備、馬鹿にならない出費、丸4日歩き続けた疲弊。
全てにおいて後悔は一切ない。本当に楽しかった。
改札にSuicaをかざす手は震え、目頭は熱くなる。
もらったものが多すぎて返しきれない。
だからぼくはぼくに出来る最大限のお返しをしたつもりだ。
名取さなを応援して、全力で楽しむ。
こんなに楽しい時間を用意してくれてありがとう。
こんなに大きくなってくれてありがとう。
「推し」としてぼくの前に現れてくれてありがとう。
お誕生日、おめでとう。
ここを通ったらぼくの中のさなのばくたん。は遂に終わるんだな。
そんな気持ちでいながらも新幹線は待ってくれないため嫌でも通過する。
振り返り、
駅まで送ってくれた友人に手を振り、
また来るね
そう言い残して。
ぼくは関東を去った。