サタスペオリシ「ミナミ・ファンキー・オレンジチキン」

■ティザー

　依頼は脱獄、そして成り上がり。

　身に覚えのあるなしはともかく【勾留表】により留置所にブチ込まれた亜侠たち。ある日取調室に呼びつけられると、そこにいたのはいつもの尋問官ではなく、大幇の下部盟約である三折會（ｻﾝｼﾞｭｳﾎｪｲ）のリーダー、黄 儀（ﾌｧﾝ ｲｰ）であった。
　大幇幹部との義理の為に”お勤め”に来た黄だったが、内通していた看守長に裏切られ、大阪海上刑務所に送られる間際となってしまった。復讐を兼ね脱獄を図る黄は、副看守長を買収し、亜侠達にも声を掛けたのだった。しかし黄にはその先の野望があり、まだまだ亜侠の力を必要としている。そして亜侠にとってもまた、己が侠を成すチャンスである―――

　走れ、撃て、飲め、騒げ！一つの侠を燃やすため、∞の弾丸を撃ち尽くせ！！！

■この記事について

　この記事は冒険企画局著ＴＲＰＧシステム「サタスペ」のオリジナルシナリオです。

■フォアプレイ

　このシナリオは、つくりたての亜侠か1回冒険したことのある亜侠４～５人のチームを想定しています。初めてシステムを遊ぶPLがサタスペを一通り楽しめるよう、「情報」「血戦」「競争」「浪漫」のルールを詰め込んでいます。
　シナリオ開始時の亜侠達は勾留されているため、所持品は自分のアジト、もしくは勾留所の押収品保管室に格納されているものとします。

■舞台

　このシナリオは、主にミナミを舞台としています。

■導入

　身に覚えのあるなしはともかく【勾留表】によりミナミの生野留置所にブチ込まれた亜侠達。横暴な所長の辺部典獄（ﾍﾝﾌﾞﾃﾝｺﾞｸ）により毎日のように取り調べを受け、自白を強要されている。オオサカの警察は点数を稼ぐため、捕まえた者に余罪を重ねようと躍起になっているのだ。
※導入としてPLをひとり選択し、【勾留表】を基に横暴な尋問を行っても良い。内容によって肉体か精神で判定を行わせるとイヤな奴感が増してよい。
　シーンを区切り翌日、亜侠全員が取り調べ室に呼び出される。いつもは刑務官がいるその部屋に居たのは、サングラスを掛け鷹揚に足を組んで座っている黄 儀（ﾌｧﾝ ｲｰ）だった。
「ニーハオニーハオ。俺はかの五大盟約大幇が傘下、三折會（ｻﾝｼﾞｭｳﾎｪｲ）のリーダー、黄だ。本来であるならばこんな所に収まる器じゃあねぇんだが、大幇の幹部（劉 志成　ﾘｭｳ ｼｰﾁｮﾝ）に恩を売る形でお勤めに参ったってワケだ。本来であれば一週間で済むよう根回しもしてたんだがあのクソ所長、金だけ掴んで裏切りやがった。さらには俺を大阪海上刑務所に片付けようとすらしてやがる。ビジネスの契約を反故にするやつにナメられるのはマズい。そうだろ？…そこでだ、ちょっと灸を据えてやろうと思ってんだ、そこでおめぇらへ「依頼」ってわけよ。ケツはすべてコイツが拭くから心配すんな」
　そう言って黄が指をさした先では副所長の田井中 四士郎太（ﾀｲﾅｶ ﾖｼﾛｳﾀ）が曖昧な表情でえぇえぇと頷いている。北陸から左遷の様に飛ばされてきた彼は、コネもなくまともな成績を挙げられないでいた。黄をエスとして利用しようと考えているのだ。
・依頼を受けることになった場合、計画の内容が伝えられる。翌日にイベント：JAIL BREAK!!が発生する。
・依頼を受けなかった場合、翌日には大阪海上刑務所に移送される。

■イベント：JAIL BREAK!!

・脱獄計画→黄の仲間が塀越しに手榴弾を投げ込み騒ぎを起こす。その隙に田井中が開錠しておいた押収品保管室に侵入し武器を回収する。その後正面玄関から脱出、乗り付けた逃がし屋の車で逃走する。
・押収品保管室では自分の所持品を回収できる。また環境値で判定に成功したものは価格３以下の中古武器の入手を許しても良い。その後ジオラマ「生野留置所」での血戦。敵は制服警官（基本p.129）4人。全員が脱出ポイントまでたどり着く、もしくは全エネミー撃破でクリア

●ディスコ「トライアド」

　ミナミにあるオールドスクールなディスコ。三折會のアジトでもある。
逃走に成功した亜侠達は黄の部下が用意した宴席で思うさま食べ、飲む。食事をした扱いとなり、精神点を1点回復する。暫く経つと、上機嫌の黄が話しかけてくる。脱獄を労った後、次の依頼を持ち掛けてくる。曰く、三折會はディスコ内でのクスリの密売が主な資金源だが、傘下組織の中では目立てないでいる。唯一の活路が大幇幹部、劉とのコネクションである。２日後の深夜にここに訪れる劉の為に何か手土産が必要だ。
・亜侠達が受け入れると、【間男に関する依頼】が開示される。
・亜侠が断り帰ろうとすると、やんわりと脅しをかけてくる。それでも断ると黄が銃を突き付けてきて、黄と三下×15人との血戦になる。

