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感想 映画 『もののけ姫』

(1997年/日本/アニメ映画)

昔テレビで見たけど、あらためて全編見てみた。
大人になってから見てみると理解できることもあるなと思う。

エミシ村を出たアシタカ・エボシが統治する女性優位のタタラ場・森の神シシ神様・シシ神を狙うジコ坊 など、ほかにもたくさんの立場の者が存在する。

根底には自然破壊と差別か。
エミシ村の人たちにせよ、タタラ場の人たちにしても、大きな時代の流れの中でひっそりと自分たちの居場所を見つけて暮らしているように見えるのに、その中で困窮したり、自然破壊を繰り返したりする。

現実の世界では自然は何も言ってこないけど、シシ神様はそれらを代弁するかのような瞳で見つめてくる。神秘的で不思議な目。
物言わぬ神聖さを醸し出している。

主人公のアシタカは誰の味方でもあり、味方ではないとも思える。
人々の間をとって尊いものを守るために自分の犠牲を厭わない。
立派な主人公格であるが立場としては軸がない。彼は誰の味方なのか?というと、おそらくは特定の誰かではないように見える。
それでも信頼を集め、芯の強さが感じられる、とても不思議な人格だなと思う。

アシタカ自身はサンとの関係のことはどう思っているのだろう?
普通の恋愛関係とはなにか質が違う気がする。

物語の最後のセリフが、ジコ坊の「馬鹿には勝てん」なのが、いやいや、これは面白いなって思った。
この馬鹿とはアシタカのことで、アシタカは馬鹿と称されるには賢すぎるように見えたから。

本作のテーマとは違うかもしれないけど、賢くも馬鹿でありたいなと思ったよ。

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