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差別感情を自覚し、改めた夫を尊敬している

同じ年ごろの子を持つ友人と話していると、しばしば、自分たちの夫がどのように子育てに参加しているか、というような話題になる。

そもそも「同じ年ごろの子を持つ友人」というのが、大抵は、テニスを通じて知り合った同世代で、結果的に、同年代の子どもを持つ親となった、テニス仲間。であるから、同じ「テニス仲間」出身の私の夫のことも旧知なのだ。

そして、口々にウチの夫を褒めてくれる。
「昔から子ども受けいいもんね」
そう、独身時代から、テニスそっちのけでよそ様の子とよく遊んでいたから。
「優しいし」
「サークル内の人気No.1だもんね」
と、いう、もっぱらの噂だけれど…。

結婚した当初、それまで優しかった人が、まるで人が変わったかのように、『男尊女卑』と『亭主関白』を高々と掲げていたことは、お忘れなきように。

昨日までのあの優しさは何だったのか。
婚姻届を提出する、一週間前にさかのぼって、自分に教えてあげたかった。
この人は、釣った魚には餌をやらないよ、と。

そんなことで、当時は毎日毎夕、喧嘩していた。
新婚当初が、一番喧嘩が絶えない時期だった。

当時、派遣社員だった私は、結婚前妊娠で職場にも居づらくなって、悪阻も酷くて仕事にならない日も多くて、結婚を機に一旦仕事を辞めた。
それも相まって、夫からのプレッシャーは「家に居るんだから家事ぐらい全部やれ」に始まり、仲間に会えば妻の悪口ばかりこぼし、友人が結婚祝いで家にやってくれば「結婚なんてろくなもんじゃない」と言われる。
身内をけなして謙虚さを作り出し、「お前も見習えよ」と相手をヨイショする道具にされる。

お腹の子が出て行ってしまった日の夜。
溜まっていた鬱憤と悲しさが綯交ぜになった私は、夫に対して「あなたは、なんのために結婚したのか」というような言葉をぶつけた。
「誰を幸せにしたくて、誰と幸せになりたくて、誰の傍に居たくて、誰を守りたくて、誰を大切にしたくて結婚しようと思ったのか、思い出せ。紙切れ一枚で、所有物のように扱われて不愉快だ」というようなことを、支離滅裂ながらも言った。

「お腹の子のために、仕方なく婚姻届を提出しただけなら、別れよう。こんな夫婦の元には産まれて来られないよ、と赤ちゃんが別れを告げたような気がするから。」と。

そして、それ以降喧嘩は減り、夫の『妻を貶める発言』も、徐々に減っていった。

あれから10年近く経って。
義父が「俺を敬え」「俺を大事にしろ」「お前みたいな嫁より、もっといい相手が居る」「切迫流産なんて気持ちの問題だ」「女のくせに」「女が家を守れ」とかモロモロの言葉を私にぶつけた姿を見て、『あの時、気づかなかったら、俺も親父みたいになってたと思う』と呟いた。
「令和の時代に即した進化を遂げられて、良かったね」とだけ、応えておいた。

本当は、そんなにあっさり済ませられることじゃなくて。
例えば、強い差別的な感情を持っている人が、それを手放したり、もっと行って真逆の考えを持てるようになることが、どんなに凄いか、ハッとさせらたし、『私は使命を一つ果たしたのでは』と思うぐらいの感銘を受けたけど、あまり大袈裟には言わずにおいた。

そして、今では、なぜか物凄く評判がいい夫。

男性の中でも綺麗好きな男性は居るはずなのに。
ちょっとウチの夫が、掃除機をかけたり、洗濯物を干したり、トイレ掃除をしたり、月1回洗濯機とお風呂のカビキラーをするだけで、皆「凄い!」「良いなぁ!」って言ってくれる。

よろしいですか。
私も掃除機はかけるし、洗濯物を干すし、なんなら夫は畳むことはしないし、私だってトイレ掃除するし、月1回のカビキラーは夫の仕事だけど、毎日の料理は私の仕事なのに!

ちょっと家事をやったからって、褒められる。
なんなら、自分のことを自分でやっただけでも、褒められる。
自分のお弁当を自分で作ってる、というだけでも。

そして、やっぱりこれを言うと物凄い羨ましがられることが多いのだけど、我が家では『保育園へのお迎え担当も夫』なのだ。

2歳&年少さんの年子姉妹を育てながらも、私はこの度、短時間勤務をやめた。
フレックスタイム制を導入しているので、多少前後するものの9時出社の18時退社。

夫は5時出社の16時退社。
パパお迎え制に、物凄く羨ましがった人も、二の足を踏む早朝勤務。

朝は、ワンオペなんよ。なんなら、寝起きが悪くてギャン泣き&ギャン泣きでも、独りで何とか時間までに送り出さないと、今度は自分が帰って来られないのよ。なんてたってフレックスタイム制だから。遅れても遅刻にはならないけれど、退社できる時間が遅くなるシステムだから。

そして、夕食を夫は作れない。
これな。
放っておくと三択。
1.納豆ご飯
2.冷凍うどんを解凍しただけ
3.その辺にあった菓子パンか総菜パン

だから、私は朝5時(なんなら4時台)には起きて、せっせと夕飯の支度をする。ほぼ毎朝。
なぜなら、夫は作り置きを嫌うから。
3日目には「これ、もう捨てた方が良いんじゃない?」って言ってくるから。

多分、そういう色々を友人たちは知った上で「凄い!」「いいなぁ!」「羨ましい!」って、言ってくれているの。分かってる。

上手だなぁと、そして、ありがとうと思う。
調子づいたウチの夫が、ますます何か頑張れるようになったら、万々歳。

10年で、男尊女卑の泥沼から、完全に足を洗った夫だから、きっとこの調子で、次の10年で、簡単な料理ぐらい出来るようになっている、はず。
と、願っているのだけど、どうだろか。

私には、もう一度夫とぶつかりあったり、本音をぶつけたりするような気力は残っていないので、考えを変えるほどのアクションは起こせなそうなので、完全なる他力本願なのだけど…。

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