【間男に関する依頼】

　劉の愛人が間男と駆け落ちした。怒り狂った劉により愛人は連れ戻されたが間男のことは庇い、正体を明かさない。間男の身柄を押さえ差し出せば、劉とのコネクションは強くなり、三折會も引き上げられるであろう。しかし現状は間男の名前すら解っておらず、手掛かりは愛人が握りしめていた特徴的なペアリングだけである。「ペアリングの写真」を亜侠が手に入れたら、夜ターンは終了する。

●報酬　札束×１　札巻き×４（内２個を前金）

■情報
▼間男について
SL２ アダルト
SL３ 健康

アダルトで得られる情報：劉の愛人も通いつめていたホストクラブ「Sen-Pie」のナンバーワンホストど麺 罪樹（ﾄﾞﾒﾝ ﾂﾐｷ）は、「君ダケダヨ」と囁きながら特徴的なペアリングを上客に配る事でも有名だった。しかし、一週間前から無断欠勤をしており店長も居所を知らないという。
健康で得られる情報：一週間ほど前から、やたらと美形な男がミナミの「スパ混浴ワールド」で目撃されているという。どうやら朝か昼にはたいていサウナにいるらしい。今後朝か昼に「スパ混浴ワールド」に向かうとイベント：HUNT the STUDが発生する。

■イベント：HUNT the STUD

　ど麺の身柄を抑えるべくスパ混浴ワールドに訪れた亜侠達。目標はサウナにいるようだが、入場するためには服を脱がなければならない。アイテムを持ち込む場合は隠し方をDDに相談し、了承を得る必要がある。
　サウナに到着すると美青年が居る。美しく引き締まった肉体、蠱惑的なマスク、思慮深そうな包茎。まるでミケランジェロのダビデ像である。亜侠が彼の素性を確認しようとすると、察したど麺はその場から逃げ出す。そしてその際に亜侠のひとりにロマンスを仕掛け、逃走の手助けをさせようとする。※異能「両刀使い（色）」持ち

　彼は全裸のまま浴場を飛び出し、新世界商店街を駆けていく。直ぐにでも追わねば逃走を許してしまうだろう。サウナに行った亜侠は性業値判定を行い、激になったものだけが全裸でど麺とのケチャップを開始する。静になったものは肉体で難易度１１の判定に成功すれば次ラウンドより装備を整えた状態でケチャップに途中参加できる。なお、新世界商店街は２輪以上の乗物は通行できない。
　ケチャップに成功すると、拘束したど麺を入手できる。黄に連絡をすれば三折會の三下がすぐに回収に現れ、２日目の晩にトライアドで報酬を支払うと伝えられる。もしくは亜侠のアジトで「監禁」し、自ら引き渡す事もできる。その場合、引き渡しを交渉材料に取引もできるだろう。ど麺に対して尋問を行えば、自分は大阪市警の本部長とでも知己であり、解放と引替えに便宜を図ると交渉してくる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

■イベント：FUNK them UP
　２日目の夜に「トライアド」で発生するイベントです。
　劉をトライアドに招き歓待する黄。亜侠たちも同席し、引き合わせてもらう。痣だらけの顔で天井から吊られたど麺を横に和やかな空気で食事をしていると、突如銃声が響き、黄の脇腹から血が噴き出す。一斉に入口に目を向けると、三下を引き連れた田井中が立っていた。（非合法の場の為、警察の部下ではなく今回の襲撃の為に金で雇った三下を引き連れている。）「困るなぁ黄。ど麺ちゃん、うちの本部長のお気に入りだったんですよ？それに手ぇ出したエスなんてやり辛くなるでしょうが。まったく、困ったもんだよ」
　そのまま巨漢×２、三下×4との血戦が開始される。田井中は行動せず、遮蔽物の裏から動かない。攻撃を受けた、もしくは手下が全滅すると性業値判定を行い、激なら敵対行動、律なら逃走を図る。
　劉とﾎﾞﾃﾞｨｰｶﾞｰﾄﾞ（「謎の中国人」基本ｐ127）はVIP室に退避し自律的には行動しない。
　黄は6点のダメージを受け、気絶している。治療を行えば、復帰し戦闘に参加する。

■結末
●ど麺を取り逃がした/血戦で全滅した
　ご愁傷さまです。
●田井中を殺害した/拘束した
　黄or劉に引き渡すと、大阪市警に貸しが出来たと報酬に追加して≪札束≫を1個くれます。

■NPC
●辺部　典獄（「捜査官」ロケットｐ24）
　生野拘留所所長。嫌われ役。気兼ねなく脱獄してもらえるかは彼にかかっている。
●黄　儀（「セックスマシーン」鉄鉄ｐ78）
　三折會リーダー。野心の人、ディスコファンクが大好き
●田井中　四士郎太（「制服警官」基本ｐ129）
　北陸から飛ばされてきた生野拘留所副所長。すごく仕事がやり辛いらしい。　気弱眼鏡ではあるが性根はやっぱり大阪市警。
●劉　志成（「幹部」基本ｐ128）
　大幇の下のほうの幹部。黄とは遠い従弟関係。
●ど麺　罪樹（「悪女」基本ｐ135）
　青い目の北欧系超美青年。すごいカタコト。

【勾留表】２Ｄ６

２・生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たずに諸方をうろついた(軽犯罪法第一条第四号)
３・人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした（十二号）
４・公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた（十四号）
５・公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、（中略）公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した（十三号）
６・公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した（二十号）
７・正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た（二十三号）
８・公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した（二十四号）
９・川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした（二十五号）
１０・他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった（二十八号）
１１・人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた（三十号）
１２・入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた（三十二号）

※参照 <https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000039>