2020年心を動かされた映像コンテンツ
あたらしいテレビ第2弾が元日に放送された。
NHKの討論番組なのだが、前回の放送では「コロナ禍でメディアはどうあるべきか」というのを真剣に議論していたのだが、今回は各パネリストが「2020年心を動かされた映像コンテンツトップ10」を発表し議論をしていた。
番組終了後、自分の2020年心を動かされた映像コンテンツはなんだろうと考えツイートした。
私的心動かされた2020年にみた映像作品
— いも女子大生 (@wDmhIsRftZFwvpU) January 2, 2021
そなちね(Tempalay)
千両役者(King Gnu)
アンナチュラル
MIU404
リップヴァンウィンケルの花嫁
千と千尋の神隠し
セックス・エデュケーション
映像研には手を出すな
あたらしいテレビ
星野源配信ライブ
同じ映像コンテンツとはいえジャンルがバラバラで優劣をつけることはできないが、これらを選んだ理由をnoteで補足したいと思う。
・そなちね / Tempalay (Youtube)
Tempalayが2019年に発表した楽曲。夏休み、少年が「宇宙」について自由研究を進めていくストーリーである。
ちょっと不気味でヘンテコなイントロとAメロと気持ちの良い風が吹き抜けるような清々しいBメロの対比が美しい楽曲であるが、少年の周りで起きる目を覆いたくなるような現実と少年の澄んだ目や希望の対比に重なる気がした。
・千両役者 / King Gnu (Youtube)
King Gnuが2020年に発表した楽曲。MVに出てくるのは千両役者と夢追人と比喩人。
同時にリリースされた『三文小説』に比べ、勢いと豪快さを感じる。人生何とかなるっしょ!!と生きていく千両役者の様子を描いたような楽曲である。
MVでは千両役者に憧れる夢追人が出てくる。彼が見つけた千両役者への僅かな糸を比喩人は容赦なく叩き潰していく。嗚呼、現実の惨さ。
・アンナチュラル (AmazonPrime / Paravi)
2018年TBSドラマ。AmazonPrimeで配信されているものを見た。ちなみに正月の再放送も見たのだが結末が分かっていても面白い。何がそんなに面白いんだろう、テンポ感?
今まで石原さとみがそんなに好きではなかった、正確にいうと石原さとみが主演を張るようなドラマが好きではなかった。ちゃんと見ていないのにこんなことを言ったら失礼だが「私が可哀想な悲劇のヒロイン」感、或いは「私が特別ヒロイン」感が出ている役がどうも受け付けなかった。しかしアンナチュラルの石原さとみ演じる三澄ミコトはUDIラボで働く一仕事人にすぎない。こういう普通の石原さとみが見たかったんだよ!!!
・MIU404
2020年TBSドラマ。しっかりリアルタイムで視聴。事前情報をあまり入れずに見始めたので勝手にミステリーだと勘違いしながら視聴、なんかぬるいなと感じていた。しかし4機捜がぶち当たる問題は昨今の社会情勢を照らしたものだし、久住の正義とも悪ともいえない存在感は今までの白黒はっきりつけてやる!というエンタメの登場人物にパンチを放った存在であるように感じた。
・リップヴァンウィンクルの花嫁 (Netflix)
以前もnoteに書いたがMIU404を見ながら「そういえば綾野剛の作品見たことないなー」と思い視聴。愛とは、恋とは、結婚とは何かを考えさせる哲学者になってしまう映画だった。
というのは以前も書いた気がする。
結末は詳しく言わないが「それでも生活は続く」というのがしっくりくる素敵な作品だった。
後、綾野剛のフワフワとしたいい人なのか悪い人なのか、敵なのか味方なのかわからない曖昧な感じが非常に良。
・千と千尋の神隠し
夏休みにジブリを映画館で、みたいなキャンペーンの時にみた。それまで千と千尋を見たことがなく、「非国民」だの「人生を損している」だの嫌みを散々言われた。
日本人の「怖い」という感情を揺さぶり続けるような前半。おそらく日本人のほとんどは小さい頃にこの前半部分をみることで恐怖へ打ち勝つ方法を身につけたに違いない。しかしあのお風呂屋さんの複雑でまだ未知の部屋があるんじゃないかと思わせる建物や、建築そのものは巨大なのにだだっ広い中に建てられているせいで孤立感が演出される敷地はワクワクしたし既視感を覚えた。カリオストロの城だった。
・Sex Education (Netflix)
タイトルは強烈だが蓋を開けてしまえば普通の学園ものである。そのベースとなるのが性教育。性教育とエンタメのコラボは、誰も、少なくとも日本では、触れられて来なかったが非常にいいものを見たなと感じた。
この後紹介する「あたらしいテレビ」内で「性教育について男がやろうとするとどうしてもエロに走る」という趣旨の発言を野木亜紀子さんがしていた。実際MIU404でわいせつ犯に襲われるというシーンを撮るときに「絶対にオカズにさせない」と塚原監督と新井Pと何度も話し合ったという話も聞いている。
それの佐久間さんの返答、「男はどうしても性に対して妄想と憧れが入ってしまうしそういう演出が多かった。」が印象深かった。どうしても性に関する意見は女性のものを耳にしがちなので、男性側から冷静に分析した意見を聞けるのが貴重な機会だったと思う。
なるほど。
・映像研には手を出すな(NHK)
chelmicoがオープニングやるんだーという理由から見始めたらまあ面白かった。普段設計の授業を受けているだけあって、締め切り前日に徹夜して終わらないんじゃないかと絶望したり提出が終わってもいまいち満足できない感じが非常に共感できて笑った。映像研はアニメを作っていたけどそれを支えていたのは絵を描く人だけじゃない、ということがよく描かれていた。それはアニメだけじゃなくてクリエイティブ業界みんなそうだよなと勇気をもらえる作品だった。
・あたらしいテレビ(NHK)
第1弾も第2弾も面白かった。
特に第2弾は「私が面白いと思っている人たちが『心が動いた』と感じた作品の紹介」はまだ見てないものがたくさんあったし見なくちゃとワクワクした。
一方でヒャダインさんが言及したメディアの過剰な煽りや報道は第1弾の時から何も変わってないなと少し悲しくなった。
第1弾の感想は下に書いてあります。
・星野源配信ライブ「GHTA」
本来だったらキャパ300人前後のライブ会場で客入りでやる予定だった10周年ライブ。そんなプラチナチケットを当てるような豪運は持ち合わせていない。2019年の佐久間宣行ANN0リスナー感謝祭で300人キャパの本多劇場に10000人応募、見事に爆散した過去が証明している。配信でよかったと個人的には思うライブ。
印象に残ったのはラストの「私」。
ライブが開催されたのがとある有名人の自殺報道が流れた直後。特にファンだったわけではないけれど出演している作品はみたことがあったし多少なりにもショックは受けた。
「死ぬのだけじゃ あまりじゃないか」
配信された音源よりも力強く歌ったこのフレーズは勝手にその事とリンクしてしまった、源さん本人はどう思ったのか知らないが。
私のトップ10には入らなかったもののBEASTERS(辻さんの3位)、うちで踊ろう(野木さんの4位)は「わかる〜〜!」となってテンションが上がった。
また多くの人がランクインさせていたヴァイオレット・エヴァーガーデンを最近やっと見始めたのだがめちゃくちゃ面白い。なんで早く観なかったのだろう。
これをね、正月の間にあげようと思ってたんですよ。なのに1月もう終わりますよ!