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感想 映画 『不都合な真実』

(2006年/アメリカ/ドキュメンタリー)
アメリカ合衆国の元副大統領であるアル・ゴア氏による地球温暖化問題に関する1時間半にわたるプレゼンを映画にしたもの。

(あらすじ)
地球温暖化の問題は大まかに分けて2つ。

1つは温度上昇による生態系の変化。
疫病を伝搬する蚊の生存範囲よりも標高の高いエリアに都市を築く民族は意外にも多いそう。人間と共存するには危険度の高い生物はほかにもいるそうだ。

2つめは氷河が解けることによる海水面の上昇。
南極の土地が世界地図でもわかるぐらいに削れ、アメリカの海沿いの都市が水面に沈む映像はすごみがあった。

上記の問題は科学的な調査に基づいており、明快な数値データと、過去の予測に基づいて実際に今問題が起きていることを示している。

しかし、政治はそれを受け入れず経済成長を優先する。
科学的調査を否定し、経済成長を優先する。環境問題のために経済成長を犠牲にするのか?これはきっと視野が狭い論理なんだろう。
彼らにとってはそもそもこの問題は存在しないもであり、タイトルの通りの「不都合な真実」ということなんだろう。

アル・ゴア氏のこの問題への取り組む姿勢はロジカルである。
ゆえに、批判を真摯に受け入れて調査し科学的な根拠をもって反論をする「地球温暖化問題は実在している」と。

(感想)
アル・ゴア氏のメッセージは理解できる。
地球温暖化問題の実在を否定することはできないと思う。

しかし、民主主義を信じるなら、この事実を民意が受け入れいていないように感じる。それはなぜだろう?

アル・ゴア氏のプレゼンに時折現れる「笑い」。
「なんでこんな明確なデータがあるのに信じないんだろう?」という嘲笑の視点が気になった。
この会場で聞いている人たちはきっと環境問題に関心があり、自分自身の問題のようにとらえられる人たちなんだと思う。そう遠くない未来に自分たちにとって無視できない問題になる。その核心があると。

ゆでガエルのエピソードに会場が沸いた。
気づかずにじわじわと温まる水を抜けずに死んでしまうかもしれないカエルを救う映像。これは温暖化問題を知らない人たちも救おうというヒロイズムなんだろう。

でも、多くの人々にとって地球温暖化はどんな問題なんだろう?
地球全体の問題を自分事のように取り扱えるい人はどれだけいるのか?
数年後の自分の生活にさえ保障がない人のほうがまだ多いのではないか?
この問題は科学的分析の正確さ以上に、政治が吸い上げる民意の未熟さと、それをもとに行われる政治、それが環境汚染をする意思決定をしている人たちに至らないという構造の課題に感じた。

環境問題によって失われるものと、経済の停滞によって失われるもの、これらはどのようにして比較できるのだろうか?

